CES2014
次期アウディ「TT」に採用するバーチャルコクピットは、NVIDIA Tegra 3を採用
NVIDIA Tegra 4を採用する「Audi Smart Display」も公開
(2014/1/30 00:00)
独アウディは、米国ネバダ州ラスベガスで1月7日~10日まで開催された世界最大級の家電ショー「2014 International CES」において、次期「TT」に搭載するバーチャルコクピットを世界初公開。プレスカンファレンスも開催し、アウディの目指すべき方向性を語った。
なお、アウディはCESにおいて基調講演や自動駐車のデモなども行っており、それらに関しては別記事を参照していただきたい。
●アウディ、CESの基調講演でPHV「スポーツ クワトロ レーザーライト コンセプト」を世界初公開
http://car.watch.impress.co.jp/docs/event_repo/CES2014/20140108_629917.html
●アウディ、CESで「zFAS」モジュール搭載車による自動運転駐車デモを実施
http://car.watch.impress.co.jp/docs/event_repo/CES2014/20140109_630162.html
バーチャルコクピットを次期アウディ TTで採用
CESのアウディブースにおける展示は、CESの基調講演で世界初公開となったPHV「スポーツ クワトロ レーザーライト コンセプト」、米国導入を発表した「A3 カブリオレ」などの実車のほか、次期アウディ TTのコクピットを世界初公開した。
次期TTではメーターパネルをフルデジタルで描画するバーチャルコクピットを搭載。このメーターパネルでは、タコメーターとスピードメーターの直径を可変でき、メーターパネル全体にメニュー表示やマップ表示、クルマの各種情報表示が行えるようになっている。
これらをセンターコンソール上に設けられたMMIコントローラで操作。ステアリングホイールにも表示切り替えボタンがあり、前方を見ながら必要な情報に切り替えていくことが可能となっている。
このグラフィックス描画には、NVIDIAのSoC(Sytem on Chip)であるTegra 3を使用。Tegra 3は、Cortex-A9アーキテクチャの4つのCPUコアと12コアのGPUのほか、低消費電力で動作する1つのコンパニオンコアを搭載。音声、動画、静止画のそれぞれに専用のプロセッサも混載している。次期TTでは、同プロセッサを使うことでタコメーターとスピードメーターを描画し、同時にデジタルマップ表示などが行われていた。
NVIDIAのTegraを武器に、自動運転、タブレット端末などを用意するアウディ
アウディは、CESにおいて基調講演のほか、プレスカンファレンスも開催。プレスカンファレンスには、アウディ本社から広報担当 トニー・メルフィ氏、研究開発担当取締役 ウルリッヒ・ハッケンベルグ氏、電子技術担当 リッキー・フーディ氏と、米国アウディ代表 スコット・ケオグ氏が出席し、アウディの考えるクルマの未来についての紹介が行われた。
アウディは2013年に「A3」シリーズなど15の製品を発売・発表しており、現在は49のモデルをラインアップしている。今後、新しい製品を投入し続け、2020年には60のモデルをラインアップするという。その代表的なモデルがレーザーによるヘッドライトを搭載したPHV「スポーツ クワトロ レーザーライト コンセプト」で、投射距離は500mにも達する。これは、夜間レースなどを行うWRC(世界ラリー選手権)、ル・マン24時間レースに参加したアウディならではの思いが込められており、フィラメント、キセノン、LEDと進化してきたライティングテクノロジーの次世代技術になる。2014年のル・マン24時間レースに参戦するレーシングカー「R18 e-tron quattro」には、このレーザーライトテクノロジーが搭載される。
また、NVIDIA Tegra 3を用いた次期アウディ TTのバーチャルコクピットについても紹介したほか、Tegra 3の次世代プロセッサであるTegra 4を搭載した10.4型タブレット端末「Audi Smart Display」も発表。Audi Smart Displayは車載も可能なタブレット端末で搭載OSはAndroid。このタブレット端末では、音楽やラジオを聞いたりすることができるほか、あらかじめ目的地を設定し、そのままクルマに持ち込んで使うこともできる。最大の特徴は、クルマで使うための耐熱性を持っており、80℃~-40℃の環境下で動作すること。そのため、灼熱の砂漠から極寒の山岳地でも使えるものであるという。
このAudi Smart Displayに採用されるNVIDIAのTegra 4は、バーチャルコクピットに採用されたTegra 3の進化版で、CPUアーキテクチャにCortex-A15を採用したCPUコアを4つ搭載するほか、1つのコンパニオンコア、72コアのGPUを搭載。マイクロソフトの新型タブレットPC「Surface 2」にも採用されているSoCになる。
自動運転駐車の記事でも触れたが、アウディは自動運転の制御ボードとして、やはりNVIDIAのTegra K1を搭載した「zFAS」モジュールを開発。Tegra K1はCESで発表されたばかりの最新SoCで、32bitのCortex-A15コアを4つ搭載(64bitのデンバーコアを2つ搭載するバージョンもあり)するほか、192コアのGPUと、コンパニオンチップを搭載する。この演算能力を使って、開発初期はリアトランク一杯に積まれていた自動運転制御モジュールを、1枚のボードに納めることができたという。
アウディがNVIDIAのTegraを全面的に採用すると発表したのが2011年。それから3年が経過し、Tegra 3を搭載する次期アウディ TT(但し、コクピットのみ)により、協業の全貌が明らかになりつつある。
GoogleやNVIDIA、アウディ、GM、現代自動車、本田技研工業は、自動車へのAndroidプラットフォーム搭載促進を目指す「オープン・オートモーティブ・アライアンス(OAA)」に加盟しており、アウディ以外にも同様の取り組みを行っていく自動車メーカーが出てくるのだろう。