日産グローバル本社ギャラリーに「ヘリテージゾーン」がオープン 日産自動車は9月27日、日産グローバル本社ギャラリー(神奈川県横浜市)に「ヘリテージ(歴史)」をテーマにした新たな展示エリア「ヘリテージゾーン」を新設した。
日産グローバル本社ギャラリーは、日産の本社が2009年8月に横浜・みなとみらい21地区に移転したことに合わせてグランドオープンし、2019年で10周年を迎えている。これまでに延べ約1300万人以上が来場し、日産の商品・企業情報の発信拠点となっていることに加え、市販モデルなどの試乗を実施。また、ゆったりとした環境でクルマや最新技術に親しめるような展示、子供から大人まで楽しめる多彩なイベントを定期的に開催するなど、コミュニケーションスペースとしても活用されている。
ギャラリー内に新たに設けられたヘリテージゾーンは、日産が創業以来培ってきた未来に受け継ぐべき精神を「NISSAN DNA」として分かりやすく紹介するため、さまざまな車両やコンテンツを展示する新しい空間として開設された。
オープン日となった9月27日から9月30日20時まで、ヘリテージゾーンの新設を記念して日産のヘリテージカーを大きくフィーチャーした期間限定の特別展示「NISSAN HERITAGE WEEKENDMUSEUM」を開催。過去最大規模という選りすぐりのヘリテージカー19台を展示している。
日産自動車株式会社 副社長 星野朝子氏がオープニングイベントであいさつ 日産自動車 副社長 星野朝子氏はオープニングイベントであいさつを行ない、「この日産グローバル本社ギャラリーは、今年、誕生から10周年を迎えました。2009年のオープン以来、累計で、なんと1300万人以上のお客さまに来ていただきまして、当社の最新モデルや先端技術、過去に一世を風靡した懐かしいクルマたちなど、さまざまなものに触れて、楽しんでいただいております」。
「本日、こちらに新たにオープンするヘリテージゾーンは、日産自動車の長きに渡る歴史の中で変わることなく受け継がれてきた日産のDNAを凝縮した空間として誕生いたしました。1933年に創業した日産自動車は、今年誕生から86年目を迎えます。また、ご存知の方も多いかと思いますが、日産の前身は1911年に誕生した自動車工場でした。その最初の商品『ダット号』が誕生したのが1914年のことです。日産のクルマ作りの歴史は100年を超えると言っても過言ではないということになります」。
「その長い歴史を支えてきたのは、創業から今も変わることのない、日産のDNAである『PASSIONATE(情熱)』『INNOVATIVE(革新)』『CHALLENGER(挑戦する心)』です。創業間もない1935年、日本の経済、インフラ、国民性にマッチする日産初の自動車『ダットサン』を発売しました。そして、日本全体での自動車生産がまだ年間1000台にも満たないとき、そんな時代に年間1万台規模の量産工場を完成させました。日本初の量産モデルである『ダットサン 14型』は、国産自動車の大量生産に初めて挑戦して成功した、そういう日本の物作りの原点となるような自動車になります」。
「このダットサン 14型を皮切りに、さまざまなチャレンジを続けてまいりました。まだ世の中にないクルマ、そして世界初の技術、そういったものを生み出して、そんな商品をいち早く世の中に出していくことで時代を切り開いてきたのが日産自動車です。日本人の憧れであったスポーツカーを現実的に手の届くものにしたのも日産自動車でした。このヘリテージゾーンは、そんなNISSAN DNAのストーリーがたくさん詰まった魅力あふれる空間でございます。あまたのストーリーを居心地のよい空間で、くつろぎながら味わっていただける『小さなミュージアム』。そんなふうにしたいと思っています」。
「私たちのイノベーションは、そんな過去からこれからの未来に続いていきます。新型『スカイライン』に初搭載した『プロパイロット 2.0』、まもなく誕生から10年目を迎える世界初の量産型電気自動車『日産 リーフ』、日産独自の電動パワートレーンである『e-POWER』。そんな日産独自の技術をどんどん発表していきたいと思っています。私たち日産自動車は、今後とも絶え間ない技術革新とイノベーションによって、これまでになかった新しい価値を世の中に提案していきたいと思っています」と語った。
元レーシングドライバーの長谷見昌弘氏(左)と日産系チームの総監督を務めていた柿元邦彦氏(中央)によるトークショーも実施 このほかにオープニングイベントでは、2015年シーズンまでSUPER GTの日産系チーム 総監督を務めていた柿元邦彦氏、日産ワークスドライバーとして活躍したレジェンドドライバーの長谷見昌弘氏の2人をゲストとして招いたトークショーも行なわれた。
柿元氏は「座間の記念倉庫にはよく行く機会があるんですけど、今日、こうやって画像として俯瞰で見ると、日産のヘリテージカーは凄いなぁと思いました。ヘリテージカーで培った日産のDNAが、今の日産を支えてるということを改めて思った次第です。長谷見さんも関係しているんですが、『R32のGT-R』は初めてレーシングカーとして4輪駆動を完成させたクルマですよね。もちろん、開発で長谷見さんや星野(一義)さんからいろいろ意見を聞いたんですが、4駆のレーシングカーなんてありえないという話をされて、アンダーステアが強くて駄目だと。ところが、完成したクルマに乗ったら『やっぱり4駆だよね』っていう話になるくらい。もう凄くいいクルマで、デビュー以来、レースを負けなしで席巻しましたし、1992年にはスパ24時間レースも初出場で優勝したんですね。それは日産が開発した4輪駆動のレーシングカーという凄いクルマがあったということです。FIAだって虚をつかれたような素晴らしいクルマでした。それが非常に印象に残っています」と語り、長谷見氏も協力したレースマシン開発のエピソードを紹介した。
長谷見氏は「19歳のときから日産と契約してやってるんですけど、54年ぐらいになるんですかね。僕が日産車で一番好きなのは、スカイラインのハードトップ。GT-Rもありますし、GT-Rじゃないのもあるんですけど、なぜかというとフレーム剛性が凄くいいんですよ、しっかりしている。だから意のままにコントロールできる。そうじゃないとなかなかうまくコントロールできないんですよね。その後のクルマって、日本車はほとんどそうですけど、衝突した時にドライバーを守るためにエンジンがちょっと下がるような、要するに衝撃を吸収する法律みたいのができたんですけど、前のほうのフレーム剛性がまったくなくなっちゃったんです。ハードトップ以降のレーシングカーは乗りにくかったですね。レーシングカーというのは、もの凄くいいタイヤを履きますから、もろにフレームにくるんですよね。僕はとにかくフレーム剛性がいいクルマがいいですね。今のレーシングカーはみんなカーボンファイバーですよね。フレーム剛性がどうのこうのを言うより、とにかく技術屋さんはカチッとしたのを作るべきですよ。今でもそう思っています」と、レース車両の開発とレースシーンを振り返りながら、一番思い出深い日産車のエピソードとして語った。
ヘリテージゾーンには高解像度の220インチLEDスクリーンを設置。貴重な歴史的動画コンテンツ、企画展示車の解説などを放映予定 ヘリテージカー展示
厳選されたモデルを定期的に入れ替えて紹介するという車両展示。数百台におよぶ歴史車両コレクション「日産ヘリテージコレクション」の中から、日産の歴史と技術を間近で楽しめるヘリテージカーを展示する。ここからはオープニングイベントが行なわれた9月27日に会場で展示されていたヘリテージカーを写真で紹介する。
ダットサン 14型ロードスター。車両寸法:2790×1190mm(全長×全幅)、ホイールベース:2005mm。車両重量:550kg。サスペンション:横置きリーフ・縦置きリーフ(前・後)。ブレーキ:ロッド式ドラム・ロッド式ドラム(前・後)。タイヤ:4.00-24(外形表示)バルーン。エンジン型式:7型(直4 サイドバルブ)。排気量:722cc。最高出力:11kW(15PS)/3600rpm プリンス スカイライン スポーツ クーペ・1960年トリノ国際自動車ショー出品車。車両寸法:4650×1695×1385mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2535mm。車両重量:1350kg。サスペンション:ダブルウィッシュボーン・ド・ディオンアクスル(前・後)。ブレーキ:ドラム・ドラム(前・後)。タイヤ:5.90-15-4PR。エンジン型式:GB4型(直4 OHV)。排気量:1862cc。最高出力:69kW(94PS)/4800rpm、最大トルク:153Nm(15.6kgfm)/3600rpm シルビア(1966年:CSP311型)。車両寸法:3985×1510×1275mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2280mm。車両重量:980kg。サスペンション:ダブルウィッシュボーン・縦置きリーフ(前・後)。ブレーキ:ディスク・ドラム(前・後)。タイヤ:5.60-14-4P。エンジン型式:R型(直4 OHV・SUツインキャブ)。排気量:1595cc。最高出力:66kW(90PS)/6000rpm、最大トルク:132Nm(13.5kgfm)/4000rpm セドリックシーマ タイプII リミテッド。車両寸法:4890×1770×1380mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2735mm。車両重量:1640kg。サスペンション:ストラット・セミトレーリングアーム(前・後)。ブレーキ:ベンチレーテッドディスク・ベンチレーテッドディスク(前・後)。タイヤ:205/65R15 93H。エンジン型式:VG30DET型(V6 DOHC ターボ)。排気量:2960cc。最高出力:187kW(255PS)/6000rpm、最大トルク:343Nm(35.0kgfm)/3200rpm スカイライン 2000GT-R(1969年:PGC10型)。車両寸法:4395×1610×1385mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2640mm。車両重量:1120kg。サスペンション:ストラット・セミトレーリングアーム(前・後)。ブレーキ:ディスク・ドラム(前・後)。タイヤ:6.45H-14-4PR。エンジン型式:S20型。排気量:1989cc。最高出力:118kW(160PS)/7000rpm、最大トルク:177Nm(18.0kgfm)/5600rpm フェアレディZ-L(1970年:S30型)。車両寸法:4155×1630×1285mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2305mm。車両重量:995kg。サスペンション:ストラット・ストラット(前・後)。ブレーキ:ディスク・ドラム(前・後)。タイヤ:6.45H-14-4P。エンジン型式:L20型(直6 OHC)。排気量:1998cc。最高出力:96kW(130PS)/6000rpm、最大トルク:172Nm(17.5kgfm)/4400rpm ダットサン フェアレディ 1200。車両寸法:4025×1475×1365mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2220mm。車両重量:890kg。サスペンション:4輪半楕円リーフ+リジッド(前・後)。ブレーキ:ドラム・ドラム(前・後) スカイライン ハードトップ 2000 ターボRS(1983年:KDR30)。車両寸法:4595×1665×1360mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2615mm。車両重量:1175kg。サスペンション:ストラット・セミトレーリングアーム(前・後)。ブレーキ:ベンチレーテッドディスク・ディスク(前・後)。タイヤ:195/60R15 86H。エンジン型式:FJ20型(直4 DOHC ターボ)。排気量:1990cc。最高出力:140kW(190PS)/6400rpm、最大トルク:225Nm(23.0kgfm)/4800rpm スカイライン 2000GT-E・L(1979年:HGC211)。車両寸法:4600×1625×1390mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2615mm。車両重量:1190kg。サスペンション:ストラット・セミトレーリングアーム(前・後)。ブレーキ:ディスク・ドラム(前・後)。タイヤ:185/70HR14。エンジン型式:L20E型(直6 OHC)。排気量:1998cc。最高出力:96kW(130PS)/6000rpm、最大トルク:167Nm(170kgfm)/4000rpm スカイライン ハードトップ 2000GT-X(1972年:KGC10)。車両寸法:4330×1595×1375mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2570mm。車両重量:1115kg。サスペンション:ストラット・セミトレーリングアーム(前・後)。ブレーキ:ディスク・ドラム(前・後)。タイヤ:6.45S-14-4PR。エンジン型式:L20型(直6 OHC・SUツインキャブ)。排気量:1998cc。最高出力:96kW(130PS)/6000rpm、最大トルク:172Nm(17.5kgfm)/4400rpm Be-1(1987年:BK10型)。車両寸法:3635×1580×1395mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2300mm。車両重量:700kg。サスペンション:ストラット・4リンク(前・後)。ブレーキ:ディスク・ドラム(前・後)。タイヤ:165/70HR12。エンジン型式:MA10S型(直4 OHC)。排気量:987cc。最高出力:38kW(52PS)/6000rpm、最大トルク:74Nm(7.6kgfm)/3600rpm PAO キャンバストップ(1989年:PK10型)。車両寸法:3740×1570×1480mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2300mm。車両重量:760kg。サスペンション:ストラット・4リンク(前・後)。ブレーキ:ディスク・ドラム(前・後)。タイヤ:155SR12。エンジン型式:MA10S型(直4 OHC)。排気量:987cc。最高出力:38kW(52PS)/6000rpm、最大トルク:75Nm(7.6kgfm)/3600rpm フィガロ(1991年:FK10型)。車両寸法:3740×1630×1365mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2300mm。車両重量:810kg。サスペンション:ストラット・4リンクコイル(前・後)。ブレーキ:ベンチレーテッドディスク・ドラム(前・後)。タイヤ:165/70R12 77H。エンジン型式:MA10ET型。排気量:987cc。最高出力:55.9kW(76PS)/6000rpm、最大トルク:105.9Nm(10.8kgfm)/4400rpm ダットサン 1000 セダン 富士号(1958年:210型)。車両寸法:3860×1466×1535mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2220mm。車両重量:925kg。サスペンション:縦置リーフ・縦置リーフ(前・後)。ブレーキ:ドラム・ドラム(前・後)。タイヤ:5.00-15-4PR。エンジン型式:C型(直4 OHV)。排気量:988cc。最高出力:25kW(34PS)/4400rpm、最大トルク:65Nm(6.6kgfm)/2400rpm ダットサン フェアレディ 1500(1965年:SP310型)。車両寸法:3910×1495×1305mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2280mm。車両重量:910kg。サスペンション:ダブルウィッシュボーン・縦置リーフ(前・後)。ブレーキ:ドラム・ドラム(前・後)。タイヤ:5.60-13 4P。エンジン型式:G型(直4 OHV・SUツインキャブ)。排気量:1488cc。最高出力:59kW(80PS)/5600rpm、最大トルク:118Nm(12.0kgfm)/4000rpm プリンス R380(A-I型)1966年第3回日本グランプリ優勝車(1966年:R380型)。車両寸法:3930×1580×1035mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース:2360mm。車両重量:620kg。サスペンション:ダブルウィッシュボーン(上Iアーム、下逆Aアーム)・ダブルラジアスアーム(前・後)。ブレーキ:4輪ディスク(ガーリング製)。タイヤ:5.00L-15/6.00l-15 ダンロップ R7。エンジン型式:GR8型。排気量:1996cc。最高出力:147kW(200PS)/8400rpm、最大トルク:172Nm(17.5kgfm)/6400rpm ヘリテージゾーンでは車両展示以外にも、名車のディテール画像で壁面を彩る「アートウォール」、ヘリテージカーが保管されたガレージ内の写真を紹介する「グラフィックウォール」を実施。また、「コンテンツショーケース」はテーマ別にストーリーを発信する企画展示コーナーとなっており、当日は創業時の1930年代にフォーカスしたストーリーを展示。さらに自動車書籍や自動車雑誌のバックナンバーをセレクトした本棚「ライブラリー」、100台以上のミニカーを壁面に展示する「モデルカーウォール」など、ヘリテージカー以外も見所満載だ