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ランドローバー、新型「ディフェンダー」をチーフデザインオフィサー ジェリー・マクガバン氏が解説
ラグビーW杯決勝で「ウェブ・エリス・カップ」を運んだディフェンダーも展示
2019年11月6日 08:00
- 2019年11月5日 開催
ランドローバー(ジャガー・ランドローバー・ジャパン)は11月5日、2020年夏からのデリバリー開始に向けて先行予約の受け付けを開始した新型4×4モデル「ディフェンダー」について、英ジャガー・ランドローバーでランドローバーのチーフ・デザイン・オフィサーを務めるジェリー・マクガバン氏が解説するプレゼンテーションを都内で開催した。
会場となった東京 代官山の「代官山T-SITE」では、11月3日~5日の3日間、新型ディフェンダーの車両展示などを行なう「LAND ROVER NEW DEFENDER POP UP」がオープンし、店頭では9月の「フランクフルトモーターショー 2019」で世界初公開された新型ディフェンダーの3ドア ショートホイールベースモデル「ディフェンダー 90」を車両展示。
さらに、11月2日に横浜国際総合競技場(神奈川県横浜市)で開催された「ラグビーワールドカップ 2019 日本大会」の表彰式で、今大会で優勝した南アフリカチームに贈られた「ウェブ・エリス・カップ」を運んだ新型ディフェンダーの試作車も展示された。
根源的なデザインながら精緻さも兼ね備えるとマクガバン氏
プレゼンテーションではマクガバン氏の解説に先立ち、駐日英国大使のポール・マデン氏があいさつを実施。
マデン氏は「言うまでもなく、ジャガー・ランドローバーはグレートなデザインとグレートなエンジニアリングを兼ね備えたグレートなブリテンの会社です。先日、私はヘンリー王子と横浜スタジアムで新型ディフェンダーによってラグビーワールドカップの優勝トロフィが運ばれるところを見ました。イングランドにもたらされるよう祈っていましたが、残念ながら結果は皆さんもご承知のとおりです。しかしながら、ワールドカップの開催中、私たちは夢のような6週間を過ごすことができました。日本は非常に素晴らしい主催国であり、そのおもてなしでたくさんの外国人を魅了しました。日本代表チームも目を見張るほどの活躍で、数多くの新しいサポーターを獲得しました」。
「ラグビーワールドカップのワールドワイドパートナーとして注目を集めているジャガー・ランドローバーは、大使館が主導して来年のオリンピック・パラリンピックまで行なわれる『日英交流年』の重要なパートナーでもあります。このキャンペーンでは、今後もさまざまなビジネスや文化交流のイベントが予定されております。改めまして、新型ディフェンダーが広く日本で受け入れられることをお願いして私のあいさつとさせていただきます」とコメントした。
マデン氏のあいさつに続いて行なわれたマクガバン氏のプレゼンテーションでは、ランドローバーのブランドヘリテージが、“機能に根付いたモデル”として1948年に「シリーズ1」がデビューしてスタート。当初は英国内の農場向けに開発されたものだったが、そこから世界各国にある、山岳地帯やジャングルといった過酷な環境で使われるように進化を続け、その走破性や耐久性の高さが広く評価されていき、現代では過酷な環境に加えて“アーバンジャングル”とも言える都会のグラマラスなシーンに対応するべく進化。それにより、各国の著名人や首脳、王室などで採用されるモデルになっていると紹介した。
この10年間でランドローバーは大きな変化を遂げ、かつては4輪駆動車を生産するスペシャリストとしての立ち位置を明確にしていたが、現代ではグローバルに訴求力のある“パワーブランド”であり、人々に感情的な面で共感されるブランドでなければならないとの考え方を示し、デザインはそんな「ブランドとは何か」を伝える導線としての役割を持っていると解説。そこでランドローバーでは、「レンジローバー」「ディスカバリー」「ディフェンダー」という3つのファミリーモデルを設定。新型モデルを投入するディフェンダーは素晴らしい耐久性、どんなところにでも行ける走破性を備えるモデルとして位置付けている。
ディフェンダーは、1948年に登場した初代モデルがシリーズ1~シリーズ3まで大きく変化することなく生産が続けられ、グローバルでランドローバーブランドのアイコニックな存在として認識されるようになったとマクガバン氏は分析。ディフェンダーは卓越した走破性を備えつつ、“シンプルである”ということも大きく評価され、子供でも書けそうなシンプルなデザインを持っていることも特徴になっているという。
新型モデルの開発にあたり、開発チームではそんな70年前に登場した初代ディフェンダーを造り替えるクルマにだけはならないよう念頭に置いて作業を進めてきたと紹介。新型車は次の世代の人に向けて造るべきで、変化の激しいグローバル市場で時代に合うものになるよう心がけてきたという。そのため、新型ディフェンダーは初代モデルをオマージュとして利用しつつ、次世代を見据えたクルマになっているという。
具体的なデザイン解説では、新型では初代ディフェンダーをモチーフとしつつ、デザインとエンジニアリングの融合によってモダンなプロポーションを獲得。また、実用面でも短いアプローチアングル、ブレイクオーバーアングルを実現してしっかりとした悪路走破性を備えていることもアピールした。
外観全体では直線のラインを際立たせたデザインとしており、ルーフ、ウエスト、アンダーボディまで3つの直線的なラインを入れて力強い佇まいを表現しているという。また、流れるようなルーフライン、アルパインライトウィンドウなどの採用で初代モデルのヘリテージを表現している。
フロントマスクは「クルマの性格を物語る場所」と定め、力強さと自信を備えつつ、角に攻撃的にはならないよう心がけ、親しみやすさも感じてもらえるようデザインしているという。そのため、シンプルでありながら還元主義を表現するフェンダーのライン、サイドの向かう力強いショルダーラインなども特徴となり、ディフェンダーとしては初めてクラムシェルタイプではないボンネットを採用している。
リアでは幾何学的な構成を用い、ランプ類を垂直にレイアウト。また、側面に流れてきたラインを垂直に切り落としたような面構成を強調する部分が大きな特徴になるという。このほか、外付け式の背面スペアタイヤ、横方向に開閉するリアハッチなどが初代モデルと共通するデザイン要素になっている。
マクガバン氏は新型ディフェンダーでは無駄を省いた根源的なデザインを実現しているとしつつ、かといって洗練された精緻さがないというわけではなく、これまでに生み出してきたモデルの中でも非常に精緻で洗練されたクルマになっているとアピールした。