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ヤマハ、新型LMW「TRICITY300 ABS」のオンライン発表会を開催

コロナ禍で公共交通の代替手段として2輪モビリティに注目集まる

2020年8月24日 開催

新型LMW「TRICITY300 ABS」のオンライン発表会を開催

 ヤマハ発動機は8月24日、新型LMW(Leaning Multi Wheel)の「TRICITY300(トリシティ サンビャク)ABS」のオンライン発表会を開催した。TRICITY300は単気筒SOHC 292cm 3 の“BLUE CORE(ブルーコア)”エンジンを搭載するLMWで、9月30日に発売予定。詳細は関連記事(ヤマハ、安定感のすぐれるLMWの新型「TRICITY300 ABS」)を参照いただきたい。

 オンライン発表会では、ヤマハ発動機 執行役員 MC事業本部長 木下拓也氏とSV開発部LMW設計グループ 浅野大輔氏が登壇した。

 MC事業本部長の木下氏は、実車を見せられないこの状況がとても残念だが、コロナ禍により公共交通機関による通勤・通学の代替え手段として、機動性・手軽さ・経済性のよい2輪モビリティが再びグローバルで注目されていると世界状況の変化を紹介。

ヤマハ発動機株式会社 執行役員 MC事業本部長 木下拓也氏

 またヤマハは2030年に向けた長期ビジョンの中に「モビリティに変革をもたらす」ことを挙げていて、既存の枠にとらわれることなく、モビリティを変革させていくと力強く語った。また、それに向けて倒れないバイクの開発など、さまざまな技術開発も行なっていると解説した。

LMWテクノロジーのゴールは「ころばないバイク」
2014年に「TRICITY125」を発売
2017年には「TRICITY155」を発売。さらに2018年には大型の「NIKEN」
前2輪のLMWには大きく3つのメリットが挙げられる

 続けて、今回発表した新型TRICITY300のターゲット層は、スマートな選択を嗜好する40代~50代の管理職や経営者で、郊外の自宅から都心部のオフィスまでを賢く移動したいと考えるユーザーであることも紹介。デザインコンセプトは「頼れる右腕(=相棒)」という。今まで2輪に乗ったことのない人でもバイクを操る楽しさを感じてほしいと訴えた。

 続けてLMW設計グループの浅野氏による技術解説が行なわれた。

ヤマハ発動機株式会社 SV開発部LMW設計グループ 浅野大輔氏
スタンディングアシスト

 スタンディングアシスト機能は、ライダーがステアリングにあるスイッチをオンにすると、パラレログラムリンク上部アームに装備した専用キャリパーが作動。オンでスタンディングアシストディスクが固定され、車体の傾きを抑えてくれる。

 車体を軽く支えるだけで停車でき、再発進もスムーズに行なえる。また、サスペンションの伸縮機能とは完全に独立しているので、押し歩き時に小さな段差を乗り越えたり、狭い場所での切り返し、車庫への車両の出し入れなど、押し引きする際の扱いやすさが高められているという。

システム作動中はメーター内に使用中のランプが点灯
内部のスタンディングアシストディスクをキャリパーがつかんで固定する
スロットル全閉、車速10㎞/h以下、エンジン回転2000rpm以下といった条件がある
LMWテクノロジー

 LMWテクノロジーは、大きく2つの基本構造から成り立っていて、1つめは自然なリーン(傾き)を生み出すだけでなく、左右のタイヤ接地幅に変化が少なく、安定感のある自然な操縦感をもたす「パラレログラムリンク」。2つ目は特長的なフロントサスペンションで、自然なハンドリング特性とクッション機能を実現する「片持ちテレスコピックサスペンション」だという。

パラレログラムリンク
片持ちテレスコピックサスペンション

 さらに大型スポーツLMWの「NIKEN」で実績のある「LMWアッカーマン・ジオメトリ」を新型TRICITY300用に専用設計して採用。これは操舵軸とリーン軸をセットするヤマハ独自の機構で、リーンしている状態で内外輪差が生まれるフロント2輪が常に旋回方向を向く設計を成立させたことで、同心円を描く滑らかな旋回が可能となり、快適で質感のある乗り心地を実現できるという。

操舵軸とリーン軸をセットされるLMWアッカーマン・ジオメトリ機構
LMWアッカーマン・ジオメトリ有無の違い
新型TRICITY300は、NIKENの技術を応用したことで、TRICITYシリーズとして進化を遂げた

 その他にも、郊外からのスマートな通勤を実現するために、専用開発の14インチタイヤ。大容量シート下トランク、ラチェットレバー式リアブレーキロック、スマートキーシステムなどが採用されている。