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【ル・マン24時間 2018】決勝レーススタート、33年越しの初優勝を目指すトヨタは順当なスタートを見せる
1号車 レベリオン R13-ギブソンがクラッシュし、トヨタ独走態勢に
2018年6月16日 22:40
- 2018年6月16日~17日(現地時間)決勝開催
世界三大レースの1つ、ル・マン24時間レースは6月16日15時(現地時間、日本時間22時)に決勝レースのスタートを迎えた。悲願の初優勝を目指すTOYOTA GAZOO Racingの2台はフロントローからスタートして、無事に1コーナーを抜け、その後、6kmのストレート「ユノディエール」を駆け抜けていった。
今年のレースは、ポルシェがトップカテゴリーのLMP1から撤退したことで、トヨタ一強となっているが、プライベーターチーム側の性能を引き上げることで勢力を均衡させており、トヨタがただ唯一のワークスとはいえ決して楽勝という状況ではない。トヨタにとっては1985年の初参戦以来、実に33年待ち望んだ初優勝がなるのか、そこが大きな焦点となっている。
1985年に始まったトヨタのル・マン24時間、始まった時も「中嶋」からだった
昨年のル・マン24時間レース、そして一昨年のル・マン24時間レースではいずれもトヨタ勢はトラブルにより涙を飲む展開となった。特に一昨年の残り数分までトップを走っており、最終スティントを担当した中嶋一貴選手の「ノーパワー、ノーパワー」という悲鳴のような声、そして結果リタイアになってしまったレースは、ル・マン24時間の伝説のレースの1つになったと言っていいだろう。
そうしたトヨタのル・マン24時間初挑戦は、1985年までさかのぼる。1985年、当時トヨタのモータースポーツ活動を担っていたトムス・チーム、そしてそのトムスと車両を共同開発していた童夢チームの2つのチームがトヨタエンジンを搭載してル・マン24時間レースに初挑戦した。その時のトムスチームのドライバーの1人は、中嶋一貴選手の父親で、その2年後にF1ドライバーになる中嶋悟氏。ホンダ色が強い中嶋悟氏だが、耐久レースではホンダが参戦していなかったこともあって、トムスのドライバーとしてル・マン24時間レースなどに参戦していたのだ。その時の結果は12位、そこがトヨタのル・マン挑戦のスターティングポイントとなった。
それから33年が過ぎ、その1985年に生まれた中嶋一貴選手がトヨタのエースとしてポールポジションを獲得し、トヨタの2台が絶対本命としてスタートする、それが今回のル・マン24時間レースだ。そんな巡り合わせにも注目してレースを見るとまた深みがでてくるのではないだろうか。
2018年はポルシェが最上位クラスのLMP1から撤退したことで、LMP1クラスはハイブリッドのトヨタと、ノンハブリッドのプライベーターが混走するレースとなっている。もちろんそのままではレースにならないので、トヨタ側の性能を去年までの状態で固定して、LMP1側の性能を引き上げる措置をとってレースとして成立するように配慮され、LMP1クラスが戦われることになっている。燃料搭載量などが主に調整されており、プライベーター勢は10周で1回のピットイン、トヨタは11周で一回のピットインを行なうように設定されている。
つまり、そのままではトヨタが勝ってしまうので、燃料搭載量を多くして1周の周回ではプライベーター勢が速いように設定されているが、予選の結果を見る限りはトヨタの方が1周の周回も速いという結果になっている。トヨタ陣営では、レベリオンなどのプライベーター勢がレース前にこの規定が変えられることを恐れて三味線を弾いていると見ていたが、それが果たしてどうだったのかがレースがスタートして数時間すると分かることになる。
トヨタの対抗馬として最有力の1号車 レベリオンが1コーナーで接触して最後尾になる波乱
セーフティカーに先導された隊列は、15時ちょうどのスタートを迎えた。そのスタートフラッグを振るのは、テニス界のスーパースターであるラファエル・ナダル選手。そのナダル選手が持つフランス国旗のトリコロールにル・マン24時間のロゴが入ったスタートフラッグによりスタートが切られると、2台のトヨタは編隊を組んで1コーナーへとなだれ込んでいった。
ポールポジションの8号車 トヨタ TS050-HYBRID(セバスチャン・ブエミ/フェルナンド・アロンソ/中嶋一貴組、MI)はセバスチャン・ブエミ選手が、予選2位の7号車 トヨタ TS050-HYBRID(マイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組、MI)はマイク・コンウェイ選手がスターティングドライバーを務めている。スタートしてすぐにコンウェイ選手が操る7号車が、ブエミ選手がドライブする8号車を抜いてトップに立った。しかし、その後8号車が再び抜き返し、8号車、7号車の順番でレースが進行していっている。
スタートではいきなり波乱があった。1コーナーになるシケインでトヨタ勢に対抗するとみられていた1号車 レベリオン R13-ギブソン(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ブルーノ・セナ組、MI)をドライブしていたアンドレ・ロッテラー選手は他車と接触し、フロントカウルを失うアクシデントが発生。これにより、1号車はピットに入ることになり、ほぼ最後尾まで順位を落としてしまった。
トヨタ2台は編隊を組んで3位の17号車 BR エンジニアリング BR1-ギブソン(ステファン・サラザン/エゴール・オルドゼフ/マテボス・イサキャーン組、MI)を徐々に引き離していっており、1周につき3秒程度の差をつけて順調に走行している。