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インテル、第12世代CoreやEvo、Arcなど高いグラフィックス性能を備えた製品を発表 ゲーミング市場に注力
2022年6月17日 20:12
- 2022年6月17日 開催
半導体メーカーのインテルの日本法人であるインテル(以下両方合わせてインテル)は6月17日、東京都港区の東京タワー内にあるeSportsパークの「RED°TOKYO TOWER」内で記者説明会を開催した。同社の第12世代インテルCoreプロセッサ(以下第12世代Core)および、インテルArcグラフィックス(以下Arc)などの最新製品を利用したPCゲームソリューションに関する説明を行なった。
こうしたインテルの最新製品は、GPU(Graphics Processing Unit)と呼ばれる3Dグラフィックスを描画するプロセッサの性能が強化されており、ノートPC単体でAAAタイトルと呼ばれる人気のPCゲームタイトルがプレイできるような性能を備えているとインテルでは説明しており、今後eモータースポーツなどと呼ばれるシム・レーシングの市場拡大にも寄与しそうだ。
今まで2社しかなかったGPU市場にインテルが本格的に参入することで競争が加速する
冒頭のあいさつでインテル 代表取締役社長 鈴木国正氏は「私は前職時代にPC本体のビジネス、ゲームコンソールの両方のビジネスに関わっており、今回インテルを代表してPCでのゲームソリューションに関して説明するということに感慨を抱かざるを得ない」と述べ、自身の経歴に絡めながらインテルがPCゲーミングについて説明することに、ついにそういう時代になったかという感慨を持っていると話した。というのも鈴木氏の前職はソニーで、鈴木氏はソニー時代にPC本体ビジネス「VAIO」(後に分社化して独立)に関わっていたほか、同社のゲームコンソール「PlayStation」のビジネスにも関わっていたからだ。
鈴木氏がそうした感慨を持つほど、これまでインテルと言えば、ビジネスマシン向けのCPUなどを提供するメーカーという印象が強かったのは否定できないだろう。しかし、ここ数年でその状況は大きく変わり、インテルがPCでのゲームに必要なプロセッサで強力なGPU製品を用意し、特にノートPCにそうした製品が採用され始めて、ノートPCでPCゲームをプレイするような環境が整いつつあるのだ。
鈴木氏は「世界的な半導体市場で強い需要が続いている。昨年は産業全体で過去最高の成長をして、今年も10%程度の成長が見込まれており、その先はひと桁台だが引き続き成長が見込まれている。その中でもPCの需要は非常に強く、PCの高需要が半導体市場を牽引している側面がある」と述べ、パンデミックによりリモートワークがトレンドになったことなどの影響で、PCの需要が高まり、それが半導体市場の好況を牽引していると説明した。
そうした中でインテルは、2009年に一度インテルを離れたが、2021年にCEOとして復帰したパット・ゲルシンガー氏のリーダーシップのもと、新しい戦略で進んでいる変革期にあるとし、「ゲルシンガーCEOが復帰してからこのスライドでインテルの戦略を説明するようになった。左から信念、それに基づいた戦略、そしてその戦略を着実に実行していくことだ」と述べ、インテルがコアとして重視している製造技術、ソフトウェア技術と、具体的な製品を組み合わせて提供していくことなどを説明した。
鈴木氏は「GPUは最新の製品で、GPUを出すことで競合を含めて競争が進み、市場が活性化してほしいとインテルでは考えている」と述べ、これまでAMDとNVIDIAという2社しかいなかった市場にインテルが加わることで、3社の競争により市場が活性化すると強調した。
その上で「一昨年から昨年にかけては政府のGIGAスクールの取り組みで、小中学校の生徒さんに1人1台のPCを配布するという取り組みが行なわれ、生徒さんにとってPCはより身近なデバイスになっている。それをとっかかりにしてゲームの世界へという始まりもあるだろう」と述べ、GIGAスクールの取り組みによって従来よりも若い世代がPCに興味を持つようになり、それがゲームの世界への入り口になるだろうと指摘した。
また、そうしたインテルベースのゲーミング製品に関しては、国内で18のPCメーカーが取り組んでいるほか、ゲーム会社13社との協業、インテル製品に対応したゲームタイトル54タイトルなどがすでにあると強調。今後も協業パートナーなどを増やしていくなどの取り組みを行なっていくと述べた。
インテルの鈴木社長は「インテルの役割はPCゲーミングの裾野を広げていくことだ。インテルは引き続きパートナー各社さまと一緒にゲーム市場にコミットメントしていく」と述べ、今後も継続してゲーム市場に積極的に取り組んでいくと強調した。
第12世代Core、Evo、Arcなどのゲームに対応した製品を続々追加中
次いで、米国インテル 副社長 兼 ゲームエコシステムビジネス開発・開発者サポート担当本部長 リッチー・コーパス氏が、インテルのゲームタイトルを開発する開発者やパートナーのサポート方針、PCゲーム向けの新しい技術を紹介した。
その中でコーパス氏が強調したのはXeSS(Xe Super Sampling)という仕組み。簡単に言うと、低い解像度でゲームの画面を描画した後で、インテルのGPU製品であるArcに内蔵されているXMXという演算器を利用してAIが解像度をスケーリングアップし、GPUへの負荷は変わらないのにより高い表示品質でゲームをプレイできる技術となる。「デス・ストランディング ディレクターズ・カット」というタイトルですでに利用できる様子がデモされた。
インテル 第2技術本部 部長 安生健一郎氏は、同社のゲーミング向け製品を説明した。具体的にはインテルが最新製品として提供している第12世代Coreについて、最近すべてのラインアップが出そろったことを紹介。その中でも高い性能、応答性、長時間バッテリー駆動、高速なネットワークなどの点で基準を超えたノートPCにつけられるブランドであるインテルEvo 第3世代を利用することで、ユーザーは高い生産性でビジネスをこなすだけでなく、内蔵されているIris Xe Graphicsを利用してゲームをすることもできると説明した。
また、インテルが3月末に発表したばかりの単体GPU製品となるArcに関しても説明し、第12世代Coreに加えてArcを搭載すると、さらに高いグラフィックス性能を実現したノートPCを設計することが可能になるとアピール。Arcを搭載したノートPCとして、インテル自身のリファレンスデザインのノートPCが会場に展示されたほか、NECパーソナルコンピュータ 執行役員 商品企画本部長 藤原清幸氏が登壇し、Arcへの期待感を語った。