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「2017年 レーシングミク」はTony氏デザイン。グッドスマイルレーシング SUPER GT参戦発表会
個人スポンサー制度に「ふるさと納税コース」追加
2016年12月26日 14:58
- 2016年12月23日 開催
SUPER GTのGT300クラスに参戦するグッドスマイルレーシングは12月23日、2017年のチーム体制に関する参戦発表会を東京 秋葉原で開催。初音ミクGTプロジェクト10周年となる2017年度のチーム体制は以下のとおりだ。
エントラント名は「GOODSMILE RACING&TeamUKYO」エントラント代表は安藝貴範氏(グッドスマイルカンパニー 代表取締役社長)。監督は片山右京氏(Team UKYO 代表)が務め、ドライバーは谷口信輝選手、片岡龍也選手が続投。なお、このチームではマシンデザインなどを手がけるアートディレクターというスタッフを設定しているが、こちらも引き続きコヤマシゲト氏(キャラクターデザイナー、メカニックデザイナー)が手がけている。
参戦車両は2016年から導入したメルセデス・ベンツ Mercedes-AMG GT3。車両名は「グッドスマイル 初音ミク AMG」でゼッケンは4。タイヤは横浜ゴムを使用。車両メンテナンスはRSファイン(代表:河野高男氏)が行なう。このようにチームスタッフ、車両ともに2016年と変わらぬ体制で2017年のシリーズチャンピオンを目指すことになる。
さて、グッドスマイルレーシングと言えば、チームのシンボルである「レーシングミク」のイラストを誰が描くのかが毎年の話題だが、2017年シーズンはゲームなどの美少女イラストで国内だけでなく海外でも人気の高いイラストレーター「Tony氏」が手がけることが発表され、壇上で「レーシングミク 2017Ver.」のキービジュアルイラストが公開された。
このレーシングミク 2017Ver.のイラストはコヤマシゲト氏によってマシンにデザインされるが、その姿は2017年2月19日に幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で開催される「ワンダーフェスティバル2017[冬]」のグッドスマイルカンパニーブースで公開される予定だ。
2017年の概要に続いて、発表会で登壇した主要メンバーのコメントを紹介する。まずはエントラント代表の安藝貴範氏から。「2016年は悔しい結果でしたが、チーム体制には自信を深めた年でもありました。それだけに、2017年度も替わらないメンバーでいきたいと思います。また、初音ミクGTプロジェクトはファンのみなさまに支えられて10シーズン目に入ります。これはなかなか大変なことですし、この体制が続けられることを非常にうれしく思います。10周年目はチャンピオンを目指していきたいと思いますので、変わらぬ応援をよろしくお願いします」ということだ。
次は片山右京監督のコメントだ。「このプロジェクトに参加をして7シーズン目に入ります。そのあいだ、2回のタイトルを取れたことは光栄なことではあるのですが、2016年シーズンは今までで一番勉強になった年だったという印象です。今のGT300クラスは国内外の(FIA)GT3マシンにJAF-GT、それにマザーシャーシといろいろなクルマが参加し、そこに性能調整もあるなどタイトル争いをすることが難しいレースになっています。それに加えて今年のレースはセーフティカー導入のタイミングなどに運がなかったことなどにも苦しめられましたが、そのなかでもタイトル争いをしていたことから得るものもありました。また、厳しさのなかでも存在感を出せたのはチームの戦力の高さの表れと自負しています。初音ミクGTプロジェクト10年目になる2017年は、気持ちも改めて新しい戦いをしたいと思います」と、2016年が苦しい年であったことと、来年への決意が語られた。
続いてはドライバーの2人からのコメント。まず谷口選手は「今年のレースを振り返ると、我々のマシンにとってレギュレーションが厳しく、あまりというか全然トップ争いができなかったシーズンでした。ボクはこのチームに入って来年で7年目となりますが、2011年と2014年にチャンピオンを獲らせていただきました。2011年はレギュレーションが有利だった面もありますが、2014年は片岡選手と一緒になんとかもぎ取ったチャンピオンであると思っています。そして2015年、2016年と苦しいシーズンになりました。しかし、2017年も引き続き申し分のない体制でやらせてもらえるということで、来年こそ王座を取り返し、悔しい思いを返上したいと思っています」とコメントした。
片岡選手は「今シーズンは力を出し切れていなかったこともあったし不運もあったりと、ひと言で言うと“面白くない”シーズンでした。来年に関しては、クルマのレギュレーションがどういうものになるかはとても気になるところですが、自分たちとしては変わらぬチーム体制を強みにして戦っていきます。それに来年はさらにスピードにこだわっていき、予選から前に行けるようなレースを見せていきたいです。気心のしれたチームですが、だからこそ気を引き締めて、2017年はなんとしてもチャンピオンを獲るよう頑張っていきます。応援していただいているみなさんには、引き続きよろしくお願いします」と、こちらもシリーズチャンピオン獲得を念頭に置いたコメントとなった。
最後にマシンメンテナンスを手がけるRSファインの河野氏のコメントは、「2016年から使用しているクルマはシェイクダウンからポテンシャルの高さを感じていましたが、上手くセットアップしていくことができず非常に苦しい思いをしてきました。それでもドライバー2人の力で引っ張っていってはもらったのですが、悔しい思いをしたレースが多かったのも事実です。それでも後半に入るとクルマのバランスも取れてきて、AMG-GTのいいところも少しづつ分かってきましたが、満足する結果が出せないままシーズンが終わりました。来期は今年のデータも生かしてクルマに仕上げて開幕戦から勝ちを狙い、そしてチャンピオンを獲るということに向けてチーム一丸で頑張っていきたいと思っています」とのことだ。
主要メンバーの挨拶が終わったあとは、チームのシンボルである「レーシングミク」について発表が行なわれた。安藝代表からレーシングミク 2017Ver.を担当するイラストレーターとして紹介されたのは、ゲームなどの美少女イラスト界では日本国内だけでなく海外でもその名を知られるTony氏。安藝代表からは「10周年ということもあり、世界へ羽ばたくレーシングミクを目指すということからTonyさんにお願いをしました」と、Tony氏に依頼をした理由が語られた。
Tony氏からは「背中に蝶の羽をまとっているかたちになっていまして、これは妖精をモチーフにしています。会場に展示されたパネルはみなさんに見ていただくためにかなり大きな絵になっていますが、描いているイメージは童話などで出てくるような、身長が10cmくらいの小さくて可愛らしい妖精ですので、そのように捉えていただければと思います」と解説された。
レーシングミクの紹介が終わったあと、2017年度のスポンサー企業と、グッドスマイルレーシングの特徴である個人スポンサー制度についての紹介が行なわれた。今回からは個人スポンサー制度に、グッドスマイルカンパニーの国内工場がある鳥取県倉吉市とのコラボレーションによる「ふるさと納税コース」が新設。金額は2万5000円と5万円の2種類4通りのコースがある。それぞれに倉吉市が誇る美味しい食材とグッドスマイルレーシンググッズが贈呈品として渡される。この募集は12月26日からスタートし、年内に応募すると2016年の確定申告の控除対象になる。詳細はグッドスマイルレーシングのWebサイトで確認していただきたい。
発表会終了後、安藝代表にこのチームの運営上で一番の特徴である個人スポンサー制度について質問してみた。
安藝代表は「企業スポンサーさんからの出資で年間の運営費をまかないレースをするというのがプロチームの基本的なやり方ですが、我々はそれに加えて個人スポンサーと呼ばれる個人の方々からの応援もいただいてレースをやっているというスタイルです。今はクラウドファンディングという言葉が流行していますが、ボクらはその言葉ができる前からそういうスタイルをとっています」とのこと。そして「企業スポンサーさんだけに頼らず、ファンの方といっしょにレースができるというのは、ほかのチームより有利であるかもしれません」とのことだった。
続けて「この個人スポンサー制度が始まったのはチームができて2年目くらいからで、一時はブームのような状況になり多くの方にご協力いただきました。今は落ち着いていますが、それでも約1万人の方に支えてもらっています。これだけ大勢のファンの方に長年協力してもらうことはとても光栄なことで、我々はその気持ちに応えるために、情報発信やイベント開催など、ファンの方々と会話をすること、いっしょに過ごすことを大事にしています。それに応援するからには勝ってほしいと思っていただいていると思いますので、ファンの方が“このチームは勝ちに向かっていて、チャンピオンを目指しているんだ”と感じてもらえる姿勢を見せていくことも必要です。常に“ファンのために僕たちは勝つんだ!”という気持ちを持っているからこそ、みなさんは応援してくれているのだと思っています」と語られた。
ちなみに、グッドスマイルレーシングにはファン対応を行なう広報チームもあるが、安藝代表は「うちは全員がファン対応要員みたいなものです」とも口にしている。