イベントレポート
「地球環境×モビリティの未来」を語るトークセッション 経産省の伊吹局長や東京都の潮田副知事、日産の内田社長らが参加
2023年10月29日 05:10
- 一般公開日:2023年10月28日~11月5日
- 入場料:1500円~4000円
国、自治体、大学、民間企業の各視点から見た“持続可能な社会のためにモビリティ産業ができること”
「ジャパンモビリティショー2023」(東京ビッグサイト:会期10月26日~11月5日)では、西展示棟1Fのステージで「Japan Futuer Session(ジャパン フューチャー セッション)」と題したトークセッションが10月27日~11月5日に開催されている。
10月28日には「地球環境×モビリティの未来」として、「持続可能な社会のために、モビリティ産業ができる多様なアプローチについて語る」をテーマとしたトークセッションを開催。東京都副知事 潮田勉氏、経済産業省 製造産業局 局長 伊吹英明氏、富士通 執行役員 SEVP Chief Revenue Officer 大西俊介氏、東京大学 未来ビジョン研究センター 教授 高村ゆかり氏、日本自動車工業会副会長・日産自動車 取締役代表執行役社長兼最高経営責任者 内田誠氏が登壇した。
トークセッションは「カーボンニュートラルの実現に向けたエネルギーの選択肢の多様性を踏まえた取り組み」「MaaS」「シェアリング」などについての話を展開。EV(電気自動車)だけでなく、水素を使うFCEV(燃料電池自動車)の可能性、ITを活用した低炭素化への取り組み、日本の技術の可能性などについて語られ、民間だけでは手の届かない範囲は、国や自治体との協力も必須であるとした。
また、ものづくりの技術に関する内容について話がおよぶと、伊吹氏は「ものづくりの技術は最後にはどうしても人じゃないとできない部分というのが必ず残るわけです。でもそれはビジネスとして成立していかないと、なかなか残らないということになります。金型の技術などについては、本当に精密なものを作るときには必要になると思いますし、今後はEVを作るときにギガキャスト(板材のプレス部品とスポット溶接など複数の部品で構成していたボディ構造の一部を、大型部品として一体成型する技術)をやるか、となっていくと思うのですが、そのときに最も大事なのはそれができる金型がきちんと作れるかということになります。ですので、ビジネスと連携したかたちで、本当の職人さんの手になっている技術というのを残していくということを応援していかないといけないかなと思っております。また、飛行機を作るときに鍛造や鋳造の技術がとても大事なのですが、なかなか量が出ないので、外国にお願いすることもときどき発生します。でも、国の中に大型鍛造の技術ってどうしても残しておきたいよね、でも技術的にはペイしないな、というふうに企業がおっしゃるときは、国はやっぱりそこに資金的にサポートしてでもこれを残さなきゃいけないという努力はしていきたいです」と熱く語った。
それを受けて内田氏は「おっしゃられる匠とか、金型技術など、日本には高い技術がいっぱいあります。2000年から2021年に普及した電動化の車両をみていくと、7682万t(CO2を)削減したんですよ。それだけわれわれの日本というのは高い技術を持った国なんです。グローバル化という波の中で、日本の事業はスケールがまだそんなに大きくないので、その部分が事業との関係で難しくなった局面があるんでしょうけど、技術はすごく高い。例えば電気自動車ひとつとっても、リチウムイオンバッテリは日本が非常に高い技術を持っています。いろんな技術革新をバッテリでもやっていこうということで、昨今で言えば全固体電池というゲームチェンジャーとなりうるものを力強く開発しております。将来を見据えた技術力で言えば、EVも水素も非常に高い技術力があると思うので、ここで日本の強い技術力を、これから競争力として走っていけるようなことを、官民一体になって形づけていかなきゃいけない局面にあるんです」と、熱く訴える場面もあった。