トピック
200系ハイエースの“乗り心地”と“ステアフィール”を向上するGenb新製品「MCBフロントシートフレーム」を試してみた
- 提供:
- SPK株式会社
2024年11月28日 00:00
力をいなすMCB(モーションコントロールビーム)
荷物がたくさん積めて、無骨な見た目もイケてるハイエース。そのタフさやリセールバリューの高さも相まって、いまや“趣味の相棒”としても人気を集めているのはご存じの通りだ。
ただそんなハイエースにも、乗用車として使うには弱点もある。“働くクルマ”としての能力を最優先した作りから、端的に言って乗り心地はあまりよくないのだ。またワゴンやSUVと比べてしまうと、操縦性が高いとは言い難い。
そんなハイエースのドライバビリティを改善するために、チューニングショップからいまやパーツ開発メーカーにまで成長したムーンフェイスが、新たな一手を投じてきた。
それが、今回紹介するハイエース用「モーションコントロールビーム(MCB)フロントシートフレーム」だ。
MCBは、自動車部品メーカーである「アイシン」が開発した、車体補強ビーム。シリンダーにロッドを組み込む自動車用モディファイパーツは、オイルダンパーとリバウンドスプリングからなる構造で車体の振動を吸収・減衰する製品もあるが、MCBはスプリングと摩擦機構を用いているのが特徴だ。
具体的にはケース内のスプリング機構がボディの変形に際して伸び側で反力を発生させてこれを抑制し、摩擦機構がダンパーの役目を果たして入力振動やスプリングの振幅を吸収・減衰してくれる。
果たしてその違いがどのように出るかも、筆者としては興味津々だった。
ハイエースのシートレールを「MCB」でつなぐと乗り味に違いが!?
試乗車は、現行ハイエースのナローボディ。エンジンは2.0リッターのガソリン仕様で、駆動方式は2WD(FR)だ。
試乗はまず“素”の状態で行ない、その後MCBフロントシートフレーム(全長が300mmのショートタイプ)を取り付けて同じ道を走った。
フロントのシートレール間に共締めするだけとあって、取り付けはアッという間だ。ムーンフェイスがその取り付けに慣れているのは当然だとしても、特別難しい調整もないため15~25分あればできてしまう作業だという。
ファクトリーを出て、街中から幹線道路へ。そして最後は高速道路を試乗して、再び同じ道を逆に帰った。
感心したのは、まずシートの振動が見事なまでに減衰されていたことだ。助手席に乗っていた編集部員はいじわるく、試乗中シートレール間の床に手を触れながらその比較をしていたのだが、「MCBフロントシートフレームを付けたらフロアのブルブルがなくなった!」と驚いていた。さらに段差を乗り越えたときや、路面からの突き上げに対しても、乗り心地がよくなっていた。
そして、明確にステアフィールが向上していた。
操舵初期の手応えがハッキリするようになったことで、街中でも操作性が向上して、曲がり角ひとつ曲がるだけで運転しやすくなっているのが分かるのだ。またカーブでも狙いが付けやすくなるから、ハンドルを切る量が少なくなった。
一番のメリットは、高速巡航で直進安定性が増したことだろう。そしてレーンチェンジの際も、操舵感が手のひらに伝わるようになったから、切り始めがリニアになった。また、レーンチェンジしたあとの“戻し”も、的確に修正舵を当てることができた。
フロントシートのレールを橋渡しするだけでこれだけの効果が得られるのは、ハイエースがキャブフォワード構造を採っているからだ。シートの下にはエンジンが収まっており、メンテナンスホールが大きく口を開けている。
また阿部代表いわくその直下にサブフレームがあるから、足まわりがよく動くようになる。「ここに付ければ効果が出るのは、分かっていた」のだという。開口部のゆがみが減ったことでシート下の振動が抑えられ、ステアリングからの入力に対しボディがゆがみにくくなり、操舵応答性がよくなったというわけだ。
一方で停車時にステアリングシャフトから伝わるエンジン振動は、若干大きくなったと感じた。試乗車はガソリンエンジンだったが、ディーゼルだともう少しその振動はダイレクトになるかもしれない。
ただ走り出せばエンジン回転が上がりその振動もなくなっていくから、筆者がどちらを取るかと問われたらMCBフロントシートフレームを選ぶ。特に長距離を走るドライバーには、このステアリングの安定性と操作性のよさはお勧めだ。疲労の度合いが、かなり違ってくるのではないかと思う。
さらにムーンフェイスでは、今後ハイエース用にフロア下のセンターおよびリアに装着するMCB製品の発売を予定しているといい、今回はその効果をジムニーで体験できた。
MCBの効果をジムニーでも体験してみた
ちなみにMCBを装着したジムニーの試乗記は、すでにレポートされている。ではなにゆえ再びこれを試乗したのかと言えば、前回は「20mmアップ」のスプリング装着車だったのに対し、今回は「30mmアップ」となっていたからだ。
阿部代表いわく、「30mmのハイリフト化は、ノーマルダンパーのままでもバランスを崩さない、もっとも車高が高い仕様」だという。
取り付け箇所は、ラダーフレームの前側に全長300mmの「MCB」、後側に全長600mmの「MCB」を専用ブラケットを使用しながらリーディング&トレーリングアーム間を橋渡しするように共締めする。まさにラダーフレームを補強して、サスペンションの動きをスムーズ化するイメージだ。
ということでまずMCBなしでハイリフト仕様となったジムニーに試乗してみたが、これはこれでわるくない。いやむしろ、楽しい仕様に仕上がっていると筆者は感じた。
まずなにより気持ちがよいのは、見晴らしがいいことだ。
対してその足まわりはスプリングも1割ほどバネレートが高められているから、ロールも思った以上に抑えられており、街中はもちろん高速巡航でも、特別扱いにくさは感じなかった。
また今回はバンプタッチするほどの激しい路面の起伏や、高い荷重が掛かるようなカーブはなかったが、こうした場合でも二重構造を採用したオリジナルの青いバンプストッパーが、底突きを抑えながら車両姿勢を保ってくれるのだという。
要するにこのままでも十分気持ちいいジムニーに仕上がっていたのだが、MCBを付けるとその走りは、さらに楽しさが底上げされた。
具体的には操舵応答性がリニアになり、その操作感がとても滑らかになった。前回の試乗記事にもあったが、まるでタイヤやダンパーが、ワンランク上がった感じだ。
乗り心地に関してはコンフォートになったというよりも、剛性感が上がって、“いいクルマ”になったという感じ。だから高速巡航でも、きちんと踏める。レーンチェンジも頼もしく、積極的に走りたくなるのだ。だから筆者も思わず、ジムニーが欲しくなってしまった。もちろん、このハイリフト仕様でだ。
ボディの変形を抑えることで上質な走りを実現するMCB
ジムニーの試乗を通して確認できたのは、MCBが車体剛性を引き上げてくれるパーツだということ。もちろん樹脂性パーツを摺動させる摩擦機構がダンパーの役目を果たしているから、振動に対する減衰効果もきちんとある。しかしその主な効果は、ボディの変形を抑えることにあると筆者は感じた。その結果サスペンションがきちんと動くようになり、操作性と乗り心地がよくなるというイメージだ。
翻ってハイエースにも、センターおよびリア用のMCBが装着されたら、その操作性や直進安定性がさらによくなるだろう。サスペンションがきちんとストロークするようになった結果、乗り心地もよくなると思う。
ぜひ全てのMCBがそろった暁には、ハイエースで長距離を走ってみたい。どこまでも走り続けたくなるハイエースができたとしたら、それってすごいことだと思わず期待してしまう。
Photo:佐藤安孝(Burner Images)