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日産、“家族みんなが楽しめる”新型「セレナ」発表会

予約注文では7割近くが自動運転技術「プロパイロット」搭載車

2016年8月24日 開催

日産自動車株式会社 専務執行役員の星野朝子氏と新型セレナ

 日産自動車は、8月24日に発売を開始した新型「セレナ」の発表会を、横浜の日産グローバル本社で開催した。

 発表会には日産自動車 専務執行役員の星野朝子氏をはじめ、日本商品企画部 リージョナルプロジェクトマネージャー 遠藤智実氏、デザイン本部 プログラム・デザイン・ダイレクター 入江慎一郎氏、第三プロジェクト統括グループ 車両開発主管 磯部博樹氏が登壇して新型セレナの魅力を語った。

 また、この発表会のあとには星野氏と俳優の山本耕史さん、さらに新型セレナに採用される自動運転技術「ProPILOT(プロパイロット)」を実際に体験しながら中継で参加したタレントのパパイヤ鈴木さんによるスペシャルトークショーも展開されている。

ハイウェイスター専用カラーの「マルーンレッド×ダイヤモンドブラック」
星野氏と俳優の山本耕史さん、パパイヤ鈴木さんを交えたトークショーも開かれた

予約注文では7割近くが自動運転技術「プロパイロット」搭載車

「一般のお客様が新型セレナに試乗いただくのは本日はじめての機会になるので、どのような反響をいただけるのか楽しみにしている」と述べた星野氏

 冒頭に挨拶を行なった星野氏は、「日本のミニバンの代表格であるセレナが6年ぶりに待望のフルモデルチェンジをしまして、本日より販売を開始します。今回で5代目となるセレナは、1991年に発売された初代から折々の時代が求める“家族の楽しさ”をずっと追求してきた。“BIG”“EASY”“FUN”という変わらぬ商品コンセプトを常に進化させてきた結果、多くのセレナファンを魅了し、家族のミニバンとしてトップランナーを走り続けてきた。先代モデルは自動ブレーキというエポックメイキングな技術をいち早く標準搭載したモデルで、安心・安全な家族のミニバンとして人気を博した。モデル末期にも関わらず、多くのお客様にご支援をいただき、高い販売台数を維持してきた。それはセレナが本当に多くのお客様に愛されてきたという証拠であり、私自身も誇りに思っている」と、これまでを振り返る。

 そして今回フルモデルチェンジした新型セレナについては、「プロパイロットの完成度の高さのみならず、日産のたくさんの技術が詰まっている。クルマ自体が持つ性能や魅力はもちろんのこと、手を触れずにドアを開閉できる“魔法のとびら”や、2列目にシートベルトをした方が乗っていてもシートベルトが邪魔をせずに3列目に乗り込むことができる“魔法のベルト”など、魅力満載のクルマになっている。これまでに新型セレナに触れていただいた販売店の皆さまからは『これは売れる』と自信を持って現場に帰っていただいている。私も本日以降、多くのお客様に新型セレナを気に入っていただけるものと確信している」とコメント。

 また、発表会が開かれた日産グローバル本社ギャラリーでは、8月24日~26日に高速道路上でプロパイロットを体験できる試乗会を実施しており、これについて星野氏は「一般のお客様が新型セレナに試乗いただくのは本日はじめての機会になるので、どのような反響をいただけるのか楽しみにしている」と述べている。

 そして最後に今後の展開についても触れ、「(7月に発売した)GT-R 2017年モデルがなんと、発売後1カ月で昨年1年間に売り上げた台数を大きく超える受注をいただいた。そのGT-R、新型セレナをはじめ今後投入を予定している最新のハイブリッドパワートレーン『e-POWER』システムを搭載する新型小型乗用車、これらによって日本市場に日産独自の技術を搭載した商品群をどんどん投入していきたいと思っている。今後の日産にご期待ください」と述べ、挨拶を締めくくっている。

 なお、発表会終了後の質疑応答でプロパイロットの装着率について聞かれた星野氏は、「想定では4割だが、予約注文の数字を見ると7割近くとなっている」と、想定以上にプロパイロット装着車の予約が多いことを明らかにするとともに、「基本的にプロパイロットは高速道路で操作するためのものなので、なかなか販売店で高速道路にお客様を連れて行って試乗するというのが難しい。ビデオを用意したり、分かりやすい説明でプロパイロットのベネフィットを訴求できるように各販売店のトレーニングをつんできた」と、プロパイロット訴求に向けた取り組みについて説明。

 また、プロパイロットを高級車ではなく普及価格帯のセレナに導入したことについては「多くの方々の人生を面白くしたいと思っていて、このプロパイロットを高級車から搭載していくということもあったと思うが、1人でも多くのお客様にこの素晴らしい自動運転技術で楽チンで楽しいドライブを経験していただきたいと思い、あえてファミリーカーの代表格であるセレナから搭載する戦略とした」と述べている。

家族みんなが楽しめるSERENA

日産自動車株式会社 日本商品企画部 リージョナルプロジェクトマネージャー 遠藤智実氏

 次に登壇した遠藤氏は新型セレナの商品概要について紹介。

 まずセレナを取り巻く市況について、セレナが属するセグメントで高いシェアをキープしてきたこと、モデルチェンジごとに販売台数を増加させてきたことを報告し、「これはセレナのセールスポイントである“BIG”“EASY”“FUN”を常に磨き続けて進化させてきた証」と振り返る。

 そして新型セレナでは「家族みんなが楽しめるSERENA」を狙いとし、ここでいう家族とは核家族4人にとどまらず祖父母まで含めた6人、または友人家族を含めた8名までを指しており、そのみんながわけ隔てなく日常をワクワクに変えるような空間を目指して開発を進めてきたという。

 その新型セレナも、引き続き“BIG”“EASY”“FUN”をセールスポイントに掲げており、まず「ますます広くなったNo1室内空間」を指す“BIG”では3列目にスライド機構を設けるなどして全列どこでも脚が組める広大な室内空間を実現。これに加え、ピラーまわりをスリムにするとともにメーターまわりのレイアウトを低い位置に設定することで、見晴しのよい前方視界を実現した。

「すべての人が実感できる使いやすさ」を指す“EASY”では、スライドドアの下側につま先を近づけて離すという動作によってスライドドアを自動で開けられる「ハンズフリーオートスライドドア」や、上下2分割で開閉できる「デュアルバックドア」によって荷物の出し入れが容易になったこと、セカンドシートのシートベルトをバックレスト内蔵型とするとともに3列目用に設けられたドア開閉スイッチにより、2列目で寝ている子供を起こすことなく3列目から乗り降りできるようになったことなどを紹介。

 そして「クルマ生活がもっとワクワク、もっと楽しく快適になる」を指す“FUN”では、運転のストレスを低減するプロパイロットを搭載したことや、多彩なシートアレンジ、多様なボディ/インテリアカラーを用意していることなどが大きな特徴として紹介されている。

デザインについて

日産自動車株式会社 デザイン本部 プログラム・デザイン・ダイレクター 入江慎一郎氏

 入江氏は新型セレナのデザインについて紹介。

 新型セレナのエクステリアデザインについては2つの課題があったといい、1つめはブランド力の向上とともに新世代の日産デザインランゲージを適応すること。もう1つはセレナらしさを継承しながら次世代のミニバンとしての新しさにチャレンジすることだったという。

 その課題をクリアするべく、まず日産のブランド力向上を目指してグローバルで統一してきた新世代の日産デザインランゲージの1つが「エモーショナルジオメトリー」になり、躍動する面質とシャープエッジな組み合わせによるコントラストによって、ダイナミックかつモダンで洗練されたフォルムを表現したという。

 また、先代から引き継がれた2段構成のヘッドランプ(ブーメランシグネチャーランプ付)とともに、Vモーショングリルによって精悍で立体的な力強いフロントデザインにしたほか、フロントフェンダーからリアフェンダーにかけてうねるラインを描いた「シュプールライン」とフローティングルーフによってエモーショナルな流れを表現した。

 そしてハイウェイスターについては「運転する楽しさを予感させる、プレミアムで品格のある力強い存在感が魅力。立体的で力強く、精悍なフロントマスクに加え、夜間でもひと目でセレナと認識できるユニークなシグネチャーのヘッドランプとテールライト、地を這うようなエアロダイナミックなエプロン処理は、そのスタンスのよさをさらに強調している」、標準仕様のセレナについては「親しみやすいデザインに特化するとともに、洗練された上品で温かみのある存在感を意識してデザインを行なった」と、それぞれのデザインについて紹介。

 このほかインテリアでは「グライディング・ウィング」と呼ばれるコンセプトを採用し、翼を大きく広げるイメージをダッシュボードに施し、左右に広がる空間を表現。また、運転する喜びを表現した、メーターからディスプレイへとつながるL字の配置によって情報の見やすさに加えコックピット感を演出した。さらに「ダッシュボードの表皮巻きやシートアクセントのグラデーション加工など、丁寧に作り込んだ仕立てのよさで今までのミニバンにはなかった洗練された大人の上質な空間をデザインしている」と、その特徴について語られている。

 ボディカラーについては、新色の「マルーンレッド」「カシミアグレージュ」を設定したほか、モノトーンカラー9色、2トーンカラー4色の計13種類のバリエーションを用意。入江氏はそのなかで、ハイウェイスターはマルーンレッド/ダイアモンドブラックのボディカラーとハイコントラストなリュクス・スポーティのインテリア、セレナではカシミアベージュ/インペリアルアンバーのボディカラーとカーム・シックのインテリアがおすすめのカラーコンビネーションと紹介した。

新型セレナに採用された多数の技術

日産自動車株式会社 第三プロジェクト統括グループ 車両開発主管 磯部博樹氏

 最後に登壇した磯部氏からは、新型セレナに搭載された技術全般について語られた。

 まずインテリアでは前方の見晴らしのよさにこだわり、インパネ上部に設置されたメータフードの高さを5mm低くするとともに、Aピラーの強度を落とさず細くし、さらに三角窓を形成するリア側のピラー(A’ピラー)を黒くすることで広さ感を演出した。

 インテリジェントキーを持った状態でスライドドアの下側につま先を近づけて離すという動作を行なうことでスライドドアを開けることを可能にした世界初となる「ハンズフリーオートスライドドア」については、「スライドドアに上下2つの静電センサーを設け、足を入れて抜くという動作のみに反応するよう工夫をした。足下で動物などが歩いても誤作動しないようしている」と紹介。

 また、鋼板製のバックドアの上半分に樹脂製ドアを備える「デュアルバックドア」の採用により、「狭いところで開けられない」「重くて扱いづらい」「開けたら荷物が崩れてきた」というミニバンならではの課題をすべてクリアした。ポイントとしては、「2枚のドアを鉄で作ってしまうと重くなるため、2枚目を樹脂製とすることで軽くすることができた。そして多くの駐車場を調査した結果、およそ550mmのスペースがあればドアの開閉ができることが分かり、我々は(2枚目の突出量を)480mmに設定した。さらにデザインをスポイルしないよう、開閉スイッチをエンブレムに内蔵するなど、一切の妥協をせず作り上げた」と自信を覗かせた。