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ホンダF1 田辺TD、カタールGPのレッドブル・ホンダの2位、4位の結果に「パフォーマンスを最大限に引き出した結果」
2021年11月22日 12:52
- 2021年11月19日~21日(現地時間) 開催
レッドブル・ホンダとメルセデスのF1チャンピオンを掛けた争いは終盤戦にさしかかり、11月21日の深夜に行なわれたカタールGPの決勝レースで残り3レースとなった。今回の舞台はカタールにあるロサイル・インターナショナル・サーキットで、F1が開催されるのは今回が初めてとなる。
前戦サンパウロGPの結果で、ドライバー選手権の首位レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手が2位のルイス・ハミルトン選手を14ポイントリードし、コンストラクター選手権は首位メルセデスを2位のレッドブル・ホンダを11ポイントリードするという形になっていた。
カタールGPの決勝では、予選でポール・ポジションを獲得したハミルトン選手がそのままポール・トゥ・ウインで優勝したが、予選の黄旗無視により5グリッド降格ペナルティーを課せられ7番グリッドからスタートしたフェルスタッペン選手は、レース序盤で大きく挽回して2位にあがり表彰台を獲得した他、レース最終ラップにファステストラップもマークして貴重な1点を加えた。また、予選のQ2で敗退したことで11番グリッドからスタートしたチームメイトのセルジオ・ペレス選手もレース中に大きく順位を上げ最終的に4位でゴールした。
F1第20戦カタールGP、メルセデスのハミルトンが優勝 レッドブル・ホンダのフェルスタッペンは2位となり8ポイント差でポイントリーダー維持
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1368080.html
そのカタールGP終了後に、ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏によるオンライン会見が行なわれたのでその模様をお届けしたい。
レッドブルの2台はそれぞれのパフォーマンスを最大限引き出した結果、アルファタウリが2台ともポイント圏外は残念
──それでは田辺TDより本日のレースの振り返りをお願いしたい。
田辺氏:初開催となったカタールGPだが、フリー走行の状態からタイヤに厳しいということが見えていた。ラップタイムの状況やタイヤの摩耗などから、初めてのレース故の難しさがあり、またパンクチャーの発生などもある難しいレースになった。
ホンダPU(パワーユニット)の4台はレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手が7番グリッドからのスタートで2位、ペレス選手は11番グリッドからのスタートで4位となった。それぞれパフォーマンスを最大限に引き出した結果でよかったと考えている。
アルファタウリ・ホンダの2台に関してはガスリー選手がフロントローからスタートし、角田選手は8番グリッドからスタートということだったが、残念ながらレースではペースが上がらずに2台ともにポイント圏外になってしまった。そうしたことを考えると、最終的には難しい週末だったというのが、われわれの結果だと思う。
1週あけて、12月にサウジアラビアGP、アブダビGPと2連戦を迎える。ここまで戦ってきた内容等の見直しも含めて、チームと共に準備して残り2戦に臨みたい。
──カタールGPから、リアウイングのテストが変わったが、メルセデスのスピードへの影響をどう見ているか?
田辺氏:サーキットの特性も大きく影響するし、今年1年のデータを振り返らないと詳しいことは言えない。しかし感触としてはブラジルのような大きな差はなかったとは思う。
──残り2戦になったが、次のコースがストレートの長いジッダの市街地コース、さらにその次はコース改修もあったアブダビとなる。それら2戦への手応えは?
田辺氏:とにかく十分に準備して、コース特性も含めて準備して向かいたい。
──3連戦の間にレッドブルとメルセデスの戦いの風向きは変わった印象があるが、田辺氏自身としてはどう評価しているか?
田辺氏:当然のことながら、われわれとしてはいつもの追い風に乗っていたいが、今年もここまで何回かありましたけれども、ものすごい劣勢、ものすごい追い風、その中で戦ってきて今のポジションがあると思っている。今度は逆転して追い風が強くなるのか、さらに向かい風が強くなるのかは分からないが、ただ追い風に乗るということではなく、(自分たちは何ができるのかを)もう一度よく考えた上で残り2戦に臨みたいと思う。
──風向きの変化っていうのは、パッケージの変化なのかそれともサーキットとの相性の変化なのか、それとも別の何かで週末をうまく戦うことができなかったのか?
田辺氏:全部だ。パッケージはサーキットによって合う、合わないがある。天候の変化、路面温度、風向きなどでも変わってくる。同じサーキットでもそうした要素をどれだけ自分たちのパッケージに合わせ込めるか、チーム、エンジニア、メカニック、ドライバーすべてのパッケージが全部含まれていると思う。
──カタールは合っているのではないかと思われていたが、今回のような結果になったが……
田辺氏:誰がそう予想していたのかは知れないが、ちょっとなんとも言えない。
残すは2戦。ホンダとメルセデスのポイント差は「ないに等しい」状況
今回のカタールGPの結果、ドライバー選手権ではフェルスタッペン選手のリードが14ポイントから8ポイントに削られたものの首位を維持、コンストラクター選手権では首位メルセデスのリードが5ポイントに削られてレッドブル・ホンダがぐっと差を詰めることになった。いずれの選手権でも差が詰まった状態で、優勝で25点、2位が18点、3位が15点を獲得することが可能で、ファステストラップポイントで1点が獲得できることを考えれば、優勝してファステストラップを獲れば最大26点を獲得し、仮に競争相手が2位だったとすれば8点差をつけられることを考えれば、この「8点」というポイント差はないに等しいと言える。
また、コンストラクター選手権の5点差も、両チームのセカンドドライバーが今回のボッタス選手のようにレース中に何らかのトラブルを抱えてリタイアしたりすれば、すぐに大きな差がついてしまうという状況の中では「ないに等しい差」といって差し支えないだろう。
この後、今週末はレースがなく、来週末となる12月3日~12月5日にサウジアラビア第2の都市で産油国サウジアラビアの経済都市となるジェッダの市街地コース「ジェッダ・コーニッシュ・サーキット」で行なわれる第21戦サウジアラビアGP、そしてその翌周(12月10日~12月12日)にアラブ首長国連邦の首長国の1つであるアブダビの「ヤス・マリーナ・サーキット」で行なわれる第22戦アブダビGPで最終戦を迎えることになる。
特にサウジアラビアGPはそのコースであるジェッダ・コーニッシュ・サーキットは、ジェッダのリゾート地となるコーニッシュの市街地に作られた市街地コースで、初開催のコースとなり、誰もデータを持っていないという意味ではカタールGPと同じ条件での開催になる。
F1の公式サイトで公開されているジェッダ・コーニッシュ・サーキットのコース紹介によれば、1周6174kmと1周の距離が非常に長いのが特徴で、最終コーナー手前のストレートとメインストレートなど、長いストレートが何本もあるのが特徴になっており、シミュレーションによればモンツアについで2番目に速い最高速が記録されるレースになる見通しだという。
今年のそうしたレースではいずれもメルセデスが力強いレースをみせており、例えばソチでのロシアGP、イギリスGPなどではルイス・ハミルトン選手が優勝している。ただ、同じようなストレートが長い市街地コースだったバクー市街地コースでのアゼルバイジャンGPでは、レッドブル・ホンダがマックス・フェルスタッペン選手のタイヤが終盤にバーストするまでは1-2フォーメーションを構築しており、それと似たようなコース特性だと考えれば、レッドブル・ホンダ陣営にも勝機はあると言える。
泣いても笑っても今年のF1は後2戦。今シーズン限りで後に第4期F1参戦と呼ばれる事になるだろうF1参戦を終える予定のホンダのPUがホンダブランドをつけて走るのも残り2戦となる。ここ数戦、両陣営ともにコース上よりもコース外の方が騒がしいという状況だったが、残り2戦はコースの上で素晴らしいバトルをみせてもらい、ドライバー選手権もコンストラクター選手権もコース上できれいな決着がつくようなレースを見ることができることに期待したい。
F1第20戦カタールGP 決勝結果
順位 | 号車 | ドライバー | 車両 | 周回数 | タイム | ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | ルイス・ハミルトン | メルセデス | 57 | 1時間24分28秒471 | 25 |
2 | 33 | マックス・フェルスタッペン | レッドブル・レーシング・ホンダ | 57 | +25.743秒 | 19 |
3 | 14 | フェルナンド・アロンソ | アルピーヌ・ルノー | 57 | +59.457秒 | 15 |
4 | 11 | セルジオ・ペレス | レッドブル・レーシング・ホンダ | 57 | +62.306秒 | 12 |
5 | 31 | エステバン・オコン | アルピーヌ・ルノー | 57 | +80.570秒 | 10 |
6 | 18 | ランス・ストロール | アストンマーティン・メルセデス | 57 | +81.274秒 | 8 |
7 | 55 | カルロス・サインツ | フェラーリ | 57 | +81.911秒 | 6 |
8 | 16 | シャルル・ルクレール | フェラーリ | 57 | +83.126秒 | 4 |
9 | 4 | ランド・ノリス | マクラーレン・メルセデス | 56 | +1周 | 2 |
10 | 5 | セバスチャン・ベッテル | アストンマーティン・メルセデス | 56 | +1周 | 1 |
11 | 10 | ピエール・ガスリー | アルファタウリ・ホンダ | 56 | +1周 | 0 |
12 | 3 | ダニエル・リカルド | マクラーレン・メルセデス | 56 | +1周 | 0 |
13 | 22 | 角田裕毅 | アルファタウリ・ホンダ | 56 | +1周 | 0 |
14 | 7 | キミ・ライコネン | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 56 | +1周 | 0 |
15 | 99 | アントニオ・ジョビナッツィ | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 56 | +1周 | 0 |
16 | 47 | ミック・シューマッハ | ハース・フェラーリ | 56 | +1周 | 0 |
17 | 63 | ジョージ・ラッセル | ウイリアムズ・メルセデス | 55 | +2周 | 0 |
18 | 9 | ニキータ・マゼピン | ハース・フェラーリ | 55 | +2周 | 0 |
NC | 6 | ニコラス・ラティフィ | ウイリアムズ・メルセデス | 50 | DNF | 0 |
NC | 77 | バルテリ・ボッタス | メルセデス | 48 | DNF | 0 |
※ファステストラップポイントの+1ポイントはマックス・フェルスタッペン選手
ドライバーランキング(F1第20戦カタールGP終了後)
順位 | ドライバー | 国 | 車両 | ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | マックス・フェルスタッペン | NED | レッドブル・レーシング・ホンダ | 351.5 |
2 | ルイス・ハミルトン | GBR | メルセデス | 343.5 |
3 | バルテリ・ボッタス | FIN | メルセデス | 203 |
4 | セルジオ・ペレス | MEX | レッドブル・レーシング・ホンダ | 190 |
5 | ランド・ノリス | GBR | マクラーレン・メルセデス | 153 |
6 | シャルル・ルクレール | MON | フェラーリ | 152 |
7 | カルロス・サインツ | ESP | フェラーリ | 145.5 |
8 | ダニエル・リカルド | AUS | マクラーレン・メルセデス | 105 |
9 | ピエール・ガスリー | FRA | アルファタウリ・ホンダ | 92 |
10 | フェルナンド・アロンソ | ESP | アルピーヌ・ルノー | 77 |
11 | エステバン・オコン | FRA | アルピーヌ・ルノー | 60 |
12 | セバスチャン・ベッテル | GER | アストンマーティン・メルセデス | 43 |
13 | ランス・ストロール | CAN | アストンマーティン・メルセデス | 34 |
14 | 角田裕毅 | JPN | アルファタウリ・ホンダ | 20 |
15 | ジョージ・ラッセル | GBR | ウイリアムズ・メルセデス | 16 |
16 | キミ・ライコネン | FIN | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 10 |
17 | ニコラス・ラティフィ | CAN | ウイリアムズ・メルセデス | 7 |
18 | アントニオ・ジョビナッツィ | ITA | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 1 |
19 | ミック・シューマッハ | GER | ハース・フェラーリ | 0 |
20 | ロバート・クビサ | POL | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 0 |
21 | ニキータ・マゼピン | RAF | ハース・フェラーリ | 0 |
コンストラクターランキング(F1第20戦カタールGP終了後)
順位 | チーム | ポイント |
---|---|---|
1 | メルセデス | 546.5 |
2 | レッドブル・レーシング・ホンダ | 541.5 |
3 | フェラーリ | 297.5 |
4 | マクラーレン・メルセデス | 258 |
5 | アルピーヌ・ルノー | 137 |
6 | アルファタウリ・ホンダ | 112 |
7 | アストンマーティン・メルセデス | 77 |
8 | ウイリアムズ・メルセデス | 23 |
9 | アルファロメオ・レーシング・フェラーリ | 11 |
10 | ハース・フェラーリ | 0 |