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心に響く“感性品質”を重視。トヨタ新型「ハリアー」(4代目)のプレゼンテーション

共通のプラットフォームを使う「RAV4」ともっとも異なる点とは?

新型ハリアーについて、トヨタ自動車株式会社 MS製品企画 ZD 主査の小島利章氏がプレゼンテーションを実施

 トヨタ自動車は、6月ごろの発売を予定する新型「ハリアー」と、“間もなく発表”とアナウンスされた新型「RAV4 PHV」(いずれもプロトタイプ)の試乗会を袖ケ浦フォレストレースウェイで開催した。

 新型ハリアーは見て、乗って、走り出した瞬間に心に響く“感性品質”を重視したとのことで、実用性や数値だけに捕らわれず、人の心を優雅に満たしてくれるただ1つの存在を目指し、SUVというカテゴリーを超えて“より人生を豊かにするパートナー”という新たな価値を提示したという。

 具体的にはシンプルでありながらエレガントさと力強さを融合させたクーペフォルムの採用、吸遮音材、制振材の効果的な配置や高遮音ガラスの採用などにより、さらに静かで心地よい車内空間の実現を追求した点、落ち着いた雰囲気でシックな大人の室内空間を実現した点、走行中の前後方向の映像を録画可能な「デジタルインナーミラー」や、調光機能で障子越しのような柔らかい光を車内の届けることも可能な調光ガラス採用の「電動シェード付パノラマルーフ」といったトヨタ初採用の装備が与えられたことなど、その特徴は多岐にわたる。

 パワートレーンについては、直列4気筒2.5リッター直噴自然吸気「A25A-FXS」型エンジンにリダクション機構付の電気式無段変速機を備えるハイブリッドシステム「THS II」を組み合わせたハイブリッドモデルと、直列4気筒2.0リッター直噴自然吸気「M20A-FKS」型エンジンのガソリンモデルの2種類を設定している。

新型ハリアーのエクステリアデザイン
新型ハリアーのインテリアデザイン
細部までこだわり作り込みを行なったという
ボディカラーの特徴
トヨタ初採用の調光パノラマルーフについて
前後方録画機能付きデジタルインナーミラーについて
乗り心地・NV性能を高めた上質な乗り味を目指した
RAV4とプラットフォームを共有しながら、静粛性を高めたのが大きな違いという
ラックアシスト電動パワーステアリング(第3世代EPS制御)や高剛性ボディといったこだわりの実現アイテム
ハイブリッドモデル
モデルハイブリッドシステム・駆動方式駆動方式
Z“Leather Package”リダクション機構付のTHS II+直列4気筒 2.5リッター「A25A-FXS」型ダイナミックフォースエンジン2.52WD(FF)またはE-Four
Z
G“Leather Package”
G
S
ガソリンモデル
モデルエンジン変速機駆動方式
Z“Leather Package”直列4気筒 2.0リッター「M20A-FKS」型ダイナミックフォースエンジン2.0Direct Shift-CVT2WD(FF)または4WD
Z
G“Leather Package”
G
S

開発コンセプトは「Graceful Life(優雅で豊かな人生)」

ハリアーの歩み

 今回の試乗会に先立ち、新型ハリアーの概要についてトヨタ自動車 MS製品企画 ZD 主査の小島利章氏がプレゼンテーションを行なった。

 1997年12月に初代モデルが登場したハリアーは、「都市型SUV」として新しいジャンルを切り拓いたモデル。2代目は2003年2月、3代目は2013年12月に発売され、今回のフルモデルチェンジで4代目となる。これら歴代ハリアーについて、小島氏は「ハリアーはSUVと高級乗用車のクロスオーバーモデルの先駆けとして市場を開拓してきたと自負しています。そして2代目、3代目と独自のポジションを築き上げ、お客さまからも大変評価をいただきました」と振り返る。

 そうしたハリアーの方向性については、「トレンドがカーライクSUVにある中、『RAV4』はラギッド系・ワクドキのSUVを突き詰めるモデルとして発表しましたが、ハリアーはカーライクSUVの先の先には一体何があるのかというところを開発陣も考えながら開発してまいりました。昨今、“モノ”の次に“コト”がきて、その次に何があるのかを考えました。われわれは“コト”の次には“人”や“時”といったものがあるのではないかと思っています。“人”“時”を経てお客さまのライフスタイルが豊かになれば、そういう想いで開発を進めました」と説明する。

 新型ハリアーの開発コンセプトは「Graceful Life(優雅で豊かな人生)」とし、機能や便利さのみを追求するのではなく、感性に訴え人生を高めてくれる存在を目指したとのことで、ターゲットユーザーに「30代男性」やより若々しくありたいと思う「ミドル(50代)」を掲げた。ターゲット層には共通の価値観があるといい、「それは確かなモノを好んで、かつこだわりがある。でありながらそれをこれ見よがしにアピールせず、さりげなく表現したい」というもので、こうした価値観を持つユーザーに新型ハリアーを訴求していきたいという。

新型ハリアーの方向性
開発コンセプトとターゲットユーザー

 そんな新型ハリアーの開発ポイントは「見て(スタイリッシュかつ逞しいシルエット)」「乗って(心地よい室内空間と充実の先進装備)」「走って(優雅な乗り心地と静粛性)」の3点。

開発ポイント

 まずシルエットの特徴については、「もともとハリアーが持つスタイリッシュさ、これをベースに今回逞しさを追加しました。こだわった点は流麗なクーペフォルムで、SUVではがっちりとした印象を持っていたいのですが、今回はこれがSUVと言っていいのだろうか、というギリギリのラインをデザイナー、開発陣と共有しながらこのシルエットに決めました」とのことで、その特徴の1つとして一般的にSUVのリアのキャビンは容量をしっかり確保するため幅ギリギリまで使うところ、新型ハリアーではキャビンを凝縮しつつ、リアのフェンダーあたりをグッと張り出すことによって、あたかもスポーツカーに近いフォルムを再現したという。

 また、インテリアでは「心地よい室内空間と充実の先進装備ということで、実際にお客さまがディーラーへ行ったときに何を一番感じていただけるかを考えて開発を進めました。具体的には大人の感性に響くデザインを意識し、センター部にディスプレイ、コンソールを骨太にし、あたかもセダンに近いようなイメージを醸し出しており、ドライバーやパッセンジャーシートを包み込むような空間を演出しています。(シフトノブ付近は)乗馬の鞍をイメージし、スイッチ類が極力目立たないように配置しました。これにより表皮の伸びやかな美しさを狙っています」とアピール。さらにインパネの助手席前にパイピングオーナメントという新しい加飾を与えていることも特徴として挙げている。

スタイリッシュで逞しいシルエットを目指した
キャビンを凝縮しつつ、リアのフェンダーあたりをグッと張り出すことによってスポーツカーのようなフォルムを再現
上質で心地よい室内空間を目指した
シフトノブ付近は乗馬の鞍をイメージし、スイッチ類が極力目立たないように配置
先進装備も採用

 一方、目指した乗り味として「雅(MIYABI)~上質・優雅・都会風~」を掲げ、プラットフォームにはTNGA(Toyota New Global Architecture)の「GA-Kプラットフォーム」を採用している。RAV4と共通のプラットフォームを採用していることから「基本的な走行性能は同等」としつつ、新型ハリアーとしてこだわった点は静粛性といい、多くの制振材、遮音材をアッパー/アンダーボディに用いたことをアピールした。

 また、新型ハリアーのボディサイズは4740×1855×1660mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2690mmで、これは従来モデルから15mm長く、20mm広く、30mm低いものになっており、ホイールベースも30mm増した。トレッドもフロントで45mm、リアで65mm増加している。これにより、「全高を低く抑えたことでよりスリークな感じでありながら、タイヤをしっかり4隅に配置できるので、足下がしっかりとしたスタンスを強調できるパッケージにしてきました」とのこと。

目指した乗り味として「雅(MIYABI)~上質・優雅・都会風~」を掲げる
静粛性を高めるべく多くの制振材、遮音材をアッパー/アンダーボディに用いた
パワートレーンについて
従来モデルとのパッケージ比較
RAV4とのパッケージ比較
新型ハリアーに標準装備される予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」のアイテム群
オトナに響く 新しい スペシャリティ