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アズミー、特殊車両の死角を監視する「安全AIカメラシステム」

協調安全領域を規定するSafety2.0 レベル1コンポーネント認証取得

 アズミーは5月19日、特殊車両向け「安全AIカメラシステム」を発売した。これは同社が注力するネットワーク不要かつ超低電力での動作を実現する組み込み型AI「Embedded AIシステム」の技術を搭載し、協調安全領域を規定する“Safety2.0 レベル1”コンポーネント認証を取得したもの。価格はオープンプライスで、年間約2000台の販売を目指す。

 同社では主力事業であるEmbedded AIシステムの社会実装を進めるための研究開発を行っている。安全AIカメラシステムはSafety2.0 レベル1認証エリアに展開できない未認証の特殊車両であっても、後付けで装着することで認証エリアへの展開が可能となるとしている。

Embedded AI

安全AIカメラシステムの概要

 特殊車両が活躍する現場など、クラウド型やエッジ型のAIシステムでは実現困難であった建築・建設現場や災害復旧現場、工場・倉庫内など、過酷な環境で使用する特殊車両においても、ディープラーニングの「認知・判断」能力を持たせて接触災害の低減や協調安全を実現可能。

 学習モデルを専用開発したSoCに焼き込み、ネットワーク不要かつ低電力動作を実現し、小型のハードウェアに実装できるEmbedded AI技術だけが持つ特徴を生かし、耐環境・安全性能、そしてAIに求められる検知能力を高度な水準で両立。ネットワークに依存しないことにより導入にかかるコストやランニングコストも他方式のAIシステムよりも安価に抑えられる利点があるという。

Safety2.0 レベル1コンポーネント認証を取得

 安全AIカメラシステムを既存車両に装着することで、特殊車両を保有するレンタル事業者でも独自にSafety2.0 レベル1認証現場向け車両へのアップグレードが可能となり、既存車両の価値を向上できる。導入事例として、清水建設の重機接触災害リスク低減システムに組み込み、災害低減の効果が認められているとした。

Seafty2.0 認証マーク

従来のセンサーシステムではできなかった人間の「認知・判断」能力

 特殊車両はオペレーターが多くの機械動作をコントロールしなければならず、どうしても車両周囲の状況を把握することが困難となる。特に側方や後方はオペレーターが振り向いて確認するか、カメラ映像などの限定された視覚に頼ることになり、確認漏れや見落としだけでなく、確認したオペレーターの勘違いなどにより、正しく確認動作をした後に接近してしまった人や車両に衝突する事故が絶えないという。

 そこで、安全AIカメラシステムは、これまでのセンサーシステムとは違い、検知エリアすべての対象物に対して警告は行なわず、人間と同じように検知エリアの「人・車両」に対して距離や接近速度などを「認知・判断」して、危険性を見分けて警告を行なうことにより、既存センサーシステムシステムでは実現できなかった高度な警告動作を実現する。

既存センサーシステムとの比較

Embedded AIによってキャリブレーションレス・装着が簡単

 従来のセンサーやアルゴリズムによる安全システムは非常に複雑なシステムが多く、専門業者による専門の機材を必要としたり、装着後に複雑な初期設定を行なわなければならないなど、多くの手間とコストが発生していた。しかし、Embedded AIは特徴点を認知するというディープラーニングの特徴を生かし、最低限の装着基準を満たせば所定の検知能力を発揮できる。これにより多くの形状の特殊車両で容易な装着を実現した。

安全AIカメラシステムに搭載される3眼カメラ

 安全AIカメラシステムは、3眼(左側方・右側方・後方)のAIカメラとそれぞれの警告ブザー(3か所)がセットとなり、それぞれのAIカメラを特殊車両の形態に合わせて単品(左側方・右側方・後方)で組み合わせて導入することも可能。

側方用のカメラユニットは車両の前後方向に長いエリアを危険領域として認知。オペレーターの死角となる後方からの人や車両の接近に対して警告動作を行なう。対してオペレーターの死角ではない前方からの接近は視認できており安全なため、警告動作はしない
後方用のカメラユニットは、検知領域全般において危険を認知。検知範囲へ近づく人や車両の接近と検知内の動きに対して警告動作を行なう。対して、検知範囲から遠ざかる場合は安全なため警告動作を止め、過剰な検知を防ぐ
すべてのカメラユニットは、それぞれ危険を検知した場合に付属のブザーユニットからの警告音だけではなく、さまざまな警告用の機器との連携も可能。警告ライトやビームライトの点灯・点滅と連携することで、オペレーターだけではなく危険範囲に入った作業者へも退避警告を行なうなどの運用も可能となる
後方用のカメラユニットが危険を検知した場合、車両の発進抑止に利用することも可能。検知範囲から危険が排除されるまで車両の発進を抑止することで発進前の安全確認忘れや見落とし、不意の近づきなどにも安全側へ対応させることが可能となる

2次災害事故防止

2次災害事故防止

 安全AIカメラシステムは、走行・動作中に検知動作を停止する仕様となっている。これは、オペレーターだけが「安全行動」をしなければならないという安全管理上の間違いを防ぐ目的の仕様だという。

 例えば走行・動作中に検知があった場合に緊急停止するというルールを現場導入した場合、荷役品が落下災害をおこしたり、登坂中に動力が無くなり滑落するなど、他の危険からの回避ができなくなる事例が多数報告されているためだという。

 このような、より深刻な2次災害事故を防止するため、走行・動作に至った場合はオペレーターの判断を優先するように設計。AIは万能ではないので、必ず安全管理の原理原則に立ち戻り、機械が走行・動作中の場合は回避行動を取りやすい作業員側が機械の周囲に近づかない「安全行動」を行なうよう促している。

AIは広い検知範囲が期待でき、複雑な設定も不要で取付作業も簡単

 ディープラーニング技術の学習によって得られた推論(アルゴリズム)であるAIは、「人・車両」などの対象物の特徴を見分けるため、従来のセンサーシステムのような初期設定など面倒な作業が不要となる。

 また、社内整備士や従来の整備業者でも簡単に取付作業が可能で、小型車両から大型車両既存車両まで現場の運用に合わせて、柔軟に認知・判断能力を持ったシステム構築が可能だという。さらに、既存センサーシステムのアルゴリズムの弱点であった検知条件から外れてしまい検知不能となる状況でも、認知可能な限り検知し続けられるのも特徴だとした。

検知範囲
検知対象

警告音と警告画面

 警告は音だけでなく、画面でも分かりやすく伝えてくれる。

Safety2.0 レベル1 コンポーネント認証取得。先進の安全AIカメラシステム【ACUC-0002】登場(3分12秒)