深田昌之のホンダ「N-VAN」で幸せになろう
第1回:ホンダ「N-VAN」、買っちゃいました
2018年11月1日 00:00
8月に発売された本田技研工業の新型軽バン「N-VAN」。道具っぽさをイメージしたスタイルに特徴ある助手席側のドアインピラー構造、運転席以外のシートがすべて畳めて床をフラットにできるシートアレンジ。そして、「N-BOX」で開発したFFプラットフォームをベースに貨物仕様に仕立てるため、サイドシル、リアフロア、リアサスペンションなどを専用設計としたNシリーズの最新モデルだ。
そんなN-VANは発売から約1か月で1万4000台以上もの受注があったということだけど、その中の1台は自分のクルマ、そう、N-VANを買いました。
出ちゃったな、理想の1台
N-VANは6月に予告のサイトが公開されたが、そこに載っていた画像は助手席側から見た広い室内の光景。これを見たときムクムクと湧いてきたのが「欲しい」という気持ちだった。
取材の仕事ではカメラ道具などクルマに載せるものは多めになるし、現場ではクルマがベース基地になることも多い。それだけに室内が広いというか「使いやすい間取り」のクルマには魅力を感じるのだ。
ちなみに、以前はシボレー「アストロ」、ホンダ「ラグレイト」というLサイズミニバンに乗っていたことがあるのだけど、この2台はセカンドシートが外せてサードシートも床下に収納できたので、平らで広い空間を作ることができた。これは非常に便利で、荷物を広々としたスペースに置いたりするだけでなく、クルマの中にできた四畳半ひと間的な「ちょうどいい狭さ」の空間にいると不思議と落ち着くのであった。
アストロもラグレイトもそんな魅力があったのだけど、大きい車体は現場によっては停める場所がなかったり、あきらかにジャマになったりなど使いにくところがあった。また、普段乗りでも「動かすのが面倒」という意識もあったりした。
そんなわけで、以降のクルマ選びでは自分にとって「ちょうどいいサイズといい感じの空間を持つクルマ」を探していたのだけど、これだと思えるものがない。
まあ、サイズ的な話だけなら該当するのはあったと思うが、この手の感覚で行なうクルマ選びは、例えるなら普段使いのカバンを探すようなもの。サイズはもちろん、カタチ、色、使い勝手が大事で、さらに素材とか縫い目とか「こんなところにポケットが」的な製作側のこだわりや工夫みたいなものが見えてこないと、物欲センサーが反応しないのだ。
そこに出てきたのがN-VAN。必要とする空間があっただけでなく、リアシート収納、助手席ダイブダウン機構、ドアインピラー構造などのカラクリが実にホンダっぽいというか、そんな工夫から作った人たちの「やってやったぜ」みたいな思いが見えた気がして、道具としてとても魅力を感じた。
発売より早いタイミングからディーラーに行き「ちなみにお値段は?」と聞いていたら……。ガーデングリーン・メタリックのN-VAN +STYLE FANが納車された。
そしてなんと、N-VANのオーナーレポートをCar Watchで連載することが決定! 自分にとってN-VANはクルマを買ったというより「イケてる道具を買った」という印象なので、乗り味うんぬんだけでなく、そんな視点からこのクルマの魅力をお伝えしていきたいと思う。
使える道具選びのポイントは、支払総額より魅力重視
さてさて、N-VANは狙っている人も多いので、最初は購入時のことから紹介しよう。前記したように欲しいと思ったときはまだクルマが発表されていない状態。こんな時期のクルマを買いに行く(様子を探りに行く?)のはこれまで経験したことがない。それだけに、売ってないクルマの話ができるのか?という疑問を持ちつつも、自宅から近い東京都調布市にある「Honda Cars 東京中央」の調布インター店へ足を運んだ。
自分が購入したのはN-VAN +STYLE FAN・ターボ Honda SENSINGの4WDモデル。このグレードはN-VANの中では1番高く、+STYLE FAN・ターボ Honda SENSINGのFFモデルと比べると約13万円の差がある。
また、4WDは平成27年度燃費基準が+10%なので、+25%を達成しているFFモデルのターボに比べるとエコカー減税が半分以下になる。ので、減税率はFFモデルだと取得税80%、重量税75%なのに対して、4WDモデルは取得税40%、重量税25%と半分以下になり、諸費用も余計にかかることになる。
支払額を優先すれば4WDモデルは選びにくいと思うが、そこは日ごろから「変わった人」と言われる自分。車両本体価格はFFモデルと比べて13万円ほどしか変わらなく、その価格差でプロペラシャフトやリアデフなどが付いてくるのは「お買い得」と思う性格だ。
また、正式発表後に知ったことだが、4WDモデルのみフロントドアウィンドウが撥水ガラスで、ドアミラーが熱線入り&親水加工仕様となっていて、これも得した気分になれた。
それに、なにより仕事柄、天候に関係なくいろんな場所に行くのでFFより4WDのほうがやはり頼もしい。さらに、N-VANはホイールサイズが12インチなので超人気のスタッドレスタイヤを新品で買うにしても1本の定価は1万円以下。市場売価はもっと安いので、無理せず高性能スタッドレスタイヤを購入できそう。すると、4WDと合わせて「今年の冬は最強仕様だ」となり、なんだかワクワクする。
そして、外せなかったのがターボ。高速道路の長距離移動が多いこともあるが、使い方がどうであれ「ターボ付きとターボなしがあるのなら、ターボ付きを選ぶ」といういわば本能の選択。とまあ、そんなところからのグレード選びだった。
4ナンバーでも残価設定型クレジットが利用できる
趣味丸出しのグレード選びはこんな感じだが、新車を買うというのは真剣に考えないといけないところがある。その1番が支払いについてだ。自分が選んだグレードでは諸費用(8月登録)を含めると約200万円になる。そこにオプションのナビも入るし、N-VANには付けたくなるオプションもいろいろあるので、その分を足すと、自分の場合は約220万円となった。
これを現金で支払うのが1番シンプルだが、それはちょっと……。なもので、選択肢は分割払いのみ。そこで、N-VANの支払いパターンだが、これは3つあった。1つは通常の分割払い。そして、残価設定型クレジット。最後はN-VAN専用メンテナンスリースプランである。
ちなみに、残価設定型クレジットは通常だと4ナンバー車には適応しないのだけど、+STYLEは個人ユーザー向けということで、このグレードのみ残価設定型クレジットが利用できる。GやLのグレードにしようと考えている人はここに注意だ。
さて、自分が選択したのは残価設定型クレジットで、理由は簡単。毎月の支払いが1番安かったからだ。月々の支払額が一番気になるという人なら残価設定型クレジットを選ぶのがいいと思う。実際、最近の新車販売においてこの支払いは定番化しているということだ。
ただ、この支払い方法では最終回時のクルマの状態に決まりがあり、そこから外れているとユーザー側に別途負担金(カンタンに言うと買い取り額が下がるので、設定された残価との差額を払う)が発生する。
N-VANは趣味の幅を広げたり行動範囲を広くするクルマだと思うので、今まで乗っていたクルマよりも走行距離が伸びるかもしれない。そうなったときに残価を気にして「乗るのを控える」じゃ元も子もないので、残価を気にしてしまう人はN-VANを楽しむために通常の分割払いを選ぶのもいいと思う。
なお、メンテナンスリースプランは運送業者などビジネスユースを対象にしているので、メンテナンス面でのカバーが手厚い設定だが、その分の費用も含まれるので他の支払いより月々の支払額は高め。買い物や趣味で乗るという使い方をする人が選ぶ買い方ではない印象だ。
とまあ、連載初回は購入について書かせてもらったところで終わりにして、次回からは使い勝手や走行の印象について紹介させていただくので、これからもお付き合い、よろしくお願いします。