トピック
ホンダアクセスの新型3カメラドライブレコーダーは、なぜ「前方1カメラ&後方2カメラ」なのか? 開発陣にその理由を聞いてみた
「純正アクセサリー」としてのこだわりを貫いた3カメラモデルの神髄に迫る!
- 提供:
- 株式会社ホンダアクセス
2022年11月9日 00:00
ユーザーの声から3カメラのドライブレコーダーを開発
クルマを運転中に遭遇する不本意なできごとに「録画」という手段で対応するカー用品が「ドライブレコーダー」だ。一般的に使用されてからまだ10年ほどしか経っていない製品だが、今や新車も中古車も問わず装着率は高く、カー用品メーカーだけでなく自動車メーカーも純正オプションとしてラインアップしている。
ホンダ車用の純正アクセサリーを手掛けるホンダアクセスは、2008年に自動車メーカー純正としては初となるドライブレコーダーを発売し、その後も信頼性重視の製品を作るうえでもユーザーの声はとても重要な情報源ということで、常にユーザーの声をリサーチして製品開発に役立てている。
そして、あおり運転や追突事故に遭ってしまったときの状況も記録できる「前後2カメラモデル」の発売以降に聞こえてきたのが「クルマの側方の状況も記録できる製品」を望む声。そこでホンダアクセスは「Honda純正ドライブレコーダー前後車内3カメラモデル」(以下、3カメラモデル)を開発したという。
まずは開発スタッフから詳細を聞く前に、商品の性能や仕様を確認しておこう。
車内とクルマ周辺を撮影できる3つ目のカメラを追加
ホンダアクセスが2022年5月に発売した3カメラモデルのドライブレコーダーは、前後をこれまでどおり2つのカメラで撮影し、新たにカメラを追加して、車内と両サイドのウインドウ越しに外の状況を撮影できる製品。各カメラのレンズの性能にもこだわっていて、すべて解像度1920×1080ピクセルのフルハイビジョン(約200万画素)、フレームレートは28FPSで蛍光灯やLEDのちらつきを抑制し、Honda純正ナビゲーションシステム「Gathers(ギャザズ)」と連動するタイプと、単独で動くタイプをラインアップ。価格はいずれも6万7100円だ。
撮影画角はフロントカメラとリアカメラが水平110°×垂直70°の広角をカバー。また、リアカメラにはある速度域で一定以上の車間に詰めてきた車両がいた場合に検知し、録画データにフラグ(アイコン)をつけることで、あおり運転などの証拠を探しやすくする「後方車両検知録画機能」も備わっている。そして、新たに追加した3つ目のカメラは、水平180°×垂直70°という超広角レンズで、後方から車内はもちろん左右の窓の外まで撮影でき、幅寄せなど威圧的なドライバーの危険行為まで記録できる。
ナビと連動するタイプは、純正アクセサリーの「11.4インチ Honda CONNECTナビ」とリンクさせることが可能で、ドライブレコーダーが記録した映像を11.4インチのモニターでいつでも確認できる。そのため、もしもの場面に遭遇しても、その場ですぐに状況確認ができ、安心感も高い。ナビから位置情報を取得しているので、どの場所の映像なのかも分かりやすくなっている。
一方、純正ナビとのリンク機能がないタイプは、録画データの入ったmicroSDカードを、無料の専用ソフトをインストールしたWindowsパソコンに取り込んで視聴可能。このソフトを使うと、すべてのカメラの映像や車両の速度、加速度、GPSの位置情報の入った地図など、多くのデータと組み合わせた表示も可能となる。もちろん、純正ナビとリンク機能を持つタイプも、同様にパソコンを使っての確認も可能だ。
また、無料のスマートフォン用アプリ「DR Viewer S」を使えば、記録してある映像をスマホで見ることができるほか、アプリからドライブレコーダーの設定の変更も行なえる。
さらに、別売の追加配線をしなくても、あらかじめ「駐車時録画モード」も標準搭載していて、自宅だけでなくコンビニやショッピングモールなど、駐車場におけるトラブルも駐車後約30分間記録してくれる“駐車時録画”に加え、録画が終了した後も衝撃を感知すると約60秒間録画してくれる“駐車時録画プラス”も備えている。これらの「駐車時録画モード」は衝撃検知の感度調整はもちろん、乗員が降車の際の振動を検知しないようイグニションオフ後どれくらいの時間(30秒/1分/3分)が経過してから録画を開始するのかの設定も可能と細かく利便性を追求している。
なぜ「前方1カメラ&後方2カメラ仕様」になったのか?
さて、今の時代ドライブレコーダーは数多く発売されているので、きちんとした「付けたくなる理由」がなければ、ユーザーの「購入検討リスト」には入れない。そこでまずは純正ドライブレコーダーは何がすごいのか? 開発担当者であるホンダアクセスの下境氏と斉藤氏に製品の特徴やこだわりポイント、さらに「3カメラモデル」開発話を聞いてみた。
ドライブレコーダーを購入する際、カメラのスペックや付加機能を気にして選ぶユーザーも多いというが、ホンダアクセスがドライブレコーダーを開発するときに重視しているのは「確実に記録を撮れること」だという。これはずばり、ホンダのクルマづくりにつながる「品質のよさ」を求めるものだ。
ホンダアクセスの手掛けるドライブレコーダーは、現在発売されているホンダ車に適合するもので、開発陣はすべて実際に装着して最適な取り付け場所を確認しているという。その基準は運転の障害にならないことはもちろん、エアバッグやHonda SENSINGのカメラ、センサーなど安全装置の動作に影響がないことまで入念に調べ上げている。
例えばフロントカメラなら、テレビのアンテナやETC受信機など電子パーツが近くに配置されていることが多く、こうした場所は他の機器の電気ノイズの影響を受けるだけでなく、ドライブレコーダーが他の機器に影響を与えてしまう可能性が高い。そこで開発段階から「シールドルーム」という特殊な実験室にドライブレコーダーを持ち込んで、他の電波に対しても影響が出ないかの試験もして、装着場所もノイズの影響がないか実際に装着して調べるという徹底ぶりだ。
また、新たに追加した3つ目のカメラは、車内やクルマの左右の周辺を確実に記録するのが目的のため、必然的にカメラの取り付け位置はフロントかリアになる。しかし、自動車のフロントウインドウの中心部にはルームミラーや先進安全機能Honda SENSING用のカメラがあるため、左右どちらかにかなりオフセットする必要があり、またカメラへの写り込み影響を加味し、3つ目のカメラの取り付け場所として適当でないと判断。後方用カメラと一体化してリアウインドウに配置することにしたという。
この車内を向いたカメラは、ただ画角が広いだけではダメで、周囲の環境を確実に読み取れる性能が求められる。そこで360°カメラを含めて何種類かのカメラを検討した結果、360°カメラではフロントカメラと車内カメラ機能を合わせることはできるが、ドライブレコーダーとして大切な前方視認、ナンバープレートの視認性が劣ると判断。フロント/リア/車内へそれぞれカメラを搭載した3カメラ仕様とし、水平180°×垂直70°という超広角レンズを持つカメラに決定した。後方から車内はもちろん左右の窓の外まで撮影でき、幅寄せなど威圧的なドライバーの危険行為までしっかり記録してくれる。さらに、後方からの撮影なので運転手や同乗者の顔が写りづらく、プライバシーを守りやすいのも特徴の1つだ。
加えて、車内と車外のように明暗の差が大きい場所を撮影すると、どちらか一方が白飛びや黒つぶれを起こして見えにくくなりがちだが、純正アクセサリーとして外の状況が分かることを前提に、車内が暗く映りすぎないようレンズとセンサーとパラメーターのチューニングで対策を行なっているという。
過酷なクルマの車内環境に合わせたカメラ選び
また、今はもっと高性能なカメラがたくさんあるのに、なぜそれを使わないのか? カメラの性能がよければもっと鮮明な画像が撮れるのではないか? と、ついつい考えてしまう。
もちろん、開発段階で多くのカメラを試している。しかし、クルマの車内は高温から低温、乾燥に湿気などさまざまな状況になる過酷な環境で、さらにウインドウに取り付けるドライブレコーダーは、直射日光にさらし続けられることで非常に高温になる場合もある。そんななかでも「確実に記録が撮れること」が、純正アクセサリーで使用するカメラに求められる「高性能さ」となる。つまり、いくら高画質であってもこの点が開発陣の要求以下では使えないということ。そうした視点で精査した結果、選ばれたカメラが搭載されているのだ。
この「確実に記録が撮れる」ことに対して徹底的にこだわっているのがホンダアクセスの手掛けるドライブレコーダーであり、Honda純正を選ぶ最大のメリットといえるだろう。
今回は新型「ステップワゴン AIR」に装着されていた「3カメラモデル」のリアカメラ映像を見せてもらったが、シートの下側など暗い部分もそれなりに見えつつ、明るさが大きく違う車外は予想以上に鮮明に映っていた。まさしくホンダアクセスの「確実な記録を撮る」という狙いどおり。また、リアカメラはウインドウのほぼセンターに付くように設定されているため、画角の左右とも均等に周辺の状況が撮れるので、左右どちらかが見えにくいといったこともない。
こういった部分は製品紹介や仕様欄には記載されていないが、実際に何かあったときは確実に役立つもの。ドライブレコーダーはスペックが高いこともさることながら、「有効な画像を確実に撮れていること」が重要で、ホンダ車ならホンダアクセスの純正ドライブレコーダーを選ぶことが一番の安心につながるだろう。また、車内や周辺の記録までは不要という場合は、2カメラモデルも併売しているので、用途に合わせてチョイスしよう。
3カメラモデル
品番 | DRH-229ND | DRH-229SD |
---|---|---|
タイプ | ナビ連動 | 単独 |
カメラ数 | 前後車内3カメラ | ← |
価格 | 67,100円 | ← |
型式 | 一体構造(モニターレス仕様) | ← |
容量 | 64GB | ← |
駐車時録画 | エンジンOFF後約30分+衝撃検知 | ← |
画像サイズ | 1920×1080 | ← |
画角(前方・後方) | 110°(水平)×70°(垂直) | ← |
画角(車内) | 180°(水平)×70°(垂直) | ← |
画素数 | 約200万画素 | ← |
画像処理技術 | HDR・フリッカーレス | ← |
常時録画(録画時間) | 標準モード約300分/長時間モード約400分 | ← |
イベント記録時間 | 約20秒(前約12秒、後約8秒) | ← |
イベント記録件数 | 20件 | ← |
後方車両検知録画時間 | 約20秒(前約12秒、後約8秒) | ← |
後方車両検知録画件数 | 50件 | ← |
記録方式 | 動画MP4、静止画JPEG | ← |
フレームレート | 28FPS(フリッカーレス撮影機能付き) | ← |
自車位置記録 | ナビ内蔵GPS機能 | 本体内蔵GPS機能 |
スマホ連携(Wi-Fi接続) | ○ | ○ |
パソコン動作環境(推奨OS) | Windows8.1/10/11 | ← |
パソコン動作環境(再生ソフト) | 専用ビューアーソフト | ← |
2カメラモデル
品番 | DRH-224SD |
---|---|
タイプ | 単独 |
カメラ数 | 前後2カメラ |
価格 | 51,700円 |
型式 | 一体構造(モニターレス仕様) |
容量 | 32GB |
駐車時録画 | エンジンOFF後約30分+衝撃検知 |
画像サイズ(標準モード) | 1920×1080 |
画像サイズ(長時間モード) | 1280×720 |
画角 | 128°(水平)×70°(垂直) |
画素数 | 約200万画素 |
画像処理技術 | HDR・フリッカーレス |
常時録画(録画時間) | 標準モード約180分/長時間モード約330分 |
イベント記録時間 | 約20秒(前約12秒/後約8秒) |
イベント記録件数 | 20件 |
記録方式 | 動画MP4、静止画JPEG |
フレームレート | 30FPS(フリッカーレス撮影機能付き) |
自車位置記録 | 本体内蔵GPS機能 |
スマホ連携(Wi-Fi接続) | ○ |
パソコン動作環境(推奨OS) | Windows8.1/10/11 |
パソコン動作環境(再生ソフト) | 専用ビューアーソフト |
新型3カメラドライブレコーダーの詳細については「コチラ」。
photo:堤晋一
(※撮影時のみマスクを外しています)