【ナビレビュー】AR HUD搭載の新型「サイバーナビ」ファーストインプレッション |
レガシィの助手席側に取り付けられていたAR HUDユニット |
カロッツェリア(パイオニア)カーナビのフラッグシップとなるサイバーナビに、2012年モデルとなる「AVIC-VH99HUD」「AVIC-ZH99HUD」など全7モデルがデビューした。最大の特徴は2011年モデルから搭載されたAR(拡張現実)情報をさらに一歩進め、戦闘機や一部高級車などで活用されているHUD(ヘッドアップディスプレイ)への情報表示を可能にしたことだ。
すでに発表会についてはお伝えしているが、ほんのわずかな時間ではあるものの、試乗することができたのでファーストインプレッションとしてお届けしたい。ただ、決められたコースを同社の担当者が運転するという状況だったため、ほぼ「見ただけ」に近い状況であることをお断りしておく。製品版のリリース後にきちんとしたレビューをお送りしたい。
試乗車のレガシィに取り付けられていたのは2DINタイプのAVIC-ZH99HUD。右折表示の矢印が縁取られるなど、ARスカウターモードも改善されている | 速度規制表示を認識したところ。左隅に強調表示されている。一度認識した標識は地図上に「S」マークで示される | 高速道路を走行中。レーンを認識しているのが分かる。地図上には、認識した速度規制表示のマークが表示されている |
試乗車となっていたのはレガシィで、本来運転席側サンバイザーに取り付けられるAR HUDユニットは、取材用のため助手席側に移動されている。
乗り込んでまず行うのが映像が映し出される「ハーフミラーコンバイナー」の角度調節。映像をきちんと確認できる範囲は意外と狭く、微調整が必要になる。ただ、一度ポジションを合わせてしまえば、フルカラー&高いコントラストの相乗効果で、従来のクルマ用HUDとはまったくのベツモノといえる美しさ。リフレッシュレートが20~24Hzと低めで、解像度もそれほど高くないように見えるが、アラ探しするつもりでじっくり見なければ気にならない程度だ。
写真はデモ機材に取り付けられていたAR HUDユニット。コンバイナーの取り付け構造などが見て取れる |
常用することになると思われる「HUDドライバーモード」では、案内ルートや交差点情報の表示がメインで情報量は少なめ。そのぶん、視界が妨げられたり注意を惹きつけられてしまったりといったことはなさそう。停車時には自動的に3つ先までの案内情報が表示される「HUD交差点リスト表示」になるのも便利だ。
HUDにマップを表示する「HUDマップモード」は「これぞ未来のデバイス!」といった印象。走行中の風景にマップが浮かんでいる様子は、映画の中のワンシーンのようでさえある。
HUDドライバーモードの表示例。写真の様に先が見通せない場所でも進む方向が分かりやすい |
AR HUDユニットの操作は付属のリモコンで行う。HUDの輝度はオートディマーで自動的に調節されるが下部のボタンでマニュアル調節も可能だ |
ざっと書いてきたけれど、一番気になるのは「どんな風に見えるのか」ってところではないだろうか。だが、これはいくら写真や文章で説明したところで伝わりにくい。たとえば、写真で見ると空抜きのカットでは映像が見づらいように感じられるが、肉眼で見るともっとハッキリと見えるのだ。
運転への影響も気になるところだったが、乗車直後は映像よりハーフミラーコンバイナーの「フチ」が気になったほど。だが、しばらく経つと「フチ」も映像も特に意識することはなくなった。実際、運転して試してはいないのでハッキリとしたことはいえないが、これなら、ハーフミラーに映る映像に気をとられて注意力がそがれる、なんてことはなさそうだ。
ファーストインプレッションとしてはAR HUDユニットばかりになってしまったが、起動速度やルート探索速度などの向上、ARスカウターモードのリファインなども行われている。店頭予想価格もAR HUDユニット込みで32万円前後(AVIC-VH99HUD)と実質値下げといえるもの。新サイバーナビは機能面、価格面ともかなり魅力度の高いモデルといえそうだ。
(安田 剛)
2012年 5月 9日