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トヨタ、燃料電池車第2世代の新型「ミライ」 後輪駆動に3本の水素タンクで約850kmの航続距離を実現

4名乗車から5名乗車に

2020年11月2日 公開

スタイリッシュなセダンデザインとなった新型「ミライ」。後輪駆動、50:50の重量配分と走りにかける思いは熱い

 トヨタ自動車は11月2日、FCV(燃料電池車)「MIRAI(ミライ)」の第2世代となる新型「ミライ」のプロトタイプ概要を発表した。合わせて富士スピードウェイのショートコースでサーキット試乗会を実施。フロント駆動からリア駆動へ、そして重量配分も50:50へと変更した走行性能の高さを体感するイベントを実施した。

 トヨタの初代ミライは世界初の量産FCVとして、トヨタが自社開発したTFCS(トヨタフューエルセルシステム)と名付けられたFCVのシステムを搭載。水素から発電してモーターで走行するこのシステムは、発電機構に3.1kW/Lの出力密度、114kW(155PS)の最高出力を発生するFCスタックを搭載。最高出力113kW(154PS)/最大トルク335Nm(34.2kgfm)のフロントモーターを駆動する構成を採っていた。

 新型ミライでは、FCVとしての構成を一新。まずは、FCVとしてではなく1台のクルマとして魅力的な商品であることを第一に構成。4975×1885×1470mm(全長×全幅×全高)というLクラスのボディサイズに進化。初代ミライが「プリウスα」のプラットフォームをベースに作られていたのに対し、新型ミライではレクサス「LC」などと同じくTNGAのGA-LプラットフォームをベースにFCユニットを構成。サスペンションアームなどはレクサス LCと同じものを持ちいているという。

伸びやかな新型ミライのプロポーション
TNGAのGA-Lプラットフォームをベースとした新型ミライ

 FCVのユニットとしては、水素から発電するFCスタックが第2世代となり、体積出力密度は3.1kW/Lから4.4kW/Lに、最高出力が114kW(155PS)から128kW(174PS)へと強化。燃料タンクとなる水素タンクは、2本(4.6kg)から3本(5.6kg)と増量し、駆動用モーターも最高出力113kW(154PS)/最大トルク335Nm(34.2kgfm)から、134kW(182PS)/300Nm(30.6kgfm)へと高出力化されている。

 水素タンクが増やされたこと、FCスタックの発電効率が改善されたことから航続距離も約650kmから約850kmへと3割ほど延長され、東京~大阪間を余裕をもって無充填で走行することも可能になった。なお、駆動用バッテリもニッケル水素からリチウムイオンへと変更。電池パックの高出力化、軽量化、小型化が図られている。

前後重量配分50:50にこだわるなど、走りを重視

 新型ミライは一見して分かるほど、従来のミライから比べるとスタイリッシュなクルマに仕上がっている。FCVは環境対応車として最先端に位置するもので、トヨタブランドの頂点に立つセダンとしてまったく新たなクルマとして作られている。

 前輪駆動から後輪駆動へ変更されたことはもちろん、前後重量配分も50:50と動的質感を高めるための作り込みを実施。水素タンクも縦置きのNo1、後軸前のNo.2、後軸後のNo.3と配置。エモーショナルなスタイリングと、長大な航続距離を実現している。

新型ミライの構造展示
FCスタックの小型化などにより、フロント部にFCスタックを組み込めるようになった
特徴的な水素タンクレイアウト
中央部に縦置き配置されたNo.1タンク
後軸前のNo.2タンク
後軸後のNo.3タンク

 グレード構成は、Z“Executive Package”、Z、G“Executive Package”、G“A Package”、Gで、標準で235/55R19の19インチ仕様のほか、245/45ZR20の20インチオプションが用意される。

 ボディカラーは、深い青が特徴となる新色のフォースブルー マルティプル レイヤーズを用意。内装色は、ブラックとホワイト&ダークブラウンに加えオプションでカッパー加飾が用意される。

 乗車人数も4名から5名に増えており、初代ミライで指摘された部分に手を入れてきたという。

新型ミライのコクピット
トヨタのLクラスセダンらしい上質さを備える
メーターは8インチのLCDで構成される
12.3インチの大型センターディスプレイ
流れのあるセンターコンソールデザイン
シンプルなシフトレバー
ドライブモードスイッチ類
シートメモリ機構も備える
運転席、助手席シート
リアシート。5名乗車になっている