木炭自動車が走った「トヨタ博物館 クラシックカーフェスタ in 神宮外苑」
約90台のクラシックカーが神宮外苑に集結

明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前で開催された「トヨタ博物館 クラシックカーフェスタ in 神宮外苑」

2010年11月27日開催



 トヨタ博物館は11月27日、東京・明治神宮外苑 聖徳記念絵画館前で「トヨタ博物館 クラシックカーフェスタ in 神宮外苑」を開催した。このイベントは、今年で4回目となり、クラシックカー愛好家の交流を図り、数々のクラシックカーをすべて実動状態で動態保存しているトヨタ博物館の活動を紹介するもの。

 会場となった聖徳記念絵画館前には、約90台のクラシックカーが勢ぞろい。これらのクラシックカーのほとんどはパレード走行を行ったほか、会場で人気投票が行われた。イベントに来場した人たちは、車の各部をじっくりと眺めたり、クラシックカーオーナーと歓談したりするなどして、思い思いに投票を行っていた。

秋晴れの空の下、多くのクラシックカーが展示された神宮外苑のまわりを走行する車両。ちょうどいちょう並木の紅葉が見ごろとあって、多くの観客が訪れていた

 今回のイベントでは、トヨタ博物館による企画展示「蒸気、ガソリンから究極のエネルギーへ」が行われた。この企画展示はトヨタ博物館が所蔵する、蒸気自動車や電気自動車など各種のエネルギーを使用する車を展示するもの。木炭自動車「ビュイック」(1937年)、蒸気自動車「スタンレー スチーマー モデルE2」(1909年)、電気自動車「ベイカー エレクトリック」(1902年)、ガソリン車「キャデラック モデル サーティ」(1912年)のクラシックカーに加え、トヨタ自動車の最新電気自動車「EV試作車」、電気とガソリンのハイブリッド車「プリウス プラグイン ハイブリッド」、水素を用いる燃料電池車「FCHV-adv」が展示された。

木炭自動車「ビュイック」(1937年)。戦争で石油輸入が途絶え、木炭やまきなどで動くよう改造された代用燃料車。この車はトヨタ博物館が木炭ガス発生装置を復元して、ビュイックに取り付けたもの蒸気自動車「スタンレー スチーマー モデルE2」(1909年)。スタンレーがガソリン車より早く実用化した蒸気自動車ガソリン車「キャデラック モデル サーティ」(1912年)。セルスターターを世界で初めて採用した自動車
電気自動車「ベイカー エレクトリック」(1902年)。100年以上前の電気自動車。1馬力のモーターを搭載し、最高速は40km/h「プリウス プラグイン ハイブリッド」。ハイブリッド車「プリウス」にプラグイン機構を搭載。バッテリーはプリウスのニッケル水素から、リチウムイオン電池に変更されている燃料電池車「FCHV-adv」。燃料の水素と空気中の酸素を使用し、燃料電池で発電を行う。駆動はモーターによる
電気自動車「EV試作車」。2012年導入を予定している電気自動車。「iQ」がベースとなっている給電口はフロントバンパーに設置されている

 これら異なるエネルギーを動力源とする各車をトヨタ博物館の学芸員が解説。ビュイック、ベイカー エレクトリック、キャデラック モデル サーティ、EV試作車については、実動展示が行われた。実動展示は、ベイカー エレクトリック、キャデラック モデル サーティ、ビュイック、EV試作車の順。ただ、木炭乗用車であるビュイックは、木炭から発生するガスの圧力を高めるために時間がかかり、作業はビュイックから始められた。

 ビュイックが煙を上げ始める中、ベイカー エレクトリック、キャデラック モデル サーティが走行。十分に圧力の上がった木炭ガスによりビュイックも無事走行展示を終えることができていた。

ビュイックのトランクルームにある木炭ガス発生装置に木炭をくべる準備が始まったベイカー エレクトリックの走行展示。100年以上前の電気自動車にもかかわらず、スムーズに発進。タイヤの設置面積も小さく、走行音は聞き取れないほど走行展示は聖徳記念絵画館前の噴水を1周するコース。1周して戻ってくる頃には、ビュイックの後部から煙が上がる
次はキャデラック モデル サーティの走行展示。目玉はセルモーターによるエンジン始動。やや力ない感じでセルモーターが回り、無事始動し走行展示を行った木炭ガスの発生量が多くなってきたいよいよビュイックの走行展示。ビュイックのエンジンはフロントに積まれ、ぱっと見の外観はガソリンエンジンと変わらない
木炭ガスの量が走行に十分な量に達しているか確かめるため、フロントのバイパスバルブを開ける火をつけて確かめていた無事に発進。ゆっくりとコースを1周した
最後に現代の電気自動車であるEV試作車が走行。観客からは「やっぱり静かだ」との声が聞かれたビュイックとキャデラック モデル サーティの横を通り過ぎるEV試作車

 最後にパレードへと向かったクラシックカーを写真で掲載する。神宮外苑を出発したクラシックカーは、銀座まで個々に走行した後、所定の場所に展示された。

ベントレー 3リッター(1924年)ロールスロイス ファンタムI トルペート ツアラー(1925年)シボレー ナショナル AB ツーリング(1928年)
ロールスロイス 20HP (1929年)ベントレー 6 1/2リッター スピードシックス(1929年)モーガン スリーホイラー S.S.(1933年)
ニッサン オースチン A40 サマーセット サルーン(1954年)ニッサン セドリック デラックス(1963年)ニッサン プリンス グロリア スーパー6(1966年)
ニッサン プリンス スカイライン(1966年)ニッサン スカイライン 2000 GT-R(1970年)ダットサン セダン(1959年)
ダットサン ブルーバード 1600SSS(1967年)ダットサン ブルーバード 1800SSS(1971年)ダットサン フェアレディ 1500(1965年)
ダットサン ロードスター 2000(1968年)ニッサン シルビア(1967年)ニッサン フェアレディZ(1971年)
ダットサン 240Z(1971年)ニッサン フェアレディ 240ZG(1973年)ホンダ S800(1966年)
ホンダ グリフォン(1965年)ホンダ ライフ ワゴン(1973年)スバル 1000 スポーツセダン(1968年)
スバル 360(1969年)日野 ルノー デラックス(1962年)日野 コンテッサ 1300 セダンS(1967年)
三菱 ミニカ'70 ハイデラックス(1970年)マツダ ルーチェ AP ワゴン GR-II(1975年)オースチン ミニ カントリーマン MkII(1968年)
オースチン ミニ モーク(1967年)ミニ マーコス GT(1971年)バンデンプラ プリンセス(1971年)
MG 1100(1961年)MG TF(1954年)MGA 1600 MkII ロードスター(1961年)
MGB(1966年)MGC GT(1968年)オースチン ヒーレー 100/4(1956年)
オースチン ヒーレースプライト MkII(1962年)トライアンフ TR3(1955年)トライアンフ TR4(1962年)
デイムラー SP250(1962年)ジャガー 3 1/2 MkIV(1949年)ジャガー MkII(1963年)
ジャガー XJ-6L シリーズII(1976年)ジャガー Eタイプ(1961年)ロータス イレブン MkI ルマン(1956年)
ロータス セブン(1975年)ロータス エラン S4 スプリント(1971年)ロータス ヨーロッパ S2(1969年)
ナッシュ メトロポリタン(1959年)ジェンセン インターセプター MkIII(1975年)アウディ クーペS(1973年)
BMW イセッタ(1961年)BMW 3.0CSi(1974年)メルセデス・ベンツ 280SE 3.5 カブリオレ(1970年)
メルセデス・ベンツ 280SL(1970年)オペル 1900GT(1969年)フォルクスワーゲン 1300(1967年)
フォルクスワーゲン カルマンギア(1964年)ポルシェ 914-6(1971年)ポルシェ 911S(1971年)
イソ イセッタ(1955年)アルファロメオ ジュリエッタ スパイダー  750D(1957年)アルファロメオ 1600ジュニアZ(1973年)
ディーノ 246GT(1971年)ランボルギーニ カウンタック LP400(1976年)ファセルベガ ファセリア F2(1962年)
ボルボ 122S(1964年)サーブ 99(1971年)フォード フェアレーン(1959年)
ビュイック エレクトラ 225(1959年)トヨタ クラウン 2ドア ハードトップ 2600 スーパーサルーン(1972年)トヨタ コロナ マークII(1980年)
トヨペット コロナ 1500 デラックス(1964年)トヨペット コロナ バン(1967年)トヨタ カリーナ ハードトップ(1975年)
トヨタ セリカ XX 2000G(1978年)トヨタ セリカ 1600GT(1972年)トヨタ カローラ レビン(1973年)
トヨタ カローラ レビン(1979年)トヨタ パブリカ 800(1967年)トヨタ パブリカ コンバーチブル(1966年)
トヨタ スポーツ 800(1965年)トヨタ スポーツ EV(1965年)トヨタ 2000GT(1967年)

(編集部:谷川 潔)
2010年 11月 30日