イベントレポート

【東京モーターショー 2019】マツダ初の量産EV「MX-30」プレスカンファレンス。10月23日から欧州で先行予約開始

「EVもマツダの開発哲学である人間中心の設計思想は変わりない」と丸本社長

2019年10月23日 開幕

2019年10月25日 プレビューデー

2019年10月25日~11月4日 一般公開日

「MX-30」をワールドプレミア

 東京ビッグサイト南1ホール(SP04)にあるマツダブースで10月23日に実施されたプレスカンファレンスで、初の量産電気自動車(EV)となる「MX-30(エムエックス・サーティ)」のワールドプレミアが行なわれた。

 プレスカンファレンスの冒頭にスピーチを実施した丸本明代表取締役社長兼CEOは、「来年、マツダは創立100周年という大きな節目を迎えます。これからもマツダが存在し続けるために大切にしなければならないものは、人を第一に考えた『人と共に創る』マツダの独自性だと考えています。次の100年に向け、皆さまにマツダとのつながりに誇りや愛着を感じていただける会社になることを目指して参ります。自動車産業は、CASEなどに代表される先進技術の発展により、100年に一度の変革期を迎えています。私たちマツダも、これらの先進技術やインフラを活用しながら、独自の価値を提供できる商品や技術を導入してまいります」と、刻々と変化していく自動車産業に対して独自の価値を持った商品を導入していくと語った。

 続けて将来的なビジョンについて、「電動化技術では、ライフサイクルアセスメントを考慮したCO2削減に向け、2030年時点で生産するすべての車両に電動化技術『e-SKYACTIV』を搭載いたします」と、SKYACTIV技術の電動化バージョンを生産車のすべてに投入することも付け加えた。

 そして世界初公開となったMX-30については、「電気自動車であってもマツダの開発哲学である人間中心の設計思想は変わりません。内燃機関の商品と同様に、滑らかで自然な運転感覚による人馬一体感を実現しています」とコメントしており、電動化モデルでも“人馬一体”や“人間中心”といった開発哲学は受け継がれていくことが明かされた。

カンファレンス前。ベールが掛けられているMX-30
プレスカンファレンスの冒頭にスピーチを行なった丸本明代表取締役社長兼CEO
プレスカンファレンスでアンベールされるMX-30

 丸本明代表取締役社長兼CEOに続いて、MX-30の主査を務める竹内都美子氏がコンセプトなどを紹介した。

プレスカンファレンスでMX-30を解説する竹内都美子主査

 竹内氏は「MX-30、この商品の価値は『自然体』です。ご覧いただいているように、ステージは優しく心地いいものに囲まれたリビングのような空間をご用意しました。私たちはMX-30を通してお客さまが自然体でいられる創造的な時間や空間をお届けします」と、MX-30の雰囲気に合わせたステージについて触れた。

 続けて「MX-30が持つ創造的な時間と空間を構成する3つの要素を紹介します。まず1つ目はデザインです。魂動デザインによる人の手が生み出す美しさを基礎としながら、どこか人間らしく頼りになる、一緒にいることで心が整えられる『Human Modern(ヒューマンモダン)』をコンセプトとしたデザインです。2つ目はフリースタイルドアです。2003年にマツダではRX-8でフリースタイルドアを採用しました。RX-8が実現したようなフリースタイルドアの特徴を活かしてデザインと居住性を両立させています。3つ目は走る歓びです。心が整えられた状態だからこそ、運転すると走る歓びをより高く感じていただけます。日常生活の中で心と体が元気になる純粋な走りを体感ください」とアピール。

 デザイン、機能性、走りと電動化されてもマツダのクルマに対する開発思想に変化はなく、独自性の高い量産EVとなるのだろう。なお、丸本明代表取締役社長兼CEOのスピーチでは、MX-30の先行受注を10月23日から欧州で開始し、2020年に欧州のユーザーから届けていくとのこと。年明け早々にも市販が開始されることになるようだ。

マツダ初の量産EVとして発表されたMX-30。ボディサイズは4395×1795×1570mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2655mm
MX-30の特徴であるフリースタイルドア。乗降性の向上やスペースの有効活用などメリットは数多くある
インテリアでは自然由来のコルクなどを使用
新世代のラインアップでも用いられている魂動デザインの「Car as Art」という表現。加えてMX-30ではヒューマンモダンをデザインコンセプトにしている
タイヤサイズはCX-30やMAZDA 3と同様の18インチ。偏平はCX-30と同じとなる

主要諸元(欧州仕様車。数値は暫定値)

ボディタイプステーションワゴン
乗車定員5名
全長×全幅×全高4,395×1,795×1,570mm
ホイールベース2,655mm
原動機e-SKYACTIV
フロントサスペンションマクファーソンストラット式
リアサスペンショントーションビーム式
ステアリングラック&ピニオン式
ブレーキ(前/後/制御)ベンチレーテッドディスク/ディスク/回生協調制御
タイヤ215/55R18
駆動用バッテリー種類リチウムイオン電池
駆動用バッテリーセル角型(prismatic)
駆動用バッテリー総電圧355V
駆動用バッテリー総電力量(バッテリー容量)35.5kWh
原動機方式交流同期電動機
原動機冷却方式水冷式
DC充電COMBO規格
AC充電最大入力6.6kW

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。