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鈴鹿8耐、優勝は33号車Team HRC with Japan Post ホンダワークスチームが2連覇

2023年8月4日〜6日 開催

ホンダワークスチームの33号車Team HRC with Japan Post(長島哲太/高橋巧/チャビ・ビエルゲ、CBR1000RR-R FIREBLADE SP、BS)

 鈴鹿サーキットで開催された鈴鹿8耐「2023 FIM世界耐久選手権 "コカ·コーラ" 鈴鹿8時間耐久ロードレース 第44回大会」は8月6日、決勝レースでホンダワークスチームの33号車Team HRC with Japan Post(長島哲太/高橋巧/チャビ・ビエルゲ、CBR1000RR-R FIREBLADE SP、BS)が優勝、2022年に続く2連覇を達成した。

 2位は104号車TOHO Racing(清成龍一/國峰啄磨/榎戸育寛、CBR1000RR-R FIREBLADE SP、BS)、3位は73号車SDG Honda Racing(浦本修充/名越哲平/埜口遥希、CBR1000RR-R FIREBLADE、BS)。終盤の突然の雨が明暗を分けた。

表彰台でトロフィーを掲げる33号車のライダーたち

レーススタート〜1時間30分:33号車は出遅れるも即挽回、前年王者1号車が転倒

 前日までは雨天が予想されていたものの、スタート時間の11時30分時点で天候は晴れ、路面もドライとなった。ホームストレート上で対岸からマシンに駆け寄って走り出すル・マン式スタートが切られると、いち早く飛び出したのは12号車Yoshimura SERT Motul(グレッグ・ブラック/シルヴァン・ギュントーリ/エティエンヌ・マッソン、GSX-R1000R、BS)。そのままホールショットを決め、オープニングラップも制した。

2023年の鈴鹿8耐がスタート

 髙橋巧選手がスタートライダーとなった33号車は、オープニングラップ後の混乱で一時5位まで転落するも、他上位陣よりコンマ5秒以上速い2分8秒フラットで追い上げ、6周目までにその出遅れを挽回。7周目の1コーナーでトップに返り咲き、その後7号車YART YAMAHA OFFICIAL TEAM EWC(ニッコロ・カネパ/マーヴィン・フリッツ/カレル・ハニカ、YZF-R1、BS)と何度もトップを入れ替えながら、そこに12号車が続くという3台の先頭グループが形成される。

 30分経過時点でトップは33号車、2秒離れて7号車、さらに5秒遅れて12号車。その後ろでは4〜5台による4位争いが激しくなる。2022年シリーズ王者の1号車F.C.C. TSR Honda France(マイク・ディ・メリオ/アラン・テシェ/タラン・マッケンジー、CBR1000RR-R FIREBLADE SP、BS)はスタートで4位になったが、順位を落とし10位。しかも最終シケインの侵入で転倒し、ダメージは少なくすぐに復帰したものの、一気に20位まで後退してしまう。シリーズポイントでは7号車と1ポイント差の2位にいるため、シリーズ連覇にも暗雲が立ちこめる。

転倒とその後のマシントラブルで大幅なポジションダウンを強いられた1号車

 上位陣1回目のピットストップは50分経過した24周あたりから。長島選手に交代した33号車は2分6秒902のファステストラップを刻みながら後続との差を広げ、1時間経過時点で2位7号車のカレル・ハニカ選手に20秒差。3位は12号車シルバヴァン・ギュントーリ選手、4位は17号車Astemo Honda Dream SI Racing(CBR1000RR-R FIREBLADE、BS)の渡辺一馬選手。

1時間半〜3時間:7号車にまさかのマシントラブル、シリーズ優勝に黄信号

 1時間30分が経過したところで、2位走行中の7号車にトラブルが発生。スローダウンした後バックストレートでストップしてしまい、マシンを押し歩いてピットへ戻ることに。修復してコースに戻るが、その時点でトップから13周遅れの43位。ポイント獲得が絶望的となり、転倒したライバル1号車に再度逆転のチャンスが訪れる。

マシントラブルにより7号車は下位に沈む

 2位12号車に十分なリードを作った33号車は、2回目のピットストップ後、チャビ・ビエルゲ選手に交代してポジションを落とすことなくトップのままコースに復帰する。3位には、9位スタートから着実に順位を上げてきた95号車S-PULSE DREAM RACING-ITEC(GSX-R1000R、BS)の渥美心選手。

 レースは3時間が経過。トップをひた走る33号車は、2位12号車に1分50秒を超えるギャップを作っており、2位以下を全員周回遅れにする勢い。その後ろでは95号車と76号車AutoRace Ube Racing Team(ダン・リンフット/津田拓也/、GSX-R1000R、BS)が接近し、3位争いを繰り広げている。

3位争いを繰り広げる95号車

3時間〜5時間:セーフティカー導入で順位に変動

 33号車のライダーは再び高橋巧選手にバトンタッチ。大きなアドバンテージを築いているためか、ラップタイムは2分9秒前後で一時よりはペースを抑えているように見える。それでも他の上位陣より平均して1秒は速い。

 レース折り返しとなる4時間前後、2位の12号車がライダー交代してコースに復帰したところで、長島哲太選手に代わった33号車がついに12号車までをも周回遅れにする。鈴鹿8耐2連覇に向け33号車が着々とギャップを拡大しつつ後半戦へと突入していく。

セーフティカー後、表彰台圏内まで追い上げてきた76号車

 5時間を経過した直後、バックストレートで転倒があり、今大会初めてセーフティカーが導入。およそ16分間の中断を経て再開した時点の上位は33号車、12号車、76号車の並び。とはいえ3位以降は同一周回でタイム差も大きくなく、ピットインタイミングによって順位がたびたび入れ替わっている。

6時間〜7時間:残り1時間半で突然の雨、難しいコンディションを味方にしたのは……

 セーフティカー解除後は淡々とレースが進んでいたが、終了まで1時間半を切った18時過ぎ、ここまで持ちこたえていた空模様が急変し、コースの一部で弱い雨が降り始める。数分で上がったかに思われたが、唐突に雨脚が強くなり全ライダーが大幅にスローダウン。ピットインしてレインタイヤに交換するチームが続出する。

虹が見られるなど雨が近づいていることを予感させる

 上位陣でいち早くレインタイヤにしたのは3位走行中の104号車。同一周回で前を行く12号車を追うなか、その12号車もレインタイヤに交換したところ、コース復帰直後に痛恨の転倒。これにより104号車が2位に躍り出る。12号車は再度ピットインし修復してレースに復帰するも、12位までポジションダウンしてしまう。

12号車はレインタイヤ交換後に転倒

 一方で33号車はスリックタイヤのまま続行。雨は本降りではなくなったものの、まだ影響が残っているにもかかわらず、ルーチンのピットインでスリックタイヤを選択する。7時間経過時点の順位は33号車、104号車、73号車。転倒とマシントラブルで下位に後退していた1号車が、王者の意地を見せ5位まで盛り返している。

7時間〜フィナーレ:ウェットでもスリックで走り続ける33号車

 18時52分、鈴鹿サーキットは日没を迎えナイトセッションへ。トップを走る33号車は2位の104号車に1周半のリード。とはいえ、スリックタイヤの前者とレインタイヤの後者のタイムはほぼ拮抗しており、雨脚が少しでも強まれば104号車が有利になる状況だった。が、結果的には33号車の読みが当たり天候は回復する。

日没を迎えた鈴鹿8耐

 レース残りわずか5分、33号車が最後の給油のためにピットイン。それでも後続に大きなリードを保ったままチェッカーを受け、ほとんど完璧なレース運びで圧倒的な勝利を収めた。2位は104号車、3位は73号車。優勝の33号車はブリヂストンタイヤを採用しており、ブリヂストンとしては鈴鹿8耐における連勝記録を16に伸ばした。

2位に入った104号車
73号車は3位表彰台を獲得
パドックで喜びを分かち合う33号車のライダー

決勝レース暫定結果

順位:チーム(選手、車両、タイヤ)
1:33号車Team HRC with Japan Post(長島哲太/高橋巧/チャビ・ビエルゲ、CBR1000RR-R FIREBLADE SP、BS)
2:104号車TOHO Racing(清成龍一/國峰啄磨/榎戸育寛、CBR1000RR-R FIREBLADE SP、BS)
3:73号車SDG Honda Racing(浦本修充/名越哲平/埜口遥希、CBR1000RR-R FIREBLADE、BS)
4:1号車F.C.C. TSR Honda France(マイク・ディ・メリオ/アラン・テシェ/タラン・マッケンジー、CBR1000RR-R FIREBLADE SP、BS)
5:76号車AutoRace Ube Racing Team(ダン・リンフット/津田拓也/、GSX-R1000R、BS)
6:71号車Honda Dream RT SAKURAI Honda(伊藤和輝/日浦大治朗/荒川晃大、CBR1000RR-R FIREBLADE、BS)
7:37号車BMW MOTORRAD WORLD ENDURANCE TEAM(マルクス・レイテルベルガー/イリア・ミカルキク/ジェレミー・グラハニ、M1000RR、DL)
8:88号車Honda Asia-Dream Racing with SHOWA(モハメド・ザクワン・ビン・ザイディ/アンディ・ファリド・イズディハール/ナカリン アティラプワパ、CBR1000RR-R FIREBLADE、BS)
9:95号車S-PULSE DREAM RACING-ITEC(渥美心/ジョシュ・ウォータース/マーセル・シュロッター、GSX-R1000R、BS)
10:17号車Astemo Honda Dream SI Racing(水野涼/渡辺一馬/作本輝介、CBR1000RR-R FIREBLADE、BS)

【8月8日 正式結果情報追加】レース後車両検査の結果が反映された正式結果が発表され、暫定結果で2位の#104 TOHO Racingについて、2023年FIM世界耐久選手権規則の第2.6.6.10条に違反する燃料タンクの過容量が記録されたため失格が決定されました。