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インディ500の優勝トロフィ「ボルグワーナートロフィ」、米国外で初の一般公開
佐藤琢磨選手も参加したトロフィ除幕式をHonda Racing THANKS DAY 2017で開催
2017年12月3日 20:57
- 2017年12月3日 開催
2017年5月末に米国インディアナ州インディアナポリスで行なわれたインディ500を、佐藤琢磨選手が日本人ドライバーとして初めて制したことは記憶に新しいところだが、その優勝トロフィである「ボルグワーナートロフィ」が、12月3日にツインリンクもてぎで開催された「Honda Racing THANKS DAY 2017」の会場において、米国外では初めて、もちろん日本では初めて一般公開された。
ボルグワーナートロフィはインディ500の優勝者に渡されるトロフィ。毎年優勝者の顔を彫刻で刻んでいくという独特のスタイルでも知られており、優勝後のミルク飲みと同じくインディ500を象徴するものの1つだ。
そのボルグワーナートロフィは、通常はインディアナポリス・モータースピードウェイの殿堂博物館に常時展示されているものとなるが、今回、その提供を行なっているボルグワーナーと本田技研工業が協力して特別に日本に持ち込み、Honda Racing THANKS DAY 2017の会場で展示を行なった。このボルグワーナートロフィは、12月8日~9日に東京都港区にあるHondaウエルカムプラザ青山でも一般展示が行なわれる予定だ。
あのボルグワーナートロフィが初めて米国国境を越えて来日
インディ500で優勝したウィナーは優勝した後の方が忙しいと言われるぐらい、数々のセレモニーをこなさないといけない。もっとも有名なのはビクトリーレーンで、シャンパンの代わりにミルクを飲むというものだが、それ以外にもブリックヤードの語源になっているオーバルコースのスタート・フィニッシュラインに埋め込まれているレンガへのキスなどもよく知られているだろう。そしてもう1つの大事なセレモニーが、「ボルグワーナートロフィ」と呼ばれる、インディ500の歴代ウィナーの顔が刻まれているトロフィの贈呈式だ。
ボルグワーナーというのはこのトロフィを提供している企業の名前で、純銀製で約50kgという重量級のものになっている。このトロフィには1911年の優勝者であるレイ・ハルーン以降の優勝者の顔の彫刻が貼り付けられており、佐藤琢磨選手の顔は、このトロフィに104番目の顔(以前は交代して走って優勝者が2人だったことがあったりするため)として台座部分に貼り付けられている。なお、このトロフィが初めて作られた1935年当時の価値では1万ドルだったが、現在では350万ドル(日本円で約4億円)という価格になるということだ。
ボルグワーナートロフィは、通常はインディアナポリス・モータースピードウェイの殿堂博物館に常時展示されているものになるが、今回初めて米国以外の国への持ち出しが特別に許可され、日本に持ち込まれることになった。
12月3日にツインリンクもてぎで開催された「Honda Racing THANKS DAY 2017」において、ボルグワーナーによる佐藤琢磨選手をゲストに迎えた除幕式が行なわれた。ボルグワーナーは米国の部品メーカーで、自動車の内燃機関、ハイブリッド、EV(電気自動車)向けの部品などを提供するグローバルな部品メーカーだ。インディカー・シリーズには、ターボチャージャーを独占的に供給しており、従って佐藤琢磨選手の優勝マシンであるダラーラ DW12/ホンダにも、同社のターボチャージャーが採用されている。
今回はボルグワーナーの日本法人となるボルグワーナー・モールスシステムズ・ジャパン 代表取締役社長 三島邦彦氏、ボルグワーナー マーケティング部長 スコット・ギャレット氏が佐藤琢磨選手とともに登場し、除幕を行なった。
日本のファンのためにボルグワーナートロフィを持ってきてもらったと佐藤選手
ボルグワーナー・モールスシステムズ・ジャパンの三島社長は、「この会社に入ったときからこのトロフィを見るのが夢だった。今年のインディ500に行く機会があり、佐藤琢磨選手の優勝を目にすることができて嬉しかった。今回、米国本社の協力でこうしてこのトロフィを今回初めて日本で公開することができ、今後静岡県、三重県、東京都などを弊社の10tトラックで運んでツアーを行なう」と述べ、このHonda Racing THANKS DAY 2017の後にも各地をまわって展示を行なうと説明された。
また、ボルグワーナーのギャレット氏は「今回日本人初のインディ500ウィナーである佐藤琢磨選手の顔を、ボルグワーナートロフィに取り付けることができて嬉しい。そのことを祝うために、今回このボルグワーナートロフィをもって日本にきた」と述べ、佐藤琢磨選手の初優勝を祝福するとともに、その初優勝があったからこそ、こうして初めて米国外にトロフィを持ち出すことが可能になったと説明した。
なお、記者会見終了後にうかがったところ、一番大変だったのは「税関を通すこと。最初は“これは何だ”ということを理解してもらうのが大変だったが、一度理解してもらってからはとても丁寧に扱ってもらえた」(ギャレット氏)とのことで、確かに純銀の塊を持ってこられた税関の担当者も最初はさぞ驚いたことだろう……。
最後に佐藤琢磨選手が挨拶し、「このトロフィにはインディ500に勝ったドライバーの顔がみんな貼り付けられており、そこに自分の顔が追加されるのは名誉なことだ。この顔をデザインしてくれた彫刻家の方は大変こだわりがある方で、まず実寸大のモデルを作り、そこから実際にドライバーと会って微調整してから作り始める。優勝を実現できたのも、ファンの皆さんが応援してくれたからで、それに答えるためにボルグワーナーさんとホンダさんに無理を言って持ってきてもらった」と言うと、詰めかけたファンから大きな声援を浴びた。
そして、記者からの2018年の目標を聞かれると、「もちろん連覇だ。近年で連覇したのは2001年と2002年のエリオ・カストロネベス選手だけで、エリオの顔は(トロフィに)並んでついている。それに並べるようにしたい」とし、2018年も優勝して次の場所に自身の顔を貼り付けたいと抱負を述べた。
なお、このボルグワーナートロフィは、12月8日~9日に東京都港区にあるHondaウエルカムプラザ青山で一般公開が行なわれる予定になっており、興味がある方は足を運んでみるといいだろう。詳細はホンダの公式サイトに掲載されている。