ニュース

新型車「GRヤリス」のスポーツ4WDシステム「GR-FOUR」にジェイテクトの4WD車用電子制御カップリング採用

「RZ“High performance”」の車両前後に「トルセンType-B」採用

2020年9月23日 発表

GRヤリス(ミッドランドスクエア・トヨタ自動車ショールームにて撮影)

 ジェイテクトは9月23日、トヨタ自動車の新型車「GRヤリス」に、ジェイテクトのトルセンLSDと4WD車用電子制御カップリング「ITCCR」が搭載されたと発表した。

「RZ“High performance”」の車両前後に「トルセンType-B」採用

 今回、GRヤリス「RZ “High performance”」の車両の前後には、同社の「トルセンType-B」が採用された。採用されたトルセンType-Bは、GRヤリスの使用環境下に適用するため、高強度・高容量化を図り、より高いレベルのスポーツドライビングに応えるという。

 トルセン(TORSEN)は、自動車の旋回時に左右輪もしくは前後輪のトルクを最適配分する駆動装置であるLSD(リミテッドスリップデフ)の一種。ヘリカルギヤを用いて差動制限を行なうLSDとして高いトルク配分性能と高耐久性を誇るジェイテクトのNo.1&Only One製品の1つ。現在では主に四輪駆動車に搭載され、前後輪のトルク配分を行なう「トルセン Type-C」と、スポーツタイプの後輪駆動車をはじめ前輪駆動車にも搭載され主に左右輪のトルク配分を行なう「トルセン Type-B」を日本、ベルギー、アメリカで生産しているとしている。

トルセンType-B フロント用イメージ
トルセンType-B リヤ用イメージ

スポーツ4WDシステム「GR-FOUR」の構成部品として4WD車用電子制御カップリング「ITCCR」を採用

 また、GRヤリス「RZ」「RC」に採用されているスポーツ4WDシステム「GR-FOUR」の構成部品として、同社の4WD車用電子制御カップリング「ITCCR」が搭載された。GRヤリスの使用環境下に適応するため、高温対応、高容量化を図り、ドライブスタイル、路面状況に応じた前後トルク配分のコントロールに貢献しているという。

 ITCCR(Intelligent Torque Controlled Coupling)は、電子制御により駆動力を連続的に可変して伝達するカップリングで、通常は四輪駆動車のリヤディファレンシャルとプロペラシャフトの間に搭載され、前後輪の駆動力を連続的に可変することで、高い燃費効率と優れたトラクション性能を両立する装置。

 そのコアとなる技術は、シリコンを含有したダイヤモンドライクカーボン(DLC-Si)という、ダイヤモンドに近い特性を持ち、摩耗に強い非結晶の炭素を数ミクロンの膜として被覆した電磁クラッチと専用開発のフルードであり、小型で優れた耐久性と静粛性を併せ持っているという。

ITCC製品イメージ

 このように「モータースポーツ用の車両を市販化する」という逆転の発想で開発した「GRヤリス」の高レベルのスポーツドライビング実現に貢献。ジェイテクト駆動事業では、TORSENをはじめさまざまな駆動製品の研究開発をすすめることで、スポーツカーの走行性の向上に加え、乗用車の安全性向上、環境性向上を進めるともに、商用車への技術展開や次世代自動車への技術貢献することができる、No.1&Only One の製品づくりをすすめていくとしている。