2013フランクフルトショー
マツダ、第3世代となる「アクセラ」をワールドプレミア
セダンボディーも登場
(2013/9/18 14:20)
すでにハッチバックモデルは日本でも公開されている3代目「アクセラ」。今回、フランクフルトショーではセダンボディーが世界初公開された。どちらかと言えば“直球勝負”のハッチバックに対し、セダンはキャビンが小さく見え、クーペにも見えるデザインを採用しているのが特徴だ。
開発責任者の猿渡健一郎氏は「アクセラは現在4人乗れるマツダ車の中でもっともスポーティなクルマです。そのため、乗員がシッカリ乗れる空間が欲しいのですが、健全な方向でデザインしてしまうとマツダらしいクルマにはなりません。そこで、パッケージに関しては、すべての要件をクリアさせるのではなく、ポイントだけを押さえるという方法に変えました。崖は決めるけど、それ以外は自由にやっていいよ……と。すると、シッカリ座れるのにキャビンは小さく見えるパッケージとデザインの両立ができました。画期的な機構などを用いたのではなく、考え方を変えたのです」とのこと。
ちなみに、フロントからリアドアまではハッチバックとセダンが共通というから驚きだ。パッと見ると“ミニアテンザ”のような印象を持つ人がいるかもしれないが、おおらかなデザインのアテンザに対し、ギュッと凝縮感のあるアクセラと性格分けはしっかりできている。
デザイナーの田畑孝司氏は「新マツダは生まれたばかりですので、ブランドを構築するためには、似た印象を持たせる必要もあります。ただ『見るのと乗るのは違うよね』と、統一の中にもクルマごとの味付けの違いはしっかり出ていると思いますよ」と語る。
パワートレーンやシャシーなど基本的なメカニズムは、兄貴分のアテンザと共用する。いわゆる「フルスカイアクティブ仕様」なのだが、プレマシーからスタートした「走りの統一感」は、アクセラではより進化を遂げている。
猿渡氏は「まず、開発に対する考え方を変えました。マツダではこれまでハンドリング→乗り心地という開発をしていましたが、それを乗り心地→ハンドリングという考え方に変えました。一見、走りの気持ちよさと相反するように思えますが、“走りの統一感”は足をしなやかに動かすのがテーマなので、問題はありませんでした」と言う。
また、「アクセラから開発の哲学を言葉にしており、それは『人を信じる』『人が運転する』『人が持っている能力を最大限に発揮させる』です。アクセラでは、人とクルマのコミュニケーションのための環境作りに注力しました。ドライバーを正しい位置に座らせるために、フロントタイヤを50mm延ばしたり、シートにこだわったり、視界をクリアにしたり。当たり前のことなのですが、これまではそれができていなかったのも事実です。高度な人間工学にこだわったのは、このアクセラが最初だと思います」と語ってくれた。
ロードスターからスタートした「人馬一体」は新たなステージに向かっている。その走りの進化は、プロトタイプのインプレッションからも分かると思う。マツダの進化はまだまだ止まりそうにない。