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フォルクスワーゲン、新型バッテリEV「ID.4」発表会 「高い品質、イノベーション、信頼性はまさにフォルクスワーゲンブランドを表す言葉」
2022年11月23日 10:05
- 2022年11月22日 開催
日本はID.4を輸入する最初の国々のうちの1つ
フォルクスワーゲン ジャパンは11月22日、同日発売したSUVスタイルの新型BEV(バッテリ電気自動車)「ID.4」の発表会を品川インターシティホール(東京都港区港南)で開催した。ID.4の価格は「Lite Launch Edition」が499万円、「Pro Launch Edition」が636万5000円。
ID.4は、BEV専用の新しいプラットフォーム「MEB(モジュラー エレクトリック ドライブ マトリックス)」をベースにSUVスタイルに仕上げたBEV。MEBアーキテクチャーは長い航続距離、広々とした室内の快適性、ダイナミックなドライビングを特徴としており、フォルクスワーゲンの内燃機関搭載車両向けの「MQB」と同様にさまざまなボディサイズ、ボディスタイルのBEVのベースとなるよう設計された。今回、日本に導入されたID.4はID.ファミリーの中で世界戦略モデルと位置付けられ、すでにヨーロッパ各国のほかID.シリーズの生産工場が新設されたアメリカ、中国に導入されている。日本は輸出向けマーケットとして、ID.4を輸入する最初の国々のうちの1つとなる。
世界戦略モデルとして多くのマーケットで人気を博すSUVのボディタイプを採用したID.4は、フォルクスワーゲンのSUVである「ティグアン」に近いボディサイズとなるが、全長は65mm増、ホイールベースは95mm増と広い室内空間を有する。これはベースとなるMEBの特徴によるもので、長距離ドライビングを可能にするためにアンダーボディに膨大なバッテリの専用スペースを設け、長く設計されたホイールベースは1クラス上の室内空間を実現。これまでの自動車に存在したエンジンとトランスミッションは軽量コンパクトな交流同期モーターに置き換えられ、アクセルシャフトは車両の後端ギリギリに設置。これにより前後のオーバーハングを短く設定でき、大きなトランスミッションやプロペラシャフトがないためセンタートンネルがなく、足下の空間を一層広くしている。
日本仕様のID.4では2種類のバッテリ容量とそれぞれ異なるモーター出力を組み合わせており、Lite Launch Editionでは52kWhのバッテリに最高出力125kW(170PS)/3851-15311rpm、最大トルク310Nm(31.6kgfm)/0-3851rpmのモーターを搭載し、最大航続距離は388km(WLTCモード)。Pro Launch Editionでは77kWhのバッテリに最高出力150kW(204PS)/4621-8000rpm、最大トルク310Nm(31.6kgfm)/0-4621rpmのモーターを搭載し、最大航続距離は561km(WLTCモード)とした。
リチウムリオンバッテリはアンダーボディに水平に配置され、クルマ全体の重心を低く抑えるとともに前後の重量バランスを最適化。0回転から瞬時に最大トルクを発生し、最大1万6000rpmまで高いトルク、出力を生み出す電気モーターとの組み合わせにより、ID.4はダイナミックなドライビングを楽しむことができるBEVとアピールしている。
また、インテリアでは従来のシフトノブに代わるドライブモードセレクターと統合された5.3インチのメーターディスプレイ、大型のセンターディスプレイ(Lite Launch Editionは10インチ、Pro Launch Editionは12インチ)を採用し、近未来的なインパネデザインを演出。ブラウン色のレザレット(人造皮革)をダッシュボード上部、ドアパネル、シートサイドにデザインし、シルバーのデコラティブパネルをアクセントとして配置したほか、アクセルペダルには再生マーク、ブレーキペダルに一時停止マークをモチーフとしたアルミ調ペダルクラスターを全車標準装備。さらにフロントウィンドウの下に設置されたライトストリップでドライバーを直感的にサポートする「ID. Light」システムを標準装備しており、さまざまな光パルスを使用して運転準備の完了、充電中のバッテリレベルなどのステータスをアナウンスしてくれる。
日本は戦略的にとても重要な市場
発表会ではフォルクスワーゲン ジャパンのブランドディレクターであるアンドレア・カルカーニ氏、ブランド セールス インターナショナル エグゼクティブディレクターのケイティ・ツァング氏、広報・マーケティング本部 マーケティング コミュニケーション シニア マネージャーの鶴ゆみ氏が登壇してフォルクスワーゲンが掲げるカーボンニュートラル実現に向けた活動、ID.4の製品特徴、日本市場への導入・コミュニケーション戦略、電気自動車購入時のサポートなどについて説明を行なった。
はじめに登壇したカルカーニ氏は、ID.4の導入は単に新型モデルを導入する以上の大きな意味があるとし、「ID.4の導入によりフォルクスワーゲンが全世界で推進する脱炭素化戦略に日本が本格的に加わることになるからです。従いまして、今日このように皆さまにID.4をお披露目できることをとても嬉しく思います」とコメント。
フォルクスワーゲングループは2018年に自動車メーカーとして初めてパリ協定にコミットし、2050年までにカーボンニュートラルで持続可能な企業になることを宣言した。この目標に向かっていくため、2030年に向けたグループの中期戦略「NEW AUTO」を2021年に発表。規模の大きいマルチブランドグループとして、蓄積してきたプラットフォームに関する知識や経験から最大のスケールメリットや相乗効果を高めるため、製品をはじめとしてソフトウェア、バッテリと充電、モビリティソリューションという4分野に特に注力していくという。eモビリティに関しても世界的にリーディングカンパニーになること、そして自動運転の分野でも価値を最大限高めていけるソフトウェア主導の企業になることを目標としている。
こうした動きについて、ビデオレターで登場した独フォルクスワーゲン乗用車ブランドのトーマス・シェーファーCEOは「フォルクスワーゲンの未来はEV」としてeモビリティ攻勢を加速させており、180億ユーロをeモビリティおよびデジタル化に投資していくとアナウンスするとともに、「今後10年の変革に向けて準備し、フォルクスワーゲンのWay to ZERO(2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた目標)を推し進めていきます。モデルラインアップの電動化を加速させることは、Way to ZEROを整えていくための4つの柱の1つです。ほかの3つとしては、①サプライチェーン及び製造過程における脱炭素化で、MEB生産工場ではすでにカーボンニュートラルを達成しています。②再生可能エネルギーの計画的な活用、③バッテリのリサイクルとセカンドライフ。今あるパイロット工場では年間3600のバッテリをリサイクルすることができますが、これから増やしていく方針です。Way to ZEROではパリ協定、そしてヨーロッパのグリーンディールにコミットし、段階的に取り組んでいます。私たちの目標はフォルクスワーゲンをサステナブル・モビリティの観点からもっとも望まれるブランドにすることです。ワールドカーと位置付けているID.4はその願いが込められたモデルであり、いよいよ日本でもご覧いただけることとなりました。日本におけるMEBベース初のBEVについて皆さまのご意見をいただけることを楽しみにしております」と述べた。
一方、フォルクスワーゲンの電気自動車ラインアップであるID.ファミリーとしては、今回のID.4のほかにハッチバックの「ID.3」、SUVクーペの「ID.5」、ミニバンの「ID.Buzz(バズ)」などを展開するが、このID.ファミリーについてブランド セールス インターナショナル エグゼクティブディレクターのケイティ・ツァング氏は「フォルクスワーゲンブランドとして、これまでに50万台以上のID.モデルを世界中のお客さまにお届けしています。そして、そのうち25万人以上のお客さまにすでに日常的にID.4に乗っていただいています。これは、フォルクスワーゲンにとってまた1つの大きなマイルストーンとなりました。2030年までにはヨーロッパでのフォルクスワーゲンの販売台数のうち、少なくとも7割は電動モデルになります。今後は海外市場でもこの変革を加速してまいります。日本は初の海外市場3か国のうちの1つとして、今回初めてMEBプラットフォームの電動モデル、ID.4を導入いたします」。
「フォルクスワーゲンが日本に上陸して約70年経ちました。日本は戦略的にとても重要な市場です。持続可能なモビリティへの大きなポテンシャルを秘めると同時に、ターゲットとする顧客層の間で消費者行動が目まぐるしく変化し、電気自動車への需要が高まっています。本日のID.4の導入を皮切りに、日本でも持続可能なモビリティへの変革を本格的に主導してまいります。ピープルズカーブランドとしての私たちの日本でのミッションは、この変革を積極的に推進し、最新のBEV技術を日本のお客さまに手の届くところで提供することです。全国各地の販売店と協力し、お客さまが安心してID.4にお乗りいただけるよう、さまざまなインフラやサービスを整備いたしました。フォルクスワーゲンは、今後も日本市場への投資を継続してまいります。この変革に沿って、MQBとMEBの両方のプラットフォームで最新の、そしてエキサイティングな商品をそれぞれのお客さまのニーズに合わせて日本のお客さまにお届けしてまいります。私たちは、これからも全てのお客さまに上質なカスタマーエクスペリエンスを提供してまいります。日本のお客さま、そして日本の記者の皆さまは高い品質への要求水準が高いことでよく知られています。高い品質、イノベーション、そして信頼性は私たちのブランドからお客さまへのお約束であり、これこそがまさにフォルクスワーゲンブランドを表す言葉です」とコメントし、ID.4を正式に披露した。
そして広報・マーケティング本部 マーケティング コミュニケーション シニア マネージャーの鶴ゆみ氏はマーケティング戦略について紹介するとともに、12月12日~12月25日までの期間限定で東京ミッドタウン アトリウム(東京都港区赤坂)に体験型ポップアップスペース「ID.SQUARE」をオープンすることを紹介。
また、ID.4発売を機にWay to ZEROのコミュニケーションをサポートするアンバサダーにフリーアナウンサーの皆藤愛子さん、気象予報士の森田正光さん、陸上競技選手の山縣亮太さんが就任しており、会場には陸上競技選手の山縣さんが駆けつけてトークショーを展開。
山縣さんはID.4について「外観がスタイリッシュでスポーティな雰囲気を感じます。あと室内空間がすごく広くて、練習道具とかたくさん積んで練習会場に出かけられそうです。また、乗り心地がよさそうですね。ルーフ(パノラマガラスルーフ)も開放感があって、気持ちよさそうだなと思いました」と、ID.4の特徴について語った。