まるも亜希子の「寄り道日和」
東京・日本橋にオープンした「TOYOTA MOBILITY SHOWROOM」
2018年8月9日 01:05
自動車業界で働く女性はまだまだ少ないですが、少ないからこそなのか、会って話をしてみると、仕事の内容や立場は違っても、とても共感できる部分が多くて、いっぺんで通じ合って仲良しになってしまうことがあります。
そんな女性の1人、トヨタ自動車の山田貴子さんとは「プリウス PHV」が発売された時に現場で知り合い、意気投合。いつも元気でアイデアにあふれていて、思いついたら即行動、というキャラクターが魅力的な女性です。
山田さんはプリウス PHVの時に、あのインパネを象徴する大きなディスプレイの開発に携わっていたのですが、その後もコネクティッドをはじめとする、これからのカーライフに欠かせないものを企画し具現化するというプロジェクトを進めている模様。久しぶりに「東京に行きま~す」と連絡をもらい、何かなぁと思ったら、トヨタが8月1日に東京・日本橋にオープンしたモビリティサービスの体感・発信拠点「TOYOTA MOBILITY SHOWROOM」にいるとのこと。山田さんのことだから、きっと何かまた、面白いモノを作ったにちがいない(笑)。そう直感した私は、ぶらりと寄り道してきちゃいました。
ガラス張りで明るい光が差し込むショールーム内は、ウッドを基調とした温かみのある展示スペースに、先進安全技術を擬似体験できるVRシミュレーターなども置かれています。主な対象が法人のお客さまということで、スーツを着た男性たちが多い中、いました、明るいオーラを放ちまくっている山田さん(笑)。
熱烈な歓迎を受けつつ、さっそく山田さんが紹介してくれたのが、試行錯誤の末に完成させたという「車載マルチディスプレイホルダー」です。自動車メーカー自ら、なぜホルダーを?と疑問に思うかもしれませんが、スマートフォンやタブレットをナビゲーション代わりに使う人たちが増え、車内でもお気に入りの音楽や電話などを普段通りに使うことができるコネクティッド機能も浸透してくる中、やっぱりその“土台”となるホルダーの安全性や使い勝手を無視するわけにはいかない、というのがキッカケとのこと。
確かに、わが家の愛車にも市販のスマホホルダーがありますが、急ブレーキを踏んだらスマホがホルダーから外れて飛んできて、危ないなぁと思ったことがありました。山田さん曰く、それじゃせっかく先進安全技術の搭載を進めても、車内に危険が潜んでいたら意味がないッ。メーカーとしてきちんと安全性・耐久性・汎用性を確保したホルダーを提供することも、今後のモビリティサービスには必要なはず。私が作らなきゃ誰が作るんですかッ。な~んてバズーカーのように上司に訴える山田さんの姿が目に浮かぶようですが、そうした熱意と、本当にお客さまのことを考えた上での「新しいコト」をやりたいという想いから実現したというわけなんです。
安全性・耐久性にはサプライヤーさんの協力を得て、ほかの車内製品と同じような衝突試験をクリアしたり、全日本ラリー選手権に参戦しているチームに実際の競技で使ってもらって、毎回その評価をもらったりしながら改良を重ねたとのこと。そして使い勝手に関しても、ホルダーが左右だけでなく上下に首振りして画面の角度が調整できるようにすることで、助手席の人も使いやすいようにしたり、光の映り込みを避けて画面が見やすいようにしたり。スマホを置くだけで充電できる非接触充電も可能で、トヨタ車以外のクルマにも取り付けられるようになっていたりと、細かな部分まで考えられているなぁと感じました。さすが、山田さん!
そのほか展示されているコンテンツとしては、通信型ドライブレコーダーを搭載することで、ドライバーの安全運転や事故低減だけでなく、勤務状況の管理やコスト削減にも活用できる「TransLog」、スマホでの鍵の開閉やエンジン始動ができるようになる「SKB(スマートキーボックス)」、クルマ乗車時でなくても、クルマの状況確認やナビ操作が可能となる、つながるサービス「LINEマイカー」や「My TOYOTA」といったものがありました。
いろんなビジネスに携わる人たちが集まる日本橋という場所に、こうした拠点を持つことは、実際に使うリアルな視点からのさまざまな意見や要望を吸い上げるという点でも大きな役割を果たしていきそうです。私もちょうど山田さんと一緒にいらっしゃったサプライヤーさんをご紹介いただき、初対面ながら「ここを直してほしい、こんなサービスがほしい」という意見をぶつけてきちゃいました(笑)。普段はなかなかお会いする機会がない人たちと、こうしてフランクに話ができるのも、会議や意見交換会なんてかたっ苦しい場所じゃないからでしょうね。
ショールーム内には大型モニターやちょっとしたステージもあって、今後は講習会などいろんなことに活用していきたいとのこと。もしかしたら、未来のモビリティサービスはここに撒かれたタネから花開くのかもしれないですね。一般のお客さまももちろん利用できるので、日本橋に出かけた際はぜひ寄り道してみてくださいね♪