イベントレポート 東京オートサロン 2024
トーヨータイヤ、サスティナブル素材使用比率90%のコンセプトタイヤとともに4ローターのRX-3ドリフトマシン公開
2024年1月13日 19:38
- 2024年1月12日~14日 開催
TOYO TIREは「Aggressive! Sustainable with TOYO TIRES」をコンセプトに「東京オートサロン2024」(幕張メッセ:1月12日~14日)に出展した。初日に行なわれたプレスカンファレンスには、同社のグローバルアンバサダーを務めるドリフトドライバー、マッド・マイク選手やPROEXSブランドアンバサダーの木下隆之選手らトーヨータイヤで戦うプロドライバーが集結した。
プレスカンファレンスは代表取締役社長&CEO 清水隆史氏のあいさつで幕を開けた。清水氏は冒頭で「当社はこの機会を一方的にブランドイメージをアピールする場にはしません。単に売りたい商品をプロモーションするのではなく来場の皆さんと気持ちを重ね、コミュニケーションを図りたいと考えています」と出展の目的を語った。
また、「トーヨータイヤは“他のタイヤとは違う味があるよね”と言ってもらえるようなものづくりを信条とし、クルマの走りを支える性能、デザインでドライバーの心を駆り立てることこそ、われわれが追い求めているもので、トーヨータイヤのマインドである」と語った。それらの想いを形にしたのがオープンカントリーとプロクセスという2つのブランドだが、今回カンファレンスではサスティナブル素材使用比率90%のコンセプトタイヤを参考出品し、その想いとともにトーヨータイヤが目指すこれからの方向性を示した。
今回参考出品されたコンセプトタイヤの素材には、天然由来などの再生可能なリニューアブル素材として、天然ゴムに加えバイオマス由来ブタジエンゴム、バイオマス由来スチレンブタジエンゴム、籾殻灰シリカ、植物由来オイル、バイオ由来ポリエステル繊維などを採用していて、その比率はタイヤ全体の約60%に上るという。
また、リサイクル素材としてCO2由来のブタジエンゴムをはじめ、再生カーボンブラック、再生ビードワイヤー、再生スチールコードを使用し、こちらは全体の30%を占め、合わせてサスティナブル素材はタイヤの90%を占める。ちなみにCO2由来のブタジエンゴムは富山大学との共同開発により2023年に合成に成功した素材だ。
なお、現在ダカールラリーに参戦しているTCL(Team Land Cruiser TOYOTA AUTO BODY)のランドクルーザー300に供給しているオープンカントリーM/T-R(ダカールラリー2023用スペック)は、すでに約50%のサスティナブル素材を使用している。オートサロン会場ではトーヨーブルーにカラーリングされた参考出品タイヤを装着したクルマの走行映像が流されるなど、決して遠い未来の話ではないことがうかがえた。
これら持続可能な未来への環境対策とともに紹介されたのが、現行ラインアップであるオープンカントリーとプロクセスという2つのブランドによるモータースポーツへの取り組みだ。
プロクセスによるD1グランプリシリーズ(D1GP)や、フォーミュラ・ドリフトジャパン(FDJ)でのトーヨータイヤの強さ、存在感は多くのドリフトファンの知るところ。プレスカンファレンスには川畑正人選手、マッド・マイク選手も登壇し、集まったファンの前であいさつを行なった。また、ニュルブルクリンク24時間レースをはじめとする耐久レースにプロクセスで参戦する木下隆之選手も登壇した。
SUVの本場アメリカで高い評判を得ているSUV向けのオープンカントリーも、トーヨータイヤを代表するタイヤ。メキシコで行なわれているBAJA1000を筆頭に多くのオフロードレースで好成績を納めているタイヤで、会場には2023年のラリー北海道でクラス優勝を果たしたFLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYO TIRESの川畑正人選手のほか、哀川翔総監督が登壇。会場では2024年にタイ~マレーシアで開催されるアジアクロスカントリーラリーへの参戦も匂わせた。
カンファレンス後半ではFDJに参戦してきたマッド・マイク選手が2024年シーズンにD1GPへ参戦することが表明され、4ローターのロータリーエンジンを搭載するマツダ RX-3が披露された。今シーズンのD1GPはこれまで以上にトーヨータイヤ勢同士の争いも激化しそうだ。
東京オートサロン初日に行なわれたトーヨータイヤのプレスカンファレンスは、未来に向けた環境対策と熱き闘いの両面を高い技術で支える2本立ての発表で、見応えのあるものであった。冒頭で清水隆史代表取締役社長&CEOが述べた「来場の皆さんと気持ちを重ね、コミュニケーションを図りたい」という想いは十二分に表現されていたといえるだろう。