CES2014
NVIDIA、クアッドコアCPUと192コアGPUを持つモバイルプロセッサ「Tegra K1」で自動車の革新へ
デジタルコクピット、歩行者検知、レーン認識などを実現
(2014/1/6 22:32)
NVIDIAは1月5日(現地時間)、新たなモバイルプロセッサ「Tegra K1」を発表した。Tegra K1は、クアッドコア(4コア)CPUと192コアのGPUを搭載。とくにグラフィックス処理を担うGPUについては、電力効率に優れたスーパーコンピュータ世界上位10台に使われているものの自動車向けバージョン。このTegra K1が自動車にスーパーコンピュータ並の処理能力をもたらすとしている。
Tegra K1は、モジュールパッケージとなる「Tegra K1 VCM」として、各自動車メーカーに提供。QNX、Android、Linux、WindowsなどさまざまなOSを利用可能で、初期出荷のTegra K1 VCMのCPUコアは32bitのARM Cortex-A15を4つ搭載する。後に64bit Denverコアをデュアルで搭載するバージョンも用意され、32bitクアッドコア版、64bitデュアルコア版は、ピンコンパチブルとなっている。
192コアのGPUコアは、PC用のグラフィックスプロセッサや、その高い並列処理能力からスーパーコンピュータで使われているKeplerアーキテクチャを採用しており、高度な画像処理能力を実現できる。
NVIDIAは、このTegra K1 VCMを自動車に搭載することで、3Dで描かれたメーターやスイッチパネル、高解像度のナビゲーションが実現できるほか、高いリアルタイム処理能力を持つことから、歩行者検知、ブラインドスポット監視、レーン逸脱時の警告、交通信号認識などの先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)を実現できるとしている。
Tegra K1は、スーパーコンピュータなどで使用されているCUDAプラットフォームに対応した初のモバイルプロセッサとなっており、CUDAで開発したアプリケーションなどを比較的簡単に実装できる。また、車載プロセッサであるため、幅広い温度範囲と厳しい環境での動作を前提に作られている。
Tegra K1の発表に際し、Audi AGの電装/電子回路担当チーフ・エグゼクティブ・エンジニアであるリッキー・フーディ(Ricky Hudi)氏は、「Audi社とNVIDIAは長年にわたる深い関係を通じ、3世代のTegraプロセッサにより業界トップクラスの機能を備えた機器パネル、インフォテインメント、および後席エンターテインメント・システムを実現してきました。Tegra K1プロセッサはAudi社にとっての新たな章の始まりであり、画期的なスーパーコンピューティングの進化を自動車にもたらすと共に自動運転への道を拓くものです」とのコメントを寄せている。
NVIDIAは、「2014 International CES」に合わせて米国ネバダ州で記者会見を開催。そこでこのTegra K1に関する発表や、自動車に関する取り組みをデモを交えて解説した。その模様は後ほど詳報する。
CESではコメントをよせたアウディの基調講演が予定されているため、自動車メーカーから見たTegra K1についてが語られるものと思われる。また、Tegra K1の発表とタイミングを合わせるように、本田技研工業が自動車へのAndroidプラットフォーム搭載促進を目指す「オープン・オートモーティブ・アライアンス(OAA)」への参加を表明している。