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衝突被害軽減ブレーキの国際基準成立。国交省、新車への義務付けで2019年内に結論

自動運転技術に関する国際ルールが国連で合意

2019年6月28日 発表

乗用車等の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の国際基準における主な試験方法

 国土交通省は6月28日、国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)第178回会合において、乗用車等の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS:Advanced Emergency Braking Systems)の国際基準が成立したと発表した。これを受けて同省では、2019年内を目途に新車を対象としたAEBSの義務づけについて結論を得る予定としている。

乗用車等の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の国際基準の成立

 WP29は自動車安全・環境基準の国際調和と認証の相互承認を多国間で審議する唯一の場で、第178回会合は6月24日~28日にスイス・ジュネーブにて開催された。日本は、乗用車等のAEBSの国際基準に関する検討を行なう分科会の共同議長として議論を主導。今回成立した国際基準は、2020年1月に発効が見込まれている。

乗用車等の衝突被害軽減ブレーキ(AEBS)の国際基準
今回成立した国際基準の主な要件

・静止車両、走行車両、歩行者に対して試験を行ない、所定の制動要件を満たすこと。
・エンジン始動のたびに、システムは自動的に起動してスタンバイすること。
・緊急制動の0.8秒前(対歩行者の場合、緊急制動開始)までに警報すること。

 なお、日本では6月18日に開催された「昨今の事故情勢を踏まえた交通安全対策に関する関係閣僚会議」において「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」がとりまとめられており、国交省では今回成立した国際基準の発効を受けて、緊急対策に基づいた国内基準の策定を進め、2019年内を目途に新車を対象としたAEBSの義務づけについて結論を得る予定。

自動運転のフレームワークドキュメントの合意

 また、WP29では、日本が米国・欧州などとともに作成を主導してきた、自動運転車の国際的なガイドラインや基準策定スケジュールを含めた自動運転のフレームワークドキュメントについても合意がなされた。

自動運転のフレームワークドキュメントと国際基準検討体制

 具体的な基準策定を進めるために、データ記録装置や自動運転に求められる機能に関する要件を検討する会議体が新たに設置されるなど、検討体制の拡充にも合意。日本としては、新たに設立された会議体においても共同議長などの役職を担うなど、引き続き自動運転の国際基準作りにおける議論を主導していくとしている。