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パイオニア、緊急通報機能付き「ドライブレコーダー+」発表会レポート 1980円/月からサブスク提供

事故リスクをAIが事前予測するインテリジェントパイロット採用

2020年9月30日 発表

TMX-DM04-CS(1カメラタイプ):1980円/月(税別)

TMX-DM04-CS-FRC(2カメラタイプ):2480円/月(税別)

パイオニアが開催した緊急通報機能付き通信ドライブレコーダー「ドライブレコーダー+」のオンライン記者発表会

 パイオニアは9月30日、11月中旬発売予定の緊急通報機能付き通信ドライブレコーダー「ドライブレコーダー+」のオンライン記者発表会を開催。同発表会に、パイオニア モビリティサービスカンパニーCEOの相木孝仁氏と、同 マーケティング担当の山浦敬太郎氏が登壇して新商品の狙いと特徴について説明した。

 ドライブレコーダー+は、ドライブレコーダー端末代と通信サービス利用料を含むサブスクリプションサービスとして提供され、価格は1カメラタイプの「TMX-DM04-CS」が1980円/月(税別)、2カメラタイプの「TMX-DM04-CS-FRC」が2480円/月(税別)。契約時に別途事務手数料2000円(税別)が必要となる。

1カメラタイプの「TMX-DM04-CS」
2カメラタイプの「TMX-DM04-CS-FRC」

 なお、11月中旬の販売に先駆けてクラウドファンディングサービス「Makuake」において、9月30日~10月30日に先行販売が実施される。Makuakeでの販売は1カメラモデル「TMX-DM04-CS」のみの展開となり、通信サービス利用料1年分込の価格は2万1800円(税別)から。

ドライブレコーダー+の販売方法
クラウドファンディングサービス「Makuake」において特別価格の先行販売を実施

国内市販市場初の緊急通報ができる通信ドライブレコーダー

パイオニア株式会社モビリティサービスカンパニーCEO 相木孝仁氏

 ドライブレコーダー+は、あおり運転による事故が社会問題化されている背景をもとに、国内市販市場では初となる緊急通報ができる通信ドライブレコーダー。ボタン1つでコールセンターに接続し、事故や車両トラブルなど状況に応じて、救急、警察、JAFロードサービスへ救援を要請。交通トラブルへの不安に対して「つながる」安心を提供するサービスとなる。

これまでのパイオニアの取り組みを紹介

 発表会に登壇した相木氏からは調査結果が報告され、同社の調査によると39%のドライバーが、あおり運転への不安を感じているという。その中でドライブレコーダーへ期待する機能としては、あおられ時に警察へ通報(63%)、後方自動録画(61%)、緊急通報時に現在地を自動送信(41%)、緊急時にロードサービスへ発報(38%)があるという。

あおり運転への不安に対応して新製品を開発
パイオニアによる調査結果

 相木氏は「当社が独自に実施した調査において最も多かった声は後方自動録画とほぼ同じ割合で63%の人が煽られ時に警察へ通報する機能を求めていることが分かりました。さらにはトラブル時に自分の居場所を自動で伝える機能や、ロードサービスを利用できる機能を求める声も多く、録画機能だけでなくトラブル対策のニーズが高まっていることが明らかです」と語り、「ドライブレコーダーは本来、事故時の証拠保全のために一般に普及したものですが、現在ではそれ以上の役割が求められております。このような状況を受けまして、パイオニアが市販ドライブレコーダーとしては初めて通信ドライブレコーダーを発売いたします」と開発の背景を話した。

通信により3つの「つながる」安心機能を追加した新製品のドライブレコーダー+

 新製品のドライブレコーダー+について、相木氏は「従来型のドライブレコーダーに安心と安全をプラスします。これは当社がこれまで個人・法人に向けて提供する通信サービスを通じて蓄積してきた技術やノウハウを結集し、インテリジェントパイロットも搭載したさらに一歩先の安心安全を提供する通信ドライブレコーダーです」と紹介。

 相木氏は「安心安全のサービスとしてヘルプネットとJAFロードサービスと連携いたします。これまで一部車両の純正機能として提供されるだけであった安心機能が、現在お乗りのクルマに後から装着することが可能になり、予防安全と緊急通報システムに対応した運転支援システムとして広く普及させることを考えております」と新製品の狙いを話した。

ドライブレコーダープラス 利用シーン動画

 相木氏によるプレゼンテーションでは、締めくくりに「本日9月30日は秋の交通安全週間の最終日、交通事故死ゼロを目指す日であります。このドライブレコーダー+の普及を通じて、事故や事故につながる交通トラブルを少しでも減らしたいと考えています。パイオニアはあらゆる人がもっとクルマを快適に安全に安心して利用できる社会、事故のない未来の実現に向けて取り組んでまいります」との考えを述べるとともに、同商品の売上の一部を交通安全を目指した社会貢献活動に寄付する予定であることを明かした。

プレゼンテーションの締めくくりに示されたメッセージ

ドラレコに3つの「つながる」安心機能を追加

パイオニア株式会社 マーケティング担当 山浦敬太郎氏

 ドライブレコーダー+の具体的な特徴については、パイオニア マーケティング担当 山浦敬太郎氏から、ドライブレコーダー+で実現させた、プロにつながる「緊急通報機能」、家族にもつながる「見守り機能」、AIにつながる「事故防止機能」といった、3つの「つながる」安心機能に関しての説明がされた。

通信により実現した3つの「つながる」安心機能
プロにつながる「緊急通報機能」
家族にもつながる「見守り機能」

 1つ目の「緊急通報機能」については、トラブルが発生するとドライブレコーダー+からヘルプネットのコールセンターに自動、または手動で通報され、同時に位置情報や車種名、ドライバーの名前が自動的に送信されるといい、山浦氏は「トラブルに動揺しているような時でも細かい説明は不要」と強調。

 コールセンターからこれらの情報を合わせて、状況によって警察、消防、JAFロードサービスに連絡するため、迅速な救援が可能になるという。また、2つ目の「見守り機能」については、ヘルプネットへの緊急通報と同時に離れたところにいる家族にもLINEやメールによって自動的に連絡をする機能となることが紹介された。

 3つめのAIにつながる「事故防止機能」について、山浦氏は「一般的に危険を予測している状態に比べて、危険を予測できていない時、歩行者に気づいてブレーキを踏むまでに約2倍の距離が必要であると言われております。一瞬の不注意が取り返しのつかない事故につながることは、このことが大きく起因していると考えております」との開発の背景を話した。

3つめのAIにつながる「事故防止機能」
その時時の事故のリスクをAIが事前予測
膨大なデータから分析してAIが的確に警告を出すという

 この事故防止機能を実現する、パイオニアの安全運転支援システム「インテリジェントパイロット」は、AIがその時の時間帯や天候、事故が起きやすい地点かどうか、さらにはドライバーの運転傾向まであらゆる情報を分析しドライバーに代わって事故のリスクを事前予測する技術という。

 山浦氏は「この先進的なシステムにはクラウドの技術を活用しております。パイオニアの地図作成会社インクリメントPのデジタル地図と長年の車載器事業で蓄積してきた約13年分にものぼるプローブデータ、これらを掛け合わせて全国60万以上にのぼる事故リスク地点を独自に算出しております。この事故リスク地点に対してその時の天候や時間帯、ドライバーの運転傾向を総合的に分析して、その日その時によって異なる事故リスクに応じて約800種類ものメッセージで、的確な注意喚起を実現いたしました」と同機能を紹介した。

Intelligent Pilot紹介ビデオ

 山浦氏は「これによって生まれるこのシステムの強みは、同じ場所を走っていても本当に必要な時や本当に危険な時だけ警告を出すことです。これまでの警告機能は事故多発地点に近づくと毎回必ず同じメッセージを出しておりましたが、パイオニアの安全運転支援システムであるインテリジェントパイロットは、たとえ同じ道を毎日走っていても、例えば雨の日の夜など特に事故のリスクが高い時にだけ効果的に警告をいたしますので、ドライバーの警告に対する慣れを防ぐことができる」と同機能のメリットを強調した。

ドライブレコーダー+を紹介するプレゼンテーションスライド