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メルセデス・ベンツ、「Eクラス」を大幅刷新 初のARナビゲーション採用
2020年9月10日 17:39
- 2020年9月10日 発表
- セダン:769万円~1867万円
- ステーションワゴン:810万円~1912万円
- オールテレイン:938万円
メルセデス・ベンツ日本は9月10日、大幅刷新した新型「Eクラス」の予約注文の受け付けを開始した。価格はセダンが769万円~1867万円、ステーションワゴンが810万円~1912万円、オールテレインが938万円。
2016年の新型発表以来の大幅刷新となる新型Eクラスでは、新世代ステアリングホイールを初採用するとともに、対話型インフォテインメントシステム「MBUX」や安全運転支援システムをメルセデス・ベンツの最新のシステムにアップデートするなど、安全性と快適性の向上やデザイン変更が行なわれた。
エクステリア
まず外装のデザインでは、シャープでダイナミックな印象に一新されるとともに、一部グレードをのぞきAMGラインエクステリアが標準装備された。フロントエンドのヘッドライトには最新のメルセデス・ベンツのスポーティモデル群に共通する、上下方向に薄く、わずかに切れ上がるデザインを採用。ラジエーターグリルは下部が広がる台形となるとともに、クローム仕上げのダイヤモンドグリルを採用。また、バンパー下部左右に2本のフィンが配置されるなど、シャープでダイナミックな印象を高めた。
「E 450 4MATIC エクスクルーシブ」には、メルセデス・ベンツ伝統のスリーポインテッドスターが輝くボンネットマスコットを採用。緩やかな多角形のラジエーターグリルとフロントバンパー下部にはクローム仕上げが施され、ダイナミックなヘッドライトと相まって、クールでありながらラグジュアリーな印象を与えたという。
さらにEクラスセダンはリアエンドのデザインも刷新され、外側に向かって上下方向の高さが増す、横に長い、2分割型リアコンビネーションランプが採用されており、ボディのワイドさとダイナミックさを強調するデザインに仕上げた。
インテリア
一方、内装ではメルセデス・ベンツで初となる新世代のステアリングホイールを採用し、「スポーツ」各モデルとメルセデスAMG各モデルには3本のツインスポークを採用し、近未来的なスポーティさを演出。E 450 4MATIC エクスクルーシブにはブラックアウトされたスポークを採用し、シックさを際立たせた。また、ナビゲーションやインストルメントクラスター内の各種設定や安全運転支援システムの設定を全て手元で完結できる機能性も有するとともに、従来はタッチコントロールボタンへの接触やステアリングホイールにかかるトルクで判定していた、ディスタンスアシスト・ディストロニック使用時のハンズオフ検知機能のために、新たにリムに静電容量式センサーを備えたパッドを採用。これにより、ステアリングホイールにかかるトルクがなくとも、ドライバーがステアリングホイールを握っていることが認識され、ディスタンスアシスト・ディストロニックの使い勝手を向上させている。
また、「E 200」と「E 220 d」に従来ピアノラッカー調のトリムが採用されていたセンターコンソールには、新たにインストルメントパネルに採用されるインテリアウッドトリムと同様のウッドトリムを採用することで高級感を高めたという。
インフォテインメントシステムでは、12.3インチの大型ワイドスクリーン2画面を標準装備。また、2018年から順次各モデルに搭載を進め、熟成を進めてきた対話型インフォテインメントシステム「MBUX」を採用。その最大の特長の1つとして挙げられているのが人工知能による学習機能で、特定のユーザーに適応する個別対応能力を備えており、ボイスコントロールは「ハイ、メルセデス」をキーワードとして起動。音声認識機能は多くのインフォテインメント機能(目的地入力、電話通話、音楽選択、メッセージ入力・読み上げ、気象情報)に加え、クライメートコントロール、各種ヒーター、照明など多様な便利機能にも対応。
また、音声認識に加えてタッチスクリーン、ステアリングホイールにあるタッチコントロールボタン、センターコンソールにあるタッチパッドでもさまざまな操作が行なえる。さらにドライバーのジェスチャーを読み取ることで各種ライトを点灯させたり、「Vサイン」をかざすことでアンビエントライトの設定画面などプリセットされたインフォテインメントシステムのお気に入りメニューを表示することができるという。
加えて、日本で販売される乗用車で初のAR(Augmented Reality、拡張現実)ナビゲーションを採用。従来では目的地を設定して行先案内をする場合、地図上に進むべき道路がハイライトされるが、今回の新型Eクラスではそれに加えて、車両の前面に広がる現実の景色がナビゲーション画面の一部に映し出され、その進むべき道路に矢印を表示。これにより、より直感的にどの道路に進むべきかを判断することができるという。
パワートレーン
パワートレーンについては、「E 200 スポーツ」「E 200 4MATIC スポーツ」には直列4気筒1.5リッターターボ「M264」型エンジンと「BSG」「48Vボルト電気システム」などの新技術を採用することで、効率性、快適性、高性能化を同時に実現したパワートレーンを搭載。「M264」型エンジンは単体で最高出力135kW(184PS)、最大トルク280Nmを発生する。さらにベルトを介してクランクシャフトと接続される、スターターとジェネレーターを兼ねるモーター「BSG」と「48V電気システム」は、回生ブレーキ等により発電した電気を約1kWh のリチウムイオン電池に蓄電し、振動の少ないエンジン始動、滑らかで力強い加速、素早いギヤシフトなどの必要に応じて、最大トルク160Nmの動力補助を行ない、燃費低減効果に加えてパワートレーンの総合性能を引き上げる。
「E 300 スポーツ」には、E 200と同じ「M264」型の中でも排気量が2.0リッターとなる直列4気筒エンジンを搭載。ツインスクロールターボチャージャーと可変バルブリフトシステム「CAMTRONIC」を採用し、低回転から高回転まで伸びやかな加速を可能にしたという。
「E 450 4MATIC エクスクルーシブ」には、新たにコンパクトな直列6気筒3.0リッターガソリン「M256」型エンジンを搭載し、単体で最高出力270kW(367PS)、最大トルク500Nmを発生。さらにエンジンとトランスミッションの間に配置された最高出力16kW(22PS) 最大トルク250Nmを発生する電気モーター「ISG」と「48V電気システム」により、従来のハイブリッド車のような回生ブレーキによる発電を行ない、約1kWhの容量のリチウムイオンバッテリーに充電。エンジンが低回転時には、その電力を利用して動力補助を行なうことで、高い効率性と力強い加速を実現する。スターターが従来より高出力な電気モーターとなることで、エンジン始動時の振動を抑え、エンジンスタートおよびアイドリングストップの際の再スタートの快適性を向上させたという。さらに、このモーターはシフトチェンジ時にも使用され、エンジンが理想的回転数に達するまでの時間を最小限に抑えるためのアシストも行なう。これによりシフトチェンジに必要な時間が短縮され、スムーズでタイムラグの少ないシフトチェンジを実現している。
「E 220 d スポーツ」には最高出力143kW(194PS)、最大トルク400Nmを発生する直列4気筒2.0リッタークリーンディーゼルターボエンジンを搭載。ターボチャージャーから出た排出ガスは、まず酸化触媒へ送られた後、AdBlueを添加。下流のsDPF(DPF with SCR Coating:選択触媒還元法コーティング付粒子状物質除去フィルター)で粒子状物質の捕集と窒素酸化物の低減を行なった後、SCR触媒でさらに窒素酸化物の処理を行なう。その後、新しく追加されたSCR触媒でさらに窒素酸化物の低減を行なうと同時に、余剰のアンモニアを処理するアンモニアスリップ触媒(ASC)を備えることで、運転状況が急激に変化した場合にもアンモニアが外気中に放出されることを防ぐことが可能になった。その結果、常に十分な量のAdBlueを噴霧することが可能となり、窒素酸化物の処理能力を高めることに成功しており、日本市場で販売される乗用車では他に類を見ない排出ガス処理システムを実現したとする。
「E 350 de スポーツ」には、「E 220 d スポーツ」に搭載されるクリーンディーゼルターボエンジンに最高出力90kW(122PS)、最大トルク440Nmのモーターを組み合わせ、システム総合の最高出力は225kW(306PS)、最大トルクは700Nmとなり、パワフルでスムーズな加速を実現。電気モーターのみで走行可能な航続距離は最長50kmとのことで、クリーンディーゼルとプラグインハイブリッドを組み合わせた乗用車は日本唯一のラインアップとなる。近距離はEV(電気自動車)のように電気モーターのみで走行することも可能で、「ハイブリッドモード」では電気モーターとエンジンの協調により、低振動、低騒音でスムーズな加速を実現しており、メルセデス・ベンツに相応しい快適性が味わえるという。
「E 350 e スポーツ」には、最高出力155kW(211PS)、最大トルク350Nmを発生する直列4気筒2.0リッターターボ「M274」型エンジンを搭載。このエンジンと組み合わせられるモーターはE 350 deと同じ、最高出力90kW(122PS)、最大トルク440Nmで、システム総合の最高出力は235kW(320PS)、最大トルクは700Nmとなる。なお、電気モーターのみで走行可能な航続距離は最長51kmとしている。
メルセデスAMG
新型Eクラスでは、「メルセデスAMG 53シリーズ」とトップパフォーマンスモデルの「メルセデスAMG 63シリーズ」の中でも最速モデルである「Sモデル」をラインアップ。
「メルセデスAMG 53シリーズ」は、直列6気筒エンジン、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)、48V電気システムおよび電動スーパーチャージャーを組み合わせ、さらに可変トルク配分を行なうパフォーマンス志向の四輪駆動システム「AMG 4MATIC+」を採用するなど走行性能を追求する一方、快適性能も維持し、トータルバランスに優れたモデルに仕上げた。
直列6気筒「M256」型エンジンは単体で最高出力320kW(435PS)、最大トルク520Nmを発生し、ISGはE 450 4MATIC Exclusiveなどにも採用されている、最高出力16kW(22PS)、最大トルク250Nmを発生するシステムに加えて低回転域で過給を行なう「電動スーパーチャージャー」を搭載することにより、ターボラグを解消。電動スーパーチャージャーとISGによる動力補助および排気ターボチャージャーとの組み合わせで、あらゆる回転域で俊敏なエンジンレスポンスを実現したという。
トランスミッションは、ダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現した電子制御式9速トランスミッション「AMGスピードシフトTCT(トルク・クラッチ・トランスミッション)」を搭載。シフトダウン時に自動ブリッピングを行なったり、シフトダウン時に一速飛ばしたギアを選択したり、自動ダブルクラッチ機能が採用されるなど効率よく、気持ちのいいシフトチェンジが行なえる。
4輪駆動システム「AMG 4MATIC+」は前後トルク配分が50(前):50(後)から0(前):100(後)の範囲で可変トルク配分を行なうことで、ハイパワーを4輪へ最適に配分。発進時をはじめ、高速走行、ハイスピードコーナリング、コーナーの立ち上がり加速などにおいて絶対的な安定性を誇るとのこと。
「AMG RIDE CONTROL+サスペンション」は、高いアジリティやニュートラルなコーナリング特性、優れたトラクションを可能にするシステム。特にスポーティなスプリング/ダンパー設定と連続可変ダンパーの「ADS+(アダプティブダンピング システムプラス)」を採用したマルチチャンバー型エアサスペンションであり、卓越したドライビングダイナミクスと優れた快適性を同時に実現するという。
エクステリアでは、縦にルーバーが入った「AMG専用ラジエーターグリル」を採用し、リアにはボディ同色のトランクリッドスポイラーリップが装着され、専用デザインの大型リアディフューザーとクローム仕上げで円形のデュアルエキゾーストエンドが採用されるなど、パフォーマンスへの期待感が湧きあがるデザインに仕上げた。
一方、「メルセデスAMG 63シリーズ」の中でも最速モデルである「Sモデル」は、エアロダイナミクスやサスペンションの改良、4輪駆動システムやESPの制御を変化させるAMG DYNAMICSの導入など、全方位に渡る進化を遂げた。
フロントグリルには縦にルーバーが入ったAMG専用ラジエーターグリルを採用し、形状を変更したジェットウイング形のフロントエプロンとシルバーシャドウ仕上げのフロントスプリッターは、エアインテークの大型化とともにフロントアクスルに働く揚力を大きく低減するよう改良。リアエプロンはセダン、ステーションワゴンとも形状を変更することで、ボディの幅を強調するとともに、エアロダイナミクスを高める効果をもたらすという。
ドライブモードは6モードを用意し、センターコンソールのAMG DYNAMIC SELECTでさまざまな状況に最適な制御を選択することができる。各ドライブモードでは、エンジン、トランスミッション、サスペンション、エキゾースト、ステアリングの制御が変更可能なほか、各モードに自動選択される「ベーシック」「アドバンスト」「プロ」「マスター」の4つのAMG DYNAMICS のモードがあり、4輪駆動システムやESPの制御を変化させる。
例えばドライブモード「レース」 「マスター」モードは、ヨーレートの引き上げや、アクセルペダル、ギアシフトシステム、リア・アクスルステアリング、リアの電子制御リミテッド・スリップ・デフ、あるいは4輪駆動システムのブレーキ力配分のレスポンス高速化などを行なう。また、ドライブモードとは独立して、マニュアルシフトへの切り替えや車高およびエキゾーストサウンドの調整などがセンターコンソールのボタンで操作することができるという。
エンジンは最高出力450kW(612PS)、最大トルク850Nmを発生するV型8気筒4.0リッター直噴ツインターボ「M177」型エンジンが搭載され、2基のターボチャージャーはV型シリンダーバンクの外側ではなく内側に配置する「ホットインサイドV」レイアウトを採用。エンジンを可能な限りコンパクトにするとともに、ターボチャージャーへの吸排気経路の最適化とツインスクロールとすることで、低回転域から優れたレスポンスを実現する。
組み合わされるトランスミッションは、トルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを採用し、ダイレクト感のある素早いシフトチェンジと高い伝達効率を実現した電子制御式9速スポーツトランスミッション「AMGスピードシフトMCT(マルチ・クラッチ・テクノロジー)」を搭載する。