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日産、ワンペダル操作できるミニバン「セレナ e-POWER」登場。燃費26.2km/L実現

「ノート e-POWER」からエンジン&モーター出力向上、バッテリー容量もアップ

2018年3月1日 発売

296万8920円~340万4160円

新型「セレナ e-POWER」

 日産自動車は、ミニバン「セレナ」に電動パワートレーンのe-POWERを搭載した新型「セレナ e-POWER」を3月1日に発売する。価格は296万8920円~340万4160円。ベースモデルとなるセレナの乗車定員は8名だが、セレナ e-POWERでは全モデルとも2列目がキャプテンシートとなる7名仕様のみの設定。

 これまで「ノート」に展開していたe-POWERをセレナにも搭載。従来、セレナのパワートレーンは直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴「MR20DD」エンジンを搭載するガソリンモデル、「MR20DD」エンジンに「SM24」モーターを組み合わせるS-HYBRID(スマートシンプルハイブリッド)モデルを展開していたが、新たに直列3気筒DOHC 1.2リッター「HR12DE」エンジンに「EM57」モーターを組み合わせるe-POWERモデルを展開することになった。

モデルエンジン駆動方式価格
e-POWER X直列3気筒DOHC 1.2リッター+EM57モーター2WD(FF)2,968,920円
e-POWER XV3,128,760円
e-POWER ハイウェイスター3,178,440円
e-POWER ハイウェイスター V3,404,160円
7名乗車仕様のみの設定となるセレナ e-POWER。ボディサイズは4690×1695×1865mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2860mm。車両重量は「e-POWER X」が1730kg、「e-POWER XV」が1750kg

 ノート e-POWERと同様に、エンジンやモーターといったパワートレーン系はエンジンルーム内に収められ、駆動用の高電圧リチウムイオンバッテリーはフロントシート下付近に配置するレイアウトを採用するが、「HR12DE」エンジンの出力をノート e-POWERの58kW(79PS)/5400rpmから62kW(84PS)/6000rpmに引き上げるとともに、オイルクーラーを新たに追加。

 また、「EM57」モーターも従来の最高出力80kW(109PS)、最大トルク254Nm(25.9kgm)から100kW(136PS)、320Nm(32.6kgm)へと進化して素早い加速を実現。加えて駆動用のバッテリー容量は20%増となる1.8kWhとなり、走行距離を拡大した。車両重量はS-HYBRID仕様の「セレナ X」が1650kgなのに対し、セレナ e-POWER Xでは1730kgと全体的に80~90kgほど増えるが、JC08モード燃費は従来のセレナシリーズの最良で17.2km/L(2WD)なのに対し、セレナ e-POWERでは全グレードで26.2km/L(装備内容によって異なる)を達成している。

セレナシリーズ、ノート e-POWER主要諸元比較
セレナ e-POWER Xセレナ X(S-HYBRID)ノート e-POWER X
駆動方式2WD(FF)
ボディサイズ(全長×全幅×全高)4,690×1,695×1,865mm4,100×1,695×1,520mm
ホイールベース2,860mm2,600mm
エンジン直列3気筒DOHC 1.2リッター「HR12DE」直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴「MR20DD」直列3気筒DOHC 1.2リッター「HR12DE」
エンジン最高出力62kW(84PS)/6,000rpm110kW(150PS)/6,000rpm58kW(79PS)/5,400rpm
エンジン最大トルク103Nm(10.5kgm)/3,200-5,200rpm200Nm(20.4kgm)/4,400rpm103Nm(10.5kgm)/3,600-5,200rpm
モーターEM57SM24EM57
モーター最高出力100kW(136PS)1.9kW(2.6PS)80kW(109PS)
モーター最大トルク320Nm(32.6kgm)48Nm(4.9kgm)254Nm(25.9kgm)
車両重量1,730kg1,650kg1,210kg
JC08モード燃費26.2km/L17.2km/L34.0km/L
ハイウェイスターのボディサイズは4770×1740×1865mm(全長×全幅×全高)。車両重量は「e-POWER ハイウェイスター」が1740kg、「e-POWER ハイウェイスター V」が1760kg

 走行面はピュアEV「リーフ」で培ったモーター制御技術を用い、緻密な電流制御を行なうことでスムーズな発進を実現。また、セレナ e-POWERでもアクセルペダルの踏み戻しだけで加減速が行なえるワンペダル操作が可能になっており、減速開始時や停止間際も滑らかに減速するようコントロールされている。この減速度について、50km/h程度からアクセルOFFにした際の最大減速Gは0.15Gでノート e-POWERと共通となるが、70km/h以上のところでの感度を抑制し、一定走行を容易にできる制御を行なったという。

 また、セレナ e-POWERではバッテリーをほぼ満タン(約90%)にする「チャージモード」、バッテリー残量に関わらず可能な限りバッテリーのみで走行する「マナーモード」を新設定。これにより、例えば深夜に帰宅する際に幹線道路で「チャージモード」を用いてバッテリー充電を行ない、自宅付近で「マナーモード」にしてバッテリー走行で静かに帰宅する、といった使い方が可能になった。なお、一般的な市街地を走行した場合、「マナーモード」ONの状態での走行可能距離は約2.7km(バッテリー残量90%の場合)としている。

 セレナ e-POWERならではの装備としては、エクステリアではVモーショングリルにブルーカラーのアクセントを採り入れたほか、3本ラインのLEDストップランプを採用。また空力性能を高めるべくピアノ調黒艶塗装のリアサイド・スポイラー、切削ツートン塗装の15インチアルミホイールを標準装備。ボディカラーでは専用色としてグリーンがかった「ミントホワイトパール」を新たに設定している。

ミントホワイトパールを専用色として用意
セレナ e-POWERのエクステリアでは、ブルーカラーのアクセントが入るVモーショングリル、3本ラインのLEDストップランプ、ピアノ調黒艶塗装のリアサイド・スポイラー、切削ツートン塗装の15インチアルミホイール(タイヤは195/65 R15のダンロップ「エナセーブ EC300+」)などを採用

 また、インテリアではシフトノブやスタータースイッチにブルーアクセントを与えるとともに、メーターまわりにブルーアクセント・フィニッシャーを採用。加えて、従来型では2列目シートの中央に前席中央まで前後スライドする「スマートマルチセンターシート」が備わっていたが、セレナ e-POWERではブルーライティングによる間接照明付きのフロントセンタートレイが装備された。

 一方で車内での会話が楽しめるよう、静粛性の向上も図られた。具体的にはフロントガラスに遮音中間膜を入れるとともに、日産初採用となる4層構造のセンターカーペットの装備、ダッシュインシュレーターの構造変更など、ガソリン車に対して25ものアイテムを追加して遮音性を高めた。その静粛性は、ミニバンの上級モデルである「エルグランド」と比べて発進加速時(30km/h)では4dBA低く、50km/h走行時でも「美術館並みの静かさ」と表現されている。

「e-POWER ハイウェイスター V」のインテリア
インテリアではシフトノブやスタータースイッチにブルーアクセントを与えるとともに、メーターまわりにブルーアクセント・フィニッシャーを採用。間接照明付きのフロントセンタートレイも装備する

 そのほか運転支援装備については、「ハイビームアシスト」をセレナ e-POWER全車に標準装備。また、踏み間違い衝突防止アシストの機能を強化し、これまではバンパーにレイアウトされるソナーで近距離のクルマや壁などを検知して約10km/hまで止まるという仕様になっていたが、セレナ e-POWERの踏み間違い衝突防止アシストではソナーに加え、カメラの情報も制御に用いて歩行者まで対象を拡大。さらに約25km/h以下まで対応できるようになった。また、インテリジェントアラウンドビューモニター(移動物検知付き)ではディーラーオプションナビの画面にも表示できるようになっている。