ニュース

トヨタ、一部改良でクリーンディーゼルや「Toyota Safety Sense P」採用の「ハイエース」「レジアスエース」説明会

50周年を迎えたハイエースの歴代モデルも展示

2017年11月22日 開催

新しいハイエース バンと開発責任者である野村淳氏

 トヨタ自動車は11月22日、一部改良を施して12月1日に発売する新型「ハイエース」「レジアスエース」、ならびに1967年10月に初代モデルが発売され、この10月で50周年を迎えたハイエースシリーズの歴史を解説する説明会を東京・お台場のアミューズメント施設「メガウェブ」で開催した。

 新しいハイエースのバン、ワゴン、コミューター、レジアスエース バンでは、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせて採用する被害軽減をサポートする衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」、車両の走行安定性を高める「VSC&TRC」などを標準装備して安全性を高めたほか、ディーゼルエンジンを変更し、NOxを効果的に還元する尿素SCRを備えた直列4気筒 2.8リッターディーゼル「1GD-FTV」を採用して環境性能も向上させている。

 このほか、グレード体系や価格、変更内容の詳細などは関連記事の「トヨタ、『ハイエース』『レジアスエース』一部改良で『Toyota Safety Sense P』標準装備」を参照していただきたい。

ハイエース ワゴン グランドキャビン(4WD)
ハイエース ワゴンのインパネ
オプティトロンメーターを標準装備
Toyota Safety Sense Pの「レーンディパーチャ―アラート」ON/OFFスイッチをステアリングに設定
ワゴンのシート表皮はトリコットを採用
グランドキャビンは4列目までシートがあり、2+2+3+3の10人乗り
特別仕様車のハイエース バン スーパーGL“DARK PRIME”(標準ボディ・標準ルーフ)
フロントグリルにミリ波レーダー、フロントウィンドウ上部に単眼カメラを設置。Toyota Safety Sense Pの歩行者検知機能付衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ、レーンディパーチャ―アラート、オートマチックハイビームを機能させる
レジアスエース バン DX スーパーロング(4WD)
尿素水溶液の「アドブルー」でNOxを水と窒素に分解する尿素SCRを備えたクリーンディーゼル「1GD-FTV」エンジンを採用。最高出力111kW(151PS)/3600rpm、最大トルク300Nm(30.6kgm)/1000-3400rpmを発生

次世代クリーンディーゼル採用で1.6km/Lの燃費向上を実現

トヨタ自動車株式会社 CVカンパニー CV製品企画 ZU チーフエンジニア 野村淳氏

 説明会では、まず最初に新しいハイエースの開発責任者であるトヨタ自動車 CVカンパニー CV製品企画 ZU チーフエンジニア 野村淳氏から、ハイエースが歩んできた50年の歴史の紹介と同日に発表された一部改良の解説などが行なわれた。

 野村氏は冒頭で、現在ハイエースが国内市場で約7000台/月、海外市場で約9000台/月を販売し、トータルでひと月に約1万6000台強、年間では20万台ほどを販売するモデルになっていると語り、ここに至るまでの50年にわたる歴史について説明。1967年10月に発売されたハイエースの初代モデルは、「日本初となる新分野のキャブオーバーワゴン」として誕生。時代の変化や市場ニーズなどに合わせ、バン、ワゴン、コミューターと多彩なバリエーションを設定して進化してきたという。

 ハイエースは日本国内をはじめ、フィリピンやタイといったアセアン諸国、南アフリカ、中東、オセアニアなど世界150カ国で販売されるモデルとなっており、累計販売台数は約602万台を記録している。また、現行モデルとなる5代目ハイエースは、発売から13年間で約200万台を販売するベストセラーカーとして好評を得ていると野村氏はアピールした。

 初代ハイエースの企画がスタートした1964年には東京オリンピックが開催され、高速道路建設の進捗、新幹線の開業などに合わせて日本国民の生活も向上していき、物流でクローズバンのニーズが高まっており、「時代を先取りして本当に必要なクルマを造ろう」との機運から、新しい時代の新しいクルマとしてハイエースが生み出されたという。

5代50年にわたるハイエースの歴史
ハイエースはこれまでに約150カ国に市場投入され、累計で約602万台を販売。1999年に誕生したレジアスエースまで含めると、シリーズ累計で約633万台の販売になるという
初代ハイエース
外観デザインは当時人気だった3代目「コロナ」の「アローライン」のイメージを継承して「流れるような曲面構成としている」という
日本初のキャブオーバーバンであり、狭い場所でも開閉可能なスライドドアを備えたことも高く評価された
2代目ハイエースではディーゼルエンジンやATをパワートレーンに新設定
3代目ハイエースは商品力強化を目指してバンとワゴンの大幅な差別化を実施。フロントマスクではヘッドライトも丸形、角形2灯と異なるデザインとなっている
15年にわたり販売された4代目ハイエース。乗用車ライクな運転席の着座姿勢やニースペースの拡大などでフロントシートの居住性が向上。Y字型のフロントメンバー構造を採用するなどによって衝突安全性能を高めている
現代のミニバンに欠かせない装備である「パワースライドドア」も初採用した
2004年にデビューした現行モデルの5代目ハイエース。開発キーワードは「新基準ビジネスパッケージ」
2005年1月にはスーパーロング・ワイドボディを追加するなどバリエーションを拡大させてユーザーニーズに応えている
ハイエースは日本のみならず、世界各国で人々の生活を支えて社会に貢献している

 一部改良の解説では、「パワートレーンの改良」「先進安全装備の投入」「安全・安心のさらなる進化」の3つを主な目的にしていると野村氏は解説。パワートレーンでは次世代のクリーンディーゼルである2.8リッターの1GD-FTV型を6速ATと組み合わせて導入しており、従来型から1.6km/Lの燃費向上を実現。これによって「平成27年度燃費基準」+15%を達成して、最量販グレードであるロング 標準ボディ 標準ルーフの2WD車であるDXでは、エコカー減税によって自動車取得税と自動車重量税が免税(100%減税)となり、従来型から約7万円の減税になるという。また、コミューターはディーゼルエンジン搭載の全車が免税(100%減税)になるとのこと。

 安全・安心でもToyota Safety Sense Pをはじめ装備を充実させ、事故を未然に防ぐ能力を高めている。

 このほかにも野村氏は、現行型ハイエースの国内・海外の販売比率は海外の方が多い40:60となっており、日本では物流向けのバンの販売が多いことに対し、海外では乗用のワゴン&コミューターの販売が多いといった「ハイエースの豆知識」を紹介。また、海外での過酷な使用状況もリサーチして開発に生かし、「突然壊れない」ということも重要なファクターとしていると語られた。

一部改良の主な目的は「パワートレーンの改良」「先進安全装備の投入」「安全・安心のさらなる進化」の3点
アドブルーを採用した次世代クリーンディーゼルを採用し、エコカー減税の対象となった
Toyota Safety Sense Pの全車標準装備化など安全性を大幅に引き上げた
ハイエースの豆知識
初代ハイエースのレストア車両の隣で解説を行なう野村氏

 会場となったメガウェブの1階シティショウケースには、レストアされた初代~5代目の歴代ハイエースのほか、ハイエースをベースとした高規格救急車「ハイメディック」、ハイエースの発売50周年を記念してトヨタモデリスタインターナショナルが同日に発売したハイエースのコンプリートカー「リラクベース」などが展示された。

 なお、歴代ハイエースは11月23日~12月3日の期間に、歴史紹介パネルや歴代ハイエースのカタログと合わせて展示される。

誕生50年を迎えた歴代ハイエースを一堂に展示
初代ハイエース
2代目ハイエース
3代目ハイエース
4代目ハイエース
5代目ハイエース
4代目ハイエースと5代目ハイエース
トヨタモデリスタインターナショナルがハイエース発売50周年を記念してリリースしたコンプリートカー「リラクベース」(展示車はオプション装着状態)
デザインコンセプトは「ネオレトロファンボックス」。フロントマスクやピラー類などはデカールでブラックアウトされている
展示車両はオプションの「専用エンブレム付フロントグリル」(10万8000円)を装着。「TOYOTA」のロゴは初代ハイエースで使われたものと同じデザインとのこと
15インチアルミホイールや前後のバンパー、フェンダーガーニッシュにホワイト塗装を施してレトロテイストを表現している
シートには純正と同じトリコット表皮を使いつつ、2トーン仕様にしてデザインテイストを変更。フロアは白木目調硬質塩ビによる「専用ロンリュームフロア」(写真)を選択可能
「専用リヤラダー」は6万1560円高でオプション設定
ラゲッジスペースに設置されている「ベッドキット」(20万571円)は、ハイエース&レジアスエースに以前から用意されているコンプリートカー「MRT」の装備品と同じもの
インテリアでもレトロテイストを表現するため、インパネやドアトリムに白木目調のインテリアパネルを追加
TRD(トヨタテクノクラフト)が特装車両としてラインアップしている高規格救急車「ハイメディック」。現行モデルは2006年に発表された3代目
ハイメディックの車内には、磁気バネや磁気ダンパーを使用した“振り子理論”でストレッチャーの揺れを吸収し、加減速時の不快感を減らすスイング式の防振ベッドを備える
ハイエースの「ウェルキャブ 車いす仕様車“ASタイプ”」