イベントレポート

【東京モーターショー 2019】新作ホイールから純正採用ホイールまで、レイズブース見どころ

2020年シーズンのSUPER GT GT500クラス採用ホイールも

2019年10月23日 開幕

2019年10月25日 プレビューデー

2019年10月25日~11月4日 一般公開日

東京ビッグサイト 南4ホール(S4207)にあるレイズブース

 10月23日、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で「第46回東京モーターショー 2019」が開幕した。10月25日はプレビューデー、10月25日~11月4日が一般公開日となる。

 アフターパーツとしてのホイールはもちろん、世界の自動車メーカーに純正ホイールとして、あるいは世界で戦うモータースポーツシーンでも採用される日本の大手ホイールメーカーであるレイズは、タイヤメーカーなどのブースが軒を連ねる東京ビッグサイト 南展示棟4階の南4ホール(S4207)にある。本稿では、東京モーターショー 2019における同社のブースの見どころをお届けしよう。

自動車メーカー純正採用のホイールを展示

 ブース正面向かって左側には日本の自動車メーカー向けに採用されたホイールが6種並んでいる。どれも人気のスポーツモデル向けのものばかりで見応えがある。

 日産車は言わずと知れたGT-R向け純正ホイールで、今回は今年発表されたばかりの2020年モデルの「GT-R NISMO」向けと、2020年3月までの期間限定販売される「NISSAN GT-R 50thアニバーサリー」向けの2タイプが展示されている。

GT-R NISMO 2020年モデルの純正採用ホイール

 特に見応えがあるのは「NISSAN GT-R 50thアニバーサリー」向けのホイールだ。一見しただけではブラックに見えるベースカラーには、実はブルークリアー加工がミックスされており、照明の加減で複雑な青みがかった陰影を放つ。また、サブスポークにはライトブルーの差し色が施されており、停車時の足元を引き立てている。さらに、アウターリム付近にはマシニング加工された「50th Anniversary」の文字列にも同様のライトブルーの差し色が。ここまで凝ったホイールが純正車両に採用された事例は過去にあまり例がないという。

GT-R 50thアニバーサリーの純正採用ホイール

 レイズの特許技術であるホイールにロゴ等をマシニング刻印する技術は「アドバンスド・マシニング・テクノロジー」(AMT)と呼ばれ、もともとはアフターパーツ向けホイール製品に適用されてきたのだが、最近では日本の自動車メーカーからも引き合いが多くなり、採用事例を増やしているとのこと。

 マツダの「ロードスター」の特別限定モデル「ROADSTER 30th ANNIVERSARY」のホイールのアウターリムに刻まれている「30th ANNIVERSARY」の文字列、スバルSTIの「STIパフォーマンス」ホイールのアウターリムに刻まれている「STI Performance」の文字列も同様のAMT加工されたものになる。

 ブースを訪れた際には、ぜひともこれらの自動車メーカー純正採用ホイール製品をチェックしてみて欲しい。

30th ANNIVERSARYのロゴが刻まれたマツダ「ロードスター」30周年記念モデルのホイール
STI Performanceの刻印もAMT加工によるもの
インフィニティ「QX80 LIMITED」純正採用ホイール
トヨタ「86GR」純正採用ホイール

レイズの最新ホイール製品をチェック

 ブースでは2019年後期よりリリースが開始されたばかりの新製品の展示も行なわれている。

 国産スポーツカーの86/BRZやGDB/GRB型のWRX STI、Z34型のフェアレディZなどへの装着を想定した、17インチから19インチまでのスポーツ走行向けホイール「グラムライツ 57Xtreme」のスペシャルバージョン「REV LIMIT EDITION」が展示されている。発表されて間もないこの製品の最大の特徴は、グラムライツ 57Xtremeが誇る絶対的なスポーツ性能に、タコメーターの雰囲気を表現した「ブラックリム×レッドアウターリム」のカラーリングを組み合わせたところ。スポークの1本には指針をモチーフにした赤の差し色が入っているのがなんともおしゃれ。価格は3万7000円(税別)/本より。

グラムライツ 57Xtreme REV LIMIT EDITION
タコメーターをモチーフにしたカラーリングが特徴的

 Y字スポーク系スポーツホイールの決定版である「グラムライツ 57FXX」シリーズの遺伝子を受け継いだ究極バージョン"Z"となる「グラムライツ 57FXZ」も展示されている。

 57FXXでは16インチから20インチまでのサイズ展開があり、ミニバンからSUVまでの幅広い適合がなされていたが、今回展示されている57FXZはリム径19インチと20インチのビッグサイズから展開される。

 57FXXとの差別ポイントであり、最大の特徴ともなっているのは、Y字スポークの根本。すなわちセンターパートのスポーク交点にまで穴開けを施し、さらなる軽量化を追求したところ。さらに、このホール周辺にはマシニング加工を施すことでアルミの素地色を露出させており、見た目にも迫力があって実に独創的である。価格は6万1000円(税別)/本より。

グラムライツ 57FXZ
Y字スポークの根本、すなわちセンターパートのスポーク交点にまで施した穴開け加工が見どころ

 600馬力超のスーパースポーツへの装着も想定した21インチのビッグサイズホイールのハイエンドモデル「ボルクレーシング GT090」にも注目だ。細身の9本スポークのシンプルかつ独創的なデザインに目を奪われがちだが、近寄ってぜひ注目して欲しいのが、AMT加工の最新版である3Dマシニング刻印だ。

 アウターリムに描かれた「RAYS ENG.」「VOLKRACING」の文字列は、単純な凹加工ではなく、繊細かつ立体的な段々状のエンボス加工がなされているのだ。本当に素晴らしい技術やこだわりは目に見えにくいところに現れている……ということを喩えた「美(神)は細部に宿る」という格言があるが、まさに「ボルクレーシング GT090」はそんな製品である。

 価格は15万円(税別)/本より。想定装着車種はAMG GT、フェラーリ 458、ランボルギーニ ウラカン、アウディ R8、日産 GT-Rなど。

ボルクレーシング GT090
段々状のエンボス加工がされたVOLKRACINGの文字列
スポークのサイドにまで穴開け加工がなされ、徹底した軽量化がなされている

 スローガン「THE CONCEPT IS RACING」を掲げるレーシングホイールメーカーであるレイズが手がける製品としては新しい挑戦ともなっている新コンセプトシリーズ「VMF C-01」もチェックしておきたい。

VMF C-01

 シリーズ名のVMFはVERSUS MODE FORGEDの略。MODEはファッション用語の流行/流儀から引用したキーワードで、要するにVMF C-01はラグジュアリー指向のエッセンスを盛り込んだ製品なのだ。

 この製品で重視されたのはNVH(ノイズ・バイブレーション・ハーシュネス)の低減。レイズのブランド知名度が高まる中で、ユーザーの幅が広がった結果、指摘されるようになったのが「性能はいいけど、もう少しNVH低減をどうにかできないか」というユーザーからの意見。そうした意見に真摯に向かい合って出した結果がこの製品というわけである。

 具体的にはリムのウエル部(リムのタイヤを取り付けるための凹んだ領域)の肉厚をあえて厚くすることがメインの対策となったとのこと。これは軽量化に相反する設計となるが、ここはVMFシリーズの「あえてのデザイン指針」としている。

 その代わり……といってはなんだが、スポーク裏とスポーク股部に対するマシニング加工で徹底した「肉落とし」を実践した。これはレイズが誇るダブルマシニング技術があってこそ実現できたものだとしている。このダブルマシニング加工が結果的には、刃物のような鋭さと輝きを演出し、美術品のような美しさを実現する事にも結びついたという。価格は9万4000円(税別)から。サイズは20インチのみ。

鋳造のマルチY字スポークモデルの新作「HOMURA 2X15BD」も展示されている

モータースポーツシーンで採用されている最新ホイールも展示

 レイズのレーシングテクノロジーは、世界最高峰のモータースポーツの現場にも採用されてる。たとえば国内最高峰のレースであるSUPER GT GT500クラスであり、あるいはル・マン24時間も含む世界選手権などだ。このあたりを周知したい思惑から、最新モータースポーツシーンの現場で採用されたレーシングホイールの展示も行なわれている。

 展示されているのは、2020年シーズンのSUPER GT GT500クラスマシンに採用されるホイールと、FIA GT選手権グループGT3クラス2018年シーズン採用ホイール、そして鍛造マグネシウム製のFIA 世界耐久選手権(WEC)2017年シーズンLMP(ル・マン・プロトタイプ)採用ホイールの3つだ。

新たにクラス1規定となる2020年シーズンのSUPER GT GT500クラス採用ホイール
右がFIA GT選手権グループGT3クラス2018年シーズン採用ホイール、左がFIA 世界耐久選手権(WEC)のル・マン24時間耐久レース2017年シーズンLMP(ル・マン・プロトタイプ)採用ホイール

トライゼット西川善司

テクニカルジャーナリスト。元電機メーカー系ソフトウェアエンジニア。最近ではグラフィックスプロセッサやゲームグラフィックス、映像機器などに関連した記事を執筆。スポーツクーペ好きで運転免許取得後、ドアが3枚以上の車を所有したことがない。以前の愛車は10年間乗った最終6型RX-7(GF-FD3S)。AV Watchでは「西川善司の大画面☆マニア」を連載中、CarWatchの連載では西川善司の「NISSAN GT-R」ライフがある。ブログはこちら(http://www.z-z-z.jp/BLOG/)。