特別企画

【特別企画】岡本幸一郎の国産SUV(4WD)に乗ってみた

ディーゼル「CX-5」、ガソリン「エクストレイル」、ハイブリッド「ハリアー」を夫婦試乗

今回はモータージャーナリストの岡本幸一郎氏(右)と奥様の十詩子さん(左)に、マツダ「CX-5」、日産「エクストレイル」、トヨタ「ハリアー」に乗っていただき、その走りや使い勝手、質感などの印象を述べてもらう

 今や世界中の自動車メーカーがSUVをラインアップするようになった。荷物をたくさん載せられ、アイポイントが高くて運転もしやすく、雪道など条件のわるい路面を楽に走破できるなど、多くの魅力を兼ね備えたSUVは、そうした使い勝手のよさが受けて人気を伸ばしてきた。また、最近では都会的なデザインをまとったモデルも増えてきている。

 そんな中で、今回は注目度の高いCセグメントの国産SUV(4WD)を集め、モータージャーナリストである岡本幸一郎氏と妻の十詩子さんにプチドライブをしていただき、その見た目や走り、使い勝手などをチェックしてもらった。今回持ち込んだのは、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、ハイブリッドと、それぞれ異なるパワートレーンを持つマツダ「CX-5」、日産自動車「エクストレイル」、トヨタ自動車「ハリアー」の3台だ。

 価格帯はエクストレイルの280万4760円からハリアーの459万7714円まで広いうえ、豊富なパワートレーンの中から自分の好みのモデルを選べるのも、このCセグメントSUVの魅力の1つだろう。

 そんな各モデルに2人がどのような印象を持ったのか、車種別で紹介したい。


写真左からハリアー、エクストレイル、CX-5

CX-5は回して楽しめるディーゼル

 2012年2月に登場したマツダ「CX-5」は、同年の日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝き、2年連続でSUVの販売トップの座につくなど、高い人気を誇っている。2015年初頭にマイナーチェンジならぬ「大幅改良」を実施したモデルが発売されたばかり。

 このところ一連のマツダ車が採用している、「魂動」デザインによる洗練されたスタイリッシュなイメージと、SUVとしての逞しさを併せ持ったエクステリアは、より印象的になった。3台を見て、妻も今回の中でCX-5がもっともカッコよくて好みだという。

 外観だけでなくインテリアも改良で大きくテコ入れされ、質感が向上したのも魅力だ。スポーティな形状のシートは、おしゃれなホワイトが選べるのもポイントが高い。後述するハリアーのような分かりやすい高級感ももちろん魅力的だが、CX-5のような控えめな中にもハイクオリティを感じさせる空間が、妻にも好印象に映ったようだ。

撮影車は1月に大幅改良を受けたCX-5「XD L Package」(4WD)。クリーンディーゼルエンジンの「SKYACTIV-D 2.2」に6速AT「SKYACTIV-DRIVE」を搭載する。ボディーサイズは4540×1840×1705mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2700mm。サンルーフ付きで車重は1650kgとなっている。ボディーカラーはソウルレッドプレミアムメタリック。車両本体価格は348万8400円
今回の大幅改良に伴い、フロントグリルはグレーメタリックに塗装されるとともに、水平基調のフィンを採用。加えてLEDヘッドランプ&ユニット内シグネチャーLEDランプを全車に標準装備している。L PackageではフォグランプもLEDが標準となる
先進安全技術「i-ACTIVSENSE」では、新開発の装備としてハイビームの照射範囲をコントロールして夜間の視認性を高める「アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)」、車線逸脱の回避をサポートする「レーンキープ・アシスト・システム(LAS)」、ドライバーの疲労を検知して休憩を促す「ドライバー・アテンション・アラート(DAA)」を新導入。さらに「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)」「スマート・ブレーキ・サポート(SBS)」も設定しており、L Packageではこれらすべてが標準装備となっている
L Packageで標準装備される19インチアルミホイール。立体感のある造形を採用するとともに、切削加工とガンメタリック塗装を施した新デザインになっている。タイヤサイズは225/55 R19
LEDリアコンビランプとユニット内シグネチャーLEDランプは全車標準装備
リアゲートに備わるバッヂ類
ドライバーオリエンテッドなコクピット空間と、SUVならではの機能性や力強さなどを融合させたインテリア。インストルメントパネルの基本的な造形はそのままだが、L Packageのインパネデコレーションパネルやインパネクラスターパネルには、専用のマットヘアライン/サテンクロームメッキがあしらわれた
本革内装にはピュアホワイトを新たに採用した
ステアリングとシフトノブは全車本革巻き仕様。シフトノブ前のオープンスペース、コンソールボックス、フロントドアポケットの容量は従来から大幅に拡大され、使い勝手が高められている
メーターまわり。左からタコメーター、スピードメーター、燃費情報などを確認できるマルチインフォメーションディスプレイが備わる
運転席右側にはTRC(トラクションコントロール)やアイドリングストップに加え、レーンキープ・アシスト・システム(LAS)&車線逸脱警報システムなどのON/OFFスイッチが備わる
ペダルまわり。ブレーキペダルは吊り下げ式を、アクセルペダルはオルガン式を採用
大幅改良に伴いカーコネクティビティシステム「マツダ コネクト」を全車に標準装備。写真のコマンダーコントロールで操作を行う。また、新たに電動パーキングブレーキ(EPB)も全車標準装備している
7インチWVGAディスプレイではカーナビ情報に加え燃費情報、各種メンテナンス情報、i-DM情報などを確認できる

 開発関係者が大いに注力したというドライビングポジションについても、妻には事前に何も教えていなかったのだが、「シートポジションが合わせやすいし、座った感じもしっくりくる」と感じたようだ。

 一方、リアシートも従来より座面が長くなったことで、より座り心地がよくなっている。ラゲッジルームは広さとしては十分。ただし、最大幅は大きいものの、タイヤハウスが張り出しているため、大型のゴルフバッグになると手前側ならなんとか収納できるという感じになる。

CX-5のラゲッジスペース。後席は40:20:40の分割可倒式を採用。ラゲッジ容量は通常時が500Lで、リアシートをすべて倒すと1620L(ともにDIN方式で、サブトランクボックス容量[10L]を含む)まで拡大可能
ラゲッジスペースの手前側に限定されるものの、9.5インチのゴルフバッグを横積みできた。カメラバッグ(Lowepro プロローラーX200)や大型のキャリーケースは後席を倒さなくても積載できる
ラゲッジまわりをメジャーで計測。計測結果は荷室長が約90cm、荷室幅が約104cm~143cm。開口高は約93cm、開口幅は約111cm。地面から開口部下端までは約74cm
岡本氏のドライビングポジションで後席に十詩子さんが座ったところ
クリーンディーゼルの直列4気筒DOHC 2.2リッター直噴ターボ「SKYACTIV-D 2.2」エンジンは、最高出力129kW(175PS)/4500rpm、最大トルク420Nm(42.8kgm)/2000rpmを発生。燃料タンク(軽油)容量は58L、JC08モード燃費は18.0km/Lをマーク(XD L Package)

 走りについては、まずはこのセグメントで唯一ディーゼルを選べるのが特徴だ。低回転から力強く、踏み込めばその勢いのまま5000rpmオーバーまでスムーズに吹け上がる、回して楽しめるディーゼルである。「アクセルを踏むのが面白い!」と、妻もその優れた動力性能を絶賛していた。

十詩子さんも思わず「Be a driver.」ポーズ。「運転が楽しいと思えた」のがCX-5の美点と十詩子さん

 あえてディーゼルであることを教えずに運転させたのだが、音や振動はとくに気にならなかったようだ。実際、今回の大幅改良で静粛性が向上しているので、そのおかげだろう。

 フットワークについても件の改良で一層洗練され、まず乗り心地がよくなった。さらには、このところマツダが追求している「意のままの走り」がより深化した。これを妻も「ハンドルを切ったときの反応がいいから、運転していて楽しい」と感じたようだ。妻もなかなか鋭い(笑)。また、「i-ACTIV AWD」の走破性能がかなりハイレベルだったことは、先だっての北海道の記事でもお伝えしたとおりだ。

【特別企画】岡本幸一郎の新型SUV「CX-3」などマツダの4WDモデル一気乗り
http://car.watch.impress.co.jp/docs/special/20150224_689742.html

室内もタフに使えるエクストレイル

 妻は過去2世代のスクエアなエクストレイルが好みだったらしい。同じように思っている人も少なくないようだが、フォルムは現代的になっても、こうしてSUVらしさを演出した、今回の「エクストリーマー」のようなモデルもしっかりラインアップされている。

撮影車はエクストレイル「20X エクストリーマーX エマージェンシーブレーキパッケージ」(2列車/4WD)。ガソリンの直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴「MR20DD」エンジンにCVTを組み合わせる。ボディーサイズは4670×1820×1715mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2705mm。先代エクストレイル(4WD)と比べ5mm長く、30mm広く、15mm高いサイズ。車重は1510kg。ボディーカラーはチタニウムカーキ。車両本体価格は280万4760円。エクストリーマーXではフロントオーバーライダー、フロントアンダーカバー、リアアンダーカバー、サイドアンダーカバー、マッドガードなどを特別装備している
フロントグリルからエンジンフードにつながるVモーションシェイプを特徴とするフロントまわり
ヘッドランプはハロゲンが標準装備で、LEDヘッドランプをオプション設定(撮影車はLEDヘッドランプ装着車)
今回の撮影車の中で唯一ルーフレール(オプション)を装着する
エマージェンシーブレーキ パッケージ装着車は、ルームミラー裏にフロントカメラを備え、前方車両や歩行者との衝突の危険性を察知した場合にディスプレイ表示と音で危険を知らせ、それでも衝突の回避行動をドライバーが取らない場合に緊急ブレーキを作動させる「エマージェンシーブレーキ」機能を標準装備
17インチアルミホイール(タイヤサイズ:225/65 R17)はエクストリーマーX専用品。なお、エクストレイルではエンジンの駆動力とブレーキをコントロールし、凹凸の激しい道などでの車体振動を低減する「アクティブライドコントロール」、コーナーやブレーキング時にCVTのギヤ比制御でエンジンブレーキを付加する「アクティブエンジンブレーキ」などを全車に装備し、安全性や乗り心地を高めている
車名を表すバッヂがテールゲートの左側に備わる
インテリアはブラックカラーでタフネスさを表現。室内サイズは先代エクストレイルから室内幅を85mm拡大したほか、セカンドシートのニールームを90mm広げるなどゆとりのある空間を実現している
エクストリーマーX系のシート地は防水シートを採用。遠慮なく濡れたままの衣服で座ることができるなど、アウトドア派が重宝する仕様
ステアリングに備わるスイッチでクルーズコントロールのON/OFF設定などが行える
トランスミッションはCVT
メーターまわり。左側にタコメーター、右側にスピードメーターを配置。中央には各種車両情報を表示する5インチカラーディスプレイのアドバンスドドライブアシストディスプレイが用意される
4WD車は前後トルク配分を100:0~約50:50に切り替える「ALL MODE 4×4-i」を搭載。常時前輪を駆動させて走行する「2WDモード」、雪道などで前後輪の駆動力を自動配分する「AUTOモード」、急坂やスタック時の発進時に前後トルク配分を固定して走破性を高める「LOCKモード」を任意でセレクトできる
オプション設定の液晶ミラーとルームミラーを任意に切り替え可能な「スマート・ルームミラー」。荷物をフル積載した場合や、夜間時などにおいても後方視界を容易に確認できる優れもの
ラゲッジスペースのパターン。後席は6:4分割式(2列シート車)で、間仕切りを自在に変えられる防水ラゲッジボードを採用。2列車のラゲッジ容量は550L(セカンドシート標準時。ラゲッジアンダースペースを含む)
9.5インチのゴルフバッグやカメラバッグなどを積んでみた。ゴルフバッグは横積みできなかったが、後席を一部倒すことで積載できる
エクストレイルのラゲッジまわり。計測結果は荷室長が約91cm、荷室幅が約103cm~約130cm。開口高は約94cm、開口幅は約108cm。地面から開口部下端までは約74cm
岡本氏のドライビングポジションで後席に十詩子さんが乗車したところ
直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴「MR20DD」エンジンは、最高出力108kW(147PS)/6000rpm、最大トルク207Nm(21.1kgm)/4400rpmを発生。燃料タンク(無鉛レギュラー)容量は60L。20X エクストリーマーXは持ち込み登録車のためJC08モード燃費が公表されていないが、同じパワートレーンを採用する2列車 4WDは16.0km/Lとなっている

 一見すると路線変更したように映っても、実のところ本質は変わっていない。タフギアとしての資質は健在だ。また、今回の中でもっとも価格が安いながらも装備やユーティリティは充実しており、コストパフォーマンスとしてはかなり高いといえそう。SUVとして期待される悪路走破性についても、ロックモードも選べる「ALL MODE 4×4i」は別の機会に試したことがあるが、その性能はなかなかのものだ。

 また、ラゲッジルームが必要に応じて多彩にアレンジできるところもよい。水洗いできる室内フロア、防水仕様のシートなどを説明すると、アウトドアが好きな妻も「これいい! どこか遊びに行ったときに便利!」と大いに反応していた。また、3列シート仕様が選べるのもエクストレイルの強みだろう。

 ただし、3モデルの中で9.5インチのゴルフバッグをラゲッジルームに横向きに積むことができないのはエクストレイルのみ。ゴルフをたしなむ人にとっては不便に感じることもあるだろう。

十詩子さんのエクストレイルの注目ポイントはラゲッジルームの使い勝手のよさ。「どこか遊びに行ったときに便利」と、アウトドア派ならではのコメント

 注目はデジタルカメラを駆使したルームミラー。これは面白い装備だ。シートについては、成人男性として標準的な体型の筆者(身長172cm)にとっては問題ないが、154cmと小柄な妻によると、シートの座面の前端が長くて、ベストポジションが取りにくかったようだ。

 走り味は、駆動力の制御により振動を抑えるデバイスや、コーナリングをスムーズにこなすブレーキ制御も効いてか、概ね快適に仕上がっている。半面、やや物足りないのが動力性能。筆者もかねてからそう思っていたところ、初めてエクストレイルを運転した妻も同じように感じたようだ。

 今回のライバル勢がパワフルだったこともあって、余計にそう感じてしまった部分もあるだろうが、今後エクストレイルにはハイブリッドモデルの追加予定もあるようなので、期待して待つことにしよう。

高級感では随一のハリアー

 歴代モデルに比べてダウンサイジングした現行ハリアーだが、今回の3モデルを並べても小さく見えることにちょっと驚いた。

 車高は低めでルーフレールの設定もなく、ホイールアーチにモールを付けないなど、明らかにオンロード寄りのイメージだ。逆にエクステリアの各部にクロームシルバーの加飾を配するなど、一般的なSUVではあまりやらない手法を採り入れており、キャラクターとしては“ちょっとした高級SUV”だと理解できる。

 インテリアについても、やはりこうした分かりやすい豪華さに女性は弱いようで、妻も「ハリアーだけぜんぜん違う」とホレボレしている様子だった。また、2枚のガラスで構成されたルーフの大部分が開くサンルーフ(トヨタでは「ムーンルーフ」と呼ぶ)により、大きな開放感が得られるのも特長だ。

撮影車はハイブリッドのハリアー「PREMIUM“Advanced Package”」。直列4気筒DOHC 2.5リッター「2AR-FXE」エンジンにモーターを組み合わせ、駆動方式は電気式4WDシステム「E-Four」。ボディーサイズは4720×1835×1690mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2660mm。車重は1800kg。ボディーカラーはスパークリングブラックパールクリスタルシャイン。車両本体価格は459万7714円。エクステリアでは「PREMIUM」「PREMIUM“Advanced Package”」のみに用意されるスーパークロムメタリック塗装の18インチホイール(タイヤサイズ:235/55 R18)を装備。LEDのヘッドライトやフロントフォグランプは全車に標準装備される
インテリアは上質感の高いディープボルドー内装を採用。ハイブリッドモデルでは路面の凹凸に応じてモーターのトルクをリアルタイムにコントロールし、乗り心地を向上させる「ばね上制振制御」を採用。撮影車のシート表皮は本革仕様
「PREMIUM“Advanced Package”」ではウインカーが操作されないまま車両が車線に近づくと、電動パワーステアリングを制御して車線内に戻るようアシストする「レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御付)」のほか、フロントグリル内に設置したミリ波レーダーを使う「プリクラッシュセーフティシステム」や「レーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付)」などを標準装備する
トランスミッションは電気式無段変速機(THS II)
メッキ加飾リングを施したオプティトロンメーター。ハイブリッド車はブルーの照明指針を採用し、左側にハイブリッドシステムインジケーター、右側にスピードメーターをレイアウト。その中央にはアイドリングストップ時間やナビゲーション表示などが可能な4.2インチ液晶画面のTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイが備わる
「PREMIUM“Advanced Package”」は8型TFTワイドタッチディスプレイを備えるSDナビゲーションシステムを搭載。さらにJBLプレミアムサウンドシステム(8chオーディオアンプ、11スピーカー)も標準装備
ラゲッジ容量は通常時で456Lとなっており、リアシートを倒すと992Lまで拡大できる。そのほかデッキボードの下にも大型収納スペースを用意する。9.5インチのゴルフバッグは横積みが可能だ
ハリアーのラゲッジまわり。計測結果は荷室長が約98cm、荷室幅が約113cm~約140cm。開口高は約94cm、開口幅は約109cm。地面から開口部下端までは約75cm
岡本氏のドライビングポジションで後席に十詩子さんが乗車したところ
直列4気筒DOHC 2.5リッター「2AR-FXE」エンジンとハイブリッドシステムを組み合わせ、エンジンの最高出力は112kW(152PS)/5700rpm、最大トルクは206Nm(21.0kgm)/4400-4800rpm。また、フロントモーター「2JM」は143PS/27.5kgmを、リアモーター「2FM」は68PS/14.2kgmをそれぞれ出力し、システム全体で145kW(197PS)を発生する。燃料タンク(無鉛レギュラー)容量は56L、JC08モード燃費は21.4km/Lを達成

 動力源は直列4気筒DOHC 2.0リッター「3ZR-FAE」ガソリンエンジンと、直列4気筒DOHC 2.5リッター「2AR-FXE」ガソリンエンジン+電気モーターのハイブリッドが選べる。ハイブリッドは踏み込んだときにレスポンス遅れがあるものの、ごく普通に流すときにはいたって快適に走れて静粛性も高い。

十詩子さんのお気に入りポイントは「高級感のある内装」とのこと

 駆動方式はガソリンでは2WD(FF)と4WDが選べるところ、ハイブリッドは4WDのみの設定で、後輪は電気モーターで駆動される。このためプロペラシャフトが存在しないので、後席のフロアがほぼフラットになっているのも強み。それほど強力な悪路走破性を期待できる4WDシステムではないものの、雪道など滑りやすい路面を安全に走るには十分だ。

 チョイ乗りした印象で、妻がもっとも「乗りやすい」と感じたのは、すべてが軽いタッチに仕上がっているハリアーだった模様。足まわりは十分に快適性が確保された中で、やや締まった感覚に味付けされているが、ハンドリングもおだやかで確かに乗りやすい。ラゲッジルームのフロア面は高めだが、そのぶんタイヤハウスの張り出しは小さく抑えられている。3台の中で奥行きがもっとも長く、床下にもかなり大きなスペースが確保されているので重宝しそうだ。

 そんな感じで、それぞれその車種ならではの魅力を備えた、人気の理由がうかがいしれる3モデルであった。このところ世界中の自動車メーカーが積極的にSUVのラインアップ拡充を図っており、多様化が進んでいる。とりわけこのセグメントは選択肢が非常に豊富に揃っていて、予算に合わせて好みのモデルが選び放題といえる状況となっているのがうれしい。今回の記事があなたにとって最適な1台を選ぶ一助となれば幸いと思う。

岡本幸一郎

1968年 富山県生まれ。学習院大学を卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の記者を経てフリーランスのモータージャーナリストとして独立。国籍も大小もカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでもさまざまなタイプの25台の愛車を乗り継いできた。それらの経験とノウハウを活かし、またユーザー目線に立った視点を大切に、できるだけ読者の方々にとって参考になる有益な情報を提供することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛