F1カメラマン熱田護の「気合いで撮る!」

第123回:2025年シーズン総集編! 取材レースを写真とともに振り返ります

 2025年シーズン、僕は全24戦中20レースを取材しました。各1枚ピックアップして振り返ろうと思います。レース内容とはほとんどリンクしないですけどぜひ読んでみてください。

 トップの写真は開幕戦、オーストラリア。角田選手はRBに乗っていたんです。

 なんだか、ずいぶん昔のことのように思えますが、まだ最近のことなんですよね。F1の時間軸はとても早く時が流れていくように思えます。

 第2戦中国GP。

 レッドブルのセカンドシートはローソン選手でした、彼自身2戦目のレッドブルでの予選はなんと最下位。

 この写真はレースの20番グリッドでマシンを降りた直後。このとき、グリッドでローソン選手のことを撮っていたのは僕だけでした。

 グリッドの撮影では、撮影できるドライバーの数は多くありません。なぜならば降りるタイミング、乗るタイミングは皆同じですので、撮影できるのは多くて3人ほどです。

 では、なぜ僕はローソン選手を撮りに行ったのかと言えば、実力とマシンの能力を考えれば最下位であるはずなく、でも結果的に最下位になってしまった彼の表情を撮りたくて行きました。

 グリッドでは淡々としていました。しかし、おそらく大きなフラストレーションを感じていたと思います。

 レースは12位でした。そして次の日本GPでこのシートは角田選手のものとなりました。その交代は、ローソン選手にとってみれば「なんで??」という感じではなかったでしょうか?

 F1ドライバーであれば、誰もが得たいと思うシートの1つがレッドブルだと思います。ですので、もちろんオファーがあれば断る若いドライバーはほとんどいないのではないでしょうか?

 だがしかし、乗ってみると乗りこなすのは簡単ではないという現実。なんと厳しい世界でしょう。

 そして、交代した角田選手が乗ったのは日本GPスペシャルカラー!

 これが素晴らしくきれいでしたよね! ツヤありメタリック白&赤でした。

 僕個人的にはノーマルのレッドブルのカラーリングは全然好きではありません。だって写真映えしないんですもの……。でも好きな人がたくさんいるのは知っていますよ。でも好きじゃない。このカラーリングでずっと走ってほしい!

 ハースは開幕戦を除いて、この第4戦のバーレーンまで大量のポイントを獲得していました。

 小松さんの目標ランキングは6位。この勢いはいけちゃうんじゃないの!? って感じでしたけどね。まあ、そうはいきませんでしたけれど……。

 中段勢の戦いは熾烈を極めていくのです。そういう意味では、各チームのマシンの差が本当に微差であった2025年というのは稀に見る面白いシーズンだったのではないでしょうか?

 第5戦、サウジアラビアGP。ピアストリ選手の優勝。シーズン3度目の優勝です。

 マクラーレンが圧倒するレースが今シーズンなんだと思い始めたのがこの頃。そのマクラーレンの2人の共通点として、レースに勝っても嬉しそうではない、いや嬉しいのだけれど、その喜びがあまり派手ではない。嬉しいのが普通で、その喜びの素顔を撮りにパルクフェルメを楽しみにしていたというこれまでの流れとは違う流れが見えたのが今年でした。

 人それぞれ、その喜びの表現方法はあるというのは理解しているのですが……様子をみてみましょう。

 第6戦マイアミは物価高騰のためお休み。次のレースは第7戦エミリア・ロマーニャGP。イモラサーキットです。

 この地に来れば、どうしたってセナ選手のことを想ってしまいます。31年経ってしまいました。

 第8戦モナコGP。スタートはこの場所から撮りました、ここはずいぶん前に佐藤琢磨さんに教えてもらった場所です。天気もよかったし絶景でした。

 第9戦スペインGP。優勝したピアストリ選手の両隣のカメラマンの表情が面白い。

 右側はマクラーレンの写真を撮っているティーさん。撮らなくていいんだ……という驚き。左側は知らない若いカメラマン、レンズが長すぎて撮れないのかな?

 まあ、カメラマンもいろいろ。

 第10戦カナダGP。レース終盤に最終コーナーの立ち上がりで無理っぽい追い抜きをかけて接触してピットウォールにぶつかってそのまま、ガガガーと1コーナー手前まできて止まりました。

 こんなレースをしているようではチャンピオンは取れないよ……って思いましたけど、チャンピオン取れましたね……。すみませんでした。

 第11戦オーストリアGP。

 スタートの2コーナーでアントネッリ選手のミスでフェルスタッペン選手に追突。両者リタイア。

「すみません、ぶつけてしまいました……」「ん? なんだって?」という感じでしょうか?

 この時は、あ〜フェルスタッペン選手のチャンピオンの可能性は無しになった……って思ってしまいました。そんなことなかったですね、すみませんでした。

 第12戦イギリスGP。3位表彰台に、なんとヒュルケンベルグ選手!

 条件が整えばやれるということを示してくれました。素晴らしい。

 第13戦ベルギーGP。

 皆さんご存知、スパ・フランコルシャンと言えば、オールージュ。この坂をどのように撮れば、あの急坂を表現できるのか? と毎年思うのですが、写真とかテレビでは伝わりませんね。その場所に実際に立って、マシンが駆け上がっていく様を肉眼で見てもらうほかはないのではないかと最近思います。

 ぜひ、行ってみてください。レースが好きな人であれば、必ず感動できると思います!

 第14戦ハンガリーGP。

 目力最強のサインツ選手、ウイリアムズに移籍して大活躍の1年でした。ランキング9位。ウイリアムズの躍進も素晴らしかった!

 第15戦オランダGP。

 毎年超満員のグランプリなんですが、2026年で終了となります。フェルスタッペン選手もいるし、満員でも継続できないとはいかに!

 写真を撮る立場からすると無くしてほしくないサーキットです。マシンまで近いし、金網も少ないし、アップダウンもあるし、バンクまである。天候もコロコロ変わるし。いいことばかり。続けてほしい!

 第16戦イタリアGP。

 このアレジさんが乗ったフェラーリの音が良すぎて感動。

 イタリアのコラムでも書きましたけれど、PUメーカーにとってF1に参戦するためにはその意義が必要だというのも分かります。でもね、モータースポーツたるもの高い入場料を払ってサーキットに脚を運ぶ多くのお客さんは、その別世界の雰囲気を感じたいから来てくれると思うんです。その大きな要素にマシンのスピードもありますけれど、排気音というのは非常に大事なアピールポイントだと思うのです。

 このときのアレジ選手の数ラップを聞いたティフォシたちは幸せだったと思います。透き通ったV12の音は、どうしたって最高です! V12とは言いません、V10でいいじゃないですか! ダメですか?

 開発費、安くできますし軽くできますし、なんなら一般車にも流用できますし、燃料を環境にいいの使えばいいじゃないですか? ダメですか?

 第18戦シンガポールGP。

 絵になります、そこにいるだけで絵になります。ルクレール選手。

 チャンピオンになりたければフェラーリを出ることを選択しなければならないかもしれません。

 第19戦アメリカGP。

 レース後の角田選手のマシン。右リアタイヤの前にあるフロアを吊っているスティックにまとわり付いたタイヤカス。いったいこのタイヤカスは何km/hでこのスティックに拾われたんだろう?

 第20戦メキシコGP。

 ハースのベアマン選手が4位入賞。チームも素晴らしい、ベアマン選手も素晴らしい! 今後が楽しみな選手です!

 第23戦カタールGP。

 レース後のテレビインタビューの後、ジャーナリストの取材に答える角田選手。この時は、すでに来季のことを伝えられた後なのか、そんなことを連想させる表情でした。

 第24戦アブダビGP。

 7度のワールドチャンピオン、ハミルトン選手。予選16位。特に今シーズンの予選で結果を出せませんでした。今まで見てきた多くのベテランドライバーが辿ってきた道と同じように思えてしまいます。

 本人のモチベーションとまわりの理解が今後どのようになっていくのか。はたまた、スピードが復活するのか? 王者の悩める時間はどう決着つくのか。

 2026年はF1の歴史の中でも大きなレギュレーション変更の年となります。さて、どんなシーズンになるのでしょう?

 2025年シーズン、このコラムをご覧いただいた皆さまありがとうございました! 2026年もよろしくお願いします!

熱田 護

(あつた まもる)1963年、三重県鈴鹿市生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1985年ヴェガ インターナショナルに入社。坪内隆直氏に師事し、2輪世界GPを転戦。1992年よりフリーランスとしてF1をはじめとするモータースポーツや市販車の撮影を行なう。 広告のほか、「デジタルカメラマガジン」などで作品を発表。2019年にF1取材500戦をまとめた写真集「500GP」を、2022年にF1写真集「Champion」をインプレスから発行。日本レース写真家協会(JRPA)会員、日本スポーツ写真協会(JSPA)会員。