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“実効空力デバイス”を搭載した新型「フリード Modulo X」。新旧モデルを比較した
- 提供:
- 株式会社ホンダアクセス
2020年7月31日 10:50
フリード Modulo Xがマイナーチェンジ
Honda車の純正アクセサリーを扱うホンダアクセスが作るコンプリートモデルがModulo Xだ。これまで「N-BOX」「N-ONE」「S660」「ヴェゼル」「ステップワゴン」「フリード」のModulo Xを販売してきたが、今回試乗するのは“ちょうどいい”の「フリード Modulo X」のマイナーチェンジ後モデルだ。
Modulo Xのコンセプトは、スポーツカー作りではない意のままに操れる操縦性と同乗者が快適に過ごせる上質な乗り味をテーマとして、熟練のエンジニアとテスターが時間をかけて磨き上げ、作り上げるものだ。
派手なエアロパーツなどはないが、スタンダードモデルが持っている美点を伸ばしつつ、Modulo独自のスタンスでチューニングし、カタログモデルとしてラインアップしている。これもメーカーならではの強みである。
今回のModulo Xは、専用サスペンションのセッティングはマイナーチェンジ前と共通だ。試乗車である「HYBRID Modulo X Honda SENSING」のサスペンションについて記しておくと、ノーマルのサスペンションと比べ、スプリングについてはフロントは若干強め、リアは1割ほど強めに設定されている。ダンパーではフロントの伸び側は下げ、圧側は少し高くなっている。これに対してリアは伸び/圧ともに強くされた設定になっている。タイヤはダンロップ「エナセーブ EC300」でサイズは185/65R15でノーマルからの変更はないが、アルミホイールは専用デザインである。
エクステリアデザインは、Xデザインのフロントエンドやフロントバンパーサイドに付いたエアロフィン、フロントグリルも横バータイプに変わっており、マイチェンでのフェイスリフトが実施されている。リアスカート形状も委細に見るとノーマルとは違う。フロントの空力特性に合わせて追加されている機能パーツでもある。
インテリアではシートの骨格は変わらないが、従来よりも滑りにくいプライムスムース×スエード調表皮に変更されている。
高速、ワインディング、街中での印象は?
新旧フリード Modulo Xの比較試乗は、新東名高速道路の最高速度120km/h区間となる新静岡IC(インターチェンジ)~森掛川ICをはじめ、箱根のワインディングロード、街中から郊外道路まで幅広く行なった。速度とアクセルの踏み加減によってはトランスミッションのギクシャク感は少しあるが、リズムよく加速していく時のステップ感はなかなか好ましく、DCTのいいところを楽しめる。
最初にマイチェン前のModulo Xに試乗する。高速安定性はしっかり感があって、ハンドルを持つ手に力が入らない。ただ、横風などではわずかに保舵力を上げる必要があり、小さな段差などでは少し直進性を乱されるが、相対的にリラックスしてハンドルを握ることができた。
40km/h程度の街中走行では突き上げが感じられ、収束も残るイメージなので、もう少しまろやかさが欲しい。しかしノーマルに比べるとかなりシャキッとしているので、しっかりした走りを求めるユーザーにとっては頼もしい。
もっと意地悪にしっくりこない部分を探してみる。新東名での走りはドッシリ感があり直進性が高く、このような安定感はModulo Xの持ち味の1つだ。しかし、120km/hでのレーンチェンジはヨー方向の収まりが少し弱くなる。整流の関係か、ハンドルが軽くなるような感覚だ。トンネル内での直線走行ではトラックの乱流に影響されるのか、わずかにフロントが軽くなる感覚もある。
次はマイチェン後のModulo Xで同じコースを走ってみる。“実効空力デバイス”の高速での最大のメリットは直進安定性の高さだ。ダウンフォースが効いたようにハンドルの操舵力も若干重くなり、外乱にも強くなってさらに安定感は高くなった。フロントバンパー下部にも設けられた「エアロスロープ」と呼ばれるデバイスが、オン・ザ・レール感覚の効果を発揮しているようだ。
レーンチェンジした時にもフロントの抑えがしっかりしており、レスポンスがよくてスッキリした操舵フィールとなっている。ハンドルを戻そうとする力もあって、スポーティカーのような感触だ。
次に40~60km/hの郊外路の荒れた道を走って両車を乗り比べる。マイチェン後モデルではハンドルの接地感が相対的に高く、スッキリした応答性も印象的だ。ロールがもっと大きくなるような場面ではさらに差が出て、姿勢変化が微妙に異なってくる。マイチェン前でも素直な動きに好感が持てるが、マイチェン後モデルではさらに安定感が高く、路面アンジュレーションも収まりがよい。
このあたりは、フロントバンパー左右下側に設けられた小さなエアロボトムフィンが効果を発揮しているようだ。こちらはフロントホイールハウス内の空気を整流して内圧を低減する役割を果たす。
特に印象的だったのはワインディングロードで、ハンドルレスポンスが高く、グイグイと旋回していく。切り返しでも反応がシャープだ。サスペンションのスペックが同じだとすると、“実効空力デバイス”の効果が大きいと思われるが、ハンドルの手応えが違うのに感心した。極端に言えば操舵角が違うのではないかと思われるほどで、まずはハンドルを切った時の反応の違いと接地感が印象的だ。
フロントバンパーにチョンと付いたエアロフィンは、サイドに流れる空気を整流することで操舵フィールを向上させるとあるが、“実効空力デバイス”の総合力で差が出ているのだろう。
さて、セカンドシートの話もしておこう。シートは前後長が短いが、レッグルームはタップリある。リアからの突き上げ感はフロントシートよりも強く感じられる。ノーマルのフリードとは性格が異なる設定だ。同じModulo Xでもマイチェン前のモデルは走行距離が長かったので、スペックは同じでもダンパーのフリクションが少なく感じられ、もっとマイルドだったが、その分、段差乗り越しなどでの収束はやや遅く感じられた。
一方のマイチェン後モデルでは、新品のダンパーに起因する鋭角的な突き上げ感がある。もう少し距離を稼ぐとアタリがついて本来の乗り味になると思われる。しかし荒れた路面での収束は早く、ある意味フラット感は高い。ソフトなノーマルのフリードとは性格がガラリと異なる。
もう1つ、シート表皮がスエード調になったために滑りにくくなり、きちんと座っていればお尻の位置が前にずれにくく、腰への負担が減少した。こちらはフロントシートでも同じで、サポート感が向上した点はありがたい。
Modulo Xは日常性を大切にしたデザインと、機能に裏打ちされた運動性能の向上と乗り心地の両立を目指しており、細かいところまで気を配ったこだわりの積み重ねによって、乗りやすいクルマに仕上がっている。これまで試乗したModulo Xがそうであったように、新しいフリード Modulo Xも期待を裏切らない。物理的には小さいが効果は大きい空力パーツと、荒れた路面や積雪路面で接地力の高いサスペンションの組み合わせは、同じフリードでも方向性の違うクルマに仕上がっている。
試乗したフリード Modulo Xは「フリード HYBRID G・Honda SENSING」をベースに組まれており、価格は325万6000円(6人乗り。別途9インチプレミアムインターナビパッケージを装着)となっている。
道路使用許可:
神奈川県警 小田原警察署 第1986号
静岡県警 三島警察署 静三交 4第42号