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レクサス、新型コンパクトクロスオーバー「UX」発表会
「先読みエコドライブ」機能をレクサス初搭載
2018年11月28日 00:00
- 2018年11月27日 開催
レクサス(トヨタ自動車)は10月27日、新型コンパクトクロスオーバー「UX」を発売。「東京ミッドタウン日比谷」(東京都千代田区)の1階にあるレクサスブランドの体験型施設「LEXUS MEETS...(レクサス ミーツ)」で記者発表会を行なった。
UXは3月の「第88回 ジュネーブ国際モーターショー」で世界初公開された新規車種。トヨタの「プリウス」「C-HR」「カローラ スポーツ」などでも使われている新世代の「GA-Cプラットフォーム」を採用し、パワートレーンに2.0リッター直噴+CVTを採用するガソリンモデル、2.0リッター直噴+モーターを採用するハイブリッドモデルをラインアップ。価格はガソリンモデルの「UX200」が390万円~474万円、ハイブリッドモデルの「UX250h」が425万円~535万円。
このほか、UXのモデル詳細は関連記事の「レクサス、新型コンパクトクロスオーバー『UX』発売。390万円から」「写真で見る レクサス『UX』」を参照していただきたい。
発売前の時点で5500台を受注
発表会ではレクサスインターナショナル President 澤良宏氏が最初にプレゼンテーションを実施。澤氏はレクサスのグローバル販売が1~10月で前年同期間比6%増の56万7000台、国内販売が同35%増の4万6900台と好調を続けていることを紹介し、レクサス車を愛用してくれている世界中のユーザーに対して感謝の言葉を述べた。また、「Creative Urban Explorer」をコンセプトに開発したニューモデルのUXは「幅広いお客さまとレクサスの新たな接点となるクルマ」だと紹介。これまでに東京、大阪、名古屋、神戸で「プロトタイプ展示会」を行なって多くの来場者から好評を得て、事前受注で月販目標の約6倍となる5500台を記録していると説明した。
澤氏は「私たちレクサスは、お客さまに唯一無二の驚きと感動をお届けすることで、“レクサスのあるライフスタイル”がより豊かになることを目指しています。『ES』と『UX』がラインアップに加わり、それぞれが個性を発揮しながら光り輝いてお客さま1人ひとりの時間に寄り添うことを目指しております。今後もより多くのお客さまに驚きと感動をお届けすべく挑戦を続けていきますので、引き続きご期待ください」と締めくくった。
「お客さまの生活に変化をもたらす『CUE』になってほしい」と加古チーフエンジニア
新型UXの商品概要については、チーフエンジニアを務めたレクサスインターナショナル Executive Vice President Chief Engineer 加古慈氏が解説を実施。
加古氏はUX自体の説明に先立ち、自身が欧州に駐在し、内装の商品力強化に向けた見直しを行なう仕事に就いていた経歴を紹介。そこでは感性工学を用いたアプローチを行なったことで、部品単位で評価するのではなく、インテリア全体でどのようにユーザーの感性や心に響くかを考えることが重要だと再認識したという。インテリアを構成するインパネやシート、オーナメント類といった1つひとつのパーツが高品質であっても、必ずしも上質さをユーザーに感じてもらえるとは限らないと加古氏は語り、連続性や一貫性、コントラストがコントロールされてこそ、上質で洗練された雰囲気につながることを学んだという。
ユーザーの感性に響くデザインや走りはもちろん、クルマをつうじて豊かなライフスタイルを提供することが自身の原点になっており、それはレクサスが目指す姿でもあるとコメント。そこから「UXと豊かな時間を過ごしてほしい」との思いが生まれ、UXの開発コンセプトとして「Creative Urban Explorer」という言葉を設定。この3つの頭文字である「CUE(キュー)」は英語で「きっかけ」を意味する言葉で、「このクルマが生活に変化を期待する人の背中を押し、豊かなライフスタイルを送るきっかけになってほしい」との思いを加古氏は語った。
開発で重視したのはレクサスのクルマ作りで哲学となっている「二律双生」。これによって相反する要素を妥協なく調和させていき、さらなる高み、新しい価値などを創造することを目指しているという。エクステリアデザインでは「安心感のあるタフな力強さ」と「俊敏な走り」を同時に予感させるプロポーションを目指し、インテリアでは「運転の高揚感」を演出するコックピット感と視覚的な開放感を両立。このためにインパネ上面を低く抑え、日本の建築思想にある「内と外を曖昧にする造形」に着想を得た抜けのよさや開放感を与えているという。
走行面ではドライバーの操作に対してシャープに反応することを目標に、「LC」から始まった「レクサスらしい、すっきりと奥深い走り」を継承。減速、旋回、加速をリズミカルにつなげていき、ライントレース性の高い気持ちのいい走りを目指しているという。これを実現するため、低重心・高剛性なGA-Cプラットフォームを採用し、レーザースクリューウェルディングや構造用接着剤の使用、リアハッチ開口部の環状構造化などでボディのねじり剛性を向上。さらにボディパネルではアルミや樹脂なども使い、軽量化と低重心化を推し進めている。
2種類のパワートレーンはいずれも新開発されたものとなり、ガソリンモデルの「M20A-FKA」型の自然吸気エンジンは世界トップレベルとなる最大熱効率40%を実現。このエンジンに発進用の1速ギヤを持つ新型CVT「Direct Shift-CVT」を組み合わせ、ダイレクトでスムーズな発進加速を発揮する。ハイブリッドモデルでは「M20A-FXS」型エンジンと「3MN」型モーター(E-Four車ではさらに「1MM」型モーター)を組み合わせ、モーターによるアシストやエンジン回転数の最適化などを図って気持ちのいい加速フィーリングを実現。さらにUXでレクサス初搭載となった「先読みエコドライブ」の機能によって優れた燃費性能を発揮するという。
最後に加古氏は「アクティブな日々の生活を楽しんでいただきたいという思いを込めてこのUXを開発しました。ドライブに出かける先に思いを馳せたりして、このクルマがお客さまの生活に変化をもたらす『CUE』になってほしいと願っています」と語って車両説明を終了した。
UXは兄貴分となるRXやNXと違う個性を持つクルマ
発表会後半に行なわれた質疑応答では、チーフエンジニアを務めた加古氏に、開発にあたって女性ならではと言えるような視点や考え方が入っているのかと質問され、これに対して「自分が女性であることを考えて仕事をするわけではありませんが、私がチーフエンジニアになってこだわったところは、私の身長でドラポジ(ドライビングポジション)を設定した時に気持ちよくドラポジがとれて、手を伸ばした時にそこに自然に操作系(のスイッチなど)があるようにレイアウトすることに非常にこだわりました。これまでに何人かの女性にすでに乗っていただいていますが、『座った時に初めて“自分のクルマ”って感じがしました』という感想もいただいています」と加古氏は回答している。
また、UXが参入するラグジュアリー市場にはすでに多数のSUVやクロスオーバーモデルが存在しており、競争の激しい市場でどのように独自性や存在感をアピールしていくのかについて質問され、それに対して加古氏は「おっしゃるように大変活況な市場で、この市場で独自の存在感を発信できるようなクルマにしたいと考えました。見た目ではこのように力強いクロスオーバー然としていますが、とにかく走りに妥協しない、運転して楽しいクルマという『二律双生』に取り組んでおります」と回答。
また、ターゲットユーザーについては「このクルマは幅広いお客さまにお乗りいただきたいカテゴリーのクルマですが、開発初期には『ミレニアル世代』と呼ばれる方々にインタビューなどをさせていただいて参考にさせていただいております」と加古氏が答えている。
さらに澤氏もUXのキャラクターに関する補足として「レクサスでは、初代『RX』が乗用車の乗り味を持ったクロスオーバーカーとして市場に初めて登場したモデルです。その後に全世界でこの市場になだれ込むような形になって今の活況な市場があるわけです。私どもの中ではRXの他にも「NX」と新しいUXがあり、この3車はSUVというよりもクロスオーバーカーになります。本格SUVとしては『LX』がございますが、都市部を軸足とした3車でレクサス独自の世界観を作っていきたいと思っております。中でもUXはRXやNXよりもヒップポイントを下げているということで、クロスオーバー市場に埋没しないプロポーションや乗り味を、兄貴分となるRXやNXと違う個性として工夫してきました」と解説している。
レクサスブランド内におけるUXの立ち位置については、「私ども(レクサス)は1989年に始まったばかりのブランドです。先を走るヨーロッパのラグジュアリーブランドの長い歴史に対してわれわれはまだ若いということで、性能では伍しても、世界観などは同じ土俵ではない、プロダクトラインアップの持ち方、サイズの持ち方などは欧州ラグジュアリーブランドとは一線を画すポジショニングやデザインをやってきました。それが結果的に、既存のカテゴリーではないクルマを求めているお客さまに買っていただいているのではないかと思っています。ラグジュアリー市場にもさまざまなお客さまがいらっしゃると思いますので、『若いレクサスブランド』としての独立性を打ち出して、これからもレクサスファンを広げていきたいと思います」とコメント。
「UXはレクサスに初めて乗るというようなお客さまを含め、幅広いお客さまとレクサスの新しい接点になるようなクルマとして、他社のお客さま、コンパクトで上質なものを望むお客さまも潜在的に多いと思いますので、そういった部分を切り拓いていくクルマだと思います」と回答した。