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【鈴鹿10時間 2019】アウディの25号車 Audi R8 LMS GT3 EvoがRSモデル25周年を祝う優勝
松田/千代組のGT-Rが日本勢最上位の6位、ハッキネン組スマカメ号は22位完走
2019年8月25日 20:43
- 2019年8月25日 決勝開催
三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットにおいて、2019 第48回サマーエンデュランス「BH オークション SMBC 鈴鹿10時間耐久レース」(以下SUZUKA 10H)が8月23日~25日の3日間において開催された。25日10時3分にスタートしたレースは20時過ぎにスタートから10時間を迎え、チェッカーフラッグが振られて、各マシンがゴールした。
優勝したのは、予選2位からスタートし、2時間目以降レースを支配した25号車 Audi R8 LMS GT3 Evo(Audi Sport Team WRT、ケルビン・ファン・デル・リンデ/ドリス・バンスール/フレデリック・ヴェルヴィッシュ組)で、アウディのRSモデル誕生から25周年を祝う優勝を遂げた。
2位は999号車 Mercedes-AMG GT3(Mercedes-AMG Team GruppeM Racing、マロ・エンゲル/ラファエル・マルセロ/マキシミリアン・ブーク組)、3位は912号車 Porsche 911 GT3 R(Absolute Racing、デニス・オルセン/マット・キャンベル/ダーク・ヴェルナー組)と、表彰台はアウディ、メルセデス・ベンツ、ポルシェという3つのドイツメーカーが分け合う形になった。
日本勢は35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3(KCMG、千代勝正/ジョシュア・バードン/松田次生組)の6位が最上位、SUPER GT勢のトップは00号車 Mercedes-AMG GT3(Mercedes-AMG Team Goodsmile、谷口信輝/片岡龍也/小林可夢偉組)の10位となった。
6時間経過して残り4時間。セーフティカーが入り一度はリードが消滅するが、再び25号車 Audi R8 LMS GT3 Evoがリードを築く
残り4時間となった段階でレースは大きく動くことになった。ニック・キャシディ選手がドライブする27号車 Ferrari 488 GT3(HubAuto Corsa、ヘイキ・コバライネン/ニック・キャシディ/ニック・フォスター組)が、130Rでタイヤバリアに突っ込む大クラッシュが発生する。
それによりフルコースイエロー(コース全体に黄旗が提示され、一定の速度で走る指示が出される)が出され、上位チームはそのタイミングを利用してピットインし、ルーティンストップを済ませることになる。そして、その後フルコースイエローはセーフティカーになり、それまでトップを快走してきた25号車 Audi R8 LMS GT3 Evo(Audi Sport Team WRT、ケルビン・ファン・デル・リンデ/ドリス・バンスール/フレデリック・ヴェルヴィッシュ組)の貯金は一時的に消滅することになる。
この時点でトップど同一周回なのは、10位を走っていた00号車 Mercedes-AMG GT3(Mercedes-AMG Team Goodsmile、谷口信輝/片岡龍也/小林可夢偉組)までで、総合優勝はその10台で争われることになった。
セーフティーカーがピットに入りレースが再開されると、25号車 Audi R8 LMS GT3 Evoは2位との間に何台かの周回遅れを挟んでいたこと事もあり、レースが落ち着くと2位の125号車 Audi R8 LMS GT3 Evo(Audi Sport Team Absolute Racing、マーカス・ウィンケルホック/クリストファー・ミース/クリストファー・ハース組)に20秒以上の差をつけて再びレースを支配しだした。その1-2フォーメーションのアウディ2台に続いたのが、999号車 Mercedes-AMG GT3(Mercedes-AMG Team GruppeM Racing、マロ・エンゲル/ラファエル・マルセロ/マキシミリアン・ブーク組)。999号車はレース序盤こそ、目立つ存在ではなかったが、レース中盤から後半にかけて順位を上げてきており、セーフティカー明けの状況では3位に上がってアウディを追い上げにかかる。
そうした中でもう一台注目を集めたのは、35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3(KCMG、千代勝正/ジョシュア・バードン/松田次生組)。レースが再開した時には6位だったが、前を走る77号車 Mercedes-AMG GT3(Mercedes-AMG Team CraftBamboo Racing、マキシミリアン・ゲーツ/ルカ・シュトルツ/イェルマー・ブルマン組)をヘアピンでオーバーテイクして5位にあがる。
その後も前を行く912号車 Porsche 911 GT3 R(Absolute Racing、デニス・オルセン/マット・キャンベル/ダーク・ヴェルナー組)を追いかけるが、ストレートの速度に差があり、なかなか抜けないという状況が続くことになった。
その後前を行っていた999号車 Mercedes-AMG GT3も加わり、912号車 Porsche 911 GT3 R、35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3の3台による3位争いが展開されることになった。
日没を迎えてナイトセッション。気温や路面温度が下がってくる日暮れにより競争の局面が変わる、スタンドにはサイリウムライトの蛍が光り輝く
暑かった気温も徐々に下がっていき、17時半の段階で、気温28.1度、路面温度は36.7度(Circuit Live Weather)となってきており、湿度も下がってきたこともあり体感温度は下がりつつある。徐々にサーキットは暗くなっていき、18時半頃には日没を迎えることになった。
トップを走行する25号車 Audi R8 LMS GT3 Evoは安定して2位以下に30秒近い差をつけており、盤石の体制でトップを走行しており、2位の125号車 Audi R8 LMS GT3 Evoに対して30秒差をつけている。3位は999号車 Mercedes-AMG GT3、4位は912号車 Porsche 911 GT3 Rとなっており、5位には77号車 Mercedes-AMG GT3があがり、35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3の前に出る展開になった。35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3が表彰台を獲得するには2台のメルセデスと1台のポルシェを抜く必要がある。
夜の走行が始まると、珍しいトラブルが各車に発生する。トラブルで遅れていたKCMGのもう1台となる18号車NISSAN GT-R NISMO GT3(KCMG、アレクサンドレ・インペラトーリ/エドアルド・リベラッティ/オリバー・ジャービス組)がピットインしたが、ドライバー側(左)のドアが開かないというトラブルが発生し、反対側のドアからドライバーが乗り降りするという珍しい光景が繰り広げられた(その後もう一度ピットに入って修復にかかりだした)。
また、30号車 Honda NSX GT3 Evo(Honda Team Motul、マルコ・ボナノミ/武藤英紀/ベルトラン・バゲット組)は、捨てバイザーが半分だけ剥がれて運転席側に残るというトラブルが発生。それでも、前が見えないというほどではないので、そのまま走り続けた。
ナイトセッションに入り、観客にはサイリウムライトが配布され、スタンドに蛍のようにサイリウムライトが輝きだすと、急にパフォーマンスを上げてきたのがポールを獲得した42号車 BMW M6 GT3(BMW Team Schnitzer、アウグスト・ファーファス/マーティン・トムチュク/ニコラス・イェロリー組)。7位だった42号車のBMWは気温や路面温度が落ちてくると、タイヤが性能を発揮できるようになるようで、急に追い上げを開始した。まず前を走る35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3をオーバテイクし6位にあがる。その勢いで5位の77号車 Mercedes-AMG GT3においつくがなかなか抜けず、77号車を先頭に、42号車 BMW M6 GT3、35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3、さらには8位を走る107号車 Bentley Continental GT3(Bentley Team M-Sport、ジョーダン・ペッパー/スティーブン・ケイン/ジュール・グーノン組)も追いつき、4台による5位争いが展開されることになった。
残り1時間。松田選手がドライブする35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3が最後の見せ場を作る
残り1時間の段階で各チームが最後のピットストップを行なった。その中でそれまで2位を走っていた125号車 Audi R8 LMS GT3 Evoがピットストップにかかる時間が120秒(通常は85秒)と時間がかかってしまい、ピットアウトすると9位まで順位を下げてしまった。これにより、Audiの盤石の1-2フォーメーションは崩れることになった。その後トップを走っていた25号車 Audi R8 LMS GT3 Evoがピットインすると、左のミラーが壊れていたのかそれを修復するために、通常よりも十数秒程度余計に時間がかかるが、それまでに大きなマージンを築いていたため、問題なくトップのまま復帰することに成功した。
残り40分で全車がピットインを終えると、トップを走っていたのは25号車 Audi R8 LMS GT3 Evo、2位は999号車 Mercedes-AMG GT3、3位は912号車 Porsche 911 GT3 R、4位は77号車 Mercedes-AMG GT3、5位は42号車 BMW M6 GT3、6位は107号車 Bentley Continental GT3、日本期待の35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3は7位となり、それにピット時にトラブルで遅れた125号車 Audi R8 LMS GT3 Evoが8位で続く展開になった。
レースの最終局面で注目されたのは、7位を走った松田次生選手がドライブする35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3が、6位を走る107号車 Bentley Continental GT3を1秒以内の差で追い回し始めた。スタンドのファンもサイリウムの色をKCMGのチームカラーであるブルーに変えて応援を始める。すると、日立オートモーティブシステムズシケインでベントレーのインに入ることに成功し、松田選手の35号車は見事6位にあがった。
それで順位が確定かと思われたが、ピット作業で遅れてしまった125号車 Audi R8 LMS GT3 Evoが猛烈な勢いで107号車 Bentley Continental GT3をオーバーテイクし、そしてすぐに松田選手のドライブする35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3に追いつく。残り10分で2台は完全にテールツーノーズになり、毎コーナーで35号車がディフェンスするという展開に。その後も二台はずっとテールトゥーノーズでレースを繰り広げられた。勢いは125号車にあって、何度も抜かれそうになるものの、辛くも松田選手が守り抜き6位を確保した。
結局優勝はレースのほとんどを支配した25号車 Audi R8 LMS GT3 Evo。2位は999号車 Mercedes-AMG GT3、3位は912号車 Porsche 911 GT3 R、4位は77号車 Mercedes-AMG GT3、5位は42号車 BMW M6 GT3、6位は35号車 NISSAN GT-R NISMO GT3となった。
なお、ホンダNSX-GT3勢は18号車 Honda NSX GT3 Evo(TEAM UPGARAGE、小林崇志/松浦孝亮/牧野任祐組)が14位、30号車 Honda NSX GT3 Evo(Honda Team Motul、マルコ・ボナノミ/武藤英紀/ベルトラン・バゲット組)が15位、034号車 Honda NSX GT3 Evo(Modulo Drago CORSE、道上龍/大津弘樹/中嶋大祐組)が18位となった。
注目されたミカ・ハッキネン選手の11号車 McLaren 720S GT3(PLANEX SMACAM RACING、ミカ・ハッキネン/久保田克昭/石浦宏明組)は22位で無事に完走した。
SUZUKA 10H最終結果表(結果は暫定)
順位 | カーナンバー | クラス | 車両名 | チーム | ドライバー1 | ドライバー2 | ドライバー2 | 周回数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 25 | Pro | Audi R8 LMS GT3 Evo | Audi Sport Team WRT | ケルビン ファン デル リンデ | ドリス バンスール | フレデリック ヴェルヴィッシュ | 275 |
2 | 999 | Pro | Mercedes-AMG GT3 | Mercedes-AMG Team GruppeM Racing | マロ エンゲル | ラファエル マルセロ | マキシミリアン ブーク | 275 |
3 | 912 | Pro | Porsche 911 GT3 R | Absolute Racing | デニス オルセン | マット キャンベル | ダーク ヴェルナー | 275 |
4 | 77 | Pro | Mercedes-AMG GT3 | Mercedes-AMG Team CraftBamboo Racing | マキシミリアン ゲーツ | ルカ シュトルツ | イェルマー ブルマン | 275 |
5 | 42 | Pro | BMW M6 GT3 | BMW Team Schnitzer | アウグスト ファーファス | マーティン トムチュク | ニコラス イェロリー | 275 |
6 | 35 | Pro | NISSAN GT-R NISMO GT3 | KCMG | 千代 勝正 | ジョシュア バードン | 松田 次生 | 275 |
7 | 125 | Pro | Audi R8 LMS GT3 Evo | Audi Sport Team Absolute Racing | マーカス ウィンケルホック | クリストファー ミース | クリストファー ハース | 275 |
8 | 107 | Pro | Bentley Continental GT3 | Bentley Team M-Sport | ジョーダン ペッパー | スティーブン ケイン | ジュール グーノン | 275 |
9 | 44 | Pro | Mercedes-AMG GT3 | Mercedes-AMG Team Strakka Racing | ゲイリー パフェット | ルイス ウィリアムソン | トリスタン ヴォーティエ | 275 |
10 | 00 | Pro | Mercedes-AMG GT3 | Mercedes-AMG Team Goodsmile | 谷口 信輝 | 片岡 龍也 | 小林 可夢偉 | 274 |
11 | 777 | Pro | Ferrari 488GT3 | CAR GUY Racing | ジェームス カラド | コッツォリーノ ケイ | ミギュエル モリーナ | 274 |
12 | 75 | Silver | Mercedes-AMG GT3 | SunEnergy1 Racing | ケニー ハブル | ミカエル グルニエ | ニコ バスティアン | 274 |
13 | 911 | Pro | Porsche 911 GT3 R | EBM | ロマン デュマ | マシュー ジャミネット | スヴェン ミューラー | 273 |
14 | 18 | Pro | Honda NSX GT3 Evo | TEAM UPGARAGE | 小林 崇志 | 松浦 孝亮 | 牧野 任祐 | 273 |
15 | 30 | Pro | Honda NSX GT3 Evo | Honda Team Motul | マルコ ボナノミ | 武藤 英紀 | ベルトラン バゲット | 273 |
16 | 87 | Pro | LAMBORGHINI HURACAN GT3 | JLOC | 小暮 卓史 | 元嶋 佑弥 | 関口 雄飛 | 272 |
17 | 21 | Pro | Audi R8 LMS GT3 | Audi Team Hitotsuyama | リチャード ライアン | 富田 竜一郎 | アレッシオ ピカリエロ | 272 |
18 | 034 | Pro | Honda NSX GT3 Evo | Modulo Drago CORSE | 道上 龍 | 大津 弘樹 | 中嶋 大祐 | 272 |
19 | 37 | Silver | Callaway Corvette C7 GT3-R | Callaway Competition with BINGORACING | 武井 真司 | 小河 諒 | マーカス ポマー | 271 |
20 | 43 | Pro-Am | Mercedes-AMG GT3 | Team Strakka Racing | クリスティーナ ニールセン | エイドリアン ヘンリー ダシルバ | ドミニク バウマン | 269 |
21 | 188 | Pro-Am | Aston Martin V8 Vantage AMR GT3 | Garage59 | アレックス ウエスト | クリス グッドウィン | カム レドガー | 269 |
22 | 11 | Pro | McLaren 720S GT3 | PLANEX SMACAM RACING | ミカ ハッキネン | 久保田 克昭 | 石浦 宏明 | 268 |
23 | 018 | Pro | NISSAN GT-R NISMO GT3 | KCMG | アレクサンドレ インペラトーリ | エドアルド リベラッティ | オリバー ジャービス | 266 |
24 | 60 | Pro-Am | Porsche 911 GT3 R | LM corsa | 脇阪 寿一 | 脇阪 薫一 | 中西 慧 | 263 |
25 | 112 | Am | Mercedes-AMG GT3 | SATO-SS SPORTS | 佐藤 敦 | 山下 亮生 | 久保 宣夫 | 263 |
26 | 9 | Am | NISSAN GT-R NISMO GT3 | MP Racing | ジョー シンドウ | 柴田 優作 | 高田 匠 | 261 |
27 | 2 | Pro-Am | LOTUS EVORA MC | CarsTokaiDream28 | 高橋 一穂 | 加藤 寛規 | 濱口 弘 | 260 |
28 | 108 | Pro | Bentley Continental GT3 | Bentley Team M-Sport | アレックス バンコム | アンディ ソウセック | セバスチャン モリス | 259 |
29 | 5 | Pro-Am | NISSAN GT-R NISMO GT3 | GTNET MOTORSPORTS | 浜野 彰彦 | 星野 一樹 | 山田 英二 | 245 |
30 | 6 | Silver | LAMBORGHINI HURACAN GT3 | WALL RACING / ADRIAN DEITZ | エイドリアン ディーツ | アントニアオ ダアルベルト | キャメロン マコンビル | 244 |
31 | 51 | Silver | Porsche 911 GT3 R | AMAC Motorsport | アンドリュー マクファーソン | ベン ポーター | ブラッド シールズ | 227 |
32 | 27 | Pro | Ferrari 488 GT3 | HubAuto Corsa | ヘイキ コバライネン | ニック キャシディ | ニック フォスター | 197 |
R | 8 | Silver | Ferrari 488 GT3 | apr with ARN racing | 永井 宏明 | 織戸 学 | 上村 優太 | 186 |
R | 98 | Am | Honda NSX GT3 Evo | ARROWS RACING | フィリップ マ | リッカ リウ | ジャッキー ユング | 59 |
R | 88 | Pro | LAMBORGHINI HURACAN GT3 | JLOC | アンドレア カルダレッリ | マルコ マペッリ | デニス リンデ | 49 |
R | 34 | Pro | BMW M6 GT3 | Walkenhorst Motorsport | クリスチャン クログネス | ニッキー キャッツバーグ | ミッケル ジェンセン | 43 |