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モービルアイ、先進運転支援システムと自動運転向けプラットホーム「SuperVision」の進化の展望をシャシュアCEOが語る

2023年1月5日~8日(現地時間) 開催

CES2023で説明を行なったモービルアイ CEO アムノン・シャシュア氏

 インテル傘下のモービルアイ(Mobileye)は、1月5日~1月8日(現地時間)に米国ラスベガスで行なわれたCES2023に出展し、同社のADAS(先進運転支援システム)/AD(自動運転)向けSoC(System-on-a-chip)のソリューションを展示した。1月5日(現地時間)には記者説明会を行ない、同社の車載半導体ビジネスに関する現状を、同社CEO アムノン・シャシュア氏が説明した。

 同社は「SuperVision」と呼ばれるADAS/AV向けプラットホームをOEMメーカーに提案しており、それをベースにして今後レベル4やレベル5のようなより高度な自動運転を実現できるシステムにアップグレードしていくというのが戦略だと説明した。また、同社ブースではそうしたモービルアイの半導体やOEMメーカーの搭載システムなどを展示していた。

レベル2やレベル3という表現からアイズオン/オフ、ハンズオン/オフなど分かりやすい表現への変更を提案

ADAS関連では2030年までに173億ドルの売上が期待できる

 モービルアイのCEOであるアムノン・シャシュア氏は、同社のビジネス状況から説明を開始した。シャシュア氏によれば、現状のデザインウイン(最終製品への採用が決定していること)の状況などから考えて2030年までのADAS関連の売上は173億ドルが見込まれており、そのうち2022年のデザインウインベースの売上が67億ドル、そして同社が計画している自動運転向けの基本デザイン「SuperVision」のデザインウインでは35億ドルの売上が見込めると説明。

売上などの予想
2022年の採用メーカー
2022年に採用された車種

 それをチップ別に見ると、2021年はEyeQ3とEyeQ4ベースが売上のほとんどを占めていたが、2022年は世代が変わり、EyeQ4が最も大きな売上を占めていることは同様だが、EyeQ5やEyeQ6ベースの売上が増加していると説明した。そして2022年の自動車メーカーのモデル別に見ると、BMW、ステランティス、ヒョンデ/キア、GM、フォード、ルノー、VW、日産、ホンダ、マツダなどに採用されていると紹介した。

ADASから自動運転へ
モービルアイが提案する新しい自動運転の区分け
アイズオフのソリューション

 その上でシャシュア氏は、同社の自動運転向けシステムのロードマップについて触れ、「これまでわれわれもレベル2、3、4などの段階で説明してきた。しかし、それは自動車産業の用語でしかなく分かりにくい。そこでこれからは、アイズオン/ハンズオン(目を開け/ハンドルを握る)、アイズオン/ハンズオフ(目を開け/ハンドルをはなす)、アイズオフ/ハンズオフ(目を閉じ/ハンドルはなす)、ドライバーなし(ロボタクシー)の4段階に分類することを提案したい」と述べ、目を開ける/閉じる(ドライバーが前方を注視しているか、そうでないか)、ハンドルを握る/はなす(ドライバーが操作しているか、そうではないか)、そもそも人間のドライバーがいないなど、状態に応じた説明を付けるべきだと提案していきたいと述べた。

SuperVisionをベースにしてアップグレードしていくことで、複数段階の自動運転に対応する戦略

モービルAIの自動運転戦略、SuperVisionをベースに拡大

 その上でそうした各段階に応じて自動運転のシステムを作ってくことが大事で、モービルアイではその基本デザインとして提案している「SuperVision」をベースにそれを拡張していくことで、より上位の自動運転システムを容易に設計できるようにしていきたいと説明した。

製品の拡大
EyeQ6世代の開発キット
モジュラーハードウエアデザイン
SuperVisionを採用するZeeker
さらに3つのブランドがSuperVisionベースで開発を開始
2026年までに6つのブランド9車種で採用される
SuperVisionのより上位版となるシステム

 例えば、SuperVisionではEyeQ5ないしはEyeQ6Hが2つ、その上の高速道路でのIC(インターチェンジ)からICまでの自動運転機能を追加した場合には、EyeQ6Hが3つなど、SuperVisionをベースにシステムを拡張していくことで、自動運転のさまざまな段階に対応できると説明した。

 そうしたSuperVisionは中国のZeekerが採用を明らかにしているが、今回の会見では2026年に6つのブランドが9つのモデルで出荷を開始する計画だと明らかにされ、昨年段階での2025年からはやや後退する形になったことが発表された。

REMについての資料

1年で86億マイル分の走行データを収集できたというREM

 また、シャシュア氏は同社が推進するREM(Road Experience Management)の現状についても説明した。REMはモービルアイのシステムを搭載している自動車からの走行データをモービルアイのクラウドに集約し、それにより高精度3Dマップを自動生成する仕組みだ。毎日走っている実車からの情報が日々更新されていくので、常に最新の地図データを生成することが可能になっている。2022年にはその走行データが大きく拡大し、毎日2900万マイルのデータがサーバーにアップロードされ、2022年全体で86億マイルのデータが集まったという。それにより、より高精度な3Dマップが作れるようになっていると説明した。

MaaSについての資料

ロボタクシーによる実証実験で業界をリードするMaaS事業

 また、同社のMaaS事業では、ロボタクシーの実証実験などが行なわれており、EyeQ5Hを6つ利用した80TOPSのシステムにより実証実験を行なっていることなど説明した。それにより2028年までに35億ドルの売上が見込めると説明しており、すでに欧州で市場をリードするようなOEMメーカーとの契約も成り立っていると説明した。

 なお、ウエストホールに設置された同社のSoCや、それを搭載したOEMメーカーのシステムボードなども展示されていた。

モービルアイブースに展示されていた日産自動車用のADAS基板には「EyeQ5」が1つ搭載されている
EyeQ4 Mid
EyeQ5 Mid
EyeQ6 Lite
EyeQ4 High
EyeQ5 High
EyeQ6 High
CESに出展していたモービルアイのブース