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F1ドライバー角田裕毅選手が急きょ参戦! 「ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿 特別講習会」

2023年12月2日 開催

モビリティリゾートもてぎで行なわれた「ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿 特別講習会」

 2023年12月2日、モビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)で、世界で活躍する次世代のレーシングドライバー育成を担う「ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿」(HRS)の「Kart Class」を対象にした特別講習会が開催された。

 この特別講習会は、翌日3日に控えたホンダファンイベント「Honda Racing THANKS DAY 2023」に合わせ、昨年に続き実施されたもの。レーシングカートのドライビングを学ぶKart Classの生徒らが第一線の現役レーシングドライバーと直接コミュニケーションをとり、アドバイスを受けられる貴重な機会となっている。

受講生5人はいずれも中学生。最長3年間のカリキュラムでレーシングカートを学ぶ
ウォームアップ走行へ向かう受講生たち
中学生とは思えない鋭い走りを見せていた

 当初は2023年のF1でドライバーランキング2位だったセルジオ・ペレス選手(Red Bull Racing)を特別講師として招く予定だったが、日本へのフライト遅延により参加不可に。急きょ代役として、F1ドライバーの角田裕毅選手(SCUDERIA ALPHATAURI F1)と、F2で2023年をドライバーズランキング4位で終えた岩佐歩夢選手(DAMS)の2人が招へいされ、元から参加を予定していたHRSプリンシパルでもある佐藤琢磨選手を加えた3人による講習会となった。

特別講師として招かれたHRSプリンシパルの佐藤琢磨選手(左)、岩佐歩夢選手(中)、角田裕毅選手(右)
角田裕毅選手
岩佐歩夢選手
佐藤琢磨選手

 しかしながら、角田選手と岩佐選手が翌日の「Honda Racing THANKS DAY 2023」に向けてリハーサルに参加しなければならない都合もあり、本来よりも短時間のプログラムに。そのためじっくり講義を受けられる時間はなかったものの、隙を見て講師に話しかけ、アドバイスをもらう受講生の姿も見受けられた。また、5人の受講生と角田選手、岩佐選手の7人による10周のミニレースも行なわれた。

アドバイスを受ける受講生たち
ウォームアップのためカートに乗り込む角田選手と岩佐選手
フォーミュラドライバー2選手の走りを観察する受講生

 レースでは角田選手と岩佐選手は最後尾からのスタートだったが、タイヤが温まりきっていないシグナル直後に角田選手が大外からまくってオープニングラップで一気に2番手へ。その後はトップを走る受講生との差をじわじわと詰め、レース終盤にはついに追いつく。ところが、コーナーの突っ込みで一瞬オーバーテイクしかけるも、その瞬間にマシンをスピンさせてしまいコースアウト。最下位でのフィニッシュとなった。

ミニレースがスタート。角田選手と岩佐選手は最後尾から
スタート直後、角田選手は2番手に
徐々にトップを追い詰めていくが……
終盤、トップに立とうとした瞬間、コーナーの突っ込みでミス
スピンしてコースアウトしてしまった
マシンが動かなくなり、ゴールを見届けてから岩佐選手の力を借りて脱出していた
F1角田選手も参戦した「ホンダ・レーシング・スクール・鈴鹿 特別講習会」(1分43秒)

 岩佐選手はしばらく3番手を伺う位置にいたところ、中盤にかわして角田選手に続く形に。しかし、角田選手のコースアウトがあったことで最終的には2着。トップでチェッカーを受けたのは女性の受講生で、角田選手からのプレッシャーにも動揺せず、終始先頭を守り抜いてのゴールに顔をほころばせていた。

トップでチェッカーを受けたのは女性の受講生(左)

 レース後は3選手が受講生からの質問に回答。F1ドライバーを目指すうえでの心構えに関する質問には、「努力し続け、自分を信じ続けるしかない」と角田選手。レース前には緊張することもあるが、「緊張するのはプレッシャーを感じて自分が真剣になっているいい感じのサイン」だとして、あえて抑えようとはしていないと語った。

レース後には受講生との質疑応答の時間が設けられた
質問に答える角田選手

「レーシングカートの練習が、フォーミュラで役に立つところはあるでしょうか?」という質問に対しては、岩佐選手は「相手との駆け引きだったり、タイヤが冷えたところからのレーススタートなど、フォーミュラでも同じことが起こるので、そういった実戦形式の経験を積むことが大事」とアドバイス。

 続けて角田選手が、レーシングカートでは「自分のスタイルを持つこと」も学んでほしいとし、「僕はカート(時代)はブレーキングが得意で、それがF1(でのブレーキングの強み)にもつながっている。自分のスタイルを持って、それを武器にすることが重要」と話していた。

 佐藤選手は最後に、プリンシパルとしての立場から「ダイレクトにタイヤのことを感じて、バトルできるのはレーシングカートの素晴らしさ」とコメント。角田選手のコースアウトを引き合いに「リザルトにはつながらなかったけれど、ああいうチャレンジをする気持ちがすごく大事」としつつ、「(カートから始まった2選手を)しっかりと見習って、今後も気合い入れて頑張ってください」と5人の受講生にエールを送っていた。

最後に記念の集合写真