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ホンダF1田辺TD、フェルスタッペン選手のパワーユニットは見た目ではダメージはない ファクトリーで詳細な調査

イタリアGPで徐々に順位を上げるセルジオ・ペレス選手

 マクラーレン・メルセデスのダニエル・リカルド選手、ランド・ノリス選手の1-2フィニッシュという劇的な結果に終わったF1イタリアGP。この結果になった最大の要因はレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手とメルセデスのルイス・ハミルトン選手の1コーナーでの接触事故で両者とリタイアになったことにあるだろう。

 フェルスタッペン選手の後にピットストップを行ない、ピットからコースに戻ってきたハミルトン選手は、ピット作業の失敗により順位を下げていたフェルスタッペン選手と1コーナーまでにほぼ横並びとなり、1コーナーの脱出で接触。2台ともに絡み合いながらグラベルにはまり両者リタイアになった。

F1第14戦イタリアGP、フェルスタッペンとハミルトンが再びクラッシュで両者リタイア マクラーレンが2012年以来の優勝で1-2フィニッシュ

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1350462.html

 レース終了後のレーススチュワードによる審議により、今回のクラッシュに関してはフェルスタッペン選手により重い責任があると判定され、次戦「第15戦 ロシアGP」で3グリッドダウンというペナルティが出された。

角田裕毅選手はスタート直前、ブレーキに不具合が見つかりスタートすることができなかった

 今回のホンダ勢はフェルスタッペン選手がクラッシュに終わったほか、アルファタウリ勢は角田裕毅選手がスタート前にブレーキに問題が発見されスタートできずにリタイア。ピエール・ガスリー選手もスプリント予選でクラッシュして最後尾になったことでパワーユニットの交換を選択しピットスタートとしたが、スタート前に見つかっていた何らかの問題(チーム側の発表によれば、まだ原因は不明だという)が解決できず、スタートして直ぐにガレージに戻ってリタイアとなった。

 残った1台であるレッドブル・ホンダのセルジオ・ペレス選手は3位でゴールしたものの、他車を抜くときにコース外を走行したとして5秒のタイムペナルティを科されてしまい、5位に降着となった。

 ホンダにとっては波乱のレースになってしまったイタリアGP終了後、ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏による会見が行なわれたので、その模様をお届けする。

フェルスタッペン選手のパワーユニットは、問題がないように見えるがファクトリーで詳細に確認

マックス・フェルスタッペン選手

──最初に田辺氏から今回のレースの総括を

田辺氏:レースでは何が起こるか分からないとはよく言うが、レースのスタートを切る前、序盤、中盤で我々の3台がリタイアするという、残念な結果で終わってしまった。

 唯一完走したペレス選手も3番手でゴールしたものの、レース中の接触およびコースの取り方でペナルティを出されてしまい5位に終わった。それでも9番手スタートで5位まで上がってくれたので、チームにとっては重要なコンストラクターズ選手権でのポイントを持ち帰ってくれた。

 今回のレースでは、マクラーレンのダニエル・リカルド選手、ランド・ノリス選手が1-2フィニッシュをした。そしてバルテリ・ボッタス選手もパワーユニット交換で最後尾から3位まで上がった。リカルド選手、ノリス選手、そしてマクラーレンチームに対して、1-2フィニッシュを成し遂げたことに対してお祝いの言葉を贈りたいと思う。

──レッドブル・ホンダとして今回のレースでのメルセデスとの位置づけに関してどう評価したか?

田辺氏:予選の結果がすべてだ。結果を見れば明らかなように、メルセデスが完全優位だったと思っている。そんな中で、スプリント予選の結果でフェルスタッペン選手がポールポジションからスタートすることが可能になり、昨日まではよい形で回っていたが、ピット作業の遅れもあって接触リタイアになってしまった。それで流れが大きく崩れてしまったと思っている。

──メルセデスはERSのエネルギーマネジメントがホンダとは違っているのではないか?

田辺氏:おっしゃるとおり、見た目違うところはありそうなので、パッケージとしてどんな効果があるのか、どういう使い方をしているのかを紐解いて、我々のアプローチとは違う、よりよい方向にあるというのであれば、学ばせてもらおうと思っている。

──ガスリー選手のリタイア原因はパワーユニット関連ではないのか?

田辺氏:現時点ではまだ調査中だ。

──クラッシュしたフェルスタッペン選手のパワーユニットのダメージはなかったのか?

田辺氏:見た目では大きなダメージがないように思う。しかし、詳細は車両からパワーユニットを降ろして、細かく上から下から横から確認をしていく必要がある。ファクトリーでメンテナンスを行なうことになるので、その時に確認していきたい。

──次戦のロシアGPに向けて、チーム側ではメルセデスが優位なサーキットだと分析しているという話も出ていたが、ホンダとしてはどのように臨むか?

田辺氏:いつも言ってることだが、パワーユニットとしてはチームと相談しながら事前のベースを出していき、その中でセッティング違いをきちんと持って行くことになる。

 我々としては持てるハードウェアが最大限能力を発揮することを目指していく。次戦のロシアGPでは通常のレースフォーマットになるので、予選までに3つのフリー走行がある。ゆっくりやればよいということではないが、そうした時間をきちんと使ってセッティングを進めていきたい。

F1第14戦イタリアGP 決勝結果

順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
13ダニエル・リカルドマクラーレン・メルセデス531時間21分54秒36526
24ランド・ノリスマクラーレン・メルセデス53+1.747秒18
377バルテリ・ボッタスメルセデス53+4.921秒15
416シャルル・ルクレールフェラーリ53+7.309秒12
511セルジオ・ペレスレッドブル・レーシング・ホンダ53+8.723秒10
655カルロス・サインツフェラーリ53+10.535秒8
718ランス・ストロールアストンマーティン・メルセデス53+15.804秒6
814フェルナンド・アロンソアルピーヌ・ルノー53+17.201秒4
963ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス53+19.742秒2
1031エステバン・オコンアルピーヌ・ルノー53+20.868秒1
116ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス53+23.743秒0
125セバスチャン・ベッテルアストンマーティン・メルセデス53+24.621秒0
1399アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ53+27.216秒0
1488ロバート・クビサアルファロメオ・レーシング・フェラーリ53+29.769秒0
1547ミック・シューマッハハース・フェラーリ53+51.088秒0
NC9ニキータ・マゼピンハース・フェラーリ41DNF0
NC44ルイス・ハミルトンメルセデス25DNF0
NC33マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ25DNF0
NC10ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ3DNF0
NC22角田裕毅アルファタウリ・ホンダ0DNS0

※ダニエル・リカルド選手にファーステストラップポイントを加算

ドライバーランキング(F1第14戦イタリアGP終了後)

順位ドライバー車両ポイント
1マックス・フェルスタッペンNEDレッドブル・レーシング・ホンダ226.5
2ルイス・ハミルトンGBRメルセデス221.5
3バルテリ・ボッタスFINメルセデス141
4ランド・ノリスGBRマクラーレン・メルセデス132
5セルジオ・ペレスMEXレッドブル・レーシング・ホンダ118
6シャルル・ルクレールMONフェラーリ104
7カルロス・サインツESPフェラーリ97.5
8ダニエル・リカルドAUSマクラーレン・メルセデス83
9ピエール・ガスリーFRAアルファタウリ・ホンダ66
10フェルナンド・アロンソESPアルピーヌ・ルノー50
11エステバン・オコンFRAアルピーヌ・ルノー45
12セバスチャン・ベッテルGERアストンマーティン・メルセデス35
13ランス・ストロールCANアストンマーティン・メルセデス24
14角田裕毅JPNアルファタウリ・ホンダ18
15ジョージ・ラッセルGBRウイリアムズ・メルセデス15
16ニコラス・ラティフィCANウイリアムズ・メルセデス7
17キミ・ライコネンFINアルファロメオ・レーシング・フェラーリ2
18アントニオ・ジョビナッツィITAアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1
19ミック・シューマッハGERハース・フェラーリ0
20ロバート・クビサPOLアルファロメオ・レーシング・フェラーリ0
21ニキータ・マゼピンRAFハース・フェラーリ0

コンストラクターランキング(F1第14戦イタリアGP終了後)

順位チームポイント
1メルセデス362.5
2レッドブル・レーシング・ホンダ344.5
3マクラーレン・メルセデス215
4フェラーリ201.5
5アルピーヌ・ルノー95
6アルファタウリ・ホンダ84
7アストンマーティン・メルセデス59
8ウイリアムズ・メルセデス22
9アルファロメオ・レーシング・フェラーリ3
10ハース・フェラーリ0