CES 2018

【CES 2018】NVIDIAのブース構成について、オートモーティブビジネス事業部 事業部長 浜田勝氏に聞く

ロボカーは夏に「DRIVE Pegasus」搭載へ

エヌビディア合同会社 オートモーティブビジネス事業部 事業部長 浜田勝氏。2018年のCESにおけるブース出展のポイントを聞いた

 現在のAI(人工知能)自動運転を代表する会社がNVIDIAであるのは間違いないだろう。新世代のAI開発環境を切り開き、それに適した半導体を次々にリリース。本来は半導体会社ではあるのだが、NVIDIA製品を選ぶ理由の第一がソフトウェア環境ということも珍しくはなくなっている。

 つまり、現在NVIDIAは、かつてのゲームグラフィックスチップメーカーではなく、自動運転や医療診断システムなどのAIプラットフォームを提供する会社になっている。そのAIプラットフォーム分野として最大の成長が見込めるのが自動車市場であり、NVIDIAブースの展示はAI自動運転の開発環境一色となっていた。

 2018年のNVIDIAブースについて、エヌビディア オートモーティブビジネス事業部 事業部長 浜田勝氏に話をうかがった。


──NVIDIAブースを訪れる人の反応はどうですか?

浜田氏:今回の反応はものすごくよいです。プロダクションを意識したツールだったり、環境だったり、そのようなものをデモンストレーションしています。去年(2017年)はデモレベルだったのですが、今年はそれからさらに一歩進んで、量産を意識した開発環境だったり、シミュレーションだったりします。最新のDRIVE AV──自動運転用のソフトウェアもデモできているほか、2016年に発表したXavier(エグゼビア)も、2017年12月にチップが上がってきました。

 そのXavierで、QNX、Linux、AndroidなどのOSがすべて動いており、さらにこのDRIVE AVもすべて動いています。

 それをプレスカンファレンスで、弊社代表のジェンスン・フアン CEOが「12月にできたばかりだけど、きちんと動いてるよ」とデモしていました。

 つまり、それだけプロダクションレベルで動いているのを意識しているのが、今回のNVIDIAのブースになります。

──「CES 2017」では「AI Co-Pilot」として紹介されていた技術が、「CES 2018」では機能も増加し「DRIVE IX」として登場しました。名前などが変わった理由は?

浜田氏:AIによるドライバーモニタリングシステムのことですね。AI Co-Pilotというよりも、DRIVE~で統一してIntelligent eXperience──AIを使ったコックピット内の体験のソフトウェアとしました。

──そのDRIVE IXをフォルクスワーゲンが採用したということですね。

浜田氏:はい、そうです。

──フォルクスワーゲンは自動運転の部分ではなく、ドライバーモニタリングのDRIVE IXのみ採用したという理解でよいでしょうか?

浜田氏:今回の発表はDRIVE IXのみとなります。

──NVIDIAのブースでは、さまさまな開発環境のデモ映像が流れていますが、どのデモ映像が一番反応がよいですか?

浜田氏:やはりシミュレータです。自動車メーカーさん、サプライヤーさんとも、(AI判断のための)ニューラルネットワークを作って、量産前にテストをしなければならない。それをシミュレータでバーチャライズしてテストできる。(重箱の隅をつつくような)コーナーケースをどうつぶしていくかというところを、実際に走ることなく、ある程度洗い出しすることができるというところがかなり好評です。センサーの角度や場所なども変更可能で、レーダー、LiDAR、ソナーなども自由に変更可能です。

──そのレーダー、LiDAR、ソナーですが、メーカーによって特性が違うと思うのですが、その辺りも反映されているのですか?

浜田氏:そこはメーカーさまといろいろ協議しながら、メーカーさまから提供をいただいています。

 このシミュレータではないのですが、すでにDRIVE PXでは、Delphiさんとか、BOSCHさんとか、Continentalさんとかと一緒に、センサー系ドライバを作っています。すべてがつながるようにしています。このシミュレータに関しても、将来的には同様になるとよいなと思っています。

──NVIDIAブースの中央にロボレースのためのロボカーが展示されていますが、フォーミュラEの開幕戦である香港戦を2017年12月に見に行ったときには、それほどまともに走れていませんでした(関連記事:自動運転車によるレース「ロボレース」の実現は遠い将来か!? ロボレースのデモが残念結果に)。このロボカーは、どのような形で進化していくのでしょうか?

浜田氏:このロボカーに関してですが、現在は「DRIVE PX 2」が積まれていますが、この夏に「DRIVE Pegasus」に積み替える予定となっています。プラットフォームが変わるので、AIとかソフトウェアとかさらに性能のよいものが搭載できるので、昨シーズンとは異なった結果になってくると思います。ご期待ください。

NVIDIAブースの中央に飾られたロボカー。2016年4月の発表時はCGイラストだったが、すでにサーキットを走り始めている。未完成のクルマだが、その開発スピードには驚く
AI推論性能320 TOPSの「DRIVE Pegasus」。次期GPUを搭載するレベル5自動運転、つまり無人運転車向けのモジュール。これをロボカーが夏に搭載する

編集部:谷川 潔