レビュー
【ナビレビュー】圧倒的な精度の高さとスマホの利便性をイイトコ取り!「サイバーナビ AVIC-CL902」
「MapFanAssist」でクルマから離れていても旅行を計画できる2018年モデルを試してみた
2018年6月27日 00:00
1997年の発売以来、カーナビ業界のトップエンドモデルとして君臨しているのが、カロッツェリア「サイバーナビ」だ。
毎回枕詞のように書いているので「耳タコ」もとい「目タコ」(!?)かも知れないけれど、DVD-ROMやHDDといったメディアをいち早く採用したほか、プローブ情報を活用した交通情報「スマートループ」、ヘッドアップディスプレイやスカウターといったAR機能など、カーナビにおけるトレンドを作り上げてきたほど。
この夏に発売となった2018年モデルは、2016年モデルからの流れを汲んだモノ。7V型ディスプレイを採用した2DIN対応の「AVIC-CZ902」、ワイド2DIN対応の「AVIC-CW902」、8V型ディスプレイを採用した「AVIC-CL902」、それに10V型ディスプレイ&車種別専用パネルが付属する「AVIC-CE902」系の4系列。加えてドライブサポート機能を実現する「マルチドライブアシストユニット」(ND-MA1)および、「データ通信専用通信モジュール」(ND-DC2)を同梱したモデルが7V型、8V型モデルには用意されている。さらに2018年モデルでは、音質面を強化したサイバーナビ Xシリーズ「AVIC-CZ902XS」が追加になったのもトピック。こちらについては別記事で紹介している。
さて、今回レビューするのは8V型ディスプレイを採用するAVIC-CL902。マルチドライブアシストユニットが付属しないモデルだが、前述のデータ通信専用通信モジュールをオプションで装着している。スマートフォンなどをテザリングで接続しても同様のことはできるものの、こちらを使えば手間いらず。リアルタイム情報の取得ができてこそパフォーマンスを発揮することができるため、カーナビの利用頻度が高いなら必須と言ってもよいアイテムだ。
2018年モデルはここが変わった!
ナビゲーションとして使う上で最も大きいのが、スマートフォン連携の強化になる。といっても、Android AutoやApple CarPlayのようなタイプではなく、補助的に使うことでより便利にカーナビを利用しよう、というもの。その核となるのが、無料で使えるスマートフォンアプリ「MapFanAssist」(AndroidおよびiOS用)だ。
このアプリで可能になるのは「スポットフォルダ」「スポットリザーブ」「ドライブプラン」「マイカーシーク」の4つ。
1つ目のスポットフォルダは、MapFanの「ブックマーク」とサイバーナビの「スポットフォルダ」を同期する機能。カンタンに言ってしまえばMapFanで行きたい場所をブックマークすると、サイバーナビのスポットフォルダにも同じ地点が登録されるというモノ。メディアで紹介されたお店やWebで見つけた景色のいいスポットなど、気になる場所があったらMapFanにブックマーク。いざその場所に行こうって時でも、いちいちスマホを見て住所や店名を入力する必要はなく、サイバーナビのスポットフォルダから選択するだけで目的地にすることができるワケ。
スポットリザーブはいわばその発展形。MapFanで気になる場所を見つけたら「カーナビ目的地予約」ボタンをポン! 次回、サイバーナビが起動する時にその場所が目的地として設定される。例えばドライブ中に立ち寄ったお店で聞いたおすすめスポットをその場で予約。クルマに戻ってエンジンをかければそこが次の目的地として設定されているって塩梅だ。
3つ目のドライブプランは出発地と到着地、それに立ち寄り地点を設定することで、ルートはもちろん所要時間や有料道路の料金を出かける前に調べられる、って機能。各地点間の所要時間はスマートループ渋滞情報の一部を利用するので確度が高いため、次の目的地に向けていつ出発すればいいのか、どの程度滞在していられるのか分かるのが便利。さらに、こうして作成したプランはサイバーナビに送信することができるため、出発前の慌ただしい時間にナビに目的地を入力する手間も省くことができるのだ。
最後のマイカーシークはMapFanで自車位置を調べることができる機能。例えば“通勤で使っている駅まで家族に迎えに来てもらう”なんて時に使うと、「もう少しかかりそうだからコンビニに寄っておくか」とムダな待ち時間を減らすことが可能。あるいは、広いテーマパークの駐車場にクルマを駐めて「場所が分からなくなった!」なんて場合でも、迷わずクルマに向かうことができるワケ。ただ、この機能を使うことで「自分がどこにいるか監視されているのでは?」って心配をしてしまうかもしれないけれど、それは大丈夫。アプリを使うためにはサイバーナビとMapFanを利用するためのIDを「ヒモ付け」する必要があるため、別のIDを使ったMapFan利用者が自車位置を調べることはできないようになっているのだ。逆に言えば、家族といえどもIDを教えてしまったらアウト(?)ってワケだ。
ちなみに、これらの機能はスマホアプリだけでなく、MapFanのWebサイトからも利用することが可能だ。
基本部分は2016年モデルからの流れを踏襲
サイバーナビが大きなモデルチェンジを行なったのが2016年。2017年モデルでマイナーチェンジを行ない、この2018年モデルへと至っている。というワケで、地図表示や検索、ルート探索といったナビゲーションの基本部分は従来モデルを引き継いだモノとなっている。
メニュー画面まわりはホームメニューを中心にナビメニュー、AVメニュー、Live infoメニューと4画面構成。ホームボタンを押してホームメニューを表示して、左右にフリックすることでそれ以外のメニューへと切り替えられる。
こうしたタッチパネルによる操作に加え、Bluetooth接続の「スマートコマンダー」、音声で目的地検索などが行なえる「フリーワード音声検索」なども引き続き標準搭載。スマートコマンダーは地図の縮尺を変更することだけに絞っても便利だし、認識率の高い音声検索も長い名称のスポットを探す時には威力を発揮してくれる。どちらもサイバーナビを使いこなすなら必須と言えるアイテムだ。
地図表示は2017年モデルから変わらず。文字拡大や100mスケールでの一方通行表示の有無、200mスケールでの信号機表示の有無など、好みに応じてカスタマイズができるのは便利だ。
こうした地図のカスタマイズは、画面上部から下部に向かってフリックすることで引き出せる「インスタントメニュー」内の、「マルチレイヤマップ」を選ぶことでカンタンにカスタマイズすることができる。このインスタントメニューにはこのほか「よく行く」「ビュー」「ルート」など使用頻度が高めの項目が用意されており、いちいちホームメニューから階層を辿っていかなくても済む。ぜひとも使いこなしてほしい機能だ。
また、嬉しいのが最大3年間、追加費用不要で地図データの更新が可能なこと。2020年に向けて新規開業の道路が多いこともあって、これだけでもサイバーナビを選ぶアドバンテージは大きいと言える。
スポットなどの検索まわりも、基本的には従来どおりだ。基本的にと書いたのは、検索そのものは変わっていないモノの、ロゴマーク表示がブラッシュアップされているため。以前から銀行などのスポットを検索した際、営業時間外の施設ロゴマークをシャッターが閉まっているようなアイコンで表示していたが、2018年モデルではその機能を拡大。従来は営業時間外のアイコンや駐車場の有無については詳細情報を確認する必要があったけれど、コンビニやファミリーレストラン、ファストフード店といった施設ではそれも地図上のロゴマークで確認できるように変更。細かい部分ではあるものの、確実に使い勝手はよくなったと言える。
サイバーナビならでは、と言えるのが「スーパールート探索」だ。カーナビの場合、ルート探索は本体に収められたデータを使って行なうのが一般的。けれども、このスーパールート探索は通信機能を使ってサーバー側の膨大なデータを駆使。スマートループ渋滞情報やリアルタイムの交通情報などを加味しつつ、ナビ本体の処理ではマネのできないレベルの演算を実施。より最適で効率的なルートを導き出してくれる。そのバリエーションは「推奨/有料標準」をベースに「推奨2/有料標準」「推奨/有料回避」「推奨2/有料回避」「時間優先/有料標準」「幹線優先/有料標準」の計6パターン。通信を挟むため探索には若干時間がかかるものの、6ルート探索を行なってもそれほど待たされるといった印象は受けない。
ただ、実際にスーパールート探索がどれぐらいスゴイか、っていうのは残念ながらなかなか知ることができない。というのも、AよりBが早いと提示されても、同時に走り比べなければ本当かどうか分からないため。だが、しかし。今回は別件でサイバーナビとVICSのみ搭載のナビで同じルートを走り比べる機会があり、そこでスーパールート探索の威力をまざまざと見せつけられることになった。
具体的には、首都高速道路が合流部分で2kmほど渋滞していたのだけれども、サイバーナビは手前のIC(インターチェンジ)で一般道へ降り、渋滞を避けて次のICから再度首都高速に乗るルートを提案したのだ。首都高速の料金を2度払う必要があるため、普通ならなかなか考えないルートと言えるものの、結果は約10分ほどアドバンテージを得ることになった。首都高速の料金がかなり高くなるなら選ばないところだけれど、このケースでは乗り続けると600円、いったん降りて再度乗った場合は770円(共にETCを利用した場合)と、その差はわずか170円。時間と金額、どちらを重視するかはケースバイケースだが、そういった選択肢が用意されるか否かって点は大きな違いだ。
ルート案内も従来どおりの分かりやすさ。交差点拡大や方面案内看板、細街路での案内、ルートを間違えた際のリルートの速さなど、全く不満を感じることはない。ただ、今回のモデルはMAユニットを装着していない「カーナビのみ」の状態。誤発進警告、レーンキープサポート、ターゲットスコープといった注意喚起がないのは、若干不安を感じてしまった。装着されているときは「いちいちうっとうしい」と感じることがあったものの、なくなってみると不安を覚えるのはサポートが役に立っていることの裏付けなのかもしれない。
自車位置精度については、さんざん書いているけれどやはりトップクラスといった印象。GPSだけでなく準天頂衛星「みちびき」、ロシアの衛星測位システム「グロナス」まで活用するほか、上下、左右、回転方向の加速度と角速度を検出する「6軸3Dハイブリッドセンサー」のコンビネーションにより、正確な自車位置を表示してくれる。こうした精度の高さは単純な自分の居場所の表示だけにとどまらず、走行時にも威力を発揮する。
具体的には高速道路走行時はもちろん、一般道でもそれを感じるのが連続するアンダーパスを走行しているようなシチュエーション。これを認識していないナビだと曲がれない交差点で案内してしまいリルートを繰り返す、なんてことになってしまいがちだけれども、サイバーナビなら曲がることができる交差点で案内を行なってくれる(もちろん、データを持っている道路では、という注釈は付くけれど)。その精度の高さはやはりサイバーナビならでは、と実感できる部分だ。
音質追及にも嬉しいハイレベルなAV機能
AV機能もハイレゾ対応を果たした2017年モデルと変わらず。「マスターコントロールモード」を選択すると「31バンドグラフィックイコライザー」や、0.35cm単位で設定可能な「タイムアライメント」など、コダワリの調整も可能だ。さらに2018年モデルではオーディオ面を強化した「サイバーナビ Xシリーズ」が追加されている。サイバーナビそのものも十分にハイレベルな音質を実現しているけれども、コダワルならそちらをチョイスするのもアリだ。どちらにせよ、旧モデルからの買い替えなら間違いなく満足できるはずだ。
サイバーナビファンには間違いなくオススメ
ざっくりとまとめから書いてしまえば、スマホ連携により使い勝手をアップしたのがこの2018年モデル。「それだけ?」と思うかもしれないけれど、クルマから離れているときに目的地を決めておくことができるのは、実用面ではかなり便利な機能だと感じられた。また、カーナビ画面での操作よりスマホでの操作に慣れているユーザーにもメリットになるハズだ。
車載器ならではの圧倒的な精度の高さと安心感、それに加えてスマホのような携帯機の利便性。両者のイイトコ取りを実現した新サイバーナビは、今まで以上に便利に使うことができるモデルだと言っていい。