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【SUPER GT 第4戦タイ】突然のスコールによる大混乱の中、16号車 MOTUL MUGEN NSX-GTがコースレコードでポールポジション獲得

GT300クラスは65号車 LEON CVSTOS AMGがポールポジション

2018年6月30日~7月1日(現地時間)開催

GT500クラスのポールポジションを獲得した16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐組、YH)

 6月30日~7月1日(現地時間)に、タイ王国ブリーラム県ブリーラム市にある「チャン・インターナショナル・サーキット」においてSUPER GT 第4戦 Chang SUPER GT RACEが開催されている。初日の6月30日には、午前中にフリー走行、午後に予選が行なわれ、翌日の決勝レースに向けたスターティンググリッドが決定された。

 GT500クラスでポールポジションを獲得したのは、16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐組、YH)で、2017年から参戦している16号車 MOTUL MUGEN NSX-GTとしては初めてとなるポールポジションをコースレコードで記録することになった。

 GT300クラスでは、88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(平峰一貴/アンドレア・カルダレッリ組、YH)と65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥選手、BS)が1000分の1秒単位までタイムが一緒で先にタイムを出した88号車がポールポジションかと思われたが、予選後の車検で違反が見つかり、65号車 LEON CVSTOS AMGが繰り上がりでポールポジションを獲得した。

GT300クラは88号車と65号車が1000分の1秒まで同タイム。88号車の違反で65号車が繰り上がりポール獲得

 予選開始の30分ほど前からコースをスコールが襲い、予選は15分遅れでGT300クラスから開始され、雨が上がって急速にコースが乾いていく混乱の状況でのタイムアタックになった。

 このGT300クラスの予選1回目(Q1)を席巻したのは、32号車 est cola by AAS Motorsport(マクシム・ジュース/ガンタティー・グシリ組、MI)だ。ベントレーGT3を利用して参戦している同チームは、今回のタイ戦のみ参加するというワイルドカードの参戦で、ポイントを獲得することはできないものの、ウェイトハンデなどが0ということで、今回優勝候補の筆頭に挙げられており、その予想通り予選1回目でトップタイムをマークした。以下、2位は21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/富田竜一郎組、DL)、3位は65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)が続いた。

 このQ1で脱落したのは、意外にも優勝候補の一角だったランキング2位の25号車 HOPPY 86 MC(松井孝允/坪井翔組、YH)。フリー走行でも上位を走った25号車だったが、このQ1では20位になり敗退してしまった。同じくランキング3位の18号車 UPGARAGE 86 MC(中山友貴/小林崇志組、YH)も21位でQ1敗退となってしまった。

GT300クラスのポールポジションを獲得した65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)

 予選2回目(Q2)は路面がドライになり、各チームともスリックタイヤでタイムアタックに出ていった。その中で88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(平峰一貴/アンドレア・カルダレッリ組、YH)は、レギュラー参戦しているマルコ・マペッリ選手の代役として参戦しているアンドレア・カルダレッリ選手がトップタイムをマークした。ところがその後、65号車 LEON CVSTOS AMGが1000分の1秒まで全く同タイムをマーク。規定では先にタイムを出した88号車 マネパ ランボルギーニ GT3がポールポジション獲得となるところだが、その後の再車検で88号車に違反が見つかり、65号車が繰り上がってポールポジションを獲得した。

 さらにその後に行なわれた車検で、2位に繰り上がった10号車 GAINER TANAX triple a GT-R(星野一樹/吉田広樹組、YH)も失格となり、3位以下が繰り上がることになった。これにより、予選2位は21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/富田竜一郎組、DL)、3位は55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/ショーン・ウォーキンショー組、BS)、4位は11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信組、DL)となった。

GT300クラスの予選結果
順位カーナンバー車両ドライバータイヤウェイトハンデQ1Q2
165LEON CVSTOS AMG黒澤治樹/蒲生尚弥BS401分42秒1821分32秒554
221Hitotsuyama Audi R8 LMSリチャード・ライアン/富田竜一郎DL21分42秒0231分32秒840
355ARTA BMW M6 GT3高木真一/ショーン・ウォーキンショーBS521分42秒4421分32秒845
411GAINER TANAX GT-R平中克幸/安田裕信DL341分43秒0041分33秒011
596K-tunes RC F GT3新田守男/中山雄一BS421分43秒5161分33秒110
661SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL221分43秒4151分33秒167
70グッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡龍也YH241分42秒8991分33秒236
834Modulo KENWOOD NSX GT3道上龍/大津弘樹YH61分43秒4941分33秒398
987リーガルフロンティア ランボルギーニGT3佐藤公哉/元嶋佑弥YH-1分43秒0861分33秒409
1032est cola by AAS Motorsportマクシム・ジュース/ガンタティー・グシリMI-1分41秒5751分33秒607
1150EXE AMG GT3加納政樹/安岡秀徒YH21分43秒5221分33秒685
122シンティアム・アップル・ロータス高橋一穂/加藤寛規YH-1分42秒5731分33秒810
139GULF NAC PORSCHE 911久保凜太郎/石川京侍YH-1分43秒523-
1431TOYOTA PRIUS apr GT嵯峨宏紀/平手晃平BS341分43秒918-
157D'station Porsche藤井誠暢/スヴェン・ミューラーYH401分43秒934-
1660SYNTIUM LMcorsa RC F GT3吉本大樹/宮田莉朋YH201分43秒934-
1735arto RC F GT3ナタウッド・ジャルーンスルカワッタナ/ナタポン・ホートンカムYH-1分44秒544-
1825HOPPY 86 MC松井孝允/坪井翔YH521分44秒585-
1918UPGARAGE 86 MC中山友貴/小林崇志YH501分45秒040-
2030TOYOTA PRIUS apr GT永井宏明/佐々木孝太YH-1分45秒122-
2152埼玉トヨペットGreenBraveマークX MC番場琢/脇阪薫一YH-1分46秒116-
-88マネパ ランボルギーニ GT3平峰一貴/アンドレア・カルダレッリYH30--
-10GAINER TANAX triple a GT-R星野一樹/吉田広樹YH2--

※88号車と10号車は予選後失格

ヨコハマタイヤの16号車 MOTUL MUGEN NSX-GTがポールを獲得

 GT500クラスも徐々に路面が乾いていくなかで予選1回目が行なわれた。このため、タイヤチョイスには各チームとも頭を悩ます展開になり、出て行ってすぐタイヤをスリックに変えたチームもあれば、そのままレインタイヤで走るチームが出るなど選択が分かれた。

 そんな状況でトップタイムをマークしたのは12号車 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹/ヤン・マーデンボロー組、BS)、2位は24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠組、YH)、3位は17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)となった。ホンダはこのほかにも64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦孝亮組、DL)を除く4台がすべて予選Q2に進んでおり、全体的に好調さを維持している。レクサス勢の最上位は6位に入った19号車 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/山下健太組、YH)。

 予選Q2に進めなかった車両の中にはランキング2位の23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)が含まれていた。23号車は早々にピットに入ってスリックタイヤに交換したが、それを暖めるのに苦労しており、最終ラップにタイヤに熱が入ってタイムアタックしたものの、前走車に引っかかってタイムを更新することができず、最下位となる15位に終わってしまった。

GT500クラスの予選2位となった17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)

 予選Q2ではブリヂストン勢がいち早くコースに出て行くなかで、ヨコハマタイヤ勢はいつものように時間ギリギリまで待つ作戦に出る。1コーナー方面からは冷たい風が吹いて来ており、再び雨が来ることも予想されていただけに勇気がある決断だ。

 だが、このギャンブルは報われる結果となる。雨はポツポツときたものの、再び降り出すことはなく、結局ドライの路面でQ2は行なわれることになったからだ。これでタイヤに適切に熱を入れ、かつピークを最終ラップに持っていくことに成功した16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐組、YH)が残り1分で新しいコースレコードとなる1分23秒341の最速ラップを叩き出し、見事にポールポジションを獲得した。2位は17号車 KEIHIN NSX-GTで、他にもホンダ勢はポイントリーダーの100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS)が5位に入り、前戦に引き続いて好調を維持している。

 レクサス勢の予選最上位は3位の39号車 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/小林可夢偉組、BS)、日産勢の予選最上位は4位の24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠組、YH)となっている。

 7月1日の決勝レースは現地時間15時(日本時間17時)にスタート予定となっている。レースはBS放送局のJ-SPORTS 4において現地から生中継される予定だ。

GT500クラスの予選結果
順位カーナンバー車両ドライバータイヤウェイトハンデQ1Q2
116MOTUL MUGEN NSX-GT武藤英紀/中嶋大祐YH21分28秒4051分23秒341
217KEIHIN NSX-GT塚越広大/小暮卓史BS421分27秒6511分23秒458
339DENSO KOBELCO SARD LC500ヘイキ・コバライネン/小林可夢偉BS301分28秒5421分23秒676
424フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠YH141分27秒1011分23秒687
5100RAYBRIG NSX-GT山本尚貴/ジェンソン・バトンBS641分28秒3151分24秒001
619WedsSport ADVAN LC500国本雄資/山下健太YH41分28秒4591分24秒053
712カルソニック IMPUL GT-R佐々木大樹/ヤン・マーデンボローBS261分27秒0151分24秒146
88ARTA NSX-GT野尻智紀/伊沢拓也BS481分29秒7301分24秒359
93CRAFTSPORTS MOTUL GT-R本山哲/千代勝正MI181分30秒228-
1036au TOM'S LC500中嶋一貴/関口雄飛BS281分30秒653-
116WAKO'S 4CR LC500大嶋和也/フェリックス・ローゼンクヴィストBS281分30秒811-
121KeePer TOM'S LC500平川亮/ニック・キャシディBS521分31秒039-
1338ZENT CERUMO LC500立川祐路/石浦宏明BS361分31秒064-
1464Epson Modulo NSX-GTベルトラン・バゲット/松浦孝亮DL21分31秒524-
1523MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリMI621分31秒588-

決勝レースは天候次第で展開が変わる。その準備が大事と各ドライバー

 予選終了後には、GT500、GT300両クラスのポールポジション獲得クルーによる会見が行なわれた。以下はその模様になる。

──それでは各選手に今日の自分のパートの感想を

武藤英紀選手:久々のポールポジションで嬉しい。中嶋(大祐)選手がQ1をきれいにまとめてくれて、彼のアドバイスも参考にしながら、Q2はまだ乾ききっていない中でも、ヨコハマタイヤがいいタイヤを、チームがよいクルマを作ってくれたので速く走ることができた。チーム無限もすごくいい仕事をしてくれたので感謝している。

中嶋大祐選手:Q1はウェットから始まって、このままだと厳しいと感じていたが、なんとかスリックに切り替えることができてタイムを出せた。Q2では武藤選手がタイヤとクルマの力を絞り出してくれて感謝している。チームもヨコハマタイヤも2017年から苦戦してきて、まずはポールポジションを取るところまでこれたので嬉しいが、明日のレースに気持ちを切り替えて頑張っていきたい。

黒澤治樹選手:Q1を無事に通過できて安心した。ブリヂストンがいいウェットタイヤを用意してくれた。予想よりも気温が高く滑りやすくて大変だったが、チームとブリヂストン、スポンサーが支えてくれて、蒲生(尚弥)選手の頑張りもあってポールを獲得できた。明日はこのまま逃げ切りたい。

蒲生尚弥選手:ポールポジションを獲れて嬉しく思っている。クルマの状態もいいし、ブリヂストンタイヤも機能していてロングランの調子もいい。10分間走り続けていてもタイムが出る状況だ。明日も難しい状況だが、みんなでミスすることなく走り続けていきたい。

──4人全員に、明日の作戦を教えてほしい

武藤選手:ポールポジションからのスタートなので逃げ切りたい。簡単にいくとは思っていないので、チームとよく話あってクルマをまとめたい。タイヤマネージメントが鍵になると考えている。

中嶋選手:予選の結果はよかったけど、タイム重視でタイヤを選んだわけではない。タイはテストもできないので、未知数部分が多い。まずは第1スティントっを担当する方がタイヤをいたわって、第1スティントをいかに伸ばすかが重要になる。

黒澤選手:今回は予選も雨が降って、天候に振り回された。明日がどういう天候になるか分からないけど、冷静に正しい判断をしていけば勝てると思う。

蒲生選手:タイヤ無交換のチームも多く、最終ラップまで順位が分からないので、最後まで全力で走るだけだ。

GT300クラス
今回のレースにワイルドカード枠で参加する32号車 est cola by AAS Motorsport(マクシム・ジュース/ガンタティー・グシリ組、MI)。ポイントは獲得できないが順位は有効なので、レースをかき回す存在になりそうだ
予選2位となった21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/富田竜一郎組、DL)
予選3位となった55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/ショーン・ウォーキンショー組、BS)
ポール獲得かと思われた88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(平峰一貴/アンドレア・カルダレッリ組、YH)だが、予選後の車検で失格に
同じく予選2位かと思われた10号車 GAINER TANAX triple a GT-R(星野一樹/吉田広樹組、YH)も予選後の車検で失格に
GT500クラス
ポールを獲得した16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐組、YH)が、スコールにより濡れているチャン・インターナショナル・サーキットを疾走
レインタイヤで走ったQ1序盤はトップタイムをマークしていた64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦孝亮組、DL)だが、スリックへの交換タイミングを見誤って惜しくもQ1落ちに
Q1の序盤でスリックに変えるギャンブルに出た23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)だが、タイヤが暖まってきた時に前走車にひっかかり、まさかの予選最下位
予選3位の39号車 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/小林可夢偉組、BS)
予選4位の24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠組、YH)
ポイントリーダーの100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS)は予選5位に