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【WEC 第2戦 富士6時間】グッドイヤーが国際レースに復帰した狙い。モータースポーツ担当者に聞く
2019-2020シーズンのWECでLMP2クラス3チームにタイヤ供給
2019年10月7日 14:57
- 2019年10月4日~6日 開催
富士スピードウェイで開催された「2019-2020 FIA 世界耐久選手権 第2戦 富士6時間耐久レース」。グッドイヤーは、2019-2020シーズンのWEC(FIA世界耐久選手権)においてLMP2クラスの「イオタ・スポーツ」「ジャッキー・チェン・DC レーシング」「ハイクラス・レーシング」の3つのチームにタイヤを供給している。
グッドイヤーは、2019-2020シーズンよりル・マン24時間を含めたWECに参戦することで国際スポーツカーレースへの復帰を表明した。F1で368勝、ル・マン24時間レースで通算14勝の実績があるグッドイヤーが、国際レースへの復帰にあたり最初のステップとしてWECを選んだのは、グッドイヤーにとってさまざまなプロトタイプスポーツカーやGTカーのタイヤ技術を実証するための理想の舞台になるからという。
WEC 富士6時間耐久レースの会場において、グッドイヤーのモータースポーツ担当者、EMEA グッドイヤーレーシング ディレクターのベン・クローリー氏、EMEA グッドイヤーレーシング セールス&技術サポートマネージャーのマイク・マックレガー氏にインタビューする機会を得た。インタビューでは国際レース復帰の狙いなどが話された。
クローリー氏は「いまグッドイヤーはハイパフォーマンスイメージを高めるために、モータースポーツ活動を通じてブランドの活性化に取り組んでいます。レースに参戦することはそのブランド力アップのためのプラットフォーム、土台になると考えています。そして、レースに参戦することは製造メーカーとして究極的なチャレンジとなり、レースにおいては1組のタイヤで長く使え、ずっといい走行ができるそんな製品を開発していきたいと考えています」との考えを述べた。
将来的な目標について、クローリー氏は「そういった製品開発によって、究極的にはロードタイヤにもその製品力を発揮させることができると思いますので、今回、国際的なレースにカムバックできたことは非常にうれしいことです。われわれとしてはカテゴリーももっと拡大していきたいですし、参戦エリアも拡大していきたいと思っています」との意気込みを述べた。
今回のWECへの参戦に先立ち、これまでにグッドイヤーではドイツのハナウとルクセンブルグのコルマーベルグにあるイノベーションセンターで1年以上にわたりル・マン用のプロトタイプ・タイヤを開発。7つのサーキットで1万2000kmに及ぶテスト走行を実施してきたという。
クローリー氏は「WECの復帰を目指して、これまでの12か月間にさまざまなプログラムを走らせており、今もドライバーたちとともに開発を続けている状況です。今日まで前向きな結果が得られており、明日以降の結果につなげていく努力を続けていきたい」と話した。
タイヤ開発においては、WECの規制によりタイヤメーカーはシーズン中に最大3種類のドライタイヤをチームに提供することができる。グッドイヤーは最初の2種類として、Aタイヤ(最も柔らかいコンパウンド)とCタイヤ(ミディアムコンパウンド)を3つのチームに提供。シルバーストーン、富士、上海という今シーズン最初の3レースでは、3チームとの連携でAタイヤとCタイヤの最適化に注力して、その後のバーレーン(12月14日開催)またはサンパウロ(2020年2月1日開催)において、3つ目のタイヤ導入を検討しているという。
マックレガー氏は「どのタイヤをどのイベントに投入するのかが鍵になってくると思います。われわれはエンジニアを各サーキットに派遣して、路面の表面がどのようになっているのかを調査しました。そして、路面の状況に合わせて、どのコンパウンドのタイヤを使うかを考えてきました。今回、スリックタイヤ、インターミディエイト、ウェットを投入しましたが、これら(の性能)を最終的にもっと高めていきたい。今日の予選結果(インタビューは予選終了後に実施)を見ても(LMP2クラスの)1位と3位に入っているので、われわれのやってきたことは間違っていないと思っています」との自信を示した。