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トヨタ、航続距離を850kmに拡大した新型FCV「MIRAI」 価格は710万円から
最新の高度運転支援技術「Toyota Teammate」採用モデルを2021年に発売予定
2020年12月9日 12:00
- 2020年12月9日 発売
- 710万円~805万円
トヨタ自動車は12月9日、フルモデルチェンジした新型FCV(燃料電池自動車)「MIRAI」を発表、12月9日より発売する。価格は710万円~805万円。
ラインアップは、標準グレードのG、上級グレードのZを用意するとともに、それぞれのグレードに、居心地のよい後席空間にこだわり、高級車としてのゆとりをさらに向上させる「エグゼクティブパッケージ」を設定。Gには「Toyota Teammate Advanced Park」などを装備した「A Package」も設定した。
グレード | 価格 |
---|---|
G | 7,100,000円 |
G“A Package” | 7,350,000円 |
G“Executive Package” | 7,550,000円 |
Z | 7,900,000円 |
Z“Executive Package” | 8,050,000円 |
航続距離は、従来型比+約30%となる、850km(Gグレード)を実現。フロアトンネルのスペースを活用して、水素搭載量をこれまでの4.6kgから5.6kgに約20%拡大。FC昇圧コンバータのSiC半導体採用や、2次電池としてリチウムイオン電池を採用したことなどによりユニット損失を低減するとともに、FCスタックの性能向上に加え、それを活用する触媒リフレッシュ制御の導入により、発電効率も向上。約10%燃費を向上させた。
新型MIRAIは「将来の水素社会の実現に向けた、新たな出発点となるクルマ」といい、多様なエネルギーから製造可能で地球環境・エネルギーセキュリティに貢献できる水素を燃料とするFCVは、ゼロエミッションでありながら短い燃料充填時間で長い航続距離を可能とする「究極のエコカー」だという。
2014年に販売を開始した初代MIRAIは、世界に先駆けて量産を開始したFCVで、導入初期においては供給能力に制約があったほか、乗車定員やさらに長い航続距離といった点で要望があったという。
こうした中で、新型についてはFCVであることは前提としながらも、「お客さまがひと目ご覧になった時、運転されている最中、さらには乗り終わった後、それぞれの瞬間において、お客さまに『このクルマはいい、本当に欲しい』と思っていただける、未来のプレミアムカーをご提供すること」を目標に定めたとしている。
なお、社会の低炭素・脱炭素化に向けて水素利用がさまざまな形で進んでいる中、トヨタは小型高効率で生産性を追求した新型のFCシステムを、トラック・バスなど社会を支えるモビリティにも活用して水素利用の拡大に貢献していく計画としている。
トヨタ初となる先進機能を多数採用
新型MIRAIの主なポイントは、「従来の環境車イメージを払拭する、エモーショナルなスタイリング」「FCVならではの、唯一無二の走り」「一歩先を行く先進性」「安心の航続距離」の3つ。
「エモーショナルなスタイリング」では、環境車だからではなくスタイリングで選ばれるクルマを目指し、「SILENT DYNAMISM」をコンセプトにデザインを作成。外観は、スピード感あふれるプロポーションと、大胆な面の変化を重視した造形を融合させたデザインとし、内装は運転する楽しさと先進感の中のくつろぎが高次元で融合する室内デザインとした。
ボディカラーは、スタイリングを際立たせる陰影感と鮮やかさを兼ね備えた、新規開発色「フォースブルーマルティプルレイヤーズ」を含め、全8色をラインアップしている。
「FCVならではの、唯一無二の走り」では、環境性能に加えて「走ることが楽しく快適なクルマ」としての完成度を追求。FCVならではの、踏んだ瞬間からトルクが立ち上がってどこまでもスムーズに伸びる加速特性を備えたほか、小型・高出力化したFCスタックはフード下に、モーターと駆動用バッテリーはリアに配置することで、水素タンクも含めたFCシステムの最適な配置により、前後50:50の理想的な重量配分を実現している。
また、FR高級車用として定評ある「GA-L」プラットフォームをベースに、リアなど各部の構造を見直し、ボディ剛性を徹底的に強化するとともに、エンジン振動や騒音がない電動車両であることに加え、徹底したボディ剛性の向上や遮音対策により圧倒的な静粛性を実現。これらにより、意のままのハンドリングと静かで滑らかな乗り心地を高度に両立させ、FCVならではの走る喜びを実現している。
「一歩先を行く先進性」では、最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を採用し、機能をステップアップ。
交差点右折時の直進車両や右左折時に前方から来る歩行者を検知し、衝突回避・被害軽減を支援する「交差点事故対応」のほか、車道の歩行者に対して車線を逸脱しない範囲の操舵アシストを行ない、ドライバーの衝突回避を支援する「衝突回避操舵支援」といったプリクラッシュセーフティ(PCS)を進化。
そのほかにも、レーダークルーズコントロールにおいて、カーブ走行時、システムが速度抑制を必要と判断した場合、ステアリングの切り始めで速度抑制を開始し、切り戻しで速度抑制を終了する「カーブ走行速度抑制機能」を新しく追加。「ドライバー異常時対応システム」では、レーントレーシングアシスト制御中に、体調の急変などでドライバーが無操作の際、徐々に車両を減速させて安全な停車を支援するといった機能を進化させている。
なお、ペダル踏み間違い事故への対応の一環として、障害物がないシーンにおいても、ペダル踏み間違いを検知して加速を抑制する「プラスサポート」も全車に装備。機能の始動には専用のプラスサポート専用スマートキー(販売店装着オプション)が必要となる。
加えて、人とクルマが気持ちの通った仲間のようにお互いを高め合い、共に走るというトヨタ独自の自動運転の考え方「Mobility Teammate Concept」に基づいて開発した最新の高度運転支援技術「Toyota Teammate」をMIRAIにも採用。2021年の発売を予定している「Advanced Drive」で有効となるディープラーニングを中心としたAI技術を取り入れ、運転中に遭遇し得るさまざまな状況を予測して対応を支援。また、Toyota Teammateはソフトウェアアップデートを活用し、ユーザーの手に渡った後も機能の追加、性能向上を続け、ユーザーのニーズに応え続けることで愛車になっていくことを目指し、ドライバーとクルマが対話の中でお互いの状態を確認し補い合うことで、安全な運転、快適な移動につなげるとした。
Advanced Driveは、自動車専用道路での運転において、ドライバー監視のもと、実際の交通状況に応じて車載システムが適切に認知、判断、操作を支援し、車線・車間維持、分岐、レーンチェンジ、追い越しなどを実現。クルマに運転操作を安心して任せられるよう基本性能を磨き上げ、常に安全を最優先に判断することでドライバーに信頼される運転操作を追求。ドライバーはアクセル、ブレーキそしてステアリング操作からも解放され、長時間の運転における疲労の軽減が可能となり、より周辺に注意を払った安全な運転が可能になるとしている。なお、Advanced Drive装着車の価格は未定としている。
さらにAdvanced Park対応モデルでは、駐車場での操作において、ドライバー監視のもと、カメラと超音波センサーを融合して全周囲を監視することで、適切に認知、判断、操作を支援。ステアリング操作、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジの全操作を車両が支援するとともに、俯瞰映像に車両周辺の死角や目標駐車位置などを常に表示し、安全・安心でスムーズな駐車を実現する。
また、走れば走るほど空気をきれいにするという新概念「マイナスエミッション」として、発電のため、走行時に空気を取り入れて排出するFCVならではの特徴を活かし、吸入した空気をきれいにして排出する空気清浄システムをトヨタ初導入。
具体的には、エアクリーナーエレメント(ダストフィルター)でPM2.5レベルの細かい粒子まで捕捉し、ケミカルフィルターで有害な化学物質を除去するとともにPM2.5の発生を抑制。走ることできれいにした空気量を、センターディスプレイ上で分かりやすく表示する“空気清浄メーター”を採用している。
いざというときに活用できる2種類の給電機能を標準装備
酸素と水素の化学反応で大きな電力を生み出せるFCVは、災害による停電などの非常時の電源として活用可能。新型MIRAIは「DC外部給電システム」「アクセサリーコンセント(非常時給電システム付)」2種類の給電機能を標準で装備している。
DC外部給電システムでは、災害などの緊急時に外部給電器(別売)を接続することで、大出力の電力を住宅や電気製品に供給可能。外部給電アウトレットはフード下のコンパートメント内に設置し、最大9kWの給電に対応する。
アクセサリーコンセント(非常時給電システム付)は、2か所に備えられたアクセサリーコンセント(AC100V/1500W)で電気製品を利用可能。この非常時給電システムでは、一般家庭(平均400Whの電力を使用する前提)で約4日間の給電に対応している。