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ホンダF1 田辺TD、カタールGPのレッドブル・ホンダの2位、4位の結果に「パフォーマンスを最大限に引き出した結果」

2021年11月19日~21日(現地時間) 開催

決勝レースで2位に入ったマックス・フェルスタッペン選手(C)Getty Images / Red Bull Content Pool

 レッドブル・ホンダとメルセデスのF1チャンピオンを掛けた争いは終盤戦にさしかかり、11月21日の深夜に行なわれたカタールGPの決勝レースで残り3レースとなった。今回の舞台はカタールにあるロサイル・インターナショナル・サーキットで、F1が開催されるのは今回が初めてとなる。

 前戦サンパウロGPの結果で、ドライバー選手権の首位レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手が2位のルイス・ハミルトン選手を14ポイントリードし、コンストラクター選手権は首位メルセデスを2位のレッドブル・ホンダを11ポイントリードするという形になっていた。

 カタールGPの決勝では、予選でポール・ポジションを獲得したハミルトン選手がそのままポール・トゥ・ウインで優勝したが、予選の黄旗無視により5グリッド降格ペナルティーを課せられ7番グリッドからスタートしたフェルスタッペン選手は、レース序盤で大きく挽回して2位にあがり表彰台を獲得した他、レース最終ラップにファステストラップもマークして貴重な1点を加えた。また、予選のQ2で敗退したことで11番グリッドからスタートしたチームメイトのセルジオ・ペレス選手もレース中に大きく順位を上げ最終的に4位でゴールした。

F1第20戦カタールGP、メルセデスのハミルトンが優勝 レッドブル・ホンダのフェルスタッペンは2位となり8ポイント差でポイントリーダー維持

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1368080.html

 そのカタールGP終了後に、ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏によるオンライン会見が行なわれたのでその模様をお届けしたい。

レッドブルの2台はそれぞれのパフォーマンスを最大限引き出した結果、アルファタウリが2台ともポイント圏外は残念

11番グリッドから追い上げて4位に入ったセルジオ・ペレス選手(左)と序盤ソフトタイヤに苦しんで順位を下げてしまったアルファタウリのピエール・ガスリー選手(右)(C)Getty Images / Red Bull Content Pool

──それでは田辺TDより本日のレースの振り返りをお願いしたい。

田辺氏:初開催となったカタールGPだが、フリー走行の状態からタイヤに厳しいということが見えていた。ラップタイムの状況やタイヤの摩耗などから、初めてのレース故の難しさがあり、またパンクチャーの発生などもある難しいレースになった。

 ホンダPU(パワーユニット)の4台はレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手が7番グリッドからのスタートで2位、ペレス選手は11番グリッドからのスタートで4位となった。それぞれパフォーマンスを最大限に引き出した結果でよかったと考えている。

 アルファタウリ・ホンダの2台に関してはガスリー選手がフロントローからスタートし、角田選手は8番グリッドからスタートということだったが、残念ながらレースではペースが上がらずに2台ともにポイント圏外になってしまった。そうしたことを考えると、最終的には難しい週末だったというのが、われわれの結果だと思う。

 1週あけて、12月にサウジアラビアGP、アブダビGPと2連戦を迎える。ここまで戦ってきた内容等の見直しも含めて、チームと共に準備して残り2戦に臨みたい。

ウイリアムズをオーバーテイクする角田裕毅選手、ガスリー選手と同じくソフトタイヤに苦しみ序盤に順位を落として13位に(C)Getty Images / Red Bull Content Pool

──カタールGPから、リアウイングのテストが変わったが、メルセデスのスピードへの影響をどう見ているか?

田辺氏:サーキットの特性も大きく影響するし、今年1年のデータを振り返らないと詳しいことは言えない。しかし感触としてはブラジルのような大きな差はなかったとは思う。

──残り2戦になったが、次のコースがストレートの長いジッダの市街地コース、さらにその次はコース改修もあったアブダビとなる。それら2戦への手応えは?

田辺氏:とにかく十分に準備して、コース特性も含めて準備して向かいたい。

──3連戦の間にレッドブルとメルセデスの戦いの風向きは変わった印象があるが、田辺氏自身としてはどう評価しているか?

田辺氏:当然のことながら、われわれとしてはいつもの追い風に乗っていたいが、今年もここまで何回かありましたけれども、ものすごい劣勢、ものすごい追い風、その中で戦ってきて今のポジションがあると思っている。今度は逆転して追い風が強くなるのか、さらに向かい風が強くなるのかは分からないが、ただ追い風に乗るということではなく、(自分たちは何ができるのかを)もう一度よく考えた上で残り2戦に臨みたいと思う。

──風向きの変化っていうのは、パッケージの変化なのかそれともサーキットとの相性の変化なのか、それとも別の何かで週末をうまく戦うことができなかったのか?

田辺氏:全部だ。パッケージはサーキットによって合う、合わないがある。天候の変化、路面温度、風向きなどでも変わってくる。同じサーキットでもそうした要素をどれだけ自分たちのパッケージに合わせ込めるか、チーム、エンジニア、メカニック、ドライバーすべてのパッケージが全部含まれていると思う。

──カタールは合っているのではないかと思われていたが、今回のような結果になったが……

田辺氏:誰がそう予想していたのかは知れないが、ちょっとなんとも言えない。


アルピーヌのフェルナンド・アロンソ選手をオーバーテイクして2位にあがるマックス・フェルスタッペン選手。リードは減ったがランキングトップを堅持して次戦に向かう(C)Getty Images / Red Bull Content Pool

残すは2戦。ホンダとメルセデスのポイント差は「ないに等しい」状況

 今回のカタールGPの結果、ドライバー選手権ではフェルスタッペン選手のリードが14ポイントから8ポイントに削られたものの首位を維持、コンストラクター選手権では首位メルセデスのリードが5ポイントに削られてレッドブル・ホンダがぐっと差を詰めることになった。いずれの選手権でも差が詰まった状態で、優勝で25点、2位が18点、3位が15点を獲得することが可能で、ファステストラップポイントで1点が獲得できることを考えれば、優勝してファステストラップを獲れば最大26点を獲得し、仮に競争相手が2位だったとすれば8点差をつけられることを考えれば、この「8点」というポイント差はないに等しいと言える。

 また、コンストラクター選手権の5点差も、両チームのセカンドドライバーが今回のボッタス選手のようにレース中に何らかのトラブルを抱えてリタイアしたりすれば、すぐに大きな差がついてしまうという状況の中では「ないに等しい差」といって差し支えないだろう。

 この後、今週末はレースがなく、来週末となる12月3日~12月5日にサウジアラビア第2の都市で産油国サウジアラビアの経済都市となるジェッダの市街地コース「ジェッダ・コーニッシュ・サーキット」で行なわれる第21戦サウジアラビアGP、そしてその翌周(12月10日~12月12日)にアラブ首長国連邦の首長国の1つであるアブダビの「ヤス・マリーナ・サーキット」で行なわれる第22戦アブダビGPで最終戦を迎えることになる。

 特にサウジアラビアGPはそのコースであるジェッダ・コーニッシュ・サーキットは、ジェッダのリゾート地となるコーニッシュの市街地に作られた市街地コースで、初開催のコースとなり、誰もデータを持っていないという意味ではカタールGPと同じ条件での開催になる。

 F1の公式サイトで公開されているジェッダ・コーニッシュ・サーキットのコース紹介によれば、1周6174kmと1周の距離が非常に長いのが特徴で、最終コーナー手前のストレートとメインストレートなど、長いストレートが何本もあるのが特徴になっており、シミュレーションによればモンツアについで2番目に速い最高速が記録されるレースになる見通しだという。

 今年のそうしたレースではいずれもメルセデスが力強いレースをみせており、例えばソチでのロシアGP、イギリスGPなどではルイス・ハミルトン選手が優勝している。ただ、同じようなストレートが長い市街地コースだったバクー市街地コースでのアゼルバイジャンGPでは、レッドブル・ホンダがマックス・フェルスタッペン選手のタイヤが終盤にバーストするまでは1-2フォーメーションを構築しており、それと似たようなコース特性だと考えれば、レッドブル・ホンダ陣営にも勝機はあると言える。

 泣いても笑っても今年のF1は後2戦。今シーズン限りで後に第4期F1参戦と呼ばれる事になるだろうF1参戦を終える予定のホンダのPUがホンダブランドをつけて走るのも残り2戦となる。ここ数戦、両陣営ともにコース上よりもコース外の方が騒がしいという状況だったが、残り2戦はコースの上で素晴らしいバトルをみせてもらい、ドライバー選手権もコンストラクター選手権もコース上できれいな決着がつくようなレースを見ることができることに期待したい。

F1第20戦カタールGP 決勝結果

順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
144ルイス・ハミルトンメルセデス571時間24分28秒47125
233マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ57+25.743秒19
314フェルナンド・アロンソアルピーヌ・ルノー57+59.457秒15
411セルジオ・ペレスレッドブル・レーシング・ホンダ57+62.306秒12
531エステバン・オコンアルピーヌ・ルノー57+80.570秒10
618ランス・ストロールアストンマーティン・メルセデス57+81.274秒8
755カルロス・サインツフェラーリ57+81.911秒6
816シャルル・ルクレールフェラーリ57+83.126秒4
94ランド・ノリスマクラーレン・メルセデス56+1周2
105セバスチャン・ベッテルアストンマーティン・メルセデス56+1周1
1110ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ56+1周0
123ダニエル・リカルドマクラーレン・メルセデス56+1周0
1322角田裕毅アルファタウリ・ホンダ56+1周0
147キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ56+1周0
1599アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ56+1周0
1647ミック・シューマッハハース・フェラーリ56+1周0
1763ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス55+2周0
189ニキータ・マゼピンハース・フェラーリ55+2周0
NC6ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス50DNF0
NC77バルテリ・ボッタスメルセデス48DNF0

※ファステストラップポイントの+1ポイントはマックス・フェルスタッペン選手

ドライバーランキング(F1第20戦カタールGP終了後)

順位ドライバー車両ポイント
1マックス・フェルスタッペンNEDレッドブル・レーシング・ホンダ351.5
2ルイス・ハミルトンGBRメルセデス343.5
3バルテリ・ボッタスFINメルセデス203
4セルジオ・ペレスMEXレッドブル・レーシング・ホンダ190
5ランド・ノリスGBRマクラーレン・メルセデス153
6シャルル・ルクレールMONフェラーリ152
7カルロス・サインツESPフェラーリ145.5
8ダニエル・リカルドAUSマクラーレン・メルセデス105
9ピエール・ガスリーFRAアルファタウリ・ホンダ92
10フェルナンド・アロンソESPアルピーヌ・ルノー77
11エステバン・オコンFRAアルピーヌ・ルノー60
12セバスチャン・ベッテルGERアストンマーティン・メルセデス43
13ランス・ストロールCANアストンマーティン・メルセデス34
14角田裕毅JPNアルファタウリ・ホンダ20
15ジョージ・ラッセルGBRウイリアムズ・メルセデス16
16キミ・ライコネンFINアルファロメオ・レーシング・フェラーリ10
17ニコラス・ラティフィCANウイリアムズ・メルセデス7
18アントニオ・ジョビナッツィITAアルファロメオ・レーシング・フェラーリ1
19ミック・シューマッハGERハース・フェラーリ0
20ロバート・クビサPOLアルファロメオ・レーシング・フェラーリ0
21ニキータ・マゼピンRAFハース・フェラーリ0

コンストラクターランキング(F1第20戦カタールGP終了後)

順位チームポイント
1メルセデス546.5
2レッドブル・レーシング・ホンダ541.5
3フェラーリ297.5
4マクラーレン・メルセデス258
5アルピーヌ・ルノー137
6アルファタウリ・ホンダ112
7アストンマーティン・メルセデス77
8ウイリアムズ・メルセデス23
9アルファロメオ・レーシング・フェラーリ11
10ハース・フェラーリ0