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レッドブル・ホンダとメルセデスが同点のままF1最終戦へ、ホンダF1山本MDは「最後までしっかりやりきりたい」

レース中盤ルイス・ハミルトン選手を抑えてトップを走るマックス・フェルスタッペン選手

 F1第21戦サウジアラビアGPは、12月5日(現地時間、日本時間12月6日早朝)に決勝レースが行なわれ、メルセデスのルイス・ハミルトン選手が優勝、2位にレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手が入り、両者のドライバー選手権ポイントは369.5ポイントと並んだ。フェルスタッペン選手が9勝、ハミルトン選手が8勝という優勝回数の差でフェルスタッペン選手が1位、ハミルトン選手が2位で、この週末に予定されている最終戦アブダビGPで決着がつけられることになった。

 レース後には、ホンダF1 テクニカルディレクター 田辺豊治氏、ホンダF1 マネージングディレクター 山本雅史氏による会見が行なわれ、レースへの見解などが語られた。

F1第21戦サウジアラビアGP、メルセデスのハミルトンが優勝 レッドブル・ホンダのフェルスタッペンは2位となりチャンピオンシップは同点で最終戦へ

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1371704.html

次戦で勝った方がチャンピオンという分かりやすい状況に、ホンダF1として最後までやりきりたい

──それでは田辺氏から本日のレースの振り返りを。

田辺氏:最終的にマックス・フェルスタッペン選手が2位、メルセデスのハミルトン選手と同一ポイントだが、優勝回数の多さで1位をキープした。最終戦にすべてを出し切り、最終戦が終わった時点でトップに立っているようにしっかり準備をして臨みたい。

 レッドブルのペレス選手はリスタート後の混乱で他車との接触でリタイア。チームとしては残念な結果で、メルセデス勢が1-3でフィニッシュしたことで、コンストラクター選手権はかなり厳しい状況になっている。しかし、可能性はゼロではないのでチーム一丸となって戦っていきたい。

 アルファタウリの2台のうち、ピエール・ガスリー選手は、レースをきちんと走りきって6位入賞。前回は難しいレースになってしまったが、今回は今年の好調さを維持してしっかりと結果を残した。

 角田選手に関しては、やや残念な結果となってしまった。レース中盤に接触を起こしてフロントウィングを落としてしまい、14位。予選ではきっちりQ3へ進むなど初めてのコースでいいパフォーマンスを示せた週末だった。最終戦に向けてよりよいレースをおくれるようにしたい。

 いろいろなことが起こった週末で、まだ裁定が出ていないものなどもあるが、チームでしっかりと受け止めながら最終戦に向けてフィードバックをして臨みたいと思っている。

──同点で最終戦というのはなかなかないことだが、田辺氏としての受け止めを教えてほしい。

田辺氏:今年初戦からここまで戦ってきて、最終戦を前に同点。ここで踏みとどまって戦いを挑んでいるのは、よい形で進められてきたということだ。昨年までを見ていただければわかるように、ここまでもつれる形はできていないので、ずっとチャレンジし続けてここにいるというのは、われわれの挑戦にとってはポジティブだと思っている。あちらも同じ心境でいるのだと思うけど、精神戦、技術面、両方で負けないように最後のレースをむかえたい。

──審議が続いているものもあるけど、全体的に見てマックスがアグレッシブなレースをしていたように思うが、アグレッシブさを最終戦もやってほしいのか、落ち着いてやってほしいのか……どちらだろうか?

田辺氏:とにかく最終戦に向けて最善をつくすということだ。もちろんドライバーも常に最善をつくしており、最終戦もそうしてドライビングをしてほしい。私からは特に言うことはない。

──今日のレース見ていて、スチュワードもFIAもミスがあった、後味のいいレースではなかったように見えたが……。

田辺氏:クリーンなレースを期待していた中で、いろいろなアクシデントが起こった。そういう状況で、迅速な判断がされたかどうかという点に関しては疑問はあると思う。ただ、われわれはそうした議論や判断を行なう輪の外にいるため、外から見ている立場からすると、という話だ。

 今回ここのサーキットでレースをするのはわれわれも初めてで、オーガナイズする人たちも初めての中で起こったことは、F1として学びになってのではないかと思う。

──最終戦のアブダビはどのような点に注目してレースを見たらよいか?

田辺氏:最終戦のアブダビは今年コース改修が行なわれており、ラップタイムも速くなると予想されている。ホンダF1としてはその新しいデータを元にシミュレーションして、そのデータを持ってレースに備えることになる。レースをご覧いただく方には新しいレイアウトになったところでどの位変化があるかに注目して見ていただき、レースを楽しんでいただければ。

──最後に山本MDより次戦に向けて。

山本氏:先ほどの質問にもあったが、初開催のコースということもあったが、最初のセーフティカーが出てピットインするときに、ハミルトン選手、ボッタス選手、フェルスタッペン選手の並びのときにボッタス選手がハミルトン選手からかなり離れてピットに入っていった。そこに対しても何も言われていないし、フェルスタッペン選手にハミルトン選手が追突した件も、ポジションを戻すとレッドブルが言っているのだから、きちんと先方に連絡するなどの措置を取ってほしかった。その意味では個人的にはいろいろとフラストレーションのたまるレースだった。

 選手権的には同点にはなったが、フェルスタッペン選手9勝、ハミルトン選手8勝で、ランキングトップは維持したが、最終戦で勝った方がチャンピオンという分かりやすい状況になった。ホンダF1としては最後までしっかりやりきりたいと思う。

ホンダラストイヤーの最後のレースは勝った方が王者に

 今回のレースではさまざまなアクシデントがあった。メルセデスにはメルセデスの言い分があり、レッドブルにはレッドブルの言い分があるとは思うが、審判となるレーススチュワードが下した判断が基本的にはすべてであり、37周目の1コーナーでフェルスタッペン選手がハミルトン選手をコース外からオーバーテイクした件に関しては、フェルスタッペン選手に5秒のタイムペナルティが課せられ、レース終了時にそれを消化したことで終わっている。

 その周の終わりに順位を譲ろうとしてフェルスタッペン選手がスローダウンしたところにハミルトン選手が「追突」した件は、レース後に審議が行なわれ、フェルスタッペン選手に「不必要なブレーキを踏んだ」として10秒のタイムペナルティが追加されたが、3位のボッタス選手とはそれ以上の差がついていたため、最終結果に影響はない。

 会見でもそうした「審判」の判断がすっきりしないことは話題に出ていたが、その是非はともかくとして、見る側としては「両ドライバーとも、スッキリとレースして決めて」というのが正直なところではないだろうか。

 その意味で、次戦のアブダビGPの会場となるヤス・マリーナ・サーキットは、通常のサーキットで、2本の長い(1.2km)ストレートと高速、中速、低速のコーナーをバランスよく配置した優れたサーキットになる。タイトル決戦の場としては、これほど適したトラックはないと思う。

 ヤス・マリーナでは2010年にレッドブル(当時)のセバスチャン・ベッテル選手が、チームメイトのマーク・ウェバー選手やフェラーリ(当時)のフェルナンド・アロンソ選手を逆転して初めてのチャンピオンになった。また、2016年にはハミルトン選手とニコ・ロズベルグ選手(当時)のチームメイト同士のチャンピオン争いで、2位に入ったロズベルグ選手が逃げ切りでチャンピオンになったのは記憶に新しいところだ。

 田辺氏によればコースの一部改修でコース距離も短くなっておりタイムアップなども期待できそうで、その改修されたコースでどちら側に優勢に傾くのか、それは金曜日のフリー走行までは分からないだろう。昨年レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手はこのアブダビGPを文字どおり完全勝利(ポールポジション、優勝)しており、その意味ではレッドブル・ホンダにとって優位なコースとも考えられる。今年はコース改修が入るので当てはまらない可能性があり、金曜日のフリー走行1およびフリー走行2は要注目だと言える。

 今シーズン限りで撤退を決めているホンダF1にとって、次のアブダビGPが最後のF1レースになる。フェルスタッペン選手の逃げ切りとなるか、それともハミルトン選手の逆転となるのか。第4期ホンダF1参戦と呼ばれることになるであろう、2015年~2021年のホンダF1最後のレースは必見だ。

F1第21戦サウジアラビアGP 決勝結果

順位号車ドライバー車両周回数タイムポイント
144ルイス・ハミルトンメルセデス502時間06分15秒11826
233マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・ホンダ50+21.825秒18
377バルテリ・ボッタスメルセデス50+27.531秒15
431エステバン・オコンアルピーヌ・ルノー50+27.633秒12
53ダニエル・リカルドマクラーレン・メルセデス50+40.121秒10
610ピエール・ガスリーアルファタウリ・ホンダ50+41.613秒8
716シャルル・ルクレールフェラーリ50+44.475秒6
855カルロス・サインツフェラーリ50+46.606秒4
999アントニオ・ジョビナッツィアルファロメオ・レーシング・フェラーリ50+58.505秒2
104ランド・ノリスマクラーレン・メルセデス50+61.358秒1
1118ランス・ストロールアストンマーティン・メルセデス50+77.212秒0
126ニコラス・ラティフィウイリアムズ・メルセデス50+83.249秒0
1314フェルナンド・アロンソアルピーヌ・ルノー49+1周0
1422角田裕毅アルファタウリ・ホンダ49+1周0
157キミ・ライコネンアルファロメオ・レーシング・フェラーリ49+1周0
NC5セバスチャン・ベッテルアストンマーティン・メルセデス44DNF0
NC11セルジオ・ペレスレッドブル・レーシング・ホンダ14DNF0
NC9ニキータ・マゼピンハース・フェラーリ14DNF0
NC63ジョージ・ラッセルウイリアムズ・メルセデス14DNF0
NC47ミック・シューマッハハース・フェラーリ8DNF0

ドライバーランキング(F1第21戦サウジアラビアGP終了後)

順位ドライバー車両ポイント
1マックス・フェルスタッペンNEDレッドブル・レーシング・ホンダ369.5
2ルイス・ハミルトンGBRメルセデス369.5
3バルテリ・ボッタスFINメルセデス218
4セルジオ・ペレスMEXレッドブル・レーシング・ホンダ190
5シャルル・ルクレールMONフェラーリ158
6ランド・ノリスGBRマクラーレン・メルセデス154
7カルロス・サインツESPフェラーリ149.5
8ダニエル・リカルドAUSマクラーレン・メルセデス115
9ピエール・ガスリーFRAアルファタウリ・ホンダ100
10フェルナンド・アロンソESPアルピーヌ・ルノー77
11エステバン・オコンFRAアルピーヌ・ルノー72
12セバスチャン・ベッテルGERアストンマーティン・メルセデス43
13ランス・ストロールCANアストンマーティン・メルセデス34
14角田裕毅JPNアルファタウリ・ホンダ20
15ジョージ・ラッセルGBRウイリアムズ・メルセデス16
16キミ・ライコネンFINアルファロメオ・レーシング・フェラーリ10
17ニコラス・ラティフィCANウイリアムズ・メルセデス7
18アントニオ・ジョビナッツィITAアルファロメオ・レーシング・フェラーリ3
19ミック・シューマッハGERハース・フェラーリ0
20ロバート・クビサPOLアルファロメオ・レーシング・フェラーリ0
21ニキータ・マゼピンRAFハース・フェラーリ0

●●コンストラクターランキング(F1第21戦サウジアラビアGP終了後)

順位チームポイント
1メルセデス587.5
2レッドブル・レーシング・ホンダ559.5
3フェラーリ307.5
4マクラーレン・メルセデス269
5アルピーヌ・ルノー149
6アルファタウリ・ホンダ120
7アストンマーティン・メルセデス77
8ウイリアムズ・メルセデス23
9アルファロメオ・レーシング・フェラーリ13
10ハース・フェラーリ0

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トップhttps://www.youtube.com/channel/UCB_qr75-ydFVKSF9Dmo6izg
第1戦バーレーンGP https://www.youtube.com/watch?v=QuBlV0dixMo
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第3戦ポルトガルGP https://www.youtube.com/watch?v=-9-8gvYantk
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第21戦サウジアラビアGP https://www.youtube.com/watch?v=vRhhS6BnLSY
モスクを背に走るフェルスタッペン選手とハミルトン選手