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ホンダF1山本MD、アメリカGP表彰台からの景色に「感無量」
2021年10月25日 11:58
- 2021年10月22日~24日(現地時間) 開催
F1第17戦アメリカGP、レッドブル・ホンダのフェルスタッペン選手が優勝
F1第17戦アメリカGPが10月22日~24日(現地時間)、テキサス州オースティンにあるCOTA(Circuit Of The Americas)で開催され、10月24日(日本時間10月25日早朝)に行なわれた決勝レースでは、レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)が、追いすがるメルセデスのルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)を僅差で振り切って優勝した。
さらにレッドブル・ホンダのもう1台セルジオ・ペレス選手(11号車 レッドブル・レーシング・ホンダ)も3位に入り、フェルスタッペン選手はドライバー選手権でのリードを拡大し、レッドブル・ホンダはコンストラクターズ選手権において首位のメルセデスとの差を縮めることになった。
F1第17戦アメリカGP、レッドブル・ホンダのフェルスタッペンが優勝 メルセデスとのシリーズポイント差を拡大
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1360906.html
レース終了後に行なわれた表彰台のセレモニーにはホンダF1 マネージング・ディレクター 山本雅史氏が登壇し、コンストラクターの「レッドブル・ホンダ」を代表して優勝のトロフィーを受け取るシーンが見られ、ホンダの第2の地元と言える米国では、1991年アメリカGPで故アイルトン・セナが優勝して以来の優勝に華を添えた。
そうしたセレモニーの終了後には、その山本MD、そしてホンダF1 テクニカル・ディレクターの田辺豊治氏によるオンライン会見が行なわれたので、その模様をお届けしたい。
延べ40万人という大観衆を前にホンダの代表者が表彰台に立ったのはホンダ・ファンへの感謝の表現と山本MD
──表彰台からの景色はどのように見えていたか? また、今日のレースを振り返っての感想をお願いしたい。
山本MD:今週のアメリカGPは、お客さまをフルに入れていて、延べ40万人というお客さまに入っていただいていた。その中でゴール後にはホームストレートにお客さまがなだれ込んできて大勢入ってきていたので、ポディウムから見える景色は感無量の一言に尽きる。
今日のレースは、スタートこそホールショットはハミルトン選手に奪われたが、1回目のピットストップでアンダーカットを成功させたことも含めて戦略勝ちだったと言える。あとはフェルスタッペン選手が本当にタイヤのマネージメントをしながら最後までキープすることができたというレースだった。今シーズンで一番、よい意味で疲れたというレースだったと思う。フェルスタッペン選手の走りには感銘を受けたし、ペレス選手のプッシュも含めてレッドブルの総合力で勝ったレースだと思う。
──どういう経緯で表彰台に登ることになったのか?
山本MD:実はまだそれはよく分かっていない。レース後にいきなりクリスチャン(クリスチャン・ホーナー氏、レッドブル・レーシング代表)が表彰台は山本行ってくれと言ってくれたのが最初で、そのまま(よく分からないまま)向かうことになった。次のメキシコGPまでにどういうことでそうなったのか聞いておきたい(笑)。
──表彰台は山本氏が感極まっているように見えたが……。
山本MD:ホンダを代表して、レッドブルの感謝の気持ちを表現したいということだったと理解している。ただ、一番はPUを開発してくれているHDR Sakuraのメンバーやホンダを応援しているファンの皆さまへの感謝をレッドブルが表現してくれたのではないかと思う。とにかくポディウムからはすごい数のお客さまが入っているように見えてすごかった。
これからの5レースでは1ポイントも落とすことは許されない緊張感のあるレースが続く
──それでは田辺TDより今日のレースの振り返りを。
田辺TD:フェルスタッペン選手はポールポジションからスタートしたが、スタートではハミルトン選手に先に行かれてしまった。しかし、レッドブルの早め早めのピットインという戦略がうまくはまり、タイヤのマネージメントもしっかりやって押さえきって優勝することができた。よい戦いができたというのが感想だ。
セルジオ・ペレス選手もその2台には離されてしまったが、確実に3位を獲得し、レース中にもハミルトン選手への牽制としても機能するなど、レッドブル・ホンダとしてチーム力を発揮したレースだった。
アルファタウリ・ホンダの2台は予選からよいクルマに仕上がってきており、序盤二人ともいいところを走っていた。しかし、ガスリー選手は足回りのトラブルでリタイアになってしまったのは残念だった。しかし、角田選手は予選順位(10位)から1つ順位を上げて9位入賞。生き残った3台でよいレースをすることができた。
残り5戦になったが、まだまだ長く厳しいシーズンが続くことになると思っている。ここからは1つ1つ、1ポイントでも取り損なうと取り返しがなかなか効かなくなる。次のメキシコでは高地でのレースとなり、空気が薄いなどの特徴があるので、セッティングやエネルギーマネージメントを含めて最適化を行なっていきたい。
──アンダーカットという戦略面で、ここは燃費がきついと思うが、アンダーカットするには燃費を稼がないといけない。ホンダ側として特別な対応はあったか?
田辺TD:フリー走行などの機会で事前に試している。タイヤの摩耗や、リフトオフ、エネルギーマネージメントのセッティングなどいろいろなセッティングを試せたので、それらをレース中に組み合わせて使えていた。
──ホンダとしてもやりきったというレースか?
田辺TD:いつもやりきっていると思ってやっている。
──山本MDがトロフィーを受け取ったが、これまで田辺氏も2度ほど表彰台にあがりその役目を果たした。今回初めてホンダのスタッフが受け取るのを表彰台の下から見ていたと思うが、その感想を教えてほしい。
田辺TD:レッドブルと一緒に2019年から今年までやってきて、これまで2度ほど私を表彰台に送り出してくれた。今回は山本ということだが、前回のトルコGPでの白いカラー、そして今回のアメリカGPではアキュラのブランドロゴをつけて走ってくれた。そうしたことから、ホンダとレッドブルががっちり手を組んでやっており、またレッドブルがホンダに敬意を払ってくれているのだとさらに感じた。
──レッドブル・レーシングのホーナー代表は、メルセデスにはダウンフォースを軽減させる何らかのトリックがあるのではないかと発言していたが、ホンダの見解は?
田辺TD:ストレートの加速およびトップスピードは、パワーユニットの性能に直結しているので注視はしている。低速や中速でクルマが曲がらない場合にはダウンフォースをつける、逆にそれがよい状態ならダウンフォースをつけるというのが基本的な考え方。クルマのパッケージ(筆者注:シャシー+パワーユニットのこと)としてみていくと、おしなべてトップスピードで負けているのでは?と思っている。それがライバルの車両で何かの工夫をしていて、それが合法かそうではないかは、ホンダがコメントすることではないし、分からないのでチームに確認してほしい。
──アメリカGPは2年ぶりの開催で、今回はアキュラのロゴを背負って走った。1991年以来30年ぶりのアメリカGPの優勝をした感想は?
田辺TD:ホンダとアメリカの関わりには長い歴史がある。ホンダはアメリカでのブランドとして多くの方に愛されており、アキュラの認知度も高い。その昔(筆者注:第2期F1でのマクラーレン・ホンダ時代)、われわれのドライバーがバイザーにアキュラのロゴをつけて走ったことがあったが、今回も多くの歓声をいただき、そうしたホンダやF1を愛してくれているファンの皆さまの前でよいレースを見せることができてうれしく思っている。
今回レッドブル・ホンダは、ドライバー選手権でポイントリードを拡大し、コンストラクターズ選手権では首位メルセデスのリードを削り取って差を詰めるという、上々の結果だったと言える。田辺氏の言うとおり、残り5戦という状況の中で、1回でもリタイアでノーポイントということになれば、一挙に逆転され、差が広がってしまうという真逆な結果になってしまうため、これからは確実に取れる最大ポイントを着実に獲得していくことが重要だ。その意味で、メルセデスは今回バルテリ・ボッタス選手のエンジンを交換したことで、5グリッド降格ペナルティを受け、それが主な要員になり9位スタートで6位になった。逆に言えばそうしたミスをレッドブル・ホンダ側はしてはいけないという意味であり、今回のようなレースを繰り返していくことが悲願のチャンピオン獲得には重要な要素となるだろう。
来週末の11月5日~11月7日にはメキシコGPが開催される予定だ。昨年グランプリウィナーになり、今年も一勝を挙げているレッドブル・ホンダのセルジオ・ペレス選手の地元レースで、レッドブル・ホンダに対しては大きな声援が寄せられるレースになるだろう。ぜひそうしたペレス選手の地元レースで、レッドブル・ホンダ初の1-2フィニッシュを期待したいところだ。