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NVIDIA、現行品の約13倍の性能を持つ「DRIVE PX PEGASUS」をドイツで発表。レベル5自動運転が実現可能に

320TOPS。搭載GPUはVoltaの次世代を2基

2017年10月10日(現地時間)発表

NVIDIA、現行品の約13倍の性能を持つ「DRIVE PX PEGASUS」をドイツで発表。レベル5自動運転が実現可能に GTC Europeで発表された「DRIVE PX PEGASUS(ドライブピーエックスペガサス)」
GTC Europeで発表された「DRIVE PX PEGASUS(ドライブピーエックスペガサス)」

 半導体メーカーのNVIDIAは、自動車メーカーやティア1部品メーカーなどに供給している自動運転を実現するAIコンピューターボード「DRIVE PX」の最新版となる「DRIVE PX PEGASUS(ドライブ ピーエックス ペガサス)」を、ドイツ ミュンヘンで開催中のGTC Europeで発表した。

 NVIDIA オートモーティブ部門 シニアダイレクター ダニー・シャピーロ氏は「DRIVE PX PEGASUSは320TOPSの性能を実現し、レベル5の自動運転を実現することが可能だ」と述べ、DRIVE PX PEGASUSの320TOPSという性能により、自動車メーカーはレベル5の自動運転(完全ドライバーレスの自律運転)が実現可能になると説明した。

レベル5の自動運転を実現できる320TOPSのDRIVE PX PEGASUS

 NVIDIAのDRIVE PXは同社のSoCやGPUを搭載したコンピュータボードで、自動車にAIの機能を実現する頭脳として利用されている。現在の主力製品は開発コードネーム「Parker(パーカー)」で知られる「Tegra SoC」が2つ、Pascalアーキテクチャの「GeForce」が2つというDRIVE PX2だが、今回発表されたDRIVE PX PEGASUSはその後継という扱いになる。

NVIDIA、現行品の約13倍の性能を持つ「DRIVE PX PEGASUS」をドイツで発表。レベル5自動運転が実現可能に DRIVE PX PEGASUS
DRIVE PX PEGASUS

 シャピーロ氏によれば、DRIVE PX PEGASUSには、2つの「Xavier(エグゼビア)」と2つの次世代GPUが搭載されているという。XavierはNVIDIAがParkerの後継として開発したSoCで、シングルチップでDRIVE PX2を上まわる処理能力を持っているとされる。そのXavier2つと同時に搭載される2つのGPUは、まだNVIDIAが公表していない次世代GPUになるという。この次世代GPUは同社が5月にサンノゼで開催したGTCで発表した「Volta」ではなく、Voltaの次の世代になるとシャピーロ氏は説明した。また、システム全体のメモリ帯域は1TB/秒に達し、機能安全のASIL D、CAN、Flexray、16個のセンサー入力(カメラやレーダー、ライダーなど)、複数の10Gビットイーサネットにも対応している。

 この結果として、DRIVE PX PEGASUSのディープラーニング演算時の処理能力は320TOPS(320兆オペレーション/秒)の性能を実現しているとシャピーロ氏は述べる。これはDRIVE PX2の24TOPS、初代DRIVE PXの2TOPSに比べて約13倍、160倍の性能を実現している計算になる。シャピーロ氏は「こうした性能により、自動車メーカーはレベル5の自動運転をこのナンバープレートサイズのボードだけで実現できる」と述べ、現在は自動車のトランクいっぱいにコンピュータを搭載してテストしているレベル5の自動運転(ステアリングやアクセル、ブレーキなどがない完全ドライバーレスの自律運転)がDRIVE PX PEGASUSだけで実現できるようになるとアピールした。

 シャピーロ氏によれば、DRIVE PX PEGASUSは2018年の半ばに出荷することを見込んでいるとのことで、来年にはレベル5の自動運転車の市販化も技術的には実現可能になってきたということができるだろう。

DPDHLがZFの「ProAI self-driving system」を自動配送車に採用

 また、NVIDIAはドイツの郵便会社であるDPDHL(Deutsche Post DHL Group)が、同社が計画している自動配送車に、NVIDIAのDRIVE PXをベースに作られているZFの「ProAI self-driving system」を採用する計画であることを明らかにした。それによれば、DPDHLが計画している24時間365日稼働する自動配送車のAIエンジンとして、DRIVE PXといったNVIDIAの自動車向けソリューションが採用され、“ラストワンマイル”と呼ばれる配送事業者の拠点から企業や個人宅などへの配送を自動配送車によって行なう計画だという。これにより、現在のシステムと比べて30%ほど効率が高まるとNVIDIAは説明している。

NVIDIA、現行品の約13倍の性能を持つ「DRIVE PX PEGASUS」をドイツで発表。レベル5自動運転が実現可能に DPDHL(Deutsche Post DHL Group)がZFのProAI self-driving systemを採用
DPDHL(Deutsche Post DHL Group)がZFのProAI self-driving systemを採用
NVIDIA、現行品の約13倍の性能を持つ「DRIVE PX PEGASUS」をドイツで発表。レベル5自動運転が実現可能に ZFのProAI(9月に行なわれたフランクフルトショーで撮影)
ZFのProAI(9月に行なわれたフランクフルトショーで撮影)

 また、NVIDIAは5月のGTCで発表した「Project Holodeck」に関しても追加の発表を行なった。Project HolodeckはVRの世界を複数のユーザーで共有できる仕組みで、例えば自動車開発の現場などでは、CGで作成したイメージに対し、複数のユーザーがVRの世界で共同作業を行なうことができる。その早期テストプログラム(アーリーアクセスプログラム)が開始されることが明らかにされた。Project Holodeckに興味があるユーザーは、NVIDIAのWebサイト(nvidia.com/holodeck/)から申し込むことで、早期テストプログラムに参加できる。

NVIDIA、現行品の約13倍の性能を持つ「DRIVE PX PEGASUS」をドイツで発表。レベル5自動運転が実現可能に Project Holodeckの概要
NVIDIA、現行品の約13倍の性能を持つ「DRIVE PX PEGASUS」をドイツで発表。レベル5自動運転が実現可能に Project Holodeckの概要
Project Holodeckの概要
NVIDIA、現行品の約13倍の性能を持つ「DRIVE PX PEGASUS」をドイツで発表。レベル5自動運転が実現可能に Project Holodeckの早期テストプログラムが開始される
Project Holodeckの早期テストプログラムが開始される
NVIDIA、現行品の約13倍の性能を持つ「DRIVE PX PEGASUS」をドイツで発表。レベル5自動運転が実現可能に