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発売直後のEOS 90Dを貸し出し。10周年を迎えたF1日本グランプリのキヤノンイベント

2019年10月11日~13日 開催

2019年も大盛況だったF1フォトグラファー 熱田護氏のスペシャルセミナー

 10月11日~13日にF1日本グランプリが鈴鹿サーキットで開催された。今では日本グランプリでアマチュアカメラマンの定番となったカメラマン専用エリアが初めて設置されたのが2010年。その後、撮影エリアの拡大やクロークの提供と発展し、現在にいたっている。F1フォトグラファー 原富治雄氏によるセミナーが、逆バンクオアシスのキヤノンブースで開催されたのも2010年。こちらもセミナー規模の拡大や最新のカメラ機材の貸出など発展を続けてきた。2019年で10周年を迎えた、キヤノンの日本グランプリにおけるアマチュアカメラマン向けイベントをレポートしたい。

 F1日本グランプリのキヤノンイベントは例年どおり、カメラボディの貸出、超望遠レンズの試写コーナー、セミナーなどいくつも行なわれたが、筆者が今年注目したのはF1フォトグラファー熱田護氏のスペシャルセミナーだ。

F1フォトグラファー熱田護氏のスペシャルセミナー

 熱田氏のプロフィールを簡単に紹介しておこう。1963年三重県鈴鹿市生まれ。1987年のF1日本グランプリを鈴鹿サーキットのオフィシャルカメラマンとして撮影。1991年から海外でもF1グランプリを撮影し、1992年から現在まで世界中で開催されるF1グランプリを全戦撮影。今年、2019年のベルギーグランプリで撮影したF1グランプリの数が通算500戦となった。現在、日本人F1フォトグラファーの第一人者だ。

フリー走行2回目、立体交差下で撮影する熱田氏

 今年も熱田氏のカメラマンスペシャルセミナーは大盛況だった。2018年は金曜日のセッション終了後に熱田氏、土曜日のセッション終了後に原氏によるセミナーが開催されたが、2019年は金曜日の熱田氏、土曜日の原氏に加え日曜日の10時から熱田氏の2回目のセミナーが開催される予定……だった。

逆バンクオアシスのキヤノンブース前に設置された看板。2019年は3回のスペシャルセミナーが開催される予定だった

 ご存じのように、記録的な被害をもたらした台風19号が土曜日に東海地方を通過することとなり、金曜日のフリー走行(FP1)開始前に、土曜日のセッション(FP3と予選)は中止し、予選は日曜日の10時から行なわれることがアナウンスされた

 土曜日は鈴鹿サーキット全体が閉園、日曜日はセミナーを予定していた時間に予選が行なわれることとなり、土曜の原氏のセミナーと日曜の朝10時の熱田氏の2回目のセミナーは中止となった。台風の影響でスペシャルセミナーとしては唯一の開催となった、金曜日の熱田氏によるセミナーの様子を紹介しよう。

大人気のスペシャルセミナー

 毎年のことだが、F1日本グランプリのセッション終了後に逆バンクのキヤノンブースで開催されるスペシャルセミナーの人気は高い。筆者が熱田氏とパドックから会場に到着すると、100席ほど用意された椅子はすでに満席となっていた。

セミナー開始前に満席になっていた
会場に到着し、パネルにサインする熱田氏

 セミナーの冒頭、熱田氏は「毎年時間が押してしまうので、今年こそはキッチリ質疑応答の時間が取れるように写真の説明に絞って……」と話し始めると、会場に集まった参加者から笑い声が聞こえた。予定されたセミナーの時間は1時間だが、毎年1時間半経っても熱田氏が用意した写真が紹介しきれない。集まった参加者もそのことを知っていて、なごやかな雰囲気でセミナーが始まった。

1枚1枚の写真について説明する熱田氏
2台のモニターが設置されたブース内の様子。用意された椅子は満席となり、左右には立ち見の参加者も多数

 用意された写真は今シーズンに撮られたもので、ホンダPUでフェルスタッペン選手が優勝したオーストリアグランプリ以降の作品がモニターに映し出された。それぞれの写真について、「これは400mmのレンズで……」「シャッター速度は1/10秒で……」「測距点は真ん中から2つくらい下げて……」と、撮影場所や光線の状況なども加えながら説明が行なわれた。

 セミナー冒頭で「写真の説明に絞って……」と話した熱田氏だったが、例年どおり写真に写っているドライバーについて、ルクレール選手はカメラを向けると……、マックス(フェルスタッペン選手)は、ライコネン選手は、ハミルトン選手はと、全戦を撮影する熱田氏ならではの話へと脱線。予定の1時間はあっという間に過ぎ、最後の数枚は1枚数秒で説明するなど大幅な時間超過となった。

予定の1時間を過ぎたころには西の空が夕焼けにそまっていた

 それでも質疑応答が行なわれ、「あと3人」と言って3人の質問に答えると「あと1人」と追加の質疑応答も行なわれ、熱田氏の撮った写真のサイン入り大型パネルがジャンケン大会でプレゼントされたころには1時間半を過ぎ、周辺はすっかり暗くなっていた。

セミナー終盤には周辺は真っ暗となった

500戦記念の写真展を開催

 スペシャルセミナーの中でも紹介があったが、熱田氏の500戦取材を記念して写真展が開催される。熱田氏がフィルムカメラからデジタルカメラまで、長年に渡り撮り溜めてきた作品を展示する集大成とも言える写真展で、約100点の貴重な作品が展示される。作品はすべてキヤノンの大判プリンター「imagePROGRAF」でプリントして展示される。

熱田護写真展:500GP フォーミュラ1の記憶

・開催日程:2019年12月19日(木)~2020年2月8日(土)
・会場:キヤノンギャラリー S(品川)

 期間中にはトークイベントも開催される。写真展開催直後の12月21日にはゲストに佐藤琢磨氏を迎え、撮影時のエピソードなどが語られる予定だ。参加は無料だが300名限定で、11月21日より事前申し込みとなっている。

ゲストの佐藤琢磨氏と熱田氏のトークイベント

・日程:2019年12月21日(土)13時30分~15時
・会場:キヤノンホール S(住所:東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー3階)
・ゲスト:佐藤琢磨氏
・定員:300名(11月21日13時より事前申し込み)

熱田氏によるギャラリートーク

・日程:2020年1月11日(土)/18日(土)/25日(土)/2月1日(土)/8日(土)
・会場:キヤノンギャラリー S
・無料、事前予約不要

500戦記念の写真集を発売

 さらに、500戦を記念した写真集「熱田護F1写真集 500GP」が、インプレス デジタルカメラマガジン編集部から12月19日に発売される。価格は4545円(税別)で、224ページの豪華写真集になるとのことだ。すでにAmazon.co.jpで予約受付が行なわれており、発売前に予約をすると特典として「500GP」のステッカーが付いてくるとのこと。実際にAmazon.co.jpのサイトを見ると、表紙など9点のイメージ(写真)が掲載されている。ゾクゾクする写真が掲載されているので一見していただきたい。

キヤノンブースのテーブルには写真展のチラシとハガキ、写真集のチラシが置かれていた
写真集のチラシの表面
写真集のチラシの裏面
Amazon.co.jpの写真集予約サイトで9点のイメージ(写真)を見ることができる
それぞれの写真は拡大表示もできる

一眼レフカメラ貸出体験会

 スペシャルセミナー以外のイベントも見ていこう。「一眼レフカメラ貸出体験会」は、カメラマンエリアチケットの購入者を対象に、キヤノンの一眼レフカメラと望遠ズームレンズをセットで無料貸し出しを行なうイベントだ。2019年はカメラボディが9月に発売されたばかりの「EOS 90D」。レンズは「EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM」または「EF70-300mm F4-5.6 IS II USM」という組み合わせだ。

一眼レフカメラの貸し出しは逆バンクオアシスのキヤノンブースで行なわれた
ずらーっと用意された発売直後のEOS 90D

 毎年9月下旬から鈴鹿サーキットのF1イベント紹介サイトで予約の受け付けが行なわれ、金曜日のフリー走行(FP1、FP2)、土曜日のフリー走行(FP3)と予選、日曜日の決勝の5セッションに各20台が貸し出される。

 各セッションの1時間前から逆バンクオアシスのキヤノンブースで貸し出しが行なわれ、撮影したい場所に移動して自由に撮ることができる。各自がSDカードを持参し、撮った写真は持ち帰ることが可能だ。

 2019年は土曜日のセッションが中止となったため、FP3の予約をした人は残念ながらキャンセル。予選の予約をした人は、そのまま日曜日の午前中に行なわれた予選で貸し出しを受けることができた。実際には土曜日から新幹線が計画運休し、日曜日の朝の時点でも静岡以東の高速道路が通行止め、新幹線は動いていても都内の電車が運休するなど、日曜日の午前中に鈴鹿サーキットにたどり着けない人が多数いたと思われる。そのため、予約した人が現れなかった分の機材は、予選開始後に予約なしの人に貸し出しが行なわれた。

貸し出しブースのテーブルにはEOS 90Dのカタログや写真展のチラシなどが並べられていた。吊されたパネルは熱田氏の連載が掲載されているデジタルカメラマガジンの2018年12月号に掲載されたF1特集ページをパネル化したもの
筆者が作製したEOS 90Dの設定方法のチラシも配布された

 カメラボディが発売直後のEOS 90Dとなったので、カメラ+レンズと一緒に配布するEOS 90Dの設定方法と撮影ポイントを紹介したチラシも刷新。キヤノンの一眼レフを初めて使う人、初めて鈴鹿サーキットで撮影を行なう人を対象としたものだが、興味のある人はダウンロードしていただきたい。

事前のアナウンスは行なわれなかったが、逆バンクオアシスのキヤノンブースのすぐ裏に特設の撮影台が設置されていた。カメラを受け取って1分後には撮影が開始できる優れものだ。筆者はここで超望遠レンズの試写をしてみたいと思った

超望遠レンズ試撮会

「超望遠レンズ試撮会」は、カメラマンエリアチケットの購入者を対象に、「EF400mm F2.8L IS III USM」「EF600mm F4L IS III USM」「EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×」など、100万円越えの超望遠レンズで撮影ができるイベントだ。これら憧れのレンズと「EOS-1D X Mark II」「EOS 5D Mark IV」「EOS 90D」のカメラボディをセットにして無償で貸し出された。

「EF400mm F2.8L IS III USM」「EF600mm F4L IS III USM」「EF200-400mm F4L IS USM エクステンダー 1.4×」など、100万円越えの超望遠レンズが用意された
超望遠レンズとセットで「EOS-1D X Mark II」「EOS 5D Mark IV」「EOS 90D」のカメラボディも用意された

 金曜日はヘアピンのカメラマンエリア、日曜日は逆バンクの立ち上がり、E-2席上段エリアで実施された。撮影時間は15分間。SDカード、またはCFカードを持参し、撮った写真は持ち帰ることができる。

金曜日はヘアピン正面のカメラマンエリアで貸し出しが行なわれた
日曜日は逆バンクの立ち上がり、E-2席上段エリアで貸し出しが行なわれた

カメラマンミーティング

「カメラマンミーティング」はキヤノンのイベントの中で唯一有料の豪華イベントだ。会場はサーキットホテルに隣接するS-PLAZA「サクラホール」。食事とドリンクが提供され、世界中でF1グランプリを撮影してきたF1フォトグラファーの原富治雄氏を中心に行なわれるトークショーだ。他のイベントと同様に、9月下旬から鈴鹿サーキットのF1イベント紹介サイトで受け付けが行なわれた。

 18時にイベントがスタートし、前半は原氏とモータージャーナリストの今宮純氏のトークショー。逆バンクオアシスのスペシャルセミナーを大幅な時間超過で終えた熱田氏が会場に駆けつけると、後半の原氏と熱田氏のトークショーが行なわれた。

ビュッフェ形式で食事が提供され、なごやかな雰囲気でステージを楽しむことができる。会場後方ではカメラボディや超望遠レンズを自由に触れられる
後半のステージはF1フォトグラファーの原氏と熱田氏が登壇した